ウチなりの解釈『兵法三十六計』 第九計 隔岸観火(かくがんかんか)

Post date: May 12, 2014 12:56:52 PM

岸を隔てた相手の陣地で、火が燃えている(=内紛が起こっている)のを観る、つまり敵が自軍の間で紛争やいざこざを起こしていれば、自滅の方向に進んでいる、ここは静観して相手が自ら力を失っていくのを待ちなさい、ということです。戦争やチームプレーのスポーツ、そして企業組織もそうですが、共通の目的を持って協業する団体が、まとまっていれば力を発揮できるのに対し、組織内で諍いや不協和音があれば、衰退の道を辿ることになる、だからそんな状況下では攻撃せず、じっと見ておくべきなんですね。

私も一年前まで、上海の事務所で、現地の日系企業さんのビジネスアドバイザーをさせていただいておりましたが、やはり現地企業で上手くいっているところは、日本の本社や駐在員さんが、現地社員さんとの関係を非常に大事にされていて、よい関係が保たれていました。一方、現地スタッフのことを、「朝、事務所に来ていきなり朝ごはん食べてる」とか、「『すみません』って言わない!」とか、相手の文化や生活環境を理解せずに愚痴ばかり…という駐在員さんがおられるところは…まあ、そう、そういうことでした。

国民気質の違いで、どちらかというと大陸の方の方が意見も率直で、喧嘩っ早い。だから異国から来たマネージャーとの間でも直ぐに「着火」してしまうのかもしれません。一方の日本人は、「着火」をできるだけ防ぎたい、事を荒立てなくない、という想いが強いので、激しく言い合うことを避けようとします。

では、日本人はこの『隔岸観火』作戦が得意、ということなんでしょうか?この作戦は行動するより静観せよ、ということなんですが、日本人は一般的に行動する方が逆に苦手なだけで、『静観するというアクション』のように見えても、実は『何もアクションしない』なのではないか、能動的に静観するのではなく、目の前で起こっている事象を受動的に見ているだけなのではないか?と思えてなりません。

最近、中国ビジネスに関しては「新規進出」がさっぱりで、中国ビジネスセミナーも閑古鳥が鳴いている、とよく聞きます。なぜでしょう?メディアで伝えられる「隔岸」の出来事を、様子見しているから?でも、本当に今は静観が正しいのでしょうか?実際行動して、自分の目で見てから、「行動か静観か」決めた方がよさそうですね。

隔岸观火 [ge2 an4 guan1 huo3]