ごとうさえの

言技(ことわざ)

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事業(ことわざ)

#301~


本当はどんな事業活動をしているか、ご紹介したいんです。

でも…やはりダイレクトには語れません!!

と、いうことで、チアーマンサポートの事業周辺情報&

後藤さえの独り言を、つづらせていただきます。

宜しくお願い申し上げます。


※ことわざ#1~#100はこちら

#101~#200はこちら

#201~#300はこちら

370.12年目を迎えるにあたり

 

 長く顧問を務めさせていただいている企業様も、公的支援で数回、いや、一回しかお会いしない企業様も、本当に毎回と言って良いほど、お会いする度に私自身に新しい問題・課題、新鮮な気づきが得られます。よく、「そんな長い期間顧問契約して、毎月なにするの?」と言われますが、毎月打合せや研修を重ねようが、年度毎や中期的に企業さんと一緒にたてた目標を達成したり、思い通りの姿にチェンジしていくのは、そんなに簡単なことではありません。おそらく、コンサルタントのシゴトを「今ある企業の状況について、評論したりコメント・助言したりすること」と思い込まれているので「毎月行くとやることが無くなる」と思われるのでしょうね。


 確かに、決められた時期にお邪魔して、決算書や試算表を見て、社長の話を聞いて、適当に「こうした方が良いんじゃないですか?」なんてお話することも可能です。でも、それでは会社は変えられません。会社が変わるには、トップの行動や心意気が変わり、それが伝わって社内の雰囲気が変わり、社員の意識が変わって初めて業績に表れるような変化に繋がるのです。


 そのためにはどうするか。


 現状や起った事に対して、評論しているようでは遅いですし、言われた方も「ケチ付けられた」印象が強くなってしまいます。あくまで、毎月確認するような管理数値を一緒に見て、昨年や一昨年の流れと比べ、将来を考え、先手を打って準備する、ということを一緒にやらないと、コンサルティングの「面白み」がありません。どこまで突っ込んで、どこまで同じ視点で先をみられるか、だと思います。


 レポートの書き方は、起ったことを事務的に書き、計画との差異とその理由を書き、そして今後の対応を書く、という順番でよいですが、最後に対応を書いたら、いつまでどう改善されるのか、予測し、時間が経ってから成果を確認する、ということを習慣づけなければ、ですね。


 将来は誰も分かりません。だからといって、予算もたてない、計画も策定しないなんてのは、うーん、ちょっと考えられません。計画を立て、社員が同じ目標を共有し、将来に夢を持ってもらえるように。そう、会社が先を見ているか、先に向けて手を打っているか!「先」を見ている会社は、一歩抜けてアクションしていけます!先んずれば人を制す、です。「先を見る」「それに向けてアクションする」コンサルティングを、12年目も頑張って推進したいと思います。


 先んずれば人を制す

2024/9/2

369.今有ることは誰かが創ったこと

 

 中小企業診断士になって17年、コンサルティング事業として


「どうやったら付加価値が上がるのか」

「企業様にとって、何をすることが【意義がある】と、企業様ご自身に思っていただけるのか」


常に問い続けています。


 なぜなら、中小企業診断士は「先生」でもないし(そう慣例的に呼ばれる事も少なくないですが)、判断をする人でもない。企業経営がよりよくなるように、多方面から助言をしたり、助言したことを実行できるように、伴走したりするサービス業だと信じているからです。


 そして、助言をするには会社さんの沿革、事業内容を一通り聞かないと、状況がわかりません。かなりの量の情報をインプットしないと助言などできません。


 そこで…!!


 何か道から外れるリスクが有るのだと思います。どう外れるか、というと、今聞いた情報について、「これは良くない!」というポイントがピックアップされてしまい、


という、今その事業をやっている人にとっては、「悪口」「揚げ足取り」のコメントしか出せなくなってしまうのです。


 もちろん、「問題無い優秀な事業なので、どうぞ褒めてください!」といってコンサルティングを受ける会社さんは、ほぼ無いでしょうから、何かしら課題を突きつけられるのは、覚悟されているでしょう。でも言ったそばから、否定の連続だと、気分を害されて終わってしまう(本来なら、課題に気づいていただいて、対策を考えて、よりよくして頂くはずなのに…)。そういう「外れ方」になりがち、なんですよね…。私もエラそうに言えません。


 私たちは部外者なので、沢山情報を仕入れないと、何も判断できませんが、顧客会社の従業員さんほどその会社の中にどっぷりつかってしまうと、逆に何も見えなくなってしまいます。目の前のやること、昨日まで繰り返されてきた慣習、業務内容をこなすのに精一杯なのだから。部外者として、でも、経営支援の専門家として、どの視点から、何を一番に気づき、やってほしい!と狙うか、が大切なんだろうな、と思います。


 今毎日業務を繰り返されているのは、誰かが創ったビジネス。それをどうこう言うのでは無く、一歩引いて、大きく俯瞰して、どこでミスマッチを起こしているのか、どのように新しいビジネスへと変革あるいは創造していっていただけるか、思考の道筋を創るのをお手伝いする、そういう前向きでクリエイティブなことをできるよう、色々勉強しないとな~!!!と、久々に書いております。


 コンサルの付加価値

2024/7/22

368.社員教育と引継ぎ

 

 私たちがコンサルティングをするとき、まず会社さんの方針や理念というものがあり、それに基づいて創り出された商品やサービスがあり、


 レポートの書き方があいまいなのです。


 「効率化を図ります」

 「利益を上げます」

 「売上に繋げます」

 「指導します」


 …すべて必要なことですが、「なにを、いつ、どうやって」が抜けているのです。


 レポートを書くときに、うっかりしてしまうのではなく、ご自身の頭の中に、具体イメージがない場合に、このような文章になってしまいます。「なんとなく、こんなことしないと、いけないんだよな~」というような雰囲気でしょうか。


 いやいや、お仕事って、そんなものではないのです。雰囲気・イメージではなく、具体的に、何を、どうしたら、問題の〇〇がどのぐらい改善するのか、イメージして実行に移すのです。レポートはそれを活字として記録するだけ。なにも特別なことではないのです。


 いうなれば…私がよく使うフレーズなのですが、「カレーライスの作り方は?」です。

 

 お腹が減った、という問題点があり、その解決法として、カレーライスを食べようとするが、作らないと、無い。では、どうやって作るのか。まず冷蔵庫を見て、材料を確認して、足りなかったら階に行って、次に野菜やお肉を切って、痛めて、お湯を入れて…この手順を順番にこなしていくと、カレーライスができあがります。


 効率化するのだって同じです。いつも営業に出かける十分な時間がないから、事務の時間を削ろうとする。今の時間で大きく省けそうなのが、会議が多いこと。無駄そうな会議については、書面の回覧に変更する、などして、一週間に3時間省略する、その分一件外回りができる…という塩梅です。


 何も仕事だからといって、特別なことではないのです。カレーライスでなくてもいいですが、ま、みんな大体同じかな、と思ってこんな例を使ったりしています。ご参考になれば。



気づかせる力

2024/7/8

367.仕事は特別じゃなくて

 

 経営相談では、多くの経営者さんとお話する機会がありますが、その延長線上で、従業員研修のお仕事も担当させていただくことがあります。その時、今まで売上や利益など、あまり数字に携わってこなかったり、きちんと課題や対策についてレポートする社風の中におられなかったりした方をお見受けすることがあります。そして、そういう方々には、共通点があります。


 レポートの書き方があいまいなのです。


 「効率化を図ります」

 「利益を上げます」

 「売上に繋げます」

 「指導します」


 …すべて必要なことですが、「なにを、いつ、どうやって」が抜けているのです。


 レポートを書くときに、うっかりしてしまうのではなく、ご自身の頭の中に、具体イメージがない場合に、このような文章になってしまいます。「なんとなく、こんなことしないと、いけないんだよな~」というような雰囲気でしょうか。


 いやいや、お仕事って、そんなものではないのです。雰囲気・イメージではなく、具体的に、何を、どうしたら、問題の〇〇がどのぐらい改善するのか、イメージして実行に移すのです。レポートはそれを活字として記録するだけ。なにも特別なことではないのです。


 いうなれば…私がよく使うフレーズなのですが、「カレーライスの作り方は?」です。

 

 お腹が減った、という問題点があり、その解決法として、カレーライスを食べようとするが、作らないと、無い。では、どうやって作るのか。まず冷蔵庫を見て、材料を確認して、足りなかったら階に行って、次に野菜やお肉を切って、痛めて、お湯を入れて…この手順を順番にこなしていくと、カレーライスができあがります。


 効率化するのだって同じです。いつも営業に出かける十分な時間がないから、事務の時間を削ろうとする。今の時間で大きく省けそうなのが、会議が多いこと。無駄そうな会議については、書面の回覧に変更する、などして、一週間に3時間省略する、その分一件外回りができる…という塩梅です。


 何も仕事だからといって、特別なことではないのです。カレーライスでなくてもいいですが、ま、みんな大体同じかな、と思ってこんな例を使ったりしています。ご参考になれば。



カレーライスの作り方は?

2024/6/17

366.方針あってこそ

 

 前々回、前回と、業務の課題解決や効率化のためにツールを導入したとしても、そこに社員の理解や意欲がなくては、効果は出ないし、必ずしもデジタル化だけが良い、というわけでもない、というお話をしてきました。


 では、ツール導入にあたり、どのように運用するかルールを決め、運用するなかで目標や目標値を定め、定期的に「がんばるぞ~!!」と意欲的に業務に取り組んでもらう。そして、時にはオフラインのミーティングを使ったり、定期的な会議はWebで事務的に過ごしたり…と、色々やってみる。これである程度現場は回っていくでしょう。それで、大丈夫でしょうか?


 どんな市場でも、社会の変遷と共に、衰退もしていきますし、消費者の趣向の変化もあります。同じ事の繰り返しは、事業の衰退を招いてしまいます。それを防ぐため、いや、より拡大していくために、一方で成熟したビジネスで利益を蓄積しながら、新しいこと、少しリスクがあるところに投資したり挑戦したりしながら、次の道を探ることが必要ですね。そのためには、毎日のルーチン業務を担当する人ではなく、組織のトップが「こっちの方に進むぞ~!!」と指し示さないといけませんし、「こんな案件でどうでしょう?」と、提案書が上がってきたら、そのままOKにするのか、条件付きでOKするのか、練り直しを命じるのか、判断するのもトップのオシゴトになります。


 今回は、このトップのおしごと「リーダーシップ」が大切だ、ということが言いたかったのです。現場が成熟し、よいサービスや商品が作れるようになったり、よい営業ができるようになったとしても、常に動きゆく社会の中で、次の一手について経営者は考え、その方針に則った提案を挙げるように要請し、判断しながら進む。ITツールを入れただけでは、決して動かないものですね!



ツールで解決しないもの(3)

2024/6/10

365.個別研修と集合研修

 

 コロナ禍は、企業の会議方法にも大きな変化をもたらしました。

 というか、私達、テレワークを導入・定着支援を行うコンサルタントにとっては、追い風の環境でした。感染リスクがある中、わざわざ会社に出ていかなくても、接触なしに会議が開催できるので、「これは便利!」と一気に普及しましたね。


 一方で、Web会議の弱さも実感しました。まず、操作に慣れない人との会議は、開始までに時間がかかります。ようやく開始できても、画面越しに語り掛けても、実はカメラの位置によっては、視線が合っていなかったり、さきほどまで開通するまでに神経をすり減らし、本編に集中できない…などなど。また、回数重ねて慣れてきたとしても、ニュアンスが今一つ伝わりにくかったり、回線状況が途中で悪くなったりで肝心なところが聞こえなかったり…と、対面で話す時とは異なるストレスを経験しました。


 研修でも同様です。離れたところの人とも話すことができますし、画面共有もできるので、資料のどのあたりを説明しているのかも、Web会議のメリットを駆使できますし、ウェビナーなんてものも出現して、チャットで質問できたり、映像以外に双方向でやりとり、そして録画ができることも便利さを痛感しました。


 最近になって、対面で話すことを意識しなくてよくなると、やはり状況が多様な中小企業さまへのコンサルティングや研修は、対面や個別が有効だな、と思えています。集合研修だと、中途採用が多い中小企業さんでは、レベル感が異なるので、同じトピックでも難しいと感じる人、簡単すぎると感じる人、両方がおられます。また、人数が少ない中で、同じ時間帯に一同に人を集めると、研修は一度で済みますが、電話の対応も含めて業務を止めてしまうことにもなります。と、いうことで、対面&Web研修、個別&集合研修、色々な要素を加味して、目的や状況にとって最適な形を考えていきたいものですね。


ツールで解決しないもの(2)

2024/6/3

364.理解と意欲

 

 事務作業や経営の効率化。この労働力不足の時代、本当に大切です。でも、パソコン苦手!って企業さん、まずは使い方を覚えたい!というのも切実な思い。そこで、企業様の従業員さん向けに、収益管理や業務管理のサポートも実施するのですが…


 パソコンの使い方、特にExcelの機能、などを説明したりすると、「そこ」に視点が行ってしまい、操作することがシゴトになってしまったりします。パソコンを今まで使いこなしていなかった方なら、使えるようになって、シゴトをしている「気分」になるのです。


 あれ?それはシゴトでしょうか?


 シゴトを効率化するため、人力でやるとミスも出るのでデータを使って自動で計算できるようにしたので、パソコンやツールに頼るのは、計算の部分。人はそれを操作して、その先に見えてくる数字を分析し、業務と結びつけ、


 お!!これは問題だ!


 と、早く気づき、対処できる…ということを目指しているのです。パソコンやアプリ、ツールで業務の「高速化」はできても、シゴトの目的は変わりません。やることは同じです。求められているモノは何か、目的は何か、の理解がなにより大切。それが分かった上で目標値を定め、そこに向かって突進する!

 

 ツールを導入することは「速度」「正確さ」「同時性(共有)」を向上させてくれます。しかしそれは「目的」ではありません。「目的」(いかに儲けるか)に「速く」近づけるということ。それでは問題は解決できません。速くできたデータを見て、考え、判断して行動する人、こそが問題を解決するのです!


ツールで解決しないもの

2024/5/27

363.ごちゃっと、ひとまとめ-3

 

 前回は「営業」という名の職種の方が、何をどこまでやるのか、何がゴールなのか分からない、というお話でした。このお悩みは、実は多くの会社さんで見られます。商品やサービス、地域や規模などによって、具体的なお悩み内容はマチマチですが、面白いことに一つ共通する傾向があるのです。「営業」とされる方達は「何をどれだけやったら良いのか、わからない。」「そんなに一杯やれと言われても、時間が無い。」というお悩みが大半で、経営者側は「営業」とされる方達に対して「自分からやらない」「言われたことしかしない」「やる気が無い」という愚痴が殆ど、というところ。


 そして、さらなる共通点は…経営者側は、自分でも苦労されたやってこられ、(特に自分の会社だから、潰さないように必死で考えて動く)会社が成長して営業の専門職をあてがったら、彼らは自分達のように進んで働いてくれない、という愚痴です。


 こういった場合、問題は経営者さんが「可視化」していないところですよ、というお話をします。会社を成長させた経営者さんは、自分はそんな大したことをしていない。当たり前のことをしてきただけだ。そんなに難しい話じゃないから、「君たちも当然分かるだろう」と考えておられるんです。


 分かるわけないですよね。新卒社員さんなら、学校生活しか知らないわけですし、経験者の中途採用にしても、業界や商品については既知であっても、その会社の方針や文化・ルールまでは。


 なので、新しく入った営業の方は、一生懸命「今有るシゴト」の「順序」を覚えようとします。それがマスターできると、当然次は自分から…と、経営者さんは期待しすぎることなく、丁寧にやるべきことを整理して、職位や業種にいよってゴールを決め、それを説明していきましょう。それが説明しなくても分かる方がおられたら、それはそれでラッキー、ぐらいなキモチで。

 

 職責やお給料はそれに比例していくものですし、営業「窓口」の手続きができるだけならヒラ社員、新しい案件を「開拓」して「創造」できるようになれば「課長」、それを部下にも教えてアドバイスできるようになるのが「部長」など、簡単なことばで整理するとよいでしょう。その責任範囲で、各年度の数値目標を決めていけば、「自分はこのペースでやろう!」「一旦ここで休もう」と、社員さんもゴールに向かって考えられるようになります。「ゴールはあげられるだけあげて!」なんて思っていると、皆疲弊するだけでなく、「何をやってもOKでない。」と、不信感も漂います。誰に、何をお願いしたいのか、方針決めて、整理してKPIも決める!!ここまでは経営者さんの方で頑張ってみてください。


マーケと営業その3

2024/5/13

362.ごちゃっと、ひとまとめ-2

 

 「私は営業担当です」という方に、業務内容などのインタビューをしていますと、「営業」の範囲が非常に曖昧であると感じることが多いです。


 営業のお仕事、といえば、その会社の商品やサービスを世の中に知らしめたり、お客さまにお勧めしたりして、買っていただくための金額や数量を交渉し、販売につなげること!と考えられます。新入社員さんなどは、余り商品知識も深くないので、リピーターさん、固定顧客さんの窓口対応をしてみたりして、そこからお客様の要求などを感じ取ることもあるでしょう。


 しかし、新入社員のときに覚えた固定顧客との間でのやりとりだけでは、ちょっと困るんですよね。お客様も商品も、ずっと永遠に同じ数量を同じだけ買ってもらえ、売れていくなら、そんな楽なことはないですし、それなら営業の担当は初めに売れるようになるまでが必要で、あとは納期と数量とだけ自動で確認すれば良くなってしまいます。残念ながら、お客様も変わっていきますし、世の中が変われば新しい商品やサービスも出現し、市場価値が廃れてくることもあります。ですので営業さんは、お得意さんを大切にしながらも、新しいお客様を開拓し、新しい商品サービスのあり方を追求しないと…ですよね。


 でも、新しいお客さまや新しい商品サービスのコンセプトを考えること、そんなに簡単ではありません。常に販売窓口をしながら、世の中の動き、お客さまの要求の変化にアンテナをはっていないといけませんからね。それに、初めて会う人にお話をするって、ストレスもあるでしょう。人によってはとっても苦手!と感じる方もおられるかもしれません。色んな経験やスキルが必要となる、高度な業務になりますね。


 ですので、会社から「まずお客さまの窓口をやって」と言われ、そのうちに「新しい案件取ってこい」と言われ「新しい顧客を開拓しろ、新しい商品やサービスを考えろ」と、どんどん難しいことを言われ、「いつになったら目標達成できるのだろう…」と、不安になってしまう社員さん、結構多いですよ。さあ、どうすれば良いでしょう。続きはまた来週!

 

マーケと営業その2

2024/5/6

362.ごちゃっと、ひとまとめ-1

 

 大企業に対する中小企業の特性の一つとして…という雑な分け方ですが…「業務分化・専門化があまり見られず、一人が複数のファンクションを受け持つことが多い」が挙げられると思います。たとえば、大企業では「総務部」「経理部」「財務部」「審査部」「人事部」「法務部」等など、いわゆる非生産部門でこんなに沢山の部門が有るのに対し、中小企業では「人事部」や「法務部」がある方が少数派ですし、総務部で人事も経理も財務も全部担当している!!という企業さんは、沢山おられますよね。会社の機能の一つであっても「稼がない」部門がそんなに膨れ上がると、利益を圧迫してしまいますからね。


 それは、強みでもあり、弱みでもあります。


 「強み」と言える場合は、一人の社員が色々できて、情報共有・助け合いができる体制がある状態であり、そうすれば発揮できる機能の割にコストが低く抑えられている、そんなイメージ。


 逆に「弱み」になってしまっている場合は、情報共有・助け合いができる体制・社風がないために、業務が属人化してしまっていて、「あの人が休みだと進まない」あるいは「あの人がやると思っていたから私も(誰も)やっていない」というような状況、でしょうか。


 いずれにしても、大事なのは、部署が有る・無いではなく、会社として必要な「役割」を「誰に」引き当てているか、ということです。俗に「ファンクション」「ミッション」とも言われるモノです。ここで誤解が多いのが「役割」と「手順・作業内容」をごっちゃにしてしまうことです。さて、結構長くなりそうですね。今回はここまで。続きは次週をお楽しみに!

 

マーケと営業その1

2024/4/15

361.架け橋のない目標

 

 多くの企業様に共通するお悩みであり、また実際ご相談に応じてみると、かなりの割合で正確にお悩みの内容を把握されていないこと…について、今日は書いてみたいと思います。


 まず、「売上ばかり気にして、利益を意識されていない、結果、赤字になっている」状況…よく見かけますよね。そこで「よし、今後は収益だ!収益体質にするぞ!」と目標を立てる。予算上は利益率を算出して、それを目標にしようとする。でも…なかなか上手くいかないですよね…何がダメなんでしょうか?


 会社さんの置かれた状況は会社さんの数だけパターンが有りますので、一概には言えませんが、普段の業務の中で、目標をどう捉えているか、大別して二つに分かれると思います。


 目標の捉え方①:目標を「点」で捉える


 目標の捉え方②:目標を「線」または「面」で捉える

 


 「○○になりたい!」「がんばります!」ここまでは、多くの人が到達できます。その次は「では、どうやって?」という具体的なアクション・プランが必要なのです。計画通り進むことはないかもしれませんが、だからといって計画も作らないと、一歩も出ません。


 最近更に話題に上ることが増えた、野球メジャーリーグの大谷選手も、マンダラ・チャートを作っていたことは有名なお話ですよね。夢への架け橋は現実と夢の間にしっかり繋がっていないとたどり着けないもの。その架け橋の橋板一枚一枚に当たる、アクションプランを描いたり、間違っていたら付け替えたりして、進んでいることを実感しながら目標達成していきましょう♫




アクション・プラン

2024/3/18

360.変わってもらうために必要なこと

 

 年度末となり、公的支援がほぼ終わり…という時期ですが、またまた別の新しいプロジェクトが二つほど、立ち上がります。それが仕事、なのですが、その会社さんの現状を分析し、一番ネックとなっている課題、その次の課題…とそれらの改善方法を提案し、なんなら一緒に変革のお手伝いをする…ことになります。気を付けたいのは、私たちへの印象。外から見えることでも、当事者になると見えないことがありますが、第三者から見えた概況を言葉にしてみるときは要注意。そこで印象が決まります。見えないことを指摘されるのは、誰でも心地よいものではなく、なんなら「うるさい!」と、耳を覆いたくもなるからで、今後のコンサルティングにも響きます。


 それなのに、もし上から目線のコンサルから、ちょっとカタカナ用語多めに指摘をされて、提案をされたとしても、「なんだこいつ。うるせーな。会社変えたいなら、あんたがやってみろ!」(ああ、言葉が汚い…すみません…)なーんて、思いたくもなりますよね。


 「変われない?だからダメなんです!!」なんて、放り投げるのは簡単ですが、ビジネスとしては商売放棄。それでは仕事になりません。これではいけない!と痛感していただき、これならできる!と思って、ちょっと歯を食いしばってもらったり、少し辛いこともあるかもしれません。でも、なんとかやってみたらできた!会社も変わった!良くなった!!そういっていただけるのが、何よりうれしいです。


 そのためには!!課題分析力を向上することも大事ですが、おそらくそれよりも前に、相手に寄り添うこと。相手が愚痴れば、「いえいえ、それはね…」と否定したりせず、「そうですか~。それは大変ですね。」と、相手の感情をしっかり受け止めることが大切。「私も似たようなことあるんです!」なんて言うと、もっと距離が縮まり、「最も言いたいことボール」を投げるにも、相手が至近距離に近寄っていますので、しっかり胸元めがけて投げられます。


 会社に変わってほしい、経営者に変わってほしいと思う。そのためにどうするか。人にお願いすることを、まずは自分もやる。共感、する。だと思います。コンサルティングの教科書にも出てきますが、やはり実践を積んでこそ、「そうだな」と実感しています。相手に聞いてほしいからこそ、聞く。距離を詰める。お勧めです!



共感

2024/3/4

359.春なので

 

 夕方の窓の外が、少し明るいような、日が長くなったかな、と思えるようになりました。春の訪れが、迫ってきているのでしょうね。今年の春は、新しい案件もあるのですが、一方で何年間実施してきた顧問契約の終了もありそうです。



 もともと、コンサルティングは経営改善のための助言・提案が大部分の業務ではありますが、定期的に訪問するようになると、一緒になって業務改革を進める、トレーナーの役割に変わっていきます。ということは、会社の中にその機能を植え込み、育て、そして次の人にも教えられるような土壌を創っていきます。それが自分たちでできるようになると、もう、私たちの任務は終了です。


 私たちの売上は、企業さまにとってのコスト。会社の変革のために必要なコストであるなら意味がありますが、自分たちで変革していける力がついたなら、もうそれは、旅立ちのとき。私たちも気持ちよく卒業の日を迎えられます。


 経営コンサルタントって、なんだかインチキくさーい!とも思われがちですが、実際一緒に改善を行うようになると、有難いことに多くの企業様に重宝いただいております。卒業・旅立ちは、ちょっと寂しいですが、それでも意味のある事、形あることを成し遂げた喜びの方が大きいです。これからも、また、新しい出会いを大切に、一社でも多く「人と経営を元気に!」していければ、と思います。


旅立ちのとき

2024/2/26

358.破棄する責任

 

 働き方改革、業務の効率化!の波が押し寄せ、私たちも企業様に効率化のヒントをお話したりするわけですが、便利なものはリスクもあります。つい、なんでもメールやチャットで送ってしまいがちですが、その情報は他の人に見られずに相手に届くのか、もし間違って他の人に届いてしまったら、どんな損害が発生するのか…。


 今年、令和6年1月からの電子帳簿保存法の改正は、電子証憑類の送受信に関連して、保管方法や管理方法について規定があるものでしたが、やはり情報をやりとりしないと仕事にならないし(住所を聞かないと商品を発送できないし)、私たちだって財務情報をいただかないと、分析も助言もできません。素早く便利に送受信できるようになった分、より安全な方法で、確実に授受し、安全に保管することに意識しないといけないのでしょうね。


 ただ、始まりがあれば、終わりもある。同じ取引先と永遠に取引するわけではありません。私たちもスポットでのお客様、3回コース、5回コース、あるいは数年にわたるところ…色々あります。一旦分析や助言のためにいただいた情報を、もう業務用使わなくなったら…いつまでも持っていることは適切、とはいえないですよね。そこで、「適切に廃棄する」ことが必要となります。「終わりよければすべてよし」ではないですが、案件が終了したら、以後の業務に関係のないもの、法令で保管が義務付けられているもの以外は、キレイにしないと、ですね。


 普段は私もシュレッダーを使っていますが、年度末に資料を整理すると、かなりのボリュームの紙類が出てきます。シュレッダーの中がすぐに一杯になってしまいそうだし、シュレッダーも疲れてしまいそう…。そこで、先日は郵便局の書類溶解サービスを利用しました。郵便局で申し込むと専用の箱が送られてきて、そこに廃棄する紙を入れると、そのまま溶解してリサイクル…というもの。持ち込むときの重み、これまでお仕事させていただいてきた、情報の重みをひしひしと感じておりました。


情報の重み

2024/2/19

357.指揮命令で大事なこと

 

 人が人を操るなんて、できませんよね。別の人だから。でも、組織になると、うまく組織が機能するように、ルールを設けたり、チームや役職を設けて、秩序が保たれるようにします。その上でも!



 …といった経営者様の愚痴、よく聞かれます。

 なぜでしょう?

 色々な状況が考えられますが、ここはひとつ、いうことを聞かない社員さんの所為にするのは、一旦置いておきましょうか。「人は人を操れない」ので。

 私たちは基本的に経営者の皆様とお話する機会がほとんどですので、やはり経営者さんにご自身を客観視していただきたいです。(はい、私も。)5W1Hで考えてみましょうか。

 


 いかがでしょうか?

 自分が「こうやって努力してここまで来た」というキャリアのある経営者さんなら、努力の数や経験が自分より少ない人が何かをするのを見ると「あーちがう!そうじゃない!」と、言いたくなりますよね。で、その場で「ちょっ、ちょっ、ちょっと~」と割って入って持論を展開すると、「うーん、せっかくやってみようと思ったのに…」と、作業そのものよりも、意欲が失われてしまうんですね。


 そういうことが続くと、部下の方から見ると「”いちいちうるさい人”像」が形成されてしまい、どんなに良いことを言っていても、受け入れて貰えなくなってしまいます。命令する力も、コツコツ積上げていくものですよね。人間関係の中で「この人の言うことなら、聞かなくっちゃ!」と思わせる人、「聞いてもらう力」を、経営者さんは鍛えていきましょう!


聞いてもらう力

2024/2/5

356.どこに効率化のポイントが…?

 

 IT/DXツールを導入すると、事務処理が早くなる!


 ということで、企業様ではいろんなツールを導入されていると思います。ただ、それも運用方法で効率化できているか、甚だ疑問なこともあります。


 先日も、「なんか効率が悪いと思いながら、いろんなシステムやソフトに、同じような情報・文字を打ち込んでいる。もっと他のやり方があると思っている。でも、誰に聞いていいのか、どこで検索すればいいのか、答えの方向も分からないので、ついついそのままにしてしまう。」というようなお話を聞きました。


 わかります。本当によく、分かります。いろんな要素はたくさんあると思うのですが、一つは「入力時間」だと思います。私も20年余り前に総合商社に勤務していました。その時は「タイプさん」がおられました。とにかく入力する担当者さんです。でも、今はコピペ、スキャナからのOCR、CSVのアップロードと、わざわざ打ち間違いのリスクを冒して入力しなくても、データを丸ごと動かせるようになりました。なんなら、生成AIが中身まで作ってくれるようになりました。


 ちょっとやり方を覚えれば、「今までの時間は何だったんだ!」と感動される方もおられます。「なんか、目をショボショボさせながら打ち込んでばかり!」と思ったら、入力時間が長くなっていないか、同じような情報を別のシステムに打ち込んでいないか、注意してみてください。そこに効率化のポイントがありますから!




入力時間

2024/1/22

355.経営者の能力

 

 当社設立以来、毎週アップしていたコラムも、昨年6月からご無沙汰してしまいました。もちろん、忙しかったのは(いいわけでは)ありますが、なんで続かないのかな~と考えると、中国語のことわざを書き続けていた、そして、今、当社の業務とは関係がほとんどなくなっているから、なんですよね。。。


 と、いうことで、今年からは心を入れ替えて、企業様の「人と経営を元気に」業務をする中で、心に残った「ことば」を書き留めていきたいと思います。


 今週は「応援される力」です。当社のパートナー・チームでの支援の一コマです。(個別事案が特定されないよう、多少「色」を付けます。ご了承くださいませ。)その経営者さんは、自分が「やりたい」ということは明確。でも、それを実践するにはいろんなことが必要なのですが、とても一人ではやりきれない。でも、不思議とその人には、いろんな応援団がいるのです。とても「応援される力」が強い経営者さんなのです。


 「経営」というのは、会社が利益をあげられるよう、組織を編成し、適材適所に人を配置し、指揮命令系統がうまく機能するように、そして組織の皆さんがやる気をだして、同じ目標に向かって進んでいけるよう、環境や仕組みを作り、運営していくこと。とても一人でできることではありません。しかも、起業となると、前例がないところから立ち上げるので、失敗や非効率もあちこち出てきて、パワーも必要です。もちろんお金も必要。


 そんな時、手を差し伸べる人、力になる人がいる、というのは、まぎれもなく、その経営者さんの「力」だと思うのです。一人ですべてできる人なんていないのですから。これこそ、英語力、交渉力、財務会計の知識、等と同様、一朝一夕には身につかない、いや仕事を離れても日ごろから心がけていないと身につかない、素晴らしい力なんだと思います。私もがんばろう!


応援される力

2024/1/15

354.どんな業界でも

 

 一か月、ご無沙汰してしまいました。時は梅雨、鬱陶しいお天気が続きますが、如何お過ごしでしょうか?


 計画策定案件を複数抱え、ちょっと身動きが取れなくなってしまっておりました。さて、そんな計画策定のプロセスで、よく社長さまが愚痴られることがあります。「この業界、ほんとにダメなんですよ」「この業界、みんなそうですよ」と、あたかも業界全体がダメ!!のように。


 確かに、業界イメージや、業界平均給与、等といった指標から、好印象、高給与のイメージ業界、そうでない業界、いろいろあるでしょう。そして、業界イメージがあまりよくない、だからなり手がない、人不足、という業界も良く分かります。でも!だからといって、全部が悪いわけではない!!と、声を大にして言いたいのです。

 イメージが良くなくても、業界として残っている、ということは、人々が必要としている、ということ。そこには利益が落ちているはずなのです。でも、やり方が上手くなくて儲けられなかったり、昔気質のやりかたが、業界としてなかなか変えられず、現代のマーケットになじまなかったり、どこかに問題があるのです。そして、その業界でたとえ多くの企業さんが困っておられたとしても、工夫や努力、あるいは閃きで頭一つとびぬける企業さんもおられるのです。


 「護送船団方式」などと揶揄される日本の下のレベルに合わせてしまう(あるいは自分よりも下や同レベルがいることで安心してしまう)風潮は、「和を以て貴しとなす」の裏返し。有象無象の業界企業の中で、キラリと輝く何かを持たないと、顧客は選択肢が多すぎて、皆さんの企業を見つけられないのです。


 「白眉(バイメイ)」、日本語でも「はくび」と呼ばれますが、数ある者の中でも、最も優れた者のこと。置かれた状況・業界を嘆くのではなく、その存在意義、今顧客は何を求めているのか、その中でどうすれば付加価値が上がる=儲けられるのか…明確な目標と地道な努力、これこそがキラリと白い眉を光らせる道…ですよね。そんな道づくり、お手伝いしたいと思います。


白眉

[bai2 mei2 ]‌ 2023/6/12




353.長い目で

 

 中小企業診断士という立場からは、企業様に「管理をして」「仕組みを作りましょう」「教育をしましょう!」等とコメントさせていただくことが多いのですが、必ずしも管理だけが全て、というわけではありません。どんなに管理をしていても、自然災害や環境の変化が起これば、人間の努力では抗えないこともあります。なので、連休明けの今日は、ちょっと違うことも言ってみようと思います。


 「水到渠成;シュイ・ダオ・チュイ・チャン」水が流れるところには自然と溝ができる。時機が熟したら上手くいく、ということ。人間というのは、非常に都合が良いモノでございまして、計画とその管理に躍起になっている人がいたら、「水到渠成、真面目にコツコツやっていれば、時期が来れば成就するよ。焦らずゆっくり行こう!」と言いたくなり、いつもだらだら、管理もできていない人がいたら「時は金なり!しっかりスケジュールを立てて、無駄な時間が無いようにしよう!」と声をかけたくなります。これは、優柔不断なのではなくバランス、「中庸の得」ということなのかな、と思います。


 何事もバランス良く、適当に集中して頑張り、適当に休んで体調や心の健康を良好に保ち、できる限りベストな状態で仕事しましょう。そうすれば、ちょっとしたトラブルでも、落ち着いて対応でき、ダメージも最小で済むかもしれません。再生支援のお手伝いしている経営者さんたちにも、中長期ビジョンを持って、目の前のことを真面目にコツコツ実行していけば、時機がくれば、きっと上手くいく。本当にそう言いたいのですが、ただ、分かっていても、業績が思わしくない状況にいる企業様の経営者は、なかなかプラス思考で考えられないもの。そんな時でも、「今は焦らなくて良いですよ」と、少しでも安心してもらえるよう、自信を持ってお伝えできるようになりたいです。


水到渠成

[shui3 dao4 ju2 cheng2 ]‌ 2023/5/8



352.不透明な世の中だからこそ

 

  今月から、また新しい企業さんのサポート案件を担当させていただくことになりました。商機を見込んで起業し、はじめは調子がよかったものの、川の流れは久しからず、世の中は変わり、業績悪化に悩まれる…。外部環境の変化や、競合の出現など、コントロールできないこともあるでしょうし、管理不足や改善・教育を怠ったこと等、内部でできていなかったことも挙げられるでしょう。大抵の場合、いろんな要素が絡み合ってじわじわと調子が下降していきます。こんな時、どうすべきか。正答はないでしょう。


 でも、業績下降の見ないふりや無策は良くないですね。定期的に確認している数値の悪化は現実としてとらえ、どこまで悪くなったら、どうする、というシナリオを、まだ十分に体力や気力のある間に作り、粛々と従うことが大切だと思います。災害が来ていなくても避難訓練をするのと同じです。


 とはいえ、経営者だって人間です。不安な時は不安。でも、できることなら社員に心配をかけたくない。風評被害で業績が悪化することもあるし、そうなることは避けたい。気持ちが休まることがない日が続くこともあるかもしれません。現実を見ないのでは無く、しっかり確実に把握して、その一方で「いつも良いときばかりじゃないよ」と大きく構えて、いつもと同じように話し、笑う。「言笑自若:イェン・シャオ・ズー・ルオ」大変なときでも、動じること無く、いつもと同じように笑いながらしゃべる。簡単なことではありませんが、「病は気から」。中小企業のかかりつけ医の私たちは、企業経営者さん達が、いつもと同じように笑っていただけるようサポートし、そこから自浄作用で治癒できるよう、伴走していきたいと思います!


言笑自若

[yan2 xiao4 zi4 ruo4 ]‌ 2023/4/17



351.桜の季節に

 

 あっというまに4月。新年度となりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか?最近の気候変動もあってか、桜は3月に咲き、入社式や入学式の頃には、花びらが落ちてしまっている、ということが多くなりました。まさに、その様子は「落英繽紛;ルゥオ・イン・ビン・フェン」さくらの花びらが激しく散ること、花嵐。美しきものは長く続かない、はかなさを表しているようで、とても可憐で、切なくもなります。


 そんな中でも、なんとか会社が10年目を迎えさせていただいていることは有難いことです。経験を積むことは大切ですし、それがお客様への安心にも繋がりますが、それとは背中合わせに「慣れ」のリスクもあります。コンサルタントの良い「慣れ」は効率化に繋がりますが、悪い「慣れ」は「おざなり」「決めつけ」「上から目線」に繋がり勝ち。そこを自分自身に言い聞かせながら、よい経験の積み方と、よい経験の活かし方を心して探求していきたい、そう思う新年度のはじめです。


 ところで、そんな新年度、しっかり物事を見極めようと、今日は眼科クリニックに行って遠近両用コンタクトレンズなるものに初めてチャレンジしてみました。もともと近視ですが、こちらは視力の低下はみられませんでしたが、老眼が進んでいたため、今のコンタクトレンズでは遠くを見るときはよいのですが、ふと近距離の小さい文字に視線を落とすと、もう見えなくなってしまうので、遠近両用に踏み切りました!と、ブログで書くほどのことでもないでしょうか。いやいや、細かい数字も見逃さないように、そして近視眼にならないよう、俯瞰的にも物事をみられるよう、この遠近両用コンタクトレンズでしっかり新年度も見極めていきます!


落英缤纷

[luo4 ying1 bin1 fen1 ]‌ 2023/4/3


350.パソコンの前で缶詰の2月

 


 いつの頃からか、私は計画を創るのが好きで、受験前も自分で時間割を作って自分の立てた計画を終えていくことでモチベーションを上げるタイプになっていました。社会人になっても、独身の時はワーカホリックという今はほぼ使われないような言葉の状況で、目標に向かって突っ走っては、後で体調を崩す、なんてこともありました。


 それが年齢を重ね、結婚して生活や価値観の(似ている、近い、かもしれないけれど)違う人と一緒に暮らすようになり、小さなストレスと共存したり、別に良しあし決めなかったり…と、目標へのちょっとこだわりすぎな正義感を緩和することができるようになりました。さらに、二人子育てをすることで、自分の目標や強すぎる正義感は、こだわりすぎると自分が苦しくなることも実感しました。


 若い人から見ると、年を取ると熱量が落ちるとか、夢がなくなる、なんていうように見えるのかもしれませんが、必ずしもそうではないですよね。もっと広く世界が見えるようになって、発想も自由になっていい、楽しめばいいんだ、という思考術や、自分と価値観が違う人との共存が上手くなったんじゃないかな?と思います。


 なぜなら…やはりこの年になっても、やりたいことは沢山あり、PTAだなんだと、できることはやろう、なんてやっていると、もっと人の輪が広がったり、お仕事もつながりができたりで、退屈する暇もないぐらいなのですから。


 特に年末や年度末のこの時期、あちこちから締切やレポートに追われてしまいます。さらにプライベートでも受験の(ココロと胃袋の)応援団をやっていると、時間もパワーもなんとかかき集めて過ごすような、そんな毎日。年度末だから打ち上げ、送別会もそろそろコロナモードも終了してボチボチ始まるんでしょうが、「応接不暇:イン・ジィエ・ブー・シャー」文字通り、お会いして対応する暇もない!という状況です。


 パソコンにらめっこになりがちな今日この頃の皆さん、ストレッチして、深呼吸していきましょうね!そして、暖かくなったら、またお目にかかって対面でお仕事しましょう!



应接不暇

[ying4 jie1 bu4 xia2 ]‌ 2023/2/20



349.おおらかに、いきましょう!

 

 今年は10周年、ドーンと、おおらかに行きましょう!!なんて思っていましたが、コラムも1か月空いてしまいました。おおらかすぎますね。


 さて、節分、立春がすぎ、暦の上では春ですが、まだまだ受験真っ盛りの今日この頃、受験生のおられるご家庭では、気が気でない毎日をお過ごしでしょう。我が家もそうなのですが、学校での出来事、友達のアクションや言葉、問題を解いてみたときの感触…など、些細な事でココロが揺れているのが良く分かります。無理もありません。今までは、学校の授業、行事、部活動、習い事、お友達との遊び…と、コロナ禍なりにもアチコチ動き回っていたのが、自分の進路を決める受験のためだけに集中してしまっているのですから。疲れるし、逃げたくなるし、でもやるしかないし…そんな気持ちになるのも、無理有りませんよね。私もその昔、寝られなかったような記憶もあります。


 そんなときは、見ている側から励ましのような前向き声掛けは、あまり宜しくないですよね。ココロが揺れていると、ポジティブな言葉も、ネガティブに捉えてしまったり、こちらが不自然な物言いになってしまうと、へんな気も使わせてしまいますからね。そんなときは…我が家の場合は、「肩凝ってる?」と聞いて、マッサージすることです。だいたい「うん」と言って、うつぶせになったり、背中を向けてきます。それも、コミュニケーションでしょうか?終わると、多少は揺れるココロの「揺れ幅」も落ち着くようです。(完全にはなくならないでしょうけれど)


 オシゴトのコンサルティングでも、精神面から体調を崩されるケース、ちらほら聞かれます。コロナ禍もあり、業績が思わしくなかったり、人と話し合える機会が減ったりで、お仕事や経営に関わる相談や愚痴さえこぼす機会が奪われているのではないか、と思われます。公的支援機関の経営相談もさせていただいておりますが、お客様とお話していると、金融機関等から勧めてもらって、その存在を初めて知った。無料の公的サービスがあるなら(納税者だから、堂々と活用してください!)、もっと早くに相談すればよかった!という声も聞かれます。


 自分の中で問題を片付けよう、不安と戦おうとすると、過ぎ去ってみると分かるのですが、とても細かい、中には本質でなかったものまで気になるようになってしまいます。何が大切で、優先順位がどうなっているのか、混乱もしてしまいます。そんな時は、人と話すことでココロの換気ができ、改めて客観的に問題に対峙できることもあります。「鶏毛蒜皮:ジー・マオ・スゥアン・ピー」鶏の毛や大蒜の皮、取るに足りないこと、小さいこと、という意味です。大した事ないから、何とかなるだろう、と、ため込まないで、「公的支援」「専門家派遣」等で検索されてみてください。お近くの経営相談窓口、見つかると思いますよ!!



鸡毛蒜皮

[ji1 mao2 suan4 pi2  ]‌ 2023/2/6




348.春の訪れのために 

 

  先週は成人の日で、今回が今年初めてのコラムです。

 

 毎年大学共通テストの頃というのは、大雪や寒波に見舞われることが多く、「がんばれ受験生!」なんて日本中で言う割には、ちっとも日程が変わることのない(私が受験生の頃からですから…)日本の学校制度。コロナ禍で9月入学が実現するのかな…と思いきや、そうでもありませんでしたね。我が家も直接かかわる年となってしまいましたが、やはり健康維持、インフルエンザや勿論コロナにも、人一倍注意しております。

 

 また「病は気から」とも言われるので、気持ちがいつでも強くおおらかでいられるよう、家の雰囲気をリラックスできるように、或る意味放置したり、何か愚痴が言いたそうなら、聞き手に回ったり、カゾクもできるかぎりのサポートをしたい…とも思っています。とはいえ、それだけに集中できるわけではなく、シゴトもありつつ皆が時間や自分の課題と折り合いをつけながら戦っている、そんな状況です。

 

 仕事の方でいいますと、私自身は昨年、資金繰り改善のための計画策定に関するお仕事をかなり頂き、頭の中はいつも数字だらけでした。コロナ禍に加え、円安、物価高、材料不足、人材不足と、一体何から手を付けて、どこをどう直せば収益構造になるの!!という会社さん、本当に沢山おられることでしょう。その会社が置かれている環境や、色んなことのタイミングもあるので、必ずしもこうなれば改善する、こうなれば黒字になる、といえる指標はありませんが、会社組織の皆さんが、共通の目標に向かって、自分ができる問題を適切に把握し、同じ方向に協力しながら進む。地道ではありますが、自力で解決するにはこれしかありません。いや、金融機関や他社のサポートを得ながらだとしても、基本はそうだと思います。

 

 終わりがないような、本当に業績が向上するのかどうか、経営者さんにとっては光の見えないトンネルを進んでいるような状況、なんとか先の明かりを一緒に、少しでも早く見つけたい!そんな気持ちで一緒に計画を作っていますが、道筋を決めたら、とにかく諦めないで進んでほしいです。もちろん、何もかも闇雲に進むのではなく、「最悪こうなったら諦める、別の道を行く」と決めておくことも必要です。でも不安になればできることもできなくなる、なんてこともありますから。

 

 受験生も、改善計画を策定して実行する企業様も、「一陽来復(イー・ヤン・ライ・フー)」冬の後には春が来ます!サポーターとして一緒に頑張りますからね!!緊張もするけど、一歩一歩、進みましょう!

 

 

 

一阳来复

[yi1 yang2 lai2 fu4 ]‌ 2023/1/16

  


347.2022年を振り返って 

 

 2022年、最後の月曜日となりました。今年は寅年ですので、寅にちなんだ「ことわざ」を、ひとつ。

 

 今年は、世界的に見ても、本当に大変な一年でした。コロナ禍も3年目に入り、付き合い方が分かって来て、経済も回復か…といったところで、平和が崩れることが起き、それでも平和の祭典は行われ、年末にはサッカーのワールドカップも行われました。世界が平和でいること、スポーツで人は元気をもらえる事も、改めて痛感しました。

 

 非常事態が続く国がある中で、食料や、家電の部品や、いろいろなモノの流通が滞ったり、値段があがったり、そして円の価値も下がったりで、物価も高騰しました。そうすると、コスト高になった企業は、売値に転嫁できればいいですが、それもできずに利益が確保できず、資金繰りが悪化する、という企業さんも多く出てきました。

 

 今年はそのような企業さんと多くお話したり、解決策について一緒に考える事が多かったです。このような社会背景等、外部環境が要因となって経営不振を招く場合もあれば、突き詰めて調べてみると、もともと会社の内部の管理がずさんで、いつ経営不振に陥ってもおかしくなかった状況が、たまたま外部環境の変化が「引き金」となったケースも多くみられました。いずれにしても、企業経営にとっては、多くの業界で苦しい一年になったと思います。

 

 ただ、そんな中でも、光を見いだせる企業さんも沢山見てきました。何が違うのかというと、やはりご自身が、そして企業が変革できたかどうか、というところです。外部環境が変わろうが、時代が変わろうが、旧態依然とした経営方針や営業手法、製造方法に固執し、何一つ変えない、変えようとしない経営のもとでは、会社は業績を伸ばすことができません。環境や他人の所為にして、文句も言いたくなりますし、そんな気持ちも良く分かりますが、環境や他人は変えることができません。自分が変わることでしかコントロールはできないのです。でも、言葉で書くほど簡単ではありません。毎日同じことをする方が、楽だから。

 

 それでも強力なリーダーが変革の旗を振り、組織を良い方向に動かされた企業さん、素晴らしいと思います。「大人虎変:ダー・レン・フー・ビィエン」得の高い人は、環境や周りの状況に合わせ、虎のように変わる、自己変革する。君子豹変す、ということです。この激動の一年を振り返り、自分はどのように変われたか、新しい年を前に、しっかり振り返り、反省し、次へつなげていきたいと思います。

 

 

 

大人虎变

[da4 ren2 hu3 bian4 ]‌ 2022/12/26

 


346.風が吹けば桶屋が儲かる、のように 

 

 本日もまた、私の得意なPTAネタです。あと3か月ほどで卒業ですので、PTAネタも今のうちに書いておきます。

 

 さて、ママさんバレーもPTAといえばよく出てくるキーワードです。私が会長を務める中学校のPTAも、そのPTAが属する地域のPTA連合も、ありますよ~。バレーボール、そして卓球、さらには文化系では生け花サークルが。そして、コロナ禍でこの2年間はスポーツイベントは全く活動ができませんでした。でも、今年になって、私が会長になったら大会は再開へ。

 

 私自身、もともとPTAにも興味ありませんでしたし、時間がとられるならやりたくないと思っていました。バレーも卓球もやらないので、なぜ一部の他人の趣向に合わせるのかな、とも思っていました。が、いろんな方のご意見やこれまでの経緯から情報を収拾していくと、分かったんです。その意味が。別にバレーでなくてもよいのですが、何かスポーツを通して(応援で、でもOK)親睦を深め、それが地域の防犯や防災・減災、助け合いに結びつく、それが子ども達のためになる、ということを。

 

 特にこの忙しい時代、両親共働きは当たり前、しかも個人情報保護で名簿は配られなくなったので、何か意図的にでも活動をしないと、近隣の方々や学校の保護者同士は知り合うことが無く、何かあっても連絡先も知らない、ということになってしまいます。そこへ着て、大地震や大雨で、避難所になる中学校の体育館で一緒に避難、なんてことになったら…。知らない人同士だし、他の学校に通う子を連れてこよう、でももう一人の子を誰かに見ていてほしい、なんて思っても、分からない人ばかり。子どもも不安になりますよね。コロナもあり「顔を合わせる」「声をかける」ことの温かみ、安心感、本当に実感しました。

 

 先日も久しぶりのバレー大会がありました。交流会ということで、特に優勝など決めずに、ただアチコチの学校と対戦するのですが、それでも大人の生き生きとした、テキパキ動く様子は、見ていても笑顔になり、失敗したら一緒に笑ったり励ましたり、良い時間だな、と思えました。「玲瓏活溌;リンロンフゥオポ」テキパキして活発な様。いつも仕事や生活に疲れた顔した親の顔に見慣れている子供も、ボールを持って飛び跳ねている大人を見れば、元気になれるし、笑顔になれるし、安心にもつながりますよね。

 

 環境や文化というのは、何かスイッチを押せば変わるものではなく、いろんな作戦を実施していく中で、或るものが別のものへと作用して、じわじわ伝播していくもんなんですよね。企業文化も大きな理念のもと、あちこちで作戦を実行していきましょう。

 

 

玲珑活泼

[ling2 long2 huo2 po1]‌ 2022/11/12



345.本当にそれなのか

 

 コロナ禍も第八波に入ろうというところ、二年前なら多くの会社が一斉にテレワークを急いで開始されたものの、今となっては、やはり出社しないと仕事にならない!と、テレワークを廃止されたり、縮小されたりする会社さんも増えてきています。では、皆さんそか、というと、上手くいっている会社さんは、どんどんテレワークを推進されています。ざっくり申し上げて「二極化」しているように思えます。

 

 

 どんな二極化かというと、やるところは会社のため、社員のため、どんな業種でも、どんな規模でも取り入れられます。またやらない、という企業さんは、もちろん経営の強い方針もありますが、多数派は「テレワークが上手くいかない」「コミュニケーションがとれない」「見えないと心配」という消極的理由をお持ちの模様。もちろん、ものづくり現場の社員が多くを占めるメーカーさん、そして外食系、美容系ではテレワークは難しい、というのは分かります。それでも頻度は低かろうが、やられる会社さんはやられます。なぜできるか、というと、経営側の「こうしたい」という目的やイメージが明確なので、その通りに現場は動きやすいのです。

 

 経営改善のコンサルティングをしているときも感じることですが、企業様が捉えられている業績悪化の理由と、我々外部の専門家の目に映る業績悪化の理由とでは異なることがあります。企業様側が撮られられる理由として、環境によるものだ、という考え方が多勢であるのに対し、私たちから見ると、社内の組織や業務方法など、内部に理由があるのではないか?と思えることが、よくあるのです。もちろん、灯台下暗し、だれでも他人のことは良く見えますが、自分自身のことはよく見えません。見ていても、それが普通だと思っておられるので、業績悪化につながる要素がある!という目で見ることは、なかなか難しいと思います。(だからこそ我々外部専門家のいる意味があるのです!!)

 

 テレワークのコミュニケーションがうまくいかない、という企業さんに、「ではもともと社内でコミュニケーションがよかったのか、指揮命令系統が明確であったか」と質問すると、そうではない、なんてこと、良くあります。それはもしかして、コミュニケーションじゃなくて、テレワークそのものが何となくわからないから、ということではないでしょうか?「酔翁之意不在酒;ズイ・ウェン・ジー・イー・ブー・ザイ・ジィウ」、お酒飲みの楽しみは、お酒そのものでなく、別のところにある、ということ。なぜテレワークをやるのか、やらないのか、本当の目的は、ねらいはなにか。貴重な勤労の時間、社員の皆さんにとって、何がこの会社では最良の策なのか、一緒に考えていきたいですね!

 

 

 

醉翁之意不在酒

[zui4 weng1 zhi1 yi4 bu4 zai4 jiu3 2022/11/28


  

344.課題抽出という名の…

 

 

  「イノベーション(変革)を実施できる中小企業は、業績が良い」ということについては、すでに中小企業白書などで実証されています。そして、古き良きものを守る企業様であっても、変化や挑戦をいとわない文化づくりが求められています。企業様の業績不振の原因も、直接はコロナだったり、世界情勢だったりしますが、その前に旧態依然とした体制や業務方法の継続が原因の2番目や3番目に挙がってくることもしばしばあります。

 

 でも、どういう状態だから変化しないといけないのか、今のままで何が問題なのか、明らかにしないままに、ただひたすら変化を求めるのは労力や資金ばかりを費やしてしまい、良い結果は生まれないでしょう。

 

 しかし!私は新米コンサルタント時代、短期的に結果を出そうといきりたってしまい、目先の変化を求めてしまっていたな~と思い出します。まあ、もっとざっくり言ってしまうと、企業様のあら探しをしてしまい、経営者に対し、問題点を専門かぶって列挙したりなんかしてしまいがちだったのでは、と反省しています。誰だって自分の会社のことを悪く言われて気分が良くならないのに。小手先でハンドリングできるようなコンサルティングはあり得ません。しっかりとしたヒアリングや調査、その分析結果からの課題抽出、そして相手が変えよう!変えなければ!アクションしないと!と思わせるような言い方や態度、そしてアプローチが必要です。このあたりはコンサルタントの技術、といえるでしょうし、経験の積み重ねが必要だな、とつくづく感じております。

 

 経営改善やイノベーションは、一朝一夕にできるものではありません。また、よく他社事例を教えてほしいと現場で言われますが、他社の状況を参考としてお話したところで、仮にそれが刺激になっても、全く同じように行くわけではありません。業種、規模、IT化であればITに強い人材の有無、挑戦やイノベーションといった各種プロジェクトについて、全社をまとめて引っ張れるキャラクターの有無…。すべて状況が異なるので、セオリーに準じつつもその会社独自のプロセスを踏んでいけるよう、道しるべを示したり、タイムキーパーをするのがコンサルタントの役割だ、と私は思っています。

 

 「鶏蛋里挑骨頭:ジー・ダン・リー・ティアオ・グー・トウ」卵の中に骨を探す、つまり、あら探しをする、ということ。卵に骨はないか??と探すように、無理矢理こじつけて企業様の課題を見つけようとしても、もうその態度だけで経営者さんとの信頼関係は築けないですよね。会話の中で信頼関係を築け、この人なら、と思っていただき、情報を共有してもらえるよう、まずは努力していきたいところです。


 

鸡蛋里挑骨头

[ji1 dan4 li tiao1 gu4 tou ]‌ ‌2022/11/14


 



343.言葉選び

 

 

  従業員さん、とりわけ管理や集計、計画をされる部門の方に、研修やトレーニングをさせていただく機会が最近増えてきました。私個人の専門家として受託することも、そして当社で組織している診断士チームとして受託することも、様々です。一人でやっていると、私は自分のやり方しか分からないのですが(そして、大抵のコンサルタントは、そうだと思いますが)、チームでやっておりますと自分とは別のアプローチをするコンサルタントに感動したり、「その手もあるのか!」と刺激も受けたりしますし、「あ、ここ、私もこうやってるかもしれない…」と、反省のきっかけにもなります。

 

 

 反省の一つ、と申しますか、常日頃から気を付けていなければいけないことに「言葉選び」があります。私たちは普段からモノを読み、書くことが多い環境で過ごしています。中小企業診断士の試験の準備だけでも、ものすごい量の参考書を精読し、繰り返し理解したり、暗記したりしたものです。また、現場に出ても必ずヒアリングした後は文字で報告書や計画書を書くので、当たり前ですが経営管理に関わる専門用語は「普通に」使うわけです。

 

 しかし、その「普通に」は、経営管理についてコンサルティングをしたり、その周辺業務に関わる人だけであり、訪問先の社長さんが「この業界は特殊だから」と仰るように、それぞれの業界で「特殊」且つ、その業界の中では「普通の」言葉があるわけです。なので、「経営管理をよりよくするには、効率化すべきですよ」「問題を深堀していきましょう」というような、何となく質問するほど分からなくはないけれど、なんとなくはっきりしない。だけど、どう質問してよいか分からない。そんな時空間が生まれてしまいます。

 

 対面コンサルティングだと、その辺りが「ん?なんとなく理解していただけていないかも!」という雰囲気が伝わりやすいのですが、オンラインだと、素通りしてしまいがち。時間をかけて説明したのに、分かってもらえない!と(コンサルタント側からは)見えてしまうわけです。

 

 「似懂非懂:スー・ドン・フェイ・ドン」、「懂」というのは、「理解する、分かる」という意味です。なんだか分かったような分からないような…、そういう意味になります。言葉をしっかり選び、相手がついてきてくれているか、反応や雰囲気を細やかに察知できるような、そんなスキルも身に着けていきたいものです。

 

 

似懂非懂

[si4 dong3 fei1 dong3 ]‌ ‌2022/10/31

 




342. 優しさだけでは

 

 

 診断士仲間で、ちょっとレスポンスがここんとこ宜しくないな~という方、久しぶりに返事が帰ってきたと思えば「ほんと、バタバタで…」と、激務のご様子。と、優秀な方は人気もあって、なかなか忙しそうです。私自身も、決して余裕があるわけではありません。余裕もってスケジュールを組んだはずなのに、先方のお仕事の都合や、色んな事情で遅れて、大きな仕事が一緒にやってきてしまったり、本当にサービス業というのは繁忙期・閑散期のコントロールが難しいですね。「医者の不養生」なんて言葉もありますが、経営改善アドバイスのプロが、自分の事業の管理もできないなんて…と、嫌になったり。でも、これも、大切なことじゃないかな?と思います。

 

 中小企業診断士の経営コンサルティングは、まずは診断士試験のために勉強したこと、テストが合格してから三度の実務補習で習ったことを頼りに、なんとか企業さんにアドバイスしなきゃ!という焦りから、教科書的なコメントになってしまいがち。これではその道何十年の社長さんに有難がられるどころか、「大丈夫?」と心配されてしまいますよね。でも、百戦錬磨の社長様方に、聞く耳を持ってもらうほど、凄いことを言えるようになるまで、私たちはどのぐらい時間と経験が必要でしょうか?

 

 私は、経験豊かで深みのあるアドバイスのできる診断士を目指したいですが、それまでは、共感できる、この人になら話したい!と思っていただけるような診断士で行きたいと思っています。だから、自分の会社もあれこれチャレンジしては赤字を出したり、人を雇ってみては保険やら税金やら、制度の面倒さやお金が思ったよりも沢山出ていくことを経験しています。そういうところが、所謂「上から」の雰囲気ではなく、同じ境遇で、辛いポイントを共有しあえる安心感に結び付き、話を聞いていただき、そのとおりアクションしていただけるようになるのではないか、そんな風に考えます。

 

 でもやっぱり、失敗は良いですけれど、余裕なくてアップアップは、避けたいものです。どんなにサポートしたい!という優しさがあったところで、締めるところは締め、言うべきところは言う強さがないと、本当のサポートにはつながりません。「泥菩薩過河:ニー・プー・チャン・グオ・フー」泥の菩薩が河を渡る、生きとし生けるものを救う菩薩が泥でできていて、河を渡れば溶けてしまう。衆生を救うどころではない、ということ。そういえば、そんな会社さんも結構おられますよ!そんなに優しいだけでは、荒波を超えていけません!バタバタや大変なことも乗り越えて、強さも身に着けていきましょう!

 

 

 

 

泥菩萨过河

[ni2 pu2 sa4 guo4 he2 ]‌ ‌2022/10/17

 



341. 誰にとっての価値?

 

 計画策定のオシゴト、最近いくつか集中しており、先週もことわざアップできず、大変失礼いたしました。計画策定は何のために作っているか、と申しますと、様々な理由により業績が落ち込んでしまった企業様が、これから業績アップしていくために、業績が悪化してしまった原因を取り去り、良くなる方策を考え、こんな風に進んでみよう!と、イメージしていただけるような「道筋」を作るためです。楽しい言い方にすると「レシピ」のようなものでしょうか。ただ、経営の道筋はレシピのような簡単な説明では済まないので、書面にして、必要な関係者(たとえば金融機関)にも共有し、理解してもらう。そんな意味があります。

 

 その時に、「付加価値を上げていこう!」というのは、必ずといって良いほど出てくる業績改善ポイントです。ただ会社は社会の一員、色々な人の関連で成り立っているため、そもそも誰にとっての、どの価値をあげていくのか、社長や、会社の独りよがりではないか、よく議論に上がります。

 

 たとえば、会社は、誰かの、何かの役に立つような商品やサービスを提供して、利益を挙げています。その商品やサービスは、受け手・お客様にとって価値のあるものなのか、その金額を払ってまで欲しい!と思えるものなのか?ということがあります。もちろん、ここで付加価値を付けるには、商品そのもののみならず、運送方法や対応する従業員への教育など、直接的・間接的にコストをかけることになります。コストをかけて値段が上がっても、お客様が納得し、満足してくだされば、市場価値がある、と言えます。一方、その価値を生み出すために、社員は会社で「労働」を提供し、「給与」を受け取っています。お給料は誰だって多ければ多いに越したことはないです。しかし、その額によって更に社会保険料や各種税金などを負担せねばならない会社にとっては、やはり同じお給料を支払うなら、沢山役に立って会社にとって価値のある人でいてほしいのです。

 

 しかし、こういった「価値」は「価値観」という言葉のニュアンスでも分かるかと思いますが、立場や人によって受け取り方が異なります。社員は「ここまでやっているんだから、私のお給料はこのぐらい有ってもいいんじゃない?」と思い、同じ社員に対して、会社は「こちらがお願いしていることをろくにしないで、全然違う主張をされても価値はない」と思われるかもしれません。お互いにとって損得が合わない、「得不償失:ドゥ・ブー・チャン・シー」な、残念な状態。

 

 そこで!と、私が忙しい言い訳をしていたネタではありませんが、計画を作ったり、会社理念や目標を共有することで、「価値」に関する齟齬を少しでも減らしていただきたい、そうココロから思います。常々に社長の思われていること、口にされていること、ちょっとまとめて形にしてみられてはいかがでしょうか?「あ、社長はこんな風に思っているんだ」「こんな誤解があったんだ」というような気づきがあれば、会社の価値向上は社員の協力でスムーズに向上していくでしょう。

 

 

得不偿失

[de2 bu4 chang2 shi1 ]‌ ‌2022/10/3


 

340. 親子だからこそ

 

  最近のご相談の中で、ちょくちょくあるのが、事業承継のお話。経営者そのものが、経験や総合的判断をもとめられるので、若くして経営者になられる方もおられますが、断然、年配の方が多いです。そして、どの時点で引き継ぐのか、なかなか準備や一歩目に踏み出せないでおられる、ご高齢の経営者の方をお見かけします。

 

 後継者が社内におられる場合、これは一番スムーズですよね。もう事務的に進めていくしかない。ところが、これが適当な後継者がおられない、育てるのに時間がかかる、等で余計に難しくなるパターンもあれば、まだ子どもには継がせられない!自分がここまでやってから!!と、自分の中でそう決めて、なかなか達しない場合もあります。

 

 自分もそうなので、これは私に対しても大事なメモ、と思って書いておりますが、総じて、年を取ると、経験豊富で「自分なりのノウハウ」があるので、それに固執しがち。凝り固まりがち。経営上の問題や課題を抽出するのが私たちの仕事ですが、そのために呼んでいただいたのに、(もちろん言い方も考えて発言しますが)なかなか課題について、受け入れていただけない。

 

 そんなとき、次世代経営者(多くは社長のご子息)がご一緒だと、結構助かります。若い頭で、怖さをあまり知らない分、柔軟に冒険もできて、こちらの話も非常によく聞いてくださいます。そして、私たちの助言のとおり、やってみよう!とご子息は促してくださるのですが、なかなか現役の高齢社長は首を縦にふってくださらないんです。一筋縄ではいかない、とっても考えも硬い!!「一根筋:イー・グン・ジン」融通が利かない、頑固、という意味。「コンサルのいうことなんか!」と聞き入れていただけず、子どもがそれに反論すると、なお固まってしまわれる…親子だからこそ、余計なんですよね。

 

 課題を一緒に抽出させていただき、親子だからこそ、腹を割って話せない!というような時にもお手伝いできる、そんな融通の利く、診断士になりたいと思います。

 

 

一根筋

[yi1 gen1 jin1]‌ ‌2022/9/12

 

 

339.  10年目の第一歩


  株式会社チアーマンサポートは、2013年9月4日に設立、昨日で丁度9年でした。今日からまさに、10年目が始まります。

 

 設立当初、一番心配していたことは、

 

 「私のコンサルティングは、いくらの価値があるのだろうか?どんなサービスが、いくらで求められているのだろうか?」

 

 …ということでした。私たち、中小企業診断士は、財務諸表を見て分析したり、作業場を拝見して、どうすれば効率化できるか、など、今あることについての課題を見つけ、解決提案をするのは得意ですが、それがいくらで求められているのか、民間サービスとしていくらの価値があるのか、マーケティングを真面目にしている人は、案外少ないと思います。

 

 実際私も、自分のサポートの市場価値を気にしながらも、「アドバイスしなきゃ!!」という気持ちが初めのうちは先に立ち、お客さまの気持ちも話の乗り方も、気にせず突っ走ってしまったこともありました。

 

 なんだかんだと、もがきながらもとにかく前に進み、9年経って、幸い、公的専門家派遣のお仕事を各種いただき、また、民間顧問のお仕事もいただき、多様な形で中小企業支援に携わることができるようになりました。また、自分一人では対応できないときでも、教えてもらったり、協力したりしながらサポートできるチームも継続的に維持することができています。

 

 規模は大したことはありませんが、企業様のコンサルティングを行う上で、組織の風土を育てること、前向きな意欲のある雰囲気にすることは、永遠の課題であり、そこに伴走できることが望まれていることを最近実感してきております。自分でも、そんなチームを維持運営して、企業経営の難しさを身をもって経験すること、そんな機会があることを、とても有難く思っています。

 

 さて、10年目は?といっても、何も特別なことはありません。今置かれている環境、そしてその先の動きに併せた、その業界やその企業に合った成長の仕方を、一緒になって考え、行動すること。そのためには、自ら年齢を重ねても新しいことを進んで取り入れること、人の話をしっかり聞くこと、それこそが自分磨き「十年磨剣:シー・ニィエン・モー・ジィエン」だと思っています。企業の皆様とも、チームのみなさんとも、仲良く前向きなパワーを作っていけるよう、今後も模索し、磨いていきたいと思います。今後とも、宜しくお願い申し上げます。

 

 

十年磨剑

[shi2 nian2 mo2 jian4]‌ ‌2022/9/5

 

 

338.  深く考える


 

 企業さんを訪問し、経営者さんとお話していると、従業員さんに対しての愚痴、時々お聞きします。それは「意識がない」こと、「積極的でない・受け身である」こと、「言われたことしかしない」こと…。経営者さんは、従業員さんのお給料のほかに、社会保険だなんだと追加で支払をし、パソコンや制服も準備し、働ける環境を準備されます。でも、従業員さんは、経営者さん(会社)の出費が全て懐に入るわけではないので(税金もありますし…)なんとなく、金額感が釣り合わないのです。もちろん、それ以外に、経営者は限られた経営資源で最大の利益を出そうとしますし、従業員さんの多くは、できるだけ楽に沢山儲けたい!と思います。ここも永遠に従業員と経営者の思いが合致するところではないんですよね。だからこそ、理念・ミッションを明確にする必要があるのです。

 

 しかし、「理念」が特にない会社さんも、結構あります。「うちは自由だから」「そういうの、決めない」のだそうです。自由なら…やっぱり人は、楽な方に流れますよね。何かやりがいや生きがいを感じることがなければ。

 

 そう、もちろん誰だって給与面が良ければいいに越したことはない、と思っています。でも、それを超える満足度が得られるのは、やりがい、任せてもらえること…など。というのは、会社の理念なり方向性があって、それに向けて自分も注力して、結果も出して、達成感も得られる!ということに他なりません。

 

 これが、理念も特になく、教育も特にしていない、という状況下だと、従業員さんは、仕事の場では表面的で深く問題を掘り下げることもしなくなるでしょう。考えて提案しても、それを評価されることもしないでしょうから。「走馬看花:ゾウ・マー・カン・フワ」、馬を飛ばして花を見る、さら~っと、表面だけを見るということ。仕事の効率化とはまた違いますね。表面だけとりつくろい、物事の本質を理解することがなければ、お客様から対価を得られる商品やサービスが提供し続けられないですよね。単純業務は効率化して、しっかり考える時間を取ったり、考える文化を創っていきたいものです。

 

 

走马看花

[zou3 ma3 kan4 hua1]‌ ‌2022/8/8

 

 

337.  焦る時ほど丁寧に


 

 三連休と所用により、二週間も休んでしまいました。三週間ぶりのことわざです。はいもちろん、お恥ずかしい話ですが、非常にバタバタしておりまして、週末に諸々片付け、なんとかなりそうなところまでキャッチアップした、という感じです。こんなにバタバタしないで、おちついて、優雅にいきたいものですね。いや、かりに仕事がバタバタでも、傍から見ていても全く顔色を変えることなく、淡々と、ペースを変えずに落ち着いて対応できる方もおられます。そんな方々を見習って、落ち着いてコンサルティングに向き合えるよう、私自身もどんな状況でもどーんと腹を据え、優しく迎え入れられる大きなハートを持ちたいものだ、と常々思っております。

 

 一歩でもそんな方々に近づけるよう、いつも穏やかに対応をされる方々の特徴をいくつか考えてみました。

 

 

 

 こんなところでしょうか。私自身いずれも、最近になって認識してきたポイントで、若いときは特に4.などは「仕事人としてダメ!」と思い込んでいました。

 

 私のスピード主義は、仕事上評価されることもありましたが、だんだんと判断する事柄が深く、大きくなるにつれ、即答しない方がよいことができてきたり、即答できないほど判断が難しいことが増えてきました。それでも初めはスピードを重視し、早すぎて失敗をすることを繰り返しました。その中で「一旦距離を置いて考える、時間をかけてじっくり考える、状況をしばらく観察する」ことも、ただ遅いんじゃなくて、有効なんだ、ということが分かるようになってきました。

 

 アンガーマネジメントでも、怒りたい気持ちは6秒間がピークなので、6秒我慢できれば、怒鳴ったり爆発しなくてすむ、と言われるように、燃え上がる問題は、火が燃え盛る時に何かをしても焼け石に水で、ちょっと時間を置く方が扱いやすくなる、ということもあるのです。また、早く回答をしたい!というのは、自分のところにボールがあるのが嫌で、早く手放したい!という怖さもあるからなのでしょう。じっと腹をくくって、しばらくボールを持つ、ということができれば、自分にもコントロールできる自信につながりますよね。

 

 8月の初めのことわざは「温文尓雅:ウェン・ウェン・アール・ヤー」、挙動・態度が穏やかで、上品でである、ということ。ただ美しい、雅やか、というだけでなく、内面はしっかりと腹を据え、いつでも気持ちの乱高下なく優先順位を冷静に決めて、淡々と業務をこなしていければ…そんな一歩を踏み出せる夏にしたいと思います!

  

 

温文尔雅

[wen1 wen2 er3 ya3]‌ ‌2022/8/1


 

336.自分のことは見えないから


  私自身は車を運転しないのですが、最近家族に乗せてもらう機会がちょこちょこと出てきました。特別な車ではない、普通の乗用車ですが、最近の車はすごいですね。後ろ向きに駐車するときも、どのようなカーブを車が描くか、壁等に車が擦らないか、画像が映し出されますし、自分の車を上から見た映像が運転席前のモニターに映し出されるので、どのようにバックしているのか、駐車場の枠にきちんとはまっているか、非常によく分かります。こんな風に、人間も自分の姿を情報技術のチカラで見えるようになれば、なんて思うことがあります。

 

 自分では自分の事が見えない、分からない、なんて諺は、色々ありますが、今回もその類のことわざのご紹介です。「得意忘形:ドゥー・イー・ワン・シン」得意になって形を忘れる、のぼせ上がる、調子に乗る、という意味です。ウキウキすること、飛び上がって喜びたい事、色々ありますよね。でも、ビジネス上は特に、大喜びしたいときこそ、一旦気持ちを落ち着かせ、自分は他人にどのように見られているのか、何もなかったのように、平常心でいられるよう、心がけよ、ということです。

 

 私も大喜びしたいタイプです。また、嫌なことはブスっとして反応してしまうこともあります。でも、大抵、ネガティブな反応をすると、周りや大切な方に嫌な思いをさせてしまい、必要以上にネガティブな状況に陥ってしまいます。そんな経験を、なんども失敗しながら繰り返してきたためか(!?)、ネガティブなときに平気な顔でいることは、結構慣れてきたかもしれません。

 

 逆に、成功は少ない分、喜んで舞い上がってしまいそうなときこそ、要注意。甲子園でも相手に敬意を表すため、勝ってもガッツポーツしない、なんて学校もありましたね。個人的には社会の流れ、社会のリズム、大会ならその節度やルール、進行が妨害されなければ喜びたいときは思いっきり喜んでよいと思います。まあ、でも、思いっきり喜んでいるときは節度なんてぶっとびますよね。怒りたいとき、文句を言いたいとき、上手くいっているとき、いずれも平常心を忘れるな、ということでしょうか。自分がどんな外見をしているのか、どんな表情をしているのか、自分には見えないからこと、より一層、注意しなさいよ、そんな意味なんでしょうね。はい!気を付けます!!

 

得意忘形

[de2 yi4 wang4 xing2]‌ ‌2022/7/11



335.感情のある生き物だから 


 急に暑くなったり、雨が降ったりと、ストレスの溜まる今日この頃。皆さまはいかがお過ごしでしょうか

 

 さて、最近、個人的ではございますが、仕事面でも、プライベート面でも「怒り」「イライラ」について考えることが多くなりました。「なぜ、この人はいつも怒っておられるのだろう」「怒ったり問い詰めたりすると、余計に部下は萎縮してパフォーマンス上げられないのに」と、いったように。

 

 私自身も、「パッパとやりたい」「自分の考えを分かってほしい」と、主張の強い若い時代を過ごしてきました。また、結婚して、育児をすることになり、大変な生活の中で、こんな風にも考えられるようになりました。

 もう育児といっても、手が離れたようなものなので、ピークは通り過ぎましたし、だからこそ、色んなイライラの素も呑み込めるようになりました。さらに、呑み込んだあとも、上手く消化できるようになりました。(と、自分で思っているだけで、本当はまだまだかもしれませんが…。)

 

 いつも怒っておられる人、イライラしがちな方は、私の見る限り、真面目で「こうしないといけない!」という理想が高い人が多いようです。そして、結構自分ではおできになるので、同じように、同じスピードでできない人に対し、「なぜできない?」「私は努力してできたのに」「努力が足りないのじゃないか?」という思考回路になることが多そうです。

 

 でも、「自分が思った通りに行かないことに対して」イライラしている、というのは、あくまで自分の価値観ですよね。なんでもかんでも思い通りにはいかないのだから、「しかたない」と思うか、または「自分が思った通りになるように、他人が動いてくれるように、仕向ける」ことが大事なように思えます。他人に対して丁寧に接すると、以心伝心、相手も聞く耳を持ってくれ、結果的に正しく理解してもらえます。イライラしながら指示すれば、相手は畏怖・反感の感情をもって聞くので、素直に捉えられないかもしれません。ご自身が社長などリーダーで、自分の思う通りに進めたい人ほど、人当たりに気を付けないといけませんよね。優しくすることは部下を甘やかすことではなく、結果的に自分の味方を増やすことにつながる。そういうことに、怒りんぼさんは、気づいてほしいな~と思います。

 

 時に本気で怒ることも必要かもしれません。でも、せっかく怒るなら、その効果を最大限生かすために、しょっちゅう怒らないようにしたいですね。「无可厚非:ウー・クー・ホウ・フェイ」ひどく他人の非を責めてはいけない、否定すべきではない、ということ。多様性の社会、まずは自分との違いも受け入れる、というところからでしょうかね。

 

  

无可厚非

[wu2 ke3 hou4 fei1]‌ ‌2022/7/4



334.これからの、いろんな勝負のために 


  6月に入り、急に忙しくなり、先週はコラムをお休みしてしまいました。今週もあっという間に夜になってしまったんですが、最近思うことを、ちょこっとだけ、書かせていただきますね。

 

 6月になると、子ども達の中学校の部活も、夏の大会が始まります。負けたら引退。我が家もそんな子がいます。地区の大会では勝ち進み、次は決勝!というところまで頑張ってきました。さて、今週末の天王山は、どうでしょう。試合に参加する限り、勝率は5割!!勝つ可能性も、負ける可能性もあるわけです。

 

 前の試合が投手戦で、なかなか点数が入らず、苦しいものだっただけに、それを制した喜び、決勝にでられる喜びで、いまは心の中がいっぱいなのでしょう。でも、こんな時こそ、平常心ですね。「引退決まるまで、勉強って言わないで」と言われたのですが、「何言ってるの。試合に関わらず、受験の日は近づいてくる。試合を言い訳にできないでしょ。だから、少しずつでも、気持ちの切り替えをして、平然と毎日過ごしなさい。」

 

 そう、「平然」が大切なんですよね。焦ることもあるけどイライラせず、上手くいかないことがあっても、くよくよせず。「勝不驕、敗不餒:シェン・ブー・ジィアオ、バイ・ブー・ネイ」勝って兜の緒を締めよ、とも言いますよね。気持ちをニュートラルに、穏やかにすることで、突発的な出来事への対応もできるわけです。

 

 中学生の部活で味わった勝ちと負けの感覚、そしてその後の自分の感情のコントロール、これからの社会でもずっと、役に立つよ。私たちも、勝ち負けとちがっても、状況の波に感情が流されないように、冷静に判断していけるように…永遠の課題かもしれませんね。

 

 

 

胜不骄,败不馁 

[sheng4 bu4 jiao1,bai4 bu4 nei3]‌ ‌2022/6/20



333.何のために「自分の考え」を言うのか


 企業さんのコンサルティングに入り、現場に近いところで働かれている方のお話を聞くこと、よくあるのですが、「意見」「提案」をお聞きすると、いろんなタイプの方がおられます。大別すると、三タイプぐらいでしょうか。

 

 

 会社の経営者さんであれば、従業員さんは1.のタイプだったらな~と思われる方が多いと思います。自身の「会社への想い」を理解してくれ、その上で会社をよくするために現場からの意見を論理的に挙げてくれる人。確かに、こんな人ばかりで正当な議論とアクションを繰り返すと、本当に良い会社になりそうですね。

 

 

 しかし、現実はなかなかそうではありません。従業員さんにそういうタイプがいない、とか、意見をいうと、変に目立って困る雰囲気とか、もともと意見を言えるような文化(あるいは経営者)ではないとか…。

 

 今日は「目立つ」と「考えを述べる」の関係を考えたいと思います。組織、しかも会社にあっては、営利事業を行っているので「会社の利益につながるか」という目的にかなうかどうか、が大切です。日本社会では自分の意見を人前でいうことが目立ってしまい、発言した人に役割が与えられてしまうこと、往々にしてありますよね。意見を発信し、一度組織メンバーの注意を引いたから、といって、役割が必ずしもこなせるわけではありません。他とは異なることをする、意見を発表する等して一旦目立った後、その意見がメンバーの心を動かし、さらにはアクションまで起こさせる力があるかどうか。

 

 自分の意見は誰でも持っています。「関心ない」ということを含めて。しかし、それは組織にとってどうなのか、自分の位置から見て、組織をどうすることでよくできるのかを考え、多くの人に受け入れられる説明をできるかどうか、こそが組織を動かす力になるのです。単に声が大きい、目立つ、というだけでは、一時的に注目を浴びるかもしれませんが、人はついていかないですよね。目立ちたがり「出風頭:チュー・フェン・トウ」と言われるだけ、でしょうか。

 

 

出风头 [chu1 feng1 tou]‌ ‌2022/6/6 



332.「こうしたい!」と思える事


 集団行動と、個性。バランスは難しいですよね。個性は大事である一方、その組織が崩壊するような個性の出し方はよろしくない。では、なぜよろしくないのか。どういう個性の出し方ならよいのか。個性が大事なのに、出したらだめなの??と、大変矛盾をはらんでいるようであり、出る杭は打たれる風潮の強い日本の組織では、「個性」がネガティブに捉えられがちですよね。

 

 では。組織としては、どうすれば良いのでしょうか?多数の多様な人間の集まるところなので、一定のルールは必要でしょう。そのルールさえ守っていれば、目指すゴールの方向さえ間違えていなければ、アプローチの方法は自由です!個性も大歓迎!…と、こんなルールになっているでしょうか?案外、組織の中にルールそのものが無い場合が多いのです。いや、あったとしても、もう何十年も前に、どこからかひな形をもらってきて保管しているだけの、血の通っていないルールだったりします。

 

 そんな組織のリーダーは、予め方針やルールを示さないのに、「うちの部下は何も提案してこない」と愚痴り、何か部下が失敗すると「やらかした」と、まるで責任逃れや他人事とも思えることもあります。組織のルールには二つのタイプがあるな、と私は思っております。一つはこれ以上やっちゃダメ!と禁止事項を並べて、組織員のアクションを制限するルール。もうひとつは…理念や戦術、戦略、そして役割分担や運用ルール。何か目標に向かっていくにあたってのポイントを示したものです。もちろん、情報セキュリティの管理では、前者の禁止事項を決めるルールも必要でしょう。でも、会社が事業を継続していくためには、本当は後者のルールこそ、本当に必要なものだと思います。

 

 もちろん、夢や希望に向かっていくような、まだ誰も到達していない方向を指し示すわけですから、不安やリスクもあります。そこをリスク分析やリスクの上限を設定した上で、「さあ、あなたの思うように、走ってみてください」と部下を信じて前進させるおおらかさが、上司や経営者には求められるのです。その点がクリアできている経営者さんの会社は、秩序ある個性の発揮ができていて、社員のみなさんは自分で考え「会社のためにこうしたい!」という意識が芽生えます。

 

 「擋箭牌:ダン・ジィエン・パイ」、「擋」は遮る、防ぐ、「箭」は矢の意味で、牌は板、盾の意味もあります。つまり、矢を防ぐ盾、責任追求を逃れようとする口実、といったところでしょうか。社内でみんな好き勝手にしている、その結果経営者の思う方向に進んでいない、ということは、進むべき方向とルールを示していないからではないでしょうか?社員の能力を「擋箭牌」にしていませんか?…はい、わたしも、示すべき立場にいる人間として、ここに書きながら、反省をしております。では、暑くなってまいりました。みなさま、水分補給を忘れずに、今週も頑張りましょう!

 

 

挡箭牌 [dang3 jian4 pai2]‌ ‌2022/5/30


331.本末転倒にならないように 

  

  当社では、中小企業様対象に、ちょっとのITで人と経営を元気に!をスローガンに、伴走型トレーニングを行っています。初歩でいうと、表計算の効率的な使い方(の、いろはのい)ぐらいから始めるのですが、いままでそんな使い方、したことない!!と、刺激を受けると、どんどん表計算の深みにはまり、表を作ることそのものに没頭してしまったり、細かく、自分しか分からないような計算をいれてしまったりして、更新するにもとても時間がかかってしまう…などの弊害も出てくることもあります。

 

 ところが。最近うれしい事例がありました。ある企業さんで、ある管理職の方が、いつもグラフを網羅し、カラフルで非常に分かりやすい資料を作成されるので、社長様が「その資料を作るのに、いつものどのぐらい時間をかけているの?」と聞かれました。すると、その方は、「いえ、普段から数字を入れては状況を見ているので、この資料そのものは会議用とするためには時間をかけていません。むしろ、発表内容をまとめてメモするのに時間をかけているような感じです。」と。

 

 なんと嬉しい反応でしょう!!ただ集まるだけの会議だと、具体的に話せないから、資料を準備しましょう、というと、資料を作ることに一生懸命時間をかけてしまい、結局会議で次の課題を議論するのが目的なのに、会議資料を作るのに疲れてしまい、資料を提出したらそれで終わり!みたいな気分になっておられる方、結構おられるのです。ですが、この方は、データは常に見ながら業務を管理し、一か月振り返ってみて、まとめをじっくり作る、という、分かってはいるけれど、なかなか実行が難しい「こうあるべき姿」を実現されているのだな~、感動しました。

 

 他にも資料が美しい方に同じような質問をしてみると、やはり、数字やグラフの資料には、会議だからということで特別時間はかけていない、と仰っていました。企業はお客様によりよいサービスや商品を提供し、利益を上げることが目的であるのですが、限りある経営資源を有効活用するには、効率化できるところはしっかり効率化し、チカラを入れてしっかり練るときは時間と労力、時にはお金をかけて、付加価値を増やす努力をするもの。最近の言葉としては、DX(デジタル・トランスフォーメーション)と言われることも多くなりましたが、中国語では「数字化転型:シュー・ズー・ファ・ジュアン・シン」と表現するようです。効率化のために労力を使う、なんて本末転倒にならないよう、あくまでお客様のため、喜んでいただきながら付加価値を上げるため、というところに意識を上げていきたいですね!今週もがんばりましょう!

 

 

数字化转型 

[shu4 zi4 hua4 zhuan3 xing2]‌ ‌2022/5/23


 

330.フレッシュな目線を大切に 

  

 当社では、中小企業診断士の有志で、「ちょっとITプロジェクト」というチームを組織しています。なんだかんだと、かれこれ5年以上の活動となり、ゆるいチームワークを維持しながら、勉強会や情報共有、そしてチームコンサルティングを実施しています。私自身があまり大きな組織は管理しきれない、という考えなのと、ある程度皆さんの顔が分かっているサイズがよい、とおもって、11名のサイズで推移しているのですが、この数年、メンバーが代わっていません。そうすると、何か変化が欲しくなるもの。どうしようか、と考えていた矢先、あるメンバーから新たに中小企業診断士になった方を一度勉強会見学に、とご紹介いただけました。何と素晴らしいタイミング!!しかもお二人も!!

 

 まだフレッシュ診断士さんを迎えての勉強会は先になるのですが、こういう新しい存在というのは、(見学だけでも)本当に大切だ、と思っていますし、私自身、本当にありがたいと感じています。それは当社だけではなく、どの企業さんにおいてもいえることだと思います。たとえば、居心地の良い会社で、離職率は低いのですが、ずっと同じメンバーで、仕事の方法も特に変えず、提供商品やサービスもそんなに変化がない、という会社さん。もちろん、これはバランスの問題で、離職率が低いのだから、いいではないか!とも言えますし、イノベーションがないと、業績維持は難しいのではないか!とも言えます。

 

 5月も半ばとなり、会社生活にも慣れてこられた新社会人の皆さん、初心はその後、変わっていませんか?入社した時に「あれ?この会社、ここは変だな」と思ったこと、今はどうでしょう?納得しましたか?それとも慣れて気にならなくなりましたか?「初心忘るるべからず」 という諺があったと思えば、一方で「石の上にも三年」とも言います。その会社や組織、業界の良し悪しを論ずるには、まずは三年いないと、ということも頷けますが、初めに「自分はここを変えたい!おかしいと思う!」と外部から見た新鮮な目線も、大事にしないと、ですね。でも、人間は慣れてしまうのです。そして、忙しいことはどんどん増えていくので、細かいことに抗うことも面倒になり、変化を起こそう!なんて気力も萎えてしまいがち。

 

 「潜移黙化:チィエン・イー・ムー・フゥア」知らず知らずのうちに、感化されてしまうことを言います。批判や反骨を推奨するつもりはありません。でも、常に目的に合っているか、このままでよいのか、現状に問題意識を持ち続ける事は大切!そのために、何か新しい人、新しいことを取り入れること、刺激をうけることは本当に有効!!と今週はいいたいのです。ルーチン化・マニュアル化による効率化と、新しいもの・異質なものに触れて刺激を受ける事、変化を起こすこと、これは正解のないバランス調整ですね。ほんと、難しい!!今週も、がんばりましょう!

 

 

潜移默化 [qian2 yi2 mo4 hua4]‌ ‌2022/5/16


329.連休を終えて 

 

  大型連休を終え、久しぶりの出勤日になった、という方も多かったことでしょう。私はありがたいことに、休日もお仕事のある企業さんの顧問をしていることもあり、完全な連休、というわけではなく、ほどよく休息をとったり、気分転換しながらお仕事もさせていただいておりました。そして、今日からまた本格的に!と思ったのですが、予想だにしなかったことで、出鼻をくじかれました。ごくごく詰まらないことなのですが、自宅のお手洗いの天井灯電球が切れたのです!皆が出勤・登校する前でしたので、ろうそくの火をともしたりして応急処置はしましたが、その後ひと仕事して、近所の電気屋さんへ。

 

 すると!なんということでしょう。LEDの電球は在庫なし、製造元である大陸では、ロックダウンのため工場が動いておらず、他の白物家電も含め、全く輸入できない状態なのだそうです。仕方なく、普通の電球を買って帰りました。その後も、「ロックダウンで製造が止まって、そしてこんなに影響を受けるんだ…」と、自宅に戻っても、一人、かなりショックを受けておりました。

 

 こんなことがあると、なかなか仕事への集中が戻らないんですよね。(電球の所為にしていますが…)休み明けご出勤の皆様は、いかがでしょう?溜まっていることはたくさんあるはずなのに、そうそう、休みの間にウィルスメールもたくさんあるので、休み明けは雑に添付を開封したり、URLをクリックしたりしないように、と注意喚起もありました。忙しいのに、そんなのに対応しないといけないとは、これまた腹立たしいですが、世の中なかなかやるべきことに集中できる環境、整ってくれないものですよね。

 

 そんなときのことを…「開小差:カイ・シャオ・チャー」というようです。もともと兵隊が抜け出す、逃げ出す、というような意味のようですが、そこから転じて頭が空っぽになる、気が散って集中できなくなる、ということのようです。長期でお休みを取れた方、3年ぶりに遠出をされた方、コロナ一色だったこの二年間から少し日常が戻ったような連休となり、思い出もいろいろあることでしょう。でも!だからこそ!しっかり切り替えて、いつものお仕事も気合入れて、集中していきたいものですね!わたしも、がんばります!!


 

开小差 [kai1 xiao3 cha2]‌ ‌2022/5/9 


328.研修でクリアすべき課題は何か 

 

  世の中はゴールデンウィークですが、多くの人が休んだり、遊んだりしている時こそ働かないといけない、というお仕事の方もおられます。みなさま、お疲れ様です!!さて、私の顧問先の中でも、世の中のお休み通りにはお休みできない企業さんが多いです。そんな企業さんの最近要望の多い若手社員さんへの研修・トレーニングで、気になったことがあります。ゴールデンウィーク仕様で、少し短めにお話してみます。

 

 経営者さんは、「若手社員に研修」というと、「いろいろ教えてやってくれ!」とおっしゃるのですが、どうも知識を教える事ではないような気がするのです。もちろん、知識も大事です。でも、仕事の知識なら、外部コンサルタントのわたしなんかより、職場の先輩が教えられた方が絶対いいのです。でも…問題はそんなことよりも、知識を受け入れる態勢になっていないことが多いのです。「態勢」とは、心や体の姿勢だったり、態度だったり、です。

 

 ひとことでいうと「やらされ感」でしょうか。研修で関心薄そうな若者のイメージ、うかびますか?そんな方々に、いろいろ教えようとすると「早く終わらないかな~」という表情を向けられます。まあ確かに座学は面白くないですし、他人の話を聞いていると、眠くなりますからね。しかもそれが自分の将来にプラスになる、と思えなければ、その話を聞いている時間は無為にすぎていってしまいます。

 

 「漠不関心:モー・ブー・グワン・シン」なんの興味もないこと。この態勢を少し変えないと、知識を吸収する方向には向かいません。そのためには…そうですね、やはりお金の話をすると、具体的でよいかもしれませんね。あなたのシゴトにはどのぐらい価値があるから、お給料をいくらもらえるのか、とか。収益構造を理解して、付加価値を上げるから利益がでる、その仕組みをうまく回せるようになったら、堂々と給与交渉できるよ!というと、すこし葉っぱはかかりますかね。そんな簡単に理解はできないかもしれませんが。でも、会社はお客様に付加価値を提供し、利潤を追求するのだから、方向はあっていると思うのですが、いかがでしょうか?

 

漠不关心 [mo4 bu4 guan1 xin1]‌ ‌2022/5/2


327. 自分は言ったつもりでも

 

 言葉を発する、ということは、ほとんどの場合、誰かに伝えること。話すことでも、書いて伝えることでも。「ほとんどの場合」でないというのは、たとえば「ひとりごと」やつぶやき、そして日記…など。人は何らかのアウトプットを行うことで、ちょっとスッキリしたり、想いを記録したり、そして誰かに伝えたり、伝えた上でアクションを期待したり…と、自分のためだけの行動から、相手の動きに影響を与えるまで、目的によって到達度に大きな違いがあるんですね。

 

 私たち、コンサルタントは、言葉を発し、納得してもらい、それにしたがってアクションをしてもらい、そして現状を自力で変えてもらって初めて「成果」として喜ばれます。プロの言葉発生師(?)なので、単なる表現でなく、相手の気持ちを揺さぶってアクションにまで結びつける、言い換えれば言葉のボールをものすごく遠くまで投げなければなりません。では、会社の上司へのレポートはどうでしょうか?別に上司を変えたいわけじゃない。現状を伝え、判断を仰ぎたい、というのが目的なら、上司が判断をしてくれるような十分な情報量に判断したくなるような整然とした書き方をしないといけません。これも若手ビジネスパーソンには、トレーニングが必要なこと。

 

 しかし。

 

 言葉をぞんざいに扱い「ただボール投げたよ!」という文章、メールでもLINEでもお手紙でも、すぐわかりますね。ビジネスシーンでの内容なら、読み終わって「で、何がしたいの?」「私はこのメールで何をすればいいの?」と言いたくなります。実は今日も別の士業さんから連絡を受け取って、そう思いました。「報告です」と仰っているのですが、どのポイントについても細かな質問が浮かんでしまいます。どの項目も「そうですか」と納得できないのです。ボールを投げてくれたようなのですが、手を伸ばしても届かないのです。申し訳ないですが、私は分からないことを再度質問し、ようやくやるべきこと、これまでの経緯とその方の考えがつながりました。

 

 簡潔に話すこと、時間を大切にすることはとても重要ですが、情報が少なかったり、雑な表現というのも考えもの。「語焉不詳;ユィー・イエン・ブー・シャン」、言葉が簡単すぎて意味が伝わらないこと。まさに今日、せっかくの報告に質問しなおしたときの様子です。「ほどよく」って、難しいですよね。でも、情報が足りないと、アクションにも、納得にも届きません。ターゲットに向かって、ボールを投げる練習、しましょうね!

 

 

 

语焉不详 [yu3 yan1 bu4 xiang2]‌ ‌2022/4/25 


326. 初めての人には

 

  4月も三分の一となりました。ぼちぼち今年度の始動、本格化!といったところでしょうか。いろいろな組織で、ミッションは分かっていても、それを一緒に遂行していくメンバーが初めての方だと、少し緊張しますよね。特にこの2年、オンラインでの会話に慣れてしまっていると、共に仕事をするときの人との接し方もまた、「いろいろ」あるのでは、と思われます。

 

 そこで、初めは「様子見」と決め込み、自分を出さず、周りの様子をうかがう、という作戦もあれば、とにかく盛り上げていこう!と、いろんな方に積極的に声かけを始めていく方もおられます。「様子見」の姿勢が、なんとなく冷たく感じてしまわれたり、早く人間関係を築こうと声掛けされる様子を「馴れ馴れしい」と感じてしまわれたり、それぞれのアウトプットをどのように受け留められるか、が人それぞれなので、万人にとって都合の良いことはなかなかありませんが、全体調整をとるのは難しいですよね。

 

 

 一つ確かなのは、コミュニケーションが悪い組織よりも良い組織の方が、業務効率がよく、楽しく仕事ができる傾向があること。コミュニケーション不足でミスが発生し、そのフォローに動き回って本業に戻れない、なんてこと、ご経験ありませんか?また、普段から業務内容を共有していないと、急にどうしても休まなくてはならない状況になったとき、その人しか対応できず、結果としてお客様を待たせたり、ひどいときにはお客様の獲得チャンスを逃す場合もあります。では!!「コミュニケーション」とはなんぞや!!が大切なポイントです。テレワークのコンサルティングをして感じるのは、中堅以上(年齢的な影響が大きいですが)の方は、プライベートやちょっと職場では話しにくいことを、飲食の場やレクリエーション等、仕事を離れたところで醸成しようとする傾向が強く、若手の方は、コミュニケーション取るなら、仕事のことでしっかりとってほしい。プライベートは分けてほしい、と考える傾向にあります。

 

 「若い者が考えることは分からない」と、中堅幹部の方が嘆くのはいつの世も同じでしょう。時代変われば考え方も変わりますよね。そこで、職場での権限を持つ上司がそれを放置してコミュニケーションをとるのをやめてしまうと組織の崩壊につながってしまいます。かといって、相手に話してもらわないとコミュニケーションにはなりません。そこで「おべっかを使う」わけではありませんが、若者が話しやすいところに寄り添いながら、仕事の話をしやすい環境を創ってみましょう。「套近乎;タオ・ジン・フー」馴れ馴れしく話すこと、おべっかを使うこと。決して若手に馴れ馴れしくしたり、あるいは気を使いすぎたりするのではなく、平易な言葉で業務のことを、会社の方向や会社が大切にしていることをお話し、それについて分かっているかどうか、うまくアウトプットさせ、組織の歯車を回すようにすること、それが上司の仕事ではないでしょうか?決して簡単ではないけれど。

 

 

套近乎 [tao4 jin4 hu]‌ ‌2022/4/11 


325.会社の仕事は自分事

 

 4月です。通年採用の企業が増え、必ずしもこの時期に入社する、という訳ではなくなりましたが、まあ、まだまだ3月に学校を卒業したら、新入社員の多くは4月入社ですね。フレッシュマンを迎える企業様は、パソコンやら備品・制服の準備に加え、研修や指導についての準備をされ、正に今、オリエンテーションや説明の真っ最中なのではないでしょうか。

 

 さて、当社も何社か顧問をさせていただいており、また公的支援でスポットでコンサルティングを担当させていただく際、新入社員や若手社員の育成についてご相談を受けたり、若手や将来の幹部候補生へのトレーニングの依頼が増えたように思います。ちょっと前なら、ITツールになじみの薄い企業様が、使い方や一歩目の踏み出し方を教えてほしい、というようなニーズがあったのに、今では皆がスマホを使い、デジタルデバイスそのものへのアレルギーは一旦収まったのでしょう。それよりも、自動運転や製造業の自動化・ロボット化等にみられるように、人の仕事がロボットに置き換わるようになり、「人」でしかできない仕事に磨きをかけることが重要、と皆さん感じだされたのかもしれません。

 

 実際、研修を始めてみて、多くの企業様で感じるのが労使の思惑のズレです。経営者は、従業員に対し、もっと収益をあげることに関心を持ってほしい。自分のこととして仕事に関心を持ち、より良くしようと努力してほしい、と願っています。一方、従業員さんは「上長や会社からの指示がない、よくわからない」「自分がやりたいようにやらせてもらえない」など、まずは会社の理解の段階で接点がないことに気づかされます。そう、多くのケースで、まずは会社から十分に新入社員に対して、会社の内容、会社の業界での位置づけ、会社の強味や向かう方向、そして、その中での役割について、十分に説明がなされていなかったり、常日頃から会社で大切にすべき理念などが繰り返しインプットされていないことが多いのです。

 

 「自分事」としてとらえる、という言葉、最近よく耳にしますが、若きスタッフに早く自分の会社の仕事を自分事としてとらえてほしければ、経営者や上司が、自分たちにとっては、もう当たり前のことであっても、会社の理念や置かれた立場、向かうべき方向を常々発信し続けましょう。そこではじめて、知識はアクションへと浸透し、フレッシュな頭で会社の現状から革新していく新たなアイディアもでてくるのです。「出主意:チュー・ジュー・イー」アイディアを出す、という意味ですが、アイディアは「主意」、自分自身の意図するところ。自分事としてとらえた結果の考えです。そんなフレッシュさを彼らに求めるには、まずは先輩方が必要な情報を、若手にも分かりやすいように、丁寧に説明し、理解度を確認していきましょう!

 

 

出主意 [chu1 zhu3 yi4]‌ ‌2022/4/4


 

324.部下には筋道立てて話せる環境を!

 

 

  仕事柄、色々な企業さまに訪問し、経営上、運営上の課題を一緒に探し、解決策を一緒に模索することをしておりますが、働き方改革の視点からも「長い会議」というのは、大きな問題の代表選手のようです。なんで長いか、内容にもよりますが、大抵は「会議」といっても議論する場であるより報告会のことが多いのです。また、関連の薄い部署も勢ぞろいしてそれぞれの発表を聞き、上司や経営者が突っ込み、それで長くなる、というパターンが結構多いのです。

 

 大体うまくいっている部署は、資料作成も説明もそつなくこなされる方が発表されるのですが、課題の多い部署に限って経験の浅い方がおられたり、あちこちから突っ込まれるきっかけが多いようにも思えます…が、そんなことは今日の問題ではなく、そういう場で突っ込まれる→みんなの前なので萎縮し、慌てて回答する→的を得なかったりする→よけいに上司が怒る→他の参加者はただ、時間が過ぎるのを待つ…。こんな無気力な空間を、皆様の会社では創られてはいないでしょうか?というのが本日のポイントです。

 

 ただ起こったことや上がってきた数字をスラスラ発表するだけでも、若手や初めての人は緊張しますし、詰まってしまったりします。その上、皆の前で突っ込まれると、余計に緊張したり、待っている側も「ああはなりたくない」「早く過ぎてほしい」という気持ちになります。本来、会議は、会社の課題解決や新しいアイディアを出すために、前向きに話し合うもの。それを司会(上司)と各担当、公開で一対一を何度も他の参加者と無関係のまま進めてしまう。報告の会ならもう定型文書を作って、共有しておけばいいのに、と、あちこちでそう勧めております。

 

 話す練習が必要なのであれば、突っ込んで萎縮させて他の人の時間まで使いながらやるのではなく、普段から論点を整理すること、論理立てて考えること、それをアウトプットさせることを教え、トレーニングしていればよいのです。なんなら、他の人の発表を聞いて、それのどの部分に賛成か、どの部分に別提案をするか、など、インプットもアウトプットも、自由に考えを巡らせるようにするような、そんな環境づくりをできる上司が「良い上司」なのだと考えています。

 

 「張口結舌:ジャン・コウ・ジィエ・シー」緊張などで話せなくなること、言葉に詰まること、ぐうの音もでないこと。報告会議であれば、如何にスムーズに、スラスラ流れるように進められるかを考えましょう。突っ込んで緊張させるのは発表者にも、また他の方にも宜しくないですね。時間がもったいない!そして話すことそのものを鍛えさせたいのであれば、会議で他の人の時間も費やしながらではなく、常々論理的にアウトプットするような環境、つまりは、コミュニケーションを、部下の方々ととってみましょう!

 

张口结舌 [zhang1 kou3 jie2 she2]‌ ‌2022/3/28


 

323.理念の中に多様なアプローチを!

 

 

 当社でテレワーク導入コンサルティングを開始して4年になりました。開始当初は「やらなきゃいけないのは分かるけど、新しいことを始めるのは、なかなか労力が必要で、思いきれない」、「背中を押されないと、自分たちでは難しい」、そんな企業様が非常に多かった気がします。ところが、2020年。コロナ禍により、一気にテレワークの浸透が進みます。その後もコロナ自体は一進一退といいますか、形を変え、そして対応する私たちもワクチンや治療薬の開発が進んだり、対応方法が浸透してきたこともあり、「withコロナ」の生活となっています。また、テレワークに関して言えば、一旦上がった導入率も、テレワークはあくまで臨時措置!とされる会社様では、また元の現場・事務所のみのスタイルに戻りつつあるようです。

 

 

 もともと、テレワークでは難しい仕事はたくさんあります。建設現場、物流、医療や教育・介護の現場、そして製造現場。こういったお仕事は、一部の事務作業や報告・連絡作業について、テレワークを使う、ということも考えられます。また、業務・作業内容からみれば、テレワークは可能なのだけれど、その会社のルールを周知してもらったり、業務内容をしばらくつきっきりで教えたり、判断はこちらに仰いでほしかったり、という理由で、新入社員さんや、非正規雇用の方にはテレワークで実施できる環境を与えるのに、二の足を踏まれている企業さんも多いと思います。実際、そこに居れば、ぱっと指導できるのに、離れていて、コミュニケーションがキチンととれるのかも分からないし、有期雇用なのに、その人の分のITツールのアカウント費用も必要となる、となれば、確かにハードルは高くなりますよね。

 

 ただ、ハードルは高いですが、できない訳ではなさそうです。テレワークを導入するには、①ルールを策定し、②ツールを導入して、③開始する、というプロセスで考えると、現状そのままをオンラインに移しているだけのことが多く、効率悪いままオンラインシフトされているケースが、散見されます。大事なのは、①の前に、⓪現状を見直す、業務の棚卸をする、という前処理ができているかどうか、ということです。これ、かなり面倒なので、やはり自社だけではなかなかできないですし、繁忙期と閑散期がある企業様なら、閑散期にされることをお勧めします。つまり、現状の業務の方法が「前の人から教わったから」そうしているのではなく、「この目的を最短距離で、しかも必要な人が共有しながら安心して達成できるから」この形にする、という、魂のこもった、意味のあるフローにしていただきたいのです。そうすることで、時間の長い人・短い人、現場が多い人、事務所ワークが多い人、夫々の、その会社のポリシーに従ったテレワーク像が見えてきます。

 

 大事なことは会社の目的を皆さんで共有いただき、そのアプローチの方法を「多様に」することだと思います。経営者の方には「一視同仁:イー・シー・トン・レン」(平等に扱う、思いやること)の気持ちで、まずはテレワークを導入する目的を明確にしていただきたいです。その方針の下、各論を考えていきましょう。全ての業務を同じにすることは無理なので、それぞれの業務が目的に近づくような形を皆が考える、そんな一人ひとりが「考える」組織、強くなりますよ!

 

  

一视同仁 [yi1 shi4 tong2 ren2]‌ ‌2022/3/14 

 

322.多芸な社長様に、もうひと芸!

 

 先祖代々続く一族経営の会社さんなら、幼いころからご子息に帝王学を学ばせて、経営のプロを育てる…なんてところもあるかと思いますが、ほとんどの中小企業さまの社長様は、「その業種」のプロで、社長になられた方が多く、「その道」のプロフェショナルであっても、経営についてはこれからです!という方、たくさんおいでです。「そんなに儲けようと思って社長をしてるんじゃなくて、これが好きだからやってるだけなんです」って、職人肌の方も、結構おられますね。それはそれで、一つの働き方、生き方です。でも、次の難しさは、それを誰かに伝える、経営を譲渡する、社長を引き継ぐ、そんな時、引き継ぐ項目がなかなか整理できないのです。

 

 最近ホットなM&Aや事業承継、特にそれだけのコンサルティング、というのは(私自身は)やっておりませんが、経営者がご高齢の場合は、もちろんその問題がついて回ります。特に最近何件か続いて後継問題を含む経営改善のご相談をお受けし、ちょっと共通点が見えてきました。

 

 ご高齢であっても、バリバリ現役で、現場も実践される社長さんに多いのは、非常に多芸で気配りが先々までできるタイプです。色んなことが気になって、目について仕方なく、誰かに任せてもやっぱりちょっと心配でついつい声をかけてしまいます。何なら、自分が現場担当の代わりにやっちゃったりします。器用でおられますし、ご経験も豊富なので、当然若手や部下よりも仕事は早く、適格なのです。

 

 そんな状況が続くと、起こってくる問題があります。部下はいつまでたっても、自立させてもらえないし、自分を否定されているような気にもなり、「どうせ社長にやり直されるんだから」と、いい加減なシゴトになりがち。それを見ると余計に社長は「いつになったら成長してくれるんだ?!」という気持ちになり、悪循環が始まります。また、なんでもできるスーパー社長さんのノウハウは、彼・彼女の頭の中、体の中にブラックボックス化されているので、それを顕在化させる、たとえばマニュアルとまでは行かなくても、整理してリスト化する、なんてだけでも大変だったりします。だから余計に「見よう見まねで」なんて、非効率な引き継ぎになってしまうのです。

 

 多芸な社長さま、すでに多芸でおられますし、ご多忙なのは重々存じ上げておりますが、もうひと芸、お願いしたいのです。「部下を信じて、任せる」という芸を。社長のやり方を100点満点にしないで、今の時代にあった御社のサービスや商品は、次の時代を担う従業員の皆さんの手で創り上げてもらいましょう。その為には、失敗してもまた頑張れる機会と雰囲気が大切なんです。「多才多芸:ドゥオ・ツァイ・ドゥオ・イー」多芸多才、日本語と中国語では順序が逆になりますが、意味は同じ。任せたばかりの頃は、後処理や失敗の原因確認など、色々大変かもしれませんが、その後従業員の皆さんが自立していただけるような、そんな「芸」を、どうかおひとつお願い申し上げます~!

 

  

多才多艺 [duo1 cai2 duo1 yi4]‌ ‌2022/2/28 

 

321. 今週も「決める」シゴト

 

  先週に続き、今週の「決める」シゴトについて。新卒で会社という組織に入ると、雑用から始まり、一人立ちできるようになっても、何か決めたり、購入したりするには上司のOKをもらわないといけません。初めはそれが窮屈だなあ、と思っていても、社会人生活が長くなると、そんな疑問もなくなり、それが当たり前になります。さらに、それに慣れすぎると、昇進しても自分で判断できなくて苦労される方もおられます。

 

 私は中小企業診断士なので、当然小規模・中規模の企業様がお客様です。社長お一人が決断する立場である会社さんである場合が多いですが、数百人レベルの組織に出会うこともあり、その規模だと中間管理職が必要になってきます。それがなかなか機能しないケースはみられます。組織が大きくなる過程で、権限を移譲することなく、組織の輪郭が膨らんでも、社長が中央集権にしてしまい、役職だけ与えて権限を管理職に与えないと、こうなってしまいがち。中間管理職は上も下も見ないといけないのですが、上と下の伝達ゲームか、上しかみられていない、なんてこともあります。

 

 出かけるときには地図を見るのと同じように、組織を運営するには組織図が必要です。そして、組織のレイヤー毎に、役割と権限が分かるようにすることはとても大切。その地図がうまくできていないと、誰が責任を持つのか、誰が部下を指導するのか、部下も誰に聞けばよいのか分かりません。また、どんな教育を取り入れたら良いのか、権限やスキルが明確でないので、トンチンカンな研修を当てがってしまったりします。

 

 

 「瞻前顧後:ジャン・チィエン・グー・ホウ」前を見たり後ろを見たりして、きょろきょろ慎重になって、決められない様子です。中間マージンをとるだけの商社なら、商流から外されてしまいますよね。それと同じく、なぜ中間管理職がそこにいるのか、伝達ゲームだけになっていないか、存在意義を考えてみましょう。経営をスピーディーに、効率的に、そして適切に運営していくためですよね。そのためには、中間管理職に何を決めさせるのか、何を基準にするのか、常々経営陣は発信することが大切ですね。いやいや、でも中間管理職は、大変な役です。でも、上からも下からも愛されている!なんて思えば、苦労もぶっ飛ぶ?でしょうか??

 

 

瞻前顾后 [zhan1 qian2 gu4 hou4]‌ ‌2022/2/21  


 

320. 「決める」シゴト

 

 

 皆さんの職場には、こわもての厳格なタイプの上司、なんでも優しく聞いてくれるタイプの上司、どちらがおられますか?そして、何か失敗したり、困ったことがあって、判断に困るとき、どちらの上司に相談されますか?

 

 これは、私が商社に勤めていた時のこと。私の上司は、私に対してとても厳しく、(といっても、ストレスや負担に感じる、というよりは、かなりワーカホリックであった若い私は、その厳しさに応えようと、一生懸命吸収しておりました…)ことあるごとに、細かく注意してくださいました。また、ちょっとでも雑な仕事をすると、厳しく長々とお説教をされました。今私があるのは、その時があったからだ、と思っています。ある日、その上司がおられないときに、私はどうしても上司に相談したいことがあり、(当時は携帯で捕まえる、なんてできなかったので)オフィスにおられたその上司の上司にあたる、副部長に相談しにいきました。

 

 しばらくして件の上司が戻り、私は副部長に相談したことを報告すると、また怒られました。なんで怒られてんのかな~?すっ飛ばして副部長に相談したからかな~?と思うと、そうではなく、なぜ部長でなく、副部長に相談したのだ??ということがポイントでした。それが冒頭に書いた厳格タイプと優しいタイプのことなのですが、部長は厳格タイプで副部長はとても優しくソフトな方でした。私がどうしようかと相談しても、優しく聞いてくださいました。でも。その上司がいうには、厳格タイプは話しかけにくいけど、何かを決める権限を持っている立場におられる方なら、その人に相談しないと解決しない、とのこと。優しいタイプは話は聞いてくれたり、失敗したら慰めてくれるけど、解決にはならない、とおっしゃるのです。

 

 もちろん、すべてのケースに対して言えることだとは思いません。が、たしかに、決定権者は往々にして外見は話しかけにくく、ちょっと声をかけるのも怯んでしまうこと、多いですよね。でも、「ここで決める!」というときには、そんなタイプの方と話さないことには、そんな方に「うん」と言っていただかないと、埒が明かないものです。

 

 「説了算:シュオ・ラ・スワン」決定権を持つ、ということですが、経営者や上層部におられても「決める」「判断する」ということが苦手な方も多いようです。でも、経営者の役目は方向を示すこと、そして判断すること。部門長は会社の方針に従って、部門の方向を決め、部門の問題について判断するのが仕事。厳しい判断をしていかなければいけない役職の方は、どうしても厳しい表情になりがちですが、そんな方にも自分の意見を通せるように、部下の皆さんは、論理の組み立て、理解しやすいプレゼンテーション、ぜひぜひ鍛えていきましょう!!

 

  

说了算 [shuo1 le suan4]‌ ‌2022/2/14 



319. まずは元気で

 

 

   株式会社というのは、必要な資金を株主から集め、事業を行います。株主の責任は自身が出資した金額が上限であり(有限責任)、会社が不安定になってきたときに、債権者から出資金に加え、さらに支払を命じられることはありません。だから、安心して自分のリスクの上限を決めて出資ができるようになっているのです。そして、経営者というのは、株主とは別で、オーナーである株主から選ばれた、会社を運営する責任者。もちろん、変なことをすると、オーナーである株主からお叱りを受けます。株主代表訴訟なんて言う言葉も、お聞きになったことがあるかもしれませんね。

 

 ただ、中小企業さまの場合、株主が社長さまご本人だったり、株主が複数おられても全て親戚だったりして、所有と経営の分離が(意識も、運用も)できていないことが、非常に多いです。また、金融機関さんから借入をする際、社長さまの個人保証を差し入れておられることも、よくありますが、その場合、会社が返済できなければ、社長さま個人も返済の責任を負うことになります。なので、誰が、どこからどこまで、何の責任があるのか、なんだか良く分からないうちにトラブルになってしまうということ、往々にして見受けられます。

 

 私達は、その状況を解きほぐしながら現状の問題を整理し、緊急度・優先度が高い順番に何をしないといけないか、経営者さんと一緒に考え、社内のメンバーの皆さんにも協力を仰ぎながら解決に向かって一歩ずつ進む、ということをしておりますが、はじめの状況確認の時点で、既に資金繰りが大変だったりすると、なかなか冷静に分析することも難しくなります。こういう状況に出くわすと、本当に会社は人と同じ、生き物であり、その状況確認は日頃の生活や定期的な健康診断、社員に協力を仰ぎながら組織を拡大していくには子育てと同じで、色々なトラブルは家庭内の喧嘩や病気と本当に似ているな、と思います。もちろん、最終的には会社よりもそれに関わる経営者の「人」としての命が最も大事なので、今の医療従事者の方々や、小さな子供を預かられる方々には、本当に、心から尊敬します。私もできるだけお世話にならなくても良いよう、気を付けたいと思います。

 

 さて、私の今できること、としては、苦難の連続でおられる経営者さんに対し、とにかく健康あっての経営ですし、元気であれば、何とかなると、対処や解決法を一緒に腹を据えて考えていくことかと思っています。「留得青山在、不怕没柴焼(リィウ・ドゥ・チン・シャン・ザイ、ブー・パー・メイ・チャイ・シャオ)」青々とした山を残しておけば、燃料としての薪が無くなる心配をしなくてもよい、命あっての物種、ということ。「人と経営を元気に」、改めて当社のスローガンの意味をかみしめています。

 

  

留得青山在 不怕没柴烧 

[liu2 de2 qing1 shan1 zai4, bu4 pa4 mei2 chai2 shao1]‌

 ‌2022/2/7



318. 不確実が続く世の中だけど

 

 

  毎日毎日の感染者数のニュース、色んな立場の方の解説、専門家の意見。医療に詳しくない人間は、何を頼りに行けばいいのか、気持ちもふさぎ込みますよね。そして、時は受験シーズン真っ盛り。中学受験、高校受験、大学受験…。今年は我が家に受験生はいませんが、ただでさえ緊張してしまうのに、このような環境だと、ご家族の皆さんや学校関係者の方々も、本当に心労いかばかりかと、思うことしかできません。

 

 企業の皆さんも、コロナ禍による事業そのものへの影響のみならず、濃厚接触者になったことで出勤かなわず、労力不足になるところも散見されます。今週も早速、数件のコンサルティングの日程変更依頼がありました。

 

 私達にできることは何でしょうか。繰り返し言われている、三密の回避や手洗いの励行、咳エチケットといった予防策、十分な睡眠やストレスをためない、適度な運動というような体へのケア、そして「朝は来るよ」と信じること、でしょうか。

 

 安心立命(アン・シン・リー・ミン)日本語と同じような発音ではありますが…。何とかなる、と(いや、そんな簡単にそうならないのは、百も承知で!!)開き直りながら、でも、目的は、目標は何かを見失わずに!!気持ちの拠り所があることで、迷わなくてよくなる、ということ。優しく、強くありたい、今日この頃です。

 

安心立命 [an1 xin1 li4 ming4]‌ ‌2022/1/31 



317. 行動してくださる喜び

 

 

 経営コンサルタントの位置づけとしては、公的支援であれ、民間コンサルタントとしてであれ、その企業さん、企業の経営者さんにしっかり寄り添って、伴走するのですが、いくら近くで寄り添っていても「その企業の人」にまではなることはできず、あくまで部外者として、助言をしたり、意見や提案をいう、というところで精一杯です。まあ、むしろ入社してしまえば内部の人になり、そのルールに則って行動しないといけないので、第三者の立場だからこそコンサルティングができるのですが…。

 

 さて、そんなコンサルタントの助言や提案、また社内研修なんかでのアドバイス、これは知識として一旦は理解するけど、行動はとくに変わらない、ということ、よくあります。というか、提案するほうは良かれ、と思っていますが、それを聞いて、アクションに移す方は、アクションに移るまでに理解して、腹落ちして、いままでなら10分でできる、など、目星がついたものを、未知の世界に飛び込まないといけないのですから、そりゃ初めの一歩はなかなか出ません。コンサルタント歴14年、初めはそんな企業さんを見ていると、怒りたくなって、いや、本当に怒ったり、怒りに近い感情を爆発させてしまっていましたが、今は「人は基本的に他人のいうことを聞かないもの」という大前提が根付いたので、助言通りにならなくても、気持ちの荒波は立たなくなりました。そして、そういう前提で、いわば諦観に近い状況にあれば、期待していないことが少しでも起これば、とても幸せな気持ちになれる、ということも実感しました。

 

 実は、そんな幸せ、最近一杯感じることができたんです。

 

 業績報告会議の準備段階で、「もう少しここに注目して、こんな風にレポートしたらどうですか?」とアドバイスしたことに対し、その通りに自分で考えをまとめ直し再度提出された方、「こういう理解で良いんでしょうか?」と個別に質問してくださった方、「もう一度書き直しました」と、一度出したものを訂正してくださった方がおられたんです。そこまで私が説明したことが反応として行動に現れたことに、大きな驚きと喜びを感じておりました!!

 

 もちろん、自分の言ったことを一旦咀嚼してくださっただけでも嬉しいのですが、毎日忙しい業務の中、わざわざ今までやってきたことを変える、という、面倒くさいことを実践してくださったことに尊敬の気持ちも覚え、こちらも真剣に考えて渾身の態度と言葉で表現して良かった!と、満たされる思いです。私が言っていることが全てでも100点でもないですが、人の意見に耳を傾け、それをすぐに実践してくださること、「学以致用;シュエ・イー・ジー・ヨン」学んですぐそれを生かす、その行いに、こちらも倣いたい!!という気持ちになりました。

 

 そして…私が言ったことに、まっすぐな気持ちで向き合ってくださり、行動に移してくださる方がおられることに、緊張感と責任も、より一層覚えています!!益々、これからも学びは止めてはいけないな!!と、背筋を改めて正している、そんな月曜日です。

 

  

学以致用 [xue2 yi3 zhi4 yong4]‌ ‌2022/1/24 

 


316. 自信を持って付加価値を

 

 毎週このコラムを書きながら、いつも自分に注意しているな~と、自分の心の中でいつも苦笑しております。そして、今日もやっぱりそんな気持ちです。

 

 企業様のコンサルティングの時には、「売上よりも利益が大事」「利益とは付加価値、つまり他とは違う、自社の独自のもの、そしてお客様に喜んでもらえるような何か」ということを力説しています。でも。誰だってサービスや商品を買うときは、高いよりも安い方が良いですし、経営がうまく行かなくて困っておられる、と分かっているのに、高いコンサル料を提示するのはかなり気が引けます。

 

 それと同じで、これだけ素晴らしい商品なんだから、十分に利益を確保して、高い金額で売りましょう!と提案しても、お客様が離れて行ってしまわないか、不安になる、という経営者さんのお気持ちも、ものすごくよく分かるのです。

 

 ただ、経営をしていると、いくら周到に計画を立てても、厳しめに、保守的な計画だったとしても、世の中何が起こるか分かりません。可能なら、少し余裕を見て、いつでもバッファを持って、資金管理したいですよね。だから適正価格の範囲で十分利益をとっておくことは悪いことではないのです。価格に負けない品質にする、そのための投資に充てるということも大事ですし。それより何より、十分な利益がなく、それで商品やサービスを提供できる会社がなくなることが、もっと大変ですからね。

 

 「便宜没好貨(ピィエン・イー・メイ・ハオ・フオ)」安いものに良い商品はない、安かろう、悪かろう、と、中国語のことわざにもあります。自信をもって良い商品・サービスと言えるようなものづくりを心がけ、十分な利益を次のもっと良い商品つくりに生かせるよう、設備や、なにより人に還元していきましょう。

 

 

便宜没好货 [pian2 yi mei2 hao3 huo4]‌ ‌2022/1/17

 



315. 変わり続けよう


 2022年、令和4年、今年は寅年です。寅・虎といえば、獰猛さや凶暴さを兼ね備えた「強さ」の象徴ですよね。虎の字が含まれるような、何かよいことわざは無いものか、と探しておりましたが、ただ「強い」という意味よりも、ちょっと怖いぐらいの牙をむくようなイメージのことわざが多い印象を受けました。また、外見の縞模様にも特徴があるので、それにも絡む成語も色々ありました。

 

 そして、2022年の初めのことわざ、として「大人虎変:ダー・レン・フー・ビィエン」をご紹介したいと思います。この場合の「大人」は子どもの対義語ではなく、「君子」「徳の高い人」の意味で、日本語なら「たいじん」と読みます。徳の高い人ほど、虎の模様のように時の流れに併せて日々刻刻変わっていく、ということ。そういえば、虎ではなく、「君子豹変す」と、「虎」よりも「豹」のことわざの方が、私達には馴染みがあるかもしれませんね。

 

 私も今年、中小企業診断士15年となり、三回目の更新を迎えます。お蔭様で、色々な企業様、経営者様と出会い、色々な経験をさせていただきました。業界によっては、ある程度知見やパターンが見えてきたものもあります。そのような過去の経験だけに頼ることなく、経験の上にさらに新しいことに目を向け、経営者様と共に新しいことに挑戦できるような診断士であり、社長であり、そして人間でありたい、と思います。

 

 企業様にも、働き方改革や考え方改革、今まで普通と思っていたその価値観からちょっと離れ、全く新しい考え方、経営革新を実現できるような文化創りも進んでお手伝いいたします!!一朝一夕にできることではありませんが、外部コンサルタントを入れるからこそできる、ということぞ、是非実感していただきたいです。

 

 そういう意味では、多少虎のやんちゃな部分を取り入れ、守りに入ることなく、失敗を恐れず、前進していく所存です。今年も年初からコロナ禍拡大のニュース。また先が見えなくなってしまいますが、それにも負けず、今できることを、できるかたちでベストな道を見つけていきましょう。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

 

  

大人虎变 [da4 ren2 hu3 bian4]‌ ‌2022/1/10



314. これからも応援団で


  

 慌ただしく、2021年も終わろうとしていますね。しかし、学びは止めません。出張や会議はせずとも、今日もまた、顧問先の若手管理職候補向けのオンライン研修を担当しておりました。オンラインでコミュニケーションをとる、ということが、Web会議以外にイメージ難しい!という方、かなり多いようです。それは「話すこと」がコミュニケーションだという概念が支配しているから、でしょうか。

 

 もともと当社で主催している「ちょっとITプロジェクト」も、ITの力をちょっと借りて、夫々のフィールドで活躍する中小企業診断士パートナーを集めて、チームコンサルティングを目指すものなのですが、なにも「会話」だけでなく、誰かの発信への「いいね」のような反応、カレンダーでの会議招集の出欠回答をする反応、さらに欠席のときに一言添えるメッセージ。こういうことも「一緒にやっている」と実感できるコミュニケーションだと思うのです。何かしら喋ろうとするから、好き嫌いの分かれるお酒の席でのコミュニケーションになったり、興味もない趣味の世界に職場でひきずりこまれたり(ちょっと言葉が宜しくないですが)…。効率化と真逆の方向に行ってしまいがちです。

 

 今回の研修も、チャットグループに対象者とトレーナー、管理者を集め、初めに注意点を私が発信した際、「読み終わった人はどんなマークでもよいから、反応してください」と添えると、皆思い思いのマークで反応してくれました。これも言葉はないですが、コミュニケーションです。発信者の私は、「皆に伝わった!」と実感できました。さらに、「こんな問題を若手の皆さんに出題しています」と、経営者にも共有すると、経営者ご自身も同じように解答してくださいました。発信者にとって、こういった「反応」は、ほっとする者でもあり、とても嬉しいものです。そしてこの企業さん、若手同士でもコミュニケーションをとって、新規プロジェクトのリーダーをアサインしたり、ちょっとした組織の「うねり」「動き」が出てきました。いいぞ、いいぞ!!

 

 ここで何度も書いていますが、私達、コンサルタントの仕事は、企業さんに代わって何か業務をやることでも、質問をうけたことに答えること(だけ)でもなく、その企業さんが自力で上向きのパワーを得ていけるように、問題点を認識し、ヒントや課題を出し、時には一緒にやってみたり、励ましたりしながらトレーニングしていくことだと思っています。その会社の「社員」にはなれないのですから。サポーター、応援団として、「敲辺鼓;チィアオ・ビィエン・グー」そばで太鼓を叩く、応援する、はっぱをかける、ということですね。時には太鼓を叩きながら、プロジェクトのタイムキーパーなのかもしれません。今年もその目標の一環として研修を受け、認定経営革新等支援機関になりましたが、2022年も、さらにその上、企業さんが参考にしてくださるようなチームコンサルティングを、目指していきたいと思います。本年も大変お世話になりました。また来年!元気でお会いしましょう!

 

 

 

敲边鼓 [qiao1 bian1 gu3]‌ ‌2021/12/27


 


313. 育てる文化こそ


 

 コンサルタントになりたての頃は、企業様から質問をされ、答えられないことがあったらどうしよう、と心配しておりました。それは、「何か聞かれたら答える、助言することがコンサルタントの仕事」と思い込んでいたからです。もちろん、経営に関して、IT化に関して、テレワークについて、質問は色々受けます。でも、今になって思うのは、経営者さんの中には、経営上の明確な質問をできる方の方が少なくて、多くは質問するほどの問題がないか、目の前に立ちはだかる問題は、質問して何かすぐ答えてもらえるような簡単なものではないか、だと思うのです。前者はともかく、後者は仕事そのものだったり、従業員間の問題だったり、資金繰りだったり、色んな要素が複雑に絡み合い、その状況を説明するだけで1時間ぐらいすぐに過ぎてしまうぐらいだったりします。そんな問題に「それはこうすれば良いですよ」なんて、軽々しく答えられたら、まあ、参考にしようとは思わないですよね。

 

 2021年の目標にしていた経営革新等支援機関の認定も実現でき、その120時間の研修中にも、多くの学びがありました。そして実感したのは、スキルや知識そのものもさることながら、覚えた知識を使いこなす知性や人間性、そして一緒に会社を変えていくパートナーとして信頼してもらえる雰囲気…。こういった定性的な、数字で表現できないところが大切なんだな、と。

 

 コンサルも人間性が大切なら、企業さんだって、やはり「人」が何よりの資産であり、何よりのトラブルの基だったりします。だとすれば、「人」を育て、「人」が意識をもって、その会社が向かう方向を共有していける文化を創り出すことのお手伝いこそ、経営コンサルティングの目指す処なんでしょうね。手前みそながら、当社の理念「人と経営を元気に!」これは社名の「チアーマンサポート」にもかかっていて、やはり間違っていなかったな、と再確認した次第です。

 

 スポットでの専門家派遣案件ももちろん、やらせていただきますが、今後はやはり、じっくりしっかり、信頼関係の上に長期的に企業さんが元気になれるような体質を、ご自身で作っていっていただけるような、そんな環境づくりや仕組みづくり、「動き」づくりにより一層注力していきたいと思います。人や組織はそんなに簡単には変わりません。だからといって何もしないともっと変わりません。時間はかかるかもしれませんが、日々の少しの努力を積み重ねること、それもできるだけ楽しくいきたいですね。「積少成多(ジ(ジー・シャオ・チャン・ドゥオ)」少しずつでも積み重ねれば多くなる、塵も積もれば山となる、という意味。資格をとれたらといって、一気に何かが変わるわけではありませんが、コツコツ来年も、積み重ねていきます!

 

积少成多 [ji1 shao3 cheng2 duo1]‌ ‌2021/12/20





312. 理論をシンプルに

 

 よくいただくご質問なんですけれども、「プレゼン資料をどうやって作ればよいのか分からないのですが、何かよい本や雛形、ありませんか?」という疑問。さて、なんと答えましょうか。

 

 「お金が儲からないのですが、どうすれば儲かるようになるでしょうか?」

 「社員のやる気がないのですが、どうすればやる気を出せるようになるでしょうか?」

 

 これらと同じぐらい、一言では答えられず、敢えて一言でいうなら、

 

 「他の会社とは違うことを考えて実施しましょうか。」

 

 さらに、もう一言付け加えるなら、

 

 「だから、多くの人が目にするような書籍や、ましては無料で検索してヒットするような資料や雛形には【形式】として参考にすることはできても、【内容】を参考にはできないのです。」

 

 ということになります。

 

 「どうやって作ればいいか」という方法、プレゼンソフトの操作方法なら、沢山本がありますし、色々参考にされるのもいいでしょう。でも、大事なことはその資料から「これは大事ですよ!」「今、お買い時ですよ!」「ここが問題ですよ!」「こうやって解決しますよ!」といったメッセージを如何に相手に伝えるかなんです。なので、そもそもその資料で何がしたいのか、相手は誰で、どう見せたいのか、が大切なのです。その目的がなければ、ただ資料沢山グラフやら説明を盛り込んだって、全部読み終わって、読み手は「で?何がいいたいの?」となってしまう訳です。

 

 形は確かに大事です。皆忙しく働いている中で、多くの情報が交錯する中で、自分の作った資料を見て、素早く・性格に問題点や訴求ポイントを理解していただきたいのですから。ぐちゃぐちゃだと、見る気も起りませんよね。でも、もっと大事なのは論理・理論です。シゴトの問題に正答はないんです。今あるデータから色々と状況を想定し、類推し、「データがこうなんだから、きっとこうじゃないか、と思うんです。そう思うでしょ?」とできるだけ端的に、スマートに、シンプルに説得できるか。

 

 「理処当然:リー・スオ・ダン・ラン」、道理から見て当り前、その筋道を如何に建てられるか。今日も一件、若手係長クラスの方にアドバイスさせていただきました。その方は理解してくださったようです。でも、できるかな、やってみます!と、反応いただきました。回数を重ねれば、理論を組み立てることは、苦じゃなくなりますよ!!AIじゃなくて、ヒトだからできること、研ぎ澄ましていきましょう。

 

理所当然 [li3 suo3 dang1 ran2]‌ ‌2021/12/06




311. 楽しき出張

  今月2度目の新幹線出張で、北の方まで行ってきました。2年近く、訪問することなく、オンラインでの会議や電話、そしてメールでしかコンサルティングはできておりませんでした。以前なら毎月新幹線で通っていたのに。オンラインにも十分慣れ、資料を示しての説明ならオンラインの方がいいかな、なんて思ってもいましたが、やはり互いの顔を見て、困ったな、嬉しいな、難しいな、良かったな、といった表情(これはまだ、マスク越しですが)や雰囲気を感じながら、話を進めるというのは、互いに安心感があったと思います。

 

 事務所や会社の様子も、少し変わっていたりして、それでも従業員さんたちは私が久しぶりに来たと分かると、仕事の手を止めて声をかけてくださいました。なんだかとても懐かしいような、長い時間、会えなかったような友達に会えた気分になりました。

 

 前日から今日のためにお弁当や夕飯の仕込み、洗濯も前日に大部分済ませておくなど、段取りもそれなりに大変でしたが、久しぶりに会った皆さんの表情で、疲れも吹き飛びました!「朋(とも)遠方より来る有り、また楽しからずや」とは、学校で習った初めての漢詩、論語の一部。「有朋自遠方来、不亦楽乎(ヨウ・ポン・ズー・ユェン・ファン・ライ、ブー・イー・ルー・フ)」。」お友達、ではなく、顧問先であり、当社のお客様ですが、遠くから新幹線に乗ってくる私たちを、とても大切に迎えてくださり、お仕事の話も、お昼休みの雑談も、とても充実した時間。オンラインもいいけど、やっぱり会って話すって、すごいな、と実感しました。

 

 ニュースではまた海外からの外国の方の入国が制限されるとのことですが、マスク無しでも、心配なく話し合いができるような、早くそんな日が来ますように。

 

 有朋自远方来,不亦乐乎

 ‌‌[you3 peng2 zi4 yuan3 fang1 lai2, bu4 yi4 le4 hu]‌ ‌2021/11/29


 


310. 右から左ではなく


 本日は、顧問先との定例会議をオンラインで行いました。「人」「教育」の大切さを、しみじみと感じてこられている企業さんで、会議の中でも「こんなトレーニングが必要かな」「あんな教育をやったほうがいいな」というイメージが湧いてきました。

 

 企業さんの中では、組織が大きくなればなるほど、自分の役割が会社の規模に対して小さくなり、ちょっとぐらいサボっても、隠れやすくなるものです。でも、今までの規模のように、一人ひとりトップが声をかけていくことは無理になり、中間管理職に権限移譲せざるを得なくなります。

 

 ただ、中間管理職は、以前にそういう人がいる組織にいたことが無ければ、自分は何をやるべきで、どこまで決めてよくて、どこから社長に相談しないとだめなのか、分からなくなるケースが散見されます。

 

 企業さんが大きくなっていくときは、計画で進められる場合より、なんだかんだ目の前の事を片付けていったら、知らない間に大きくなってしまっていた、ということが多いですね。そんなときは、外側は大きく膨らんでいても、中の組織が整然としているか、指揮命令系統が明確かが大切になってきます。また、中間管理職という難しいポストの方々への教育、両側から来るストレスへのフォロー、そしてモチベーションアップといったケアも大切ですね。そうでないと、自分で考えることが面倒・億劫になり、現場から上がって来た声を、メッセンジャーとして経営陣に届けて判断を仰いだり、逆に上から言われたことを、なんの躊躇いも、自分の解釈もなく、ただ事務的にこなしてしまうだけのファンクションになってしまいます。

 

 「囫圇呑棗:フ―・ルー・トゥン・ザオ」棗(なつめ)の実を飲み込む、言われたことを自分で分析もせず、よく理解しないまま飲み込んでしまう、という意味です。AIが普及して、パターン化できることなら人がやらなくてもよくなってきました。そうすると、人が働く場所というのは、パターン化できないことを、多様に考え、想定していくところ。現状から発想を広げて深く理解することができるところ、となるでしょう。そんな意欲をもっていただけるよう、どんなトレーニングにしていくか、楽しんでデザインしてみたいと思います!

 

 

 

囫圇吞棗 ‌‌[hu2 lun2 tun1 zao3]‌ ‌2021/11/22 


 


309. 真面目にやっていると



 ボチボチと、オンラインばかりのコンサルティングから、訪問やじっくり時間をかけてのお話合いのコンサルティングが戻ってきました。先週も、ある社長様と、最近の事業に関してお話させていただく機会がありました。その企業さんは、コロナ禍で、まともに逆風を受けた業界の事業をされているので、大変ご苦労をされていました。久しぶりに会い、このコロナ禍、どのように過ごしたか、これからはどうしたいのか、といったお話でした。(すみません、詳しくはかけないので、フィルター・モードで…)

 

 

 コロナ禍では、中小企業救済のために、色々な施策が打ち出されました。企業と労働者を守るための雇用調整助成金や、テレワーク実施のための助成金・補助金、金利や返済条件が比較的緩めの融資、そんな中でも新たな事業にチャレンジするための補助金…。その企業さんも、何とか生き残りを賭け、行政関連のホームページはあちこち見回ってどんな制度が自社に適応できるか、情報を集めたり、窓口に問い合わせたりしておられたようです。

 

 こういった公的支援の制度の資金源はもちろん、税金。これまで私たち企業が営業活動をし、一定の割合で納税しているから、助けてほしい時は条件に合っていれば活用していい、というものですよね。ですので、公的支援の申請にあたっては、納税がキチンとなされているか、また関連法制で決められていることが対応できているか、たいていチェックする項目があり、適当と認められた人(企業)だけが申請し、審査の結果交付される、ということになるのですが…。やはり「書類だけ」なので、網の目をすり抜けるようなことが、残念ながらあるようです。今回の社長様も、そういう事例を見聞きすることで、なんだか真面目にやっている自分が悔しいような気がしてきた、と仰っていました。

 

 一面を見ると、そうかもしれません。でも、長期で見ると、お天道様はちゃんとご覧になっています!「貪小便宜:タン・シャオ・ピィエン・イー」。小さい便宜を貪る、つまり、小さな利益に欲を出す、ということ。その企業様は、企業理念もしっかりとされていて、それを基に従業員や顧客に対応されてこられました。柱がしっかりしているので、元々利益もきっちり積み上げて来られています。どうかそのままの姿勢で、辛い時は公的支援を、決められた方法でどんどん活用してください。周りには色んなものが見えてきますが、社会や環境の変化はしっかり見ながらも、目標からは目を離さず、雑音からは耳を遠ざけ進んでいっていただきたい!そして私の会社もそうしたい!と思う、月曜日です。

 

 

貪小便宜 ‌‌[tan1 xiao3 pian2 yi4]‌ ‌2021/11/15 


 


308. 最近の〇〇は!


 経営にかかわる問題は、小中学生の算数・数学の問題のように、答えがあるわけではありません。xやyだけでなく、もっと色んな要素が複雑に入り交じり、それも規則性があるわけではありません。定量的にとらえられるもの、定性的な、なんなら個人の感情が大きな問題になっていることだってあります。それを最適な落としどころを見つけ、そこへ向かって導く(私やコンサルタントが、ではなく、会社の皆さんが動いていただけるようにガイドする)のが私たちの仕事だと思っています。

 

 そのための問題点や解決方法を探るため、企業さんの経営者さんや従業員さんにヒヤリング・アンケートをさせていただくのですが、こんなコメント、頻出です。

 

「最近の若者は常識を知らない」

「今の経営者は頭が固い」

「この業界はこれが当り前だから変えられない」

「ウチの会社はずっとこれだから」

 

 いやいやいやいや…。

 確かにそうかもしれません。長い歴史の中で培われた習慣はそんなに簡単に変わらないし、自分の世代の常識や価値観から考えると、別の世代の方のアイディアや行動は、とても異質に感じるのかもしれません。でも、「違う!だからできない!」で終わるのか、だからこそ、どこかで歩み寄るのか、歩み寄るとすれば、どの方向を向いて共通項を見つけるのか。そんな時こそ大切なのが「企業理念」です。

 

 色んな価値観の、色んな世代の、そして色んな専門分野の人がいる会社。その中で、力を合わせて利益がでるように努力するには、取り扱う場面や手段、モノは違うかもしれないけれど、同じ方向を向いているか、会社が「行け!」と指し示した方向に進んでいるか、これが大切になってきます。同じ目標・理念が共有できていれば、そのアプローチや与えられた業務範囲での実施する内容は異なっていても良いのです。いや、殆どの場合は異なっているでしょう。経理部の方、建設現場の方、同じ会社でも担当業務は全く異なりますからね。上手くいっている会社というのは、理念は共通、その他の違いはそれを認め、称賛する、という文化が育っています。

 

 ある信念をもち続けることも大切ですが、固執はダメ、と、なんともやっぱり「匙加減」が難しいところ。今日は一概に決めつけちゃダメ!ということで、「一概而論;イー・ガイ・アー・ルン」一概に論じる、決めつける、という言葉を挙げてみました。今週もシゴトでは企業様との打合せや面談が、週末には子供の学校(志望校の)説明会があります。自分の持っている知識だけで決めつけないで、企業様のお考え、子供の感じ方を尊重できるよう、頑張りたいと思います!

 

 

一概而論 ‌‌[yi1 gai4 er2 lun4]‌ ‌2021/11/8 




307.経験はとっても大事だけれど

 

 さきほど、中学生の息子と話していて、はっとしました。「この間、(自分が小学生時代に属していた)少年野球チームの練習に参加したとき、先輩面するのはよくないって思ってたけど、やっぱり小学生のプレーを見ていると、『あ!そうじゃない!』って、口から出そうになるんだよね。」「そうだよね。経験を積むと、その先のことも予想しやすくなるからね。」

 

 でも。自分の経験、特にうまくいった過去の栄光を基に、「私流はこのやり方!」と決めてかかり、時代が変わろうが、社会構成が変わろうが、新しい研究結果で常識が変わろうが、決して自分流を変えない…それは、私も注意しないといけないですが、経験者として戒めるべきところ。本当に、生活のあちこちに、反省材料というものは隠れているものですね。

 

 仕事でも最近そんなことがありました。コロナ禍が収束に向かいだし、そろそろ出張の話が持ち上がりました。私自身はもう何年も顧問をしている企業さんへ、当社の若手パートナーさんと、一緒に行くことになりました。私は、今まで通っていた交通機関の方法を、迷うことなく「こういう経路で行きましょう」と、若手パートナーさんに言ったところ、「この経路の方が、先方が車で送迎してくださる時間が短くなるし、私たちのトータルの乗車時間もそんなに変わらないのではないでしょうか?」と、別経路を提案され、何の見直しもしようとしなかった自分が、ちょっと恥ずかしくなりました。

 

 決して毎回変えないといけない、と言っているわけではないのですが、当り前と思っていること、慣れていることこそ、「何のためにそれをするのか」「その方法で本当に良いのか」疑問に思い、見直すことが大切ですよね。考え直しても、やっぱりそれがベストならそれでいいのです。考え直すプロセスが入ると、お仕事が丁寧になりますものね。

 

 「另眼相看:リン・イェン・シァン・カン」。「另(レイ)」という漢字は「それ以外の」という意味ですね。別の目で見る、ということ。経験を積むと、あるシーンに出くわした時、「あ、これはこのパターンだな」と読める。でも「本当にこれで良いのか?別の考え方はないか?」と、視点や角度を変えてみる。違った目でみる。これは本当に大切です。いろんな組織や社会の中で、年長者側に立つことが増えてきた今だからこそ、特に気を付けたい!そんな11月の始まりです!

 

 

 

另眼想看 ‌‌[ling4 yan3 xiang1 kan4]‌ ‌2021/11/1  




306.見逃さない力

 

 先週金曜日、当社が主催する中小企業診断士のオンラインチーム、「ちょっとITプロジェクト」の10月度勉強会でした。大体毎月、色んなパートナーさんに講師をしていただき、見聞を広めたり、各パートナーさんの得意分野を認識したり、という場にしています。が、今月は久々に私が講師に。先日まで長期にわたり受講していた、認定支援機関の研修のレポートをしておりました。

 

 認定支援機関となるための要件には、個人・法人・資格別で色々あるのですが、私たち中小企業診断士に必要とされるスキル、中小企業診断士が普段の業務で使う知識と非常に親和性が高く、周囲の中小企業診断士の中には、認定支援機関の資格を保持されている方も沢山おります。

 

 勉強会そのものは概論だったのですが、「次回さらに深堀して勉強する、となると、何に興味があるか?」と参加メンバーに聞いたところ、どうやって隠れた問題を見逃さず発見するか、という意見がありました。確かに、経営状況が宜しくない企業の経営者様は何となく悪化を感じられながら、具体的に把握されず、どのレベルまで大変になっているのか、どのレベルでどんな手を打たないといけないか、というシミュレーションができておられないことが多いです。それは単にスキルの問題でなく、日常の業務の忙しさや普段の意識のポイントに影響されます。

 

 ここで私たちに求められるのは、「ちょっとしたこと」「よくあること」「これは大変!ということ」を、整理し、適切に明示できる力のように思います。特に、今はコロナ禍で全体に落ち込んだ業界がある中、「みんな大変だからまあ、大丈夫」で済まされるのか、それとも今すぐ何かしないと!という状況なのか、しっかり見極めるお手伝いをしないと!と、月曜日からキモチを引き締めています。「非同小可:フェイ・トン・シャオ・クー」軽視できない重大なこと、という意味です。下手に心配を煽るようなことをせず、でも、冷静に、客観的に、分かりやすく、を心がけて、今週もがんばります!

 

  非同小可 ‌‌[fei1 tong2 xiao3 ke3]‌ ‌2021/10/25





305.アウトソースだけではできないこと

 

 経営資源に限界がある中小企業さんに対しては、限られた人材や経営資源を本業に集中させるために、総務部門や経理部門など、一般的な知識で対応可能なことや、逆に専門性の高い一時的な仕事については外部にアウトソースされることをお勧めすることがあります。そうすることで、経営資源の分配にメリハリがつけられ、なんでもできる優秀な社員がこき使われることなく、最適な状態に近くなる…のですが、絶対、ではありません。

 

 経営コンサルタントとして、ある会社さんの顧問になった場合、定期的に事務面や管理面で社員教育の講師を任されることがあります。それはそれで、大変ありがたいですし、私も勉強になるのですが、気を付けていただきたいことがあります。アウトソースしっぱなし、ではいけない、ということ。

 

 もともと時間も人も足りないから、アウトソースしているのは分かっているのです。だからといって、一旦任せたら一切顔も見せない、報告も聞かない、というのは、ちょっと黄色信号。アウトソース先だって、人間です。大変だから、その部分を業務委託で受けるわけですが、コンサルタントはあくまで、自分がいなくても会社がうまく回るような仕組みを創れるよう、助言したりトレーニングしたりする役目。だとすると、私がいないと回らないような状況は作ってはいけないのです。あくまで「企業様が自立的に」できるようになること、これが主眼です。

 

 でも長い期間、目の前の忙しい業務と片付けていると、人にも頼りたくなりますね。一方、人は相手に優しくされたり、親切だったり、面倒みよく見てもらえると、その人に報いたくなるものです。会社に入って教えてもらったことも、しっかり覚えてられるのです。新しい仕事も、一度センパイがやって見せてくださると、自分も「よし!」と言う気になりますが、さらっと説明だけいただいて「後はよろしく」と言われると、「う~ん」と、やりきれない思いにもなります。やっぱり人は「優しさ」には弱いです。だから、優しさを仕事でも発揮しましょう。「熱心腸;ルー・シン・チャン」世話好き、親切で面倒見が良い人のこと。アウトソースの力を借りながら、頼り切らず、自分の優しさも大切にする。難しいことですが、これはできる人とできない人で、差が大きいかも!!  

 

热心肠 ‌‌[re4 xin1 chang4]‌ ‌2021/10/18 



304. 白黒はっきりさせてしまいたいけど

 

 世の中、データ化が進み、これまでの人間の行動をデータに記録し、それを分析して行動パターンを作り、それを人ではなく、AI等が制御できるようになってきました。これにより、簡単な作業、人ではなかなか大変だった重労働も、反復が多いもの、パターン化しやすいものから自動化・ロボット化が容易にでき、人間がやるべき仕事が減っていく…なんて、よく言われていますが、本当にそうでしょうか?

 

 

 企業様の業務コンサルティングを行っていると、「本来やるべき業務や役割が、目の前の煩雑な雑用によってなかなかできない!」という方、管理職でも、一般職の方でも、よく見受けられます。こういった方々にとって、業務の自動化は仕事を増やすでしょうか?それとも減らすことになるのでしょうか?もともと与えられた業務や役割、というのが、今後の新しい企画だったり、現在の仕事のやり方の変革、といったものであり、じっくり考える時間が雑用に阻害されている!!と思われている方なら、雑用は自動化でき、より本らの事業に集中できる、仕事が増やせる!と考えるでしょう。

 

 

 会社も社員も、十人十色。経営改善のセオリーは多くの会社に共通して当てはめられることもありますが、経営改善の論点や視点は実に多方面から攻めていくもの。なので、多様な企業様の経営改善に、同じようなプログラム、マニュアル化した改善指南は、なかなかピタッと来ないのです。AIが扱うような膨大なデータも、多くの中から「傾向」を抽出するので、「一般的」から弾かれるデータは沢山あることでしょう。とすると…。やはり自分の、そして自社の目標は、オリジナルのものを考えなければならず、それも一朝一夕には達成しないのです。

 

 これはいい、これはダメと、すぐに決めてしまった方が、キモチは楽です。でも、経営って、そんな簡単なものではありませんよね。オリジナルの目標を据えたら、あとは嵐が来るかもしれないし、思ったように進まないこと、意外とスムーズにいくこと、色々あるでしょう。長い道のり、休憩なしに目標に向かって走るのは大変なので、短期的な目標も立てるわけです。それが単年度の予算だったり、人事の目標管理だったり。方法は変えてもいいでしょう。でも大前提となる目標を見失わないように、見える範囲のところに、見える小さい目標を据える、そして安心したり、ちょっと休憩したり、次に挽回を目指したり。そんな、「里程碑;リー・チャン・ベイ」…一里塚、を、社員の皆さんに示していきましょう。皆が、何かウダウダ・ガタガタがあっても、最終的には同じ方向に向かえるように。

  

 里程碑 ‌‌[li3 cheng2 bei1]‌ ‌2021/10/11 



303. 認定支援機関の研修を終えて

 

 認定支援機関になるための理論研修、足かけ4か月、合計120時間に及ぶ内容でしたが、無事先週で修了しました。9割出席しないと修了が認められないのですが、一度家庭の事情(!)で2時間遅刻をしたものの、それ以外、なんとか出席できました。試験の結果はまだですが、とにかくやることは尽くしました。

 

 120時間の講義や演習の間、お世話になった先生方は、約20名、皆さま経験が豊富でおられ、説得力とリアリティに溢れていました。初めて知ることに触れたり、私が知っていることや経験したことも、キレイに整理できたり、本当にありがたい内容でした。その中で、複数の先生方が仰っていることに幾つか共通点がありました。表現する言葉は違うけれど、このような感じです。

 

 

  

 認定支援機関は、最近では補助金申請の支援等でも活躍の場が多く、今回の受講者の中でも、ここを目指して応募されている方が多かったようです。(私の感覚ですが…)でも、もともとは金融支援を得るための計画策定の資格、少なくとも資金に心配がないような企業様は対象ではありません。そのような状況であれば、あまり他人にも言いたくない、と思うのが普通でしょう。

 

 それでも私たちを信頼いただいて、情報を開示していただかないといけないのですから、まずは話していても安心していただけ、信頼していただけるようにならないと、と、再認識した次第です。

 

 常に気を付けていることではありますが、「自分が一番正しい」という口ぶりになっていないか、威圧的な態度ではないか、「ちょっと聞いて~」と言ってもらえるような姿勢か。「喫定心丸:チー・ディン・シン・ワン」「吃(喫)」は食べる、「定心丸」は精神安定剤。つまり、安定剤を飲む、安心する、ということ。言葉遣いや態度もそうですが、これからももっと勉強し、経験も積んで、「話したら安心できる」サービス提供ができるよう、努力します!今週もがんばりましょう!!

  

 吃定心丸 ‌‌[chi1 ding4 xin1 wan2 ]‌ ‌2021/10/4 



302. ちょっとした力


 

 コンサルタントを目指し、中小企業診断士の試験勉強をし始めたころから、「試験に合格したら、次はどうやって仕事を獲得していくんだろうか?『私はこんなお手伝いができます。〇円で助けます。困った人、いますか~?』と宣伝して、果たして手を上げる人や会社がいるのか?」と、考えておりました。また、「そもそも、経営が順調で、資金も豊富な会社はコンサルタントを必要としない。コンサルタントが必要な会社は、お金で困っていることが多い、するとサポートをしても対価を請求するのは難しい?」と、どちらかというと商社時代に色々叩きこまれた私としては、民間ベースで事業を行うことをずっと考えていました。

 

 果たして、中小企業診断士試験に合格し、3度の実務補習を経て経済産業大臣登録となった後、直後はシンガポールで企業したり、その後上海の京都府の機関でボランティアをしたり、と、面白い横道を経て帰国後日本で独立し、他の診断士の皆さんと繋がるにつれ、公的支援のお仕事の多いことや、サポートの有り方の多様なことに気づかされます。さらに、自分も起業したり、パートナーに業務を委託して委託料(や、源泉税)を支払う側になって、会社員や一人だけでやっていた頃には経験もしなかったことも実感できるようになり、年齢とともに経験も蓄積できてきました。

 

 そこで気づいたのは、ほんの少しの改善で会社は大きく動く、ということ。でもその小さな改善だって、「今の方法を変えること」「考え方や見方を変えること」「会社の雰囲気を変えること」は簡単ではなく、一歩踏み出すのに一緒に走ることこそが、多くの会社で求められている、そんなことでした。先週のコラムでも、はじめの一歩を一緒に踏み出すことを書いていますが、企業さんにとっても、コンサルタントにとっても、そこがとても大事なポイントで、(経験的に)若いコンサルタントは、習ったことをできるだけ企業さんに伝えたい、教えたい!といきり立ってしまうのですが、そんな教科書情報は、忙しい企業さんには迷惑なのだ、ということも少しずつ実感するようになりました。

 

 では、中小企業診断士になるために勉強した膨大な知識はどこで使うのか?それは総合力として、とても大切。なぜなら、ちょっとした力を添えるために、その企業さんのもっとも手を貸してほしいところを察知し、ちょうどよい程度にサポートする、その結果、長いお付き合いができるような関係になるには、ITだけでも、財務だけでも、人事だけでも、営業だけでもなく、総合的に、時には遠くから、時には近くでよく見て判断することが必要だからです。そんな「一臂之力;イー・ビー・ジー・リー」、ちょっとした力、少しの手助けができるよう、今週も研修でしっかり勉強してまいります!!

 

  

 

一臂之力 ‌‌[yi1 bi4 zhi1 li4 ]‌ ‌2021/9/27 




301.初めの一歩は、ちょいと背伸びぐらいで



 新しい顧問先で、また多くの管理職の皆さんと、一緒に会議に臨んでいます。その時に、やはり気になるのは、皆さんのスキルや経験、レベルの差です。大企業でも副業や転職が増えてきましたし、経験者を中途採用する機会も増えてきました。中堅中小企業なら、なおさら中途採用も多くなります。そうすると、どんなことは前職でやっていて、どんなことなら聴けば分かるのか、どんなことは説明されても全くわからないのか…個人によって、その差があまりに大きい。今回の会社さんに限らず、中堅・中小さんやITベンチャーでの特色といっていいかもしれません。しかも、外国出身スタッフや、異業種出身者も入り混じっているような「高度なダイバーシティ」を実現されている会社さんなら、異文化を受け入れることにお慣れかもしれませんが、地元の社員が中心で、経験者だし、自分より年も上だから、なんだか「どこまで分かってるんですか?」って、日本人同士だと聞きづらいこともあります…よね。

 

 コンサルティングに入ると、そういったレベルの差には、細かく注意するようにしています。分かっていて適当にやる人もいれば、一生懸命なんだけれど、いまいち理解せず進めておられる方も。そして互いに突っ込まない。これは少し不健全な組織です。今、コンサルタントの私が入って、それらが少し解消されたとしても、またすぐに新しいメンバーが管理職となって入社されたり、昇進されてきます。その時にまた、同じような説明が必要になるでしょうか?

 

 「何となく違うな…」「でも指摘するのもな~」なんて思いながら、突っ込むタイミングを逸してしまっていると、会社としては大きなリスクが待っています!!「分かると思って話していたのに~」「できると思ったから任せたのに~」といった事態を招いてしまうのです。それを回避するには…正直に分かりません♪と言える雰囲気を創ること。無理にできないことをさせても、当人もストレスですし、会社にとっても良いことはありません。

 

「趕鴨子上架;ガン・ヤーズ・シャン・ジィア」アヒルに止まり木に留まらせる、無理にできないことをさせる、ということ。経営者の皆さんは、社員の皆さんにできるだけレベルの高い仕事をしてほしい!と思われていますが、現在の能力やキャパシティに合った教育やトレーニング(OJT含む)でないと、却って組織は不協和音やストレスの場となってしまいます。アヒルさんが怖がって鳴くのではなく、地に足付けて、自分より、まずはちょっと背伸びしたところに目を向け、アクションしてもらえるよう、経営者の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います!

 

  

 

赶鸭子上架 ‌‌[gan3 ya1 zi shang4 jia4 ]‌ ‌2021/9/20