イヌがネズミを!?

Post date: Jul 27, 2015 1:41:45 AM

先週は、中国向けの輸出案件の商談、インバウンド案件がまとまって動きました。といっても、日本に居ながらなのでWeChatやメールを通じ、あちこちのパートナーや日本企業さん等とのコレポンに忙殺状態。その中で、日中間で物事の考え方の根底からの違いについて考えさせられたことがありましたので、今日はそれを紹介しましょう。

ある中国のパートナーが、某日本企業との取引を始めたいので、連絡してほしいと依頼してきました。私の方からは、その日本企業と面談するにあたって、できるだけ詳しく、また実績なども記載したパートナー企業の資料を用意してほしいと頼みました。その理由は、もちろん初めての取引先候補と、今後取引を行うにあたり、日本側の企業に安心を与えたかったからです。特に日本企業は大陸というだけで意識的にバイアスがかかることが多いので、その辺りの障壁をできるだけ下げて、商談成立につなげたい、と考えました。

ところが。中国側のパートナーは、もちろん資料は準備するけれど、初めからそんな情報を開示する必要があるのか?先方の事情も考え方も分からないし、日本のモノを扱いたい中国側の競争相手が沢山いる中で、どこで情報が錯綜するかもしれない。情報の出し方は、小出しで良いのではないか?と、言ってきました。

一般的に中国の企業との商談は、初めトップスピード、後に急速ダウンすることが多いので、私は何となくそのペースなのかな、と考えていたこともあり、そのパートナーの慎重さに驚きつつ、何でも画一化してはいけない、と普段他人には言っているくせに、自分ができていなかったことを反省しました。また、ここでも島国で平和な日本人の考え方と、多民族の争いを繰り返してきた大陸の人間の考え方の違いを感じました。日本人はとにかく安心したい、信じたい、だから初めから友好関係があるもの、と思ってしまいがちな一方で、中国のパートナーが安心して信じたいけれど、初めは警戒・注意する、という姿勢に、日本人の国際ビジネスに足りないポイントを見た気がしました。

良かれと思って準備をお願いした諸々の情報、中国側のパートナーの意向を組むことを考えると、時として不要なおせっかいだったかも、ということもあるものですね。中国語では犬のことを「狗(ゴウ)」、ネズミのことを「耗子(ハオズ)」といい、本来猫が捕まえるべきネズミを犬が捕まえる「拿(ナー)」ことに喩えて、余計なおせっかいを焼くことを「狗拿耗子(ゴウ・ナー・ハオ・ズ)」と言います。日本のやり方を主張することも大事ですが、それを強制してはいけませんよね。国際ビジネスでは。うん、反省。

狗拿耗子 [gou3 na2 hao4 zi]