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魚より魚獲りの方法を

2016/05/08 8:21 に Sae Goto が投稿

誰かの役に立ちたい、誰かのために何かをしてあげたい、と思う時、コンサルタントの我々は、少し立ち止まって考えねばならないことがあります。その(今からやろうとする)サポートや知識は、本当にその人のためになることか。もっと言えば、短期的にも長期的にもそれがベストなサポートなのか、ということです。

 

私は大学卒業後、三年間日本語教師をしていました。日本語教育メソッドを通信教育で習ったばかりだと、それを使いたい気持ちが高まり、「私が」教えることに焦点が当てられ、相手(生徒)が「日本語をできるようになること」はその次になってしまいがちになることに、比較的早い段階で気づきました。また、普通の会社員の経験も積まないと!と帰国して東京の会社に勤め始めた時、初めは営業アシスタントでしたので、社内システムの使い方を先輩女子社員から教わったものです。その説明が「動作の目的」ではなくて「動作の順序」でしかなかったので、イレギュラーが起こると全く判断できない状況になりました。転職してITベンチャーで勤め、新規事業部長になった時、営業数値を管理する女性社員が余りに数字の打ち間違いに気が付かないので、「大体の数字を思い浮かべながら作表しなさい。そうすれば、ゼロの数がちがったら『おかしい!?』と思えるでしょ。」と指導すると、間違いが激減しました。

 

要は、相手を助けるつもりが、目の前の処理方法にしか目がいっていないと、サポートの「賞味期限」もその場かぎりとなってしまうのです。ところが、サポートの目的をもう少し長期的に、いや今後ずっと、あるいは自分で更に改良していける力をつけるところまで目指すのであれば、その場の知識を与えるのではなく、知識を得て行く「力をつける」、ということがより良いサポートになる、と言いたいのです。

 

老子の言葉に、「授人以不如授人以」(ショウ・レン・イー・ユィー・ブー・ルー・ショウ・レン・イー・ユィー;魚をやるよりも、魚の獲り方を教える方が良い)というフレーズがあります。長くてイレギュラーの多い人生で、強く生きていける力をつけるためには、自分で問題を解決し、楽しんでいける力をつけてやる、ということが何より大切なんだ、と子育てをしながらも益々そう思うようになりました。気が遠くなるかもしれませんが、相手の数年後を見据えて、私達は今を大切にしていきたいですね。お魚を直ぐにやりたい気持ちを抑え、ちょっと面倒でも一緒に釣りをするつもりで。


授人以鱼不如授人以渔

 [shou4 ren2 yi3 yu2 bu4 ru2 shou4 ren2 yi3 yu2]

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