過去を食べても…

Post date: Sep 6, 2015 11:43:40 PM

今日も常々自戒していることのお話です。過去の栄光や実績を頼りにせず、常に新しいことを受け入れ学ぶこと。一般的な例でいうと、キャリア転職。私も大卒後、日本語教師、中小貿易会社、総合商社、ITベンチャーと、多すぎるぐらいの転職をしています。特にITベンチャーに転職した時、転職気運の高まりや、IT業界を中心に起業ブームもあり、過去に積んだ経験を元にキャリアアップを図る方が身近に沢山おられました。で、実際キャリアアップになっているかというと…皆がそうではないのですが、転職組の集合であるITベンチャーでは「前の会社ではこうだった」主張の衝突(特に大企業出身者!!)が多いことに気づきました。今迄とは違う環境の中で、出自(?)の異なる人と別の新しい事業に取組む時、判断基準が前(未来)でなく後ろ(過去)になってしまうことが多いのです。

もうひとつ、私自身の「過去だけを頼って失敗した」例。それは2010年に2年滞在したシンガポールから上海に転居した時のことです。シンガポールに渡った時は、子供は3歳と0歳。子育てだけで大変な時期でもあったのは言い訳なんですが、中国語も英語もそれなりにできた私は、両方の言葉が通じるシンガポールでは、中国語で詰まれば英語で、英語で詰まれば中国語でと、今迄習得した範囲内の言葉しか使いませんでした。もちろん、日本にいる時より多少は頭の中の語学の引き出しが軽く開け閉めできるようになったかもしれません。でも、上海に転居が決まった時は、かなり後悔しました。英語も中国語も、何も自分自身の中で更新されていなかったのです。そこで中国に引っ越すと、すぐに英語と中国語の家庭教師派遣を申込み、英中両方の読み書きも含めたビジネス用語を勉強しました。やはりやる気になれば、それなりに力が発揮できるもので、それなりの成長が感じられ、中国語は現地で文化講座や司会などもさせていただく機会に恵まれました。

今の仕事も同じだと思っています。私は中国語を学び、中国で日系企業様のお手伝いの経験もあります。商社で国際ビジネスの経験もありますし、ITベンチャーにもいました。でも、それは過去の話。これからの自分の価値を上げるのは、未来に向かう力がどれだけあるか、でしょう。「吃老本(チー・ラオ・ベン)」、中国語の「本」とは、「成本」等と言い、資本・元手の意味があります。昔の資本、昔取った杵柄を食べて、それ以上努力しないことを指します。ホームページなどで、自己PRをするときは、どうしても過去の実績を大きく表現することになってしまいますが、それはそれとして、大事なのは前に、未来に、新しさを恐れず取り入れ、考え、進んでいく「動き」「勢い」を保つことだと思います。過去の経験を生かして起業された皆さん、ともに歩んでいきましょうね!!

吃老本 [chi1 lao3 ben3]