ウチなりの解釈 『兵法三十六計』 第三十六計 ”走為上”(そういじょう)

Post date: Oct 14, 2013 1:21:27 PM

中国語で「走(zou)」は、「行く、去る」という意味で、日本語の漢字と少し意味が違います。ここで使われる「走」は、単に「行く」ではなく、「逃げる、逃げ去る」のというニュアンスで、「走(に)ぐるを上と為す」、つまりは逃げるが勝ち、そんな感じになります。

兵法三十六計の基本が戦わずして勝つ、ということなので、時にはガチンコで戦わないで、逃げちゃうことも大事だよ、経営面で置き換えるなら、所謂“Exit(出口)戦略”も重要、というところなんでしょう。

なぁるほど、「走為上」か…と、人間というのは、自分にとって有利な方に解釈してしまうもの。

-それなら、今やっているシゴトも、逃げちゃえばいいかも!

なんて思ってしまって良い場合と、そうでない場合がありますね。

また、人の性格によっても、いつも頑張りすぎて、是非「走為上」という言葉を教えてあげたくなる人、そしてたまには逃げないで、自分でやりなさいよ~!と言いたくなる人、ちょっと頭に浮かびます。

私は、この言葉が生まれた背景も考えると、前者は中国の人に多い性格で、後者は日本人に多い性格のように思えます。この言葉が生まれて2千年か3千年が経っているのでしょうが、ついこの間まで3年間滞在した上海の道端でも(それも白昼)、両者譲ることない大声のケンカが、野次馬ギャラリーの拡大につれ、ヒートアップする光景をよく見たものです。一方、上司に毅然と反論する現地スタッフについて、日本人駐在員さんは「部下が言うことを聞かないんです」と、反論されることに違和感を覚えておられる様子。

ケンカや反論を“戦い”とするつもりはありませんが、外国企業に対するプレゼンや主張が得意でない私たち日本人は、“戦う=本気パワーを全開にする”ことが、他の国の人々に比べて、控えめなんでしょう。でも、今はそんなこと言っていられないですね。論理的な考察力や交渉力を鍛え、国際社会でも生き残っていける力をつけないと!!

そうやって、“戦う力”を身につけて、初めて“戦うのか、撤退するのか”を選択すべきなんでしょうね。

走为上[zou 3 wei 2 shang 4]