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ウチなりの解釈『兵法三十六計』 第十九計 “釜底抽薪”(ふていちゅうしん)

2014/02/16 6:39 に Sae Goto が投稿

 煮立っている釜の底にある薪を引っこ抜いてしまう、すなわち、物事の解決のために、根本に着手する、という作戦。勢いのある敵を、高温に煮えたぎる釜に喩え、その敵の勢いを消すために、勢いの元となる火元、つまり薪を抜いてしまうことで、火(ここでは相手の勢い)を弱めてしまおうというもの。

 

 それは、部下や子供に注意することに、非常に似ていると思われます。例えば、上司や親は、怒鳴りつけてその場を一旦ストップさせることはできます。でもそれでは「怒られたから」やめただけで、本当に理解して何かをストップしたわけでも、上司・親の意図する問題点が理解できているわけでもありません。むしろ、勢いを止められたことに反感や不満が溜まり、次回からの注意にも耳を貸さなくなるかもしれません。

 

 若い部下や幼い子供は、経験は少なくても、何かをやってみよう、自分で成功体験を得たい!というエネルギーは持っています。(いや、最近はこれがない若者が多いことが問題なのかもしれませんが…)しかし、経験豊富なものから見れば、そうすれば失敗する、もっといい方法がある、とアドバイスしてあげたい。そんな時、どんな風に接し、軌道修正に持っていくのがよいのでしょう。

 

 自分が「正しい」と思っていることを、他人から咎められるのは、大人も子供も、誰でも嬉しいものではありません。しかも、勢いがあるとき、突っ走ってしまいたいときに、その勢いを真っ向から否定されれば、不信感を抱かせてしまったり、あるいは折角燃え上がったモチベーションを低下させてしまったりするかもしれません。勢いがあること、やる気があることは、それだけで素晴らしいことなので、その部分は大いに尊重し、まずは全速力で走っている人を、話がまともに聞けるぐらいのジョギングの速度に落としてもらうことが大事でしょう。急に両手を広げて行く手を遮るのではなく、伴走しながら「ちょっと聞いて!大事な話をするから!!」と、いうように。

 

 あとは、この道を、この速度で突き進むと、こんな失敗が待ち受けているよ、私もこんな経験をしたことがあるから、少し引き返してこっちの道に進んでみては?と、できるだけ優しく、根気強く話すこと。こちらも相手も人間。相手が後輩であれ、子供であれ、誠意は伝わると思うのです。

 

 上司や親の最終目標が、「自ら理解して、自分で道を切り開き、進んでいける部下や子供を育てること」にあるのなら、まず理解してもらう状況、自分が話したいことを聞いてもらえる態度に持っていくことが、時間がかかるようでいて、実は、ぐらぐら煮えたお鍋に水をぶっかけるよりも、しっかり理解してもらえ、その後の彼らの人生にも有効に作用するのだと思います。

釜底抽薪 [fu3 di3 chou1 xin1]


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