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ウチなりの解釈『兵法三十六計』 第二十六計   “指桑罵槐”(しそうばかい)

2013/12/22 17:34 に Sae Goto が投稿   [ 2014/01/05 17:38 に更新しました ]

 桑を指して、エンジュ(槐)を罵る。「本当に怒りたい対象」ではない人を叱り、その光景を見た「本当に怒りたい対象」が気づきを得て、間接的な効果を期待する作戦…なんですが、どうも私には、この作戦が有効に作用している例を思い浮かべることができません。

 

思い出すのは、戦争の映画で、「叱られ役」がいつも皆の前で上官にボコボコにされて、上官に従わないとこうなるぞ、と言わんばかりの緊迫した雰囲気を作るとか、漫画「はだしのゲン」で非国民呼ばわりされたゲンの父が、やはり見せしめにされ、周囲の民衆に愛国心(それが本当の愛国心かどうかは置いておいて…)を持つように強要させるとか。また、最近国内外でも、「指桑罵槐」を思わせる、ある権力が絶対服従を強制、誇示するような事件もありましたね。

 でも、36計に数えられる戦術のひとつですし、上手くやれば効果的なんだろうな…と、ちょっと考えを巡らせると、「中国では効果的!?」という仮説にたどり着きました。

 

 日本人は概して、他国の人々に比して他が自分をどう見ているか、自分と他人の関係がどういう状況であるか「気に掛ける度合い」が非常に高いと思います。そして、社会全体のマジョリティと自分が異なることを「恥ずかしい」と感じる「恥の文化」を有しています。だから同じチームの誰かが叱られると同調したくなってしまう傾向も高く、わざわざ「指桑罵槐」する必要はないのでしょう。(やりすぎると、独裁体制を生んでしまう!?)ところが、「メンツの文化」を持つ中国では、叱りたい相手を罵倒、それも皆の目の前で「メンツ丸つぶれ」なことをすると、逆上されてしまい、叱りたい意図が全く伝わりません。

 

 そんな社会では、「叱られ役」を叱る方が、本来の対象のメンツをつぶさずに、本意を伝えることができるのかもしれません。あくまで本来の対象がキチンと意図を受け止める感受性を持っていることが大前提ですが。いずれにしても、ダレてきたときの刺激、起爆剤としては有効かもしれませんが、常習的には使えない技ですね。
 

指桑骂槐 [zhi3 sang1 ma4 huai2]

 
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