【ごとうさえの言技(ことわざ)×事業(ことわざ)】

201~#300

300. 色んなアイディアや視点

 先週もまた、研修Week、一週間どっぷり講師のお話を聞いたり、グループ演習をしたり、でした。特に先週は企業さんの計画策定についての演習が中心だったのですが、「こういう問題を作るのも大変だし、受ける方も、バックグラウンドがあまりにマチマチで、進行する講師の先生方は本当に大変だな…」と考えておりました。企業の事例といっても、規模の大小だけでなく、業界の特性、経営者の性格によって、本当に十人十色。それでも何か、参考になるようなポイントを持たせ、研修者に気づきを与え、経験則への足掛かりとする…。「経営コンサルティング」「経営支援」に関わること、その業務を教え、継承し、ステップアップしていくこと。なんて大変な事なんだろう、と、つくづく思います。中小企業診断士は、AIの発達でなくなる仕事ではない、と、一説に言われておりますが、こういったデータだけでは判断できない、全体調整、総合的な感触、入手したデータの信憑性の判断など、人間の能力を多く使うからなんだろうなんでしょうね。

 そして、一週間研修に集中しておりますと、やはりその分仕事の遅れが出てきます。土曜日はとにかく急ぎの業務を処理するのに一日費やしてしまいました。その中で、ある社長様とのオンライン面談があり、その社長さんから「中小企業の社長からすると、これは税理士、それは弁護士、それは司法書士…と、聞く質問によって窓口が違ってたらいまわしされるのは大変つらいし効率的ではない。こういう専門家がチームになって、一つの会社にしてはどうか?またそういう専門家は営業がそれほど上手ではないことが多いので、営業は専門の営業担当者が受け持てばよいのではないか?」そんな頼もしいご提案を受けました。あちこちたらい回しにされる、というのは、経営者さんの生の声ですよね。異業種士業間でチームや法人化、合同会社化されているところも、もちろんあります。なかなか素敵なアイディアです。

 でも。

 私はちょっと思うことが違うな~。確かにたらい回しは酷いので、私が窓口になって、私が沢山のネットワークを持つ努力をすることで付加価値を上げたい、とは思っています。でも専門家は経営問題を解決する実務だけやって、営業の人が案件を持ってくる?それはなんだか違うような気がしました。商品・サービスによっては、その方法がばっちりハマることもあるのですが、コンサルティング・計画策定サービスは、経営のかなり奥まで入り込むので、専門性だけでなく、人間性や性格が互いに信頼できる!という間でないと、上手くいかないと思うのです。だから営業(というか、案件獲得)は、営業担当者でなく、コンサルタントである自分が確かめたいのです。そうでないと、互いにHappyではないから。

 そう申し上げると、その社長、大変深く納得してくださいました。ありがとうございます。そう、そんなにシステマチックに進まない特徴があるんですよ。だから面白いのですが。どんな事例も帯に短し、たすきに長し「高不成、低不就(ガオ・ブー・チャン・ディー・ブー・ジィウ)」、のような状態なのです。そんな永遠の課題の中で、もう少しもがき続けてみましょう。

 

高不成,低不就 ‌‌[gao1 bu4 cheng2,di1 bu4 jiu4 ]‌ ‌2021/9/13


299. 感覚「も」大事

 「伝える」ことの難しさ、最近また改めて感じています。

 それなりに年齢や診断士としての経験を積み上げてくると、若い方や診断士歴の浅い方と、リーダー的な役割で一緒にお仕事をすることになります。やる気のあるフレッシュ診断士は、当然ながら「どうするのが正解なのか」「どうすれば最短距離で走れるか」を気にしながら質問されたり、私の話を聞いたりされます。経営学を広く深く学んだわけではないですが、少なくとも診断士試験に出てくるような経営学のセオリー、王道といわれるような考え方、指標、公式みたいなものは、わんさとあり、時代と共に変わりゆくものもあれば、時代が変わってもやはり大切!というものもあります。

 説明するときは、そういったセオリーの名前を挙げると、すぐに何のことが分かってもらえるのでありがたいですが、実際に個々の企業様の支援となると、必ずしも理解が一致しているわけではなさそうです。それは、診断士になる前の職業や、その時に関連のあった業界であれば容易に想像・類推できる一方、未知の業界の話であれば、根拠のない空想ばかりになってしまうからです。しかも、できるだけ客観的事実を話したいし、具体的に説明したいから数字も使うのですが、どうしてもそれでは腹落ちしないこと、というのがあるのです。

 経営改善計画の策定は、その最たるものだと思います。企業様の現在の状況を客観的に見て、過去の業績の事務的に分析し、問題点を見つけ、その改善案を提案する。このプロセスの中で、「考え方は正しいけど、現実的にそれは無理でしょ」というストーリーになってしまうこと、多々あります。どうしてでしょうか?原因は沢山考えられますが、大きな要因としては、計画「代筆者」の得意部分だけで論理的にしあげてしまうから、だと思います。経営者は自分で計画を作るのは難しいから、我々に委託されるのですが、「委託」は「丸投げ」であってはいけませんし、コンサルタントの独走になってもいけません。数字は具体的に共有認識を持つには有効ですが、ひとつひとつに意味・ニュアンスを含めることもできます。なので、表やグラフを作るのが苦手な社長さんでも、出来上がった数字が「ふむふむ」と自分の頭にすっと入るものとそうでないものがあるのです。全社はそういった「感覚」が合った数字だから、だと思います。

 できるだけ客観的に、具体的に、計画を書くときには気を付けますが、最終的には計画は企業さんのもの。その経営者さんが「不対勁児:ブー・ドゥイ・ジャー」しっくりこない、のなら、計画としての意味がありません。違う人間だし、専門の業界も違うけれど、しっかり聞きだし、また作文するには経営者さんとも相談し、目標となる成果物を完成させていかねば、ですね。後輩に、そして経営者さんに、「しっくりきてもらえるよう」説明し、感覚をできるだけ同じくし、気持ちを聞きだす。これはまだまだ修行の必要な技ですね。

 

不对劲儿 ‌‌[bu2 dui4 jin'er4 ]‌ ‌2021/9/6  

298. 成長?変化?

 次のステップに進むための研修を、数か月にわたり受講しているのですが、これが結構ボリュームありまして、Stay homeで何もかもお家時間の中で過ごす日々に慣れてしまったカラダは、かなり刺激?衝撃を受けています!!コロナ禍ではありますが、事務局の方は徹底管理をしてくださり、大変気持ちよく、安心して受講させていただいています。本当に今まで、ここまで飛沫や消毒について、長期にわたって神経質になったことがありませんが、これが「新しい生活」なんですよね。そこに早く馴染んで、自分のペースを掴むのが何より大切!

 そして、研修の環境についてのみならず、長時間研修に行く私を、気持ちよく送り出してくれる家族も、これまた変わったな~と感心し、また大変感謝しております。もちろん、基本的には私が食事等の準備をするのですが、後片付けや洗濯物の取り入れに畳んで片付け…など、今までは知らんぷりでしたが、気が付いたら一歩進める、というさりげなさで、やってくれるようになりました。また、朝も早く起きて、私が出ていくのを見送ってくれたりします。なんだか、ついこの間まで赤ちゃんで、何から何まで面倒を見ていたのがついこの間のようで、「そんなことまでしてくれるの?」「そんな考え方ができるようになったの?」と、息子達を「見上げて」思うことが増えました。

 子どもは当然成長も早く、外見もどんどん変わっていきますが、私たちも負けてはいられません。あ、外見はできるだけ変わらないよう、姿勢よく締まりのあるカラダでありたいですが、大事なのは中身を磨くこと。「イノベーション」を企業様に提案するなら、自分が変わること。あちこち出張していた日々からテレワークの日々に変化し、そこからまた研修の日々と、「その先」を見越して、次の変化を楽しんでいるつもりですが、やはり楽とは言えません。でもその分、大きな楽しさとわくわく感は得られています。

 「今非昔比;ジン・フェイ・シー・ビー」漢字だけを見ていくと、「今は昔の比ではない!」のようですね。そう、変化が非常に大きいこと。物凄いスピードで変化していく環境に柔軟に対応しながら、大きな柱や方向性は変えずに、その方法や技術、アプローチを、年と共に変化させ「お!変わりましたね!」なんて言われるようになりたいですね!

今非昔比 ‌‌[jin1 fei1 xi1 bi3]‌ ‌2021/8/30


297. お盆休みでも

 お盆休み、如何おすごしでしたでしょうか?如何?と言われても…ですよね。我が家も、二年連続帰省なし、旅行なし、毎日家族全員家で食事、の毎日でした。ただ昨年よりは「近隣で、対策しながらできることをやる」方向に進歩があり、部活があったり、私も地区主催のコンサートに出演したり、と、少しストレス発散の場はいただけました。

 さて、お盆であろうが、コロナ禍であろうが、会社は続けていかなければいけない、社員の生活は守らなけばいけない、経営者の頭の中は、休まることがありません。このお盆期間でも、何人かの経営者さんとお話させていただきましたが、毎日の雑多な業務や小さな判断から少し開放されるお休みの期間こそ、経営者にとっては中長期的な考えも可能な時期であるようです。また、普段からご提案差し上げて、あまりしっくり来ていないな~、ピンと来てないのかな~というようなことも、こういう時期にお話を改めてすると、すっと反応してくださることもあります。いずれにしても、会社は生き物、植物にも水をやるように、変らずケアをする経営者がおられてこそ、従業員の皆さんが安心して働くことができるのだな、と再確認しました。

 ただ、悲しいかな、従業員の目的やモチベーションの元と、経営者のそれとは違います。違うどころか、相反するものです。従業員は如何に楽をして、沢山稼げるか、またその仕事をすることで、将来の自分のキャリアになりうるか、と、当然自分の将来の人生観で良いか悪いかが判断基準になります。一方、経営者はいかに自分の方針に同意してくれて、指図の通り、あるいは指図よりも一歩踏み込んで動いてくれたり、なんなら指図なしで自分が思うように効率よく動いてくれる…そんな従業員がいたらいいな~と思う。お互いに、都合の良い話ですよね。

 もちろんお金だけのことを考えると、貰う方は多いに越したことはない、払う方は少ないに越したことはない。お互いにできるだけ気持ちよくやろうと思えば、お互いが納得できる金額であること、もうひとつはお互いにモチベーションや敬意が感じられること、でしょうね。みんな違う人間。それを認め合って、高めあう。そんな雰囲気や環境があれば、従業員のみなさんは居心地も良く、その中でがんばれる。そんな場を作る人こそ経営者、大黒柱です。中国語なら「頂梁柱:ディン・リャン・ジュー」。文字通り、頂上に立ち、組織の梁や柱になる重要中心人物。不安になることも従業員の反対にあうこともあるでしょう。でも、ちょっとやそっとで揺らぐことなく、方針に向かって腹をくくって明るく経営に携わっていただきたいです。お盆明けも、そんな会社の大黒柱さんを、サポートしてまいります!

顶梁柱 ‌‌[ding3 liang2 zhu4]‌ ‌2021/8/16



296.全身鍛えて

  東京2020が開幕して、前半戦が終了しました。個人的には少林寺拳法をやっていたからか、柔道が連日報道されていると、テレビにくぎ付けになってしまい、食事中でもお行儀の悪いことに手も止まって…いや、固唾をのんで見入ってしまっていました。もちろん、他の競技も毎日のように見ておりますが、オリンピック選手に選ばれるような人は、人並外れた努力と練習と、もしかしたら挫折も味わっておられるのかな、と、競技の裏側や背景にまでも思いを寄せてしまいます。

 柔道で「心・技・体」とよく表現されますが、身体と技だけではなく、心もバランスよく鍛えなければならないということ、ですね。練習の鬼になっても、疲労が取れないほど練習してもダメだし、金メダルを目標として宣言したら、そのプレッシャーと緊張で押しつぶされそうになっても、それをはねのけたり、緊張を楽しんだりできるぐらいでないといけない。どんな人にも体調の波があるから、ベストの体調を本番にもってこれるような調整力も必要。ほんと、「勝つ」って簡単じゃないですね。

 さらに、最近の傾向でもあり、無観客の今回の大会では、選手とのつながりがオンラインで盛り上がっており、その中には純粋な応援や称賛のみならず、読むと心が痛むような言葉もある。本当に選手は万能でないとだめなの?と言いたくなるような状態です。そして、ここにも企業経営に参考になるところがあるな、と思っています。売上を上げようとすること、新しい商品を取り込もうとすること、これは比較的経営者が取組やすい課題です。なぜなら、とても明らかで見えやすいから。でも、オリンピック選手の例と同じく、内面は大事なのに見えない、だから鍛えない、そんな企業さんは沢山おられます。売上ばかり気にして、収益構造は後回し、従業員の待遇改善も後回し。

 社員からの提案を待つ、受け入れる、そんなことも大切ですが、やはり経営者が鋼のマインドで、「絶対これだけはやってやる!」という理念の元、方針を発信すること。これがスタートになります。あとは部分部分を鍛えていったり、メリハリをつけて投資したり、ということが必要で、外側の「売上」より「収益【構造】」にどこまでメスが入れられるか、魂こめられるか、これがポイントですよね!中国語でも「鉄心:ティエ・シン」といって、「心を固める」つまり、「鉄」が動詞のように使われます。外側は外部環境に柔軟に対応していけるように柔らかく、そして内は確固とした決意が、覚悟があるか。あと半分、オリンピックを見ながら、色々考えてみたいと思います。



铁心 ‌‌[tie3 xin1]‌ ‌2021/8/2




295.プロのコンサルティングの目指すところ

 ありがたいことに、新しいお客様とのコンサルティング契約がまとまり、定期的にコンサルティングを実施することになりました。さて、定期的に、何を、どのように進めていきましょうか。コンサルタントなら、対象となる企業様の状況を観察したり、ヒヤリングなどで深堀したりしながら、課題を抽出し、改善の提案をし、計画を立て、一緒に進行していく、そんなプロセスになるでしょう。

 それで間違いはないのですが、「課題を抽出し」で、どうしても眼が「粗探し」になりがち。また、イノベーションと呼べるような大きな変化を目指してしまいがちなので、毎日の業務で忙しい現場の方々には受け入れられないなんてことも。そうすると、「せっかく課題を見つけて、それを改善し、会社がよくなる地図を描いてあげたのに…」と思うコンサルタントに、「いつもやっていたことを、いきなり第三者がやってきて、批判的にいわれても…」と、企業側のご担当者。これでは相容れることもなく、コンサルティングもなんとなく積極的に聞く気にもなれず…その結果、コンサルティングの時間もお金も、お互いに勿体ないことになってしまいます。

 コンサルティングはサービス業です。マッサージや美容院、レストラン等と同様、一人のサービス提供者が一度にできることには限界があります。また、マッサージや美容院、レストランでは、案内された場所に座ったり寝転んだりしていると、サービスを提供していただけるのですが、コンサルティングは、相手にも集中して聞いていただいたり、聞いた内容を元に考えていただいたり、行動に移していただかなければいけません。私たち、コンサルタントは、「課題を抽出して」、「改善案を策定して」、「それに興味を持っていただいて、動いていただけるように話す」ことが、その求められる役割なんだろうな、と再認識しています。その三番目の「興味をもっていただいて、動いていただけるように」がポイントであり、そんな話し方、接し方ができるようなスキル磨きをしないと、ってことなんですよね。研修やモノの本では「課題抽出」「改善策策定」のノウハウは出回っていますし、案外第三者であれば、冷静にみるので、他人の課題は見つけやすいかもしれません。

 マッサージや美容院、レストランで高い満足性を引き出すには、清潔な施設、物腰柔らかい対応、美味しいお料理、お洒落なヘアスタイルによく効くマッサージといった効果が必要なのと同様、私たちはサービス事業者として、聞いていて心地よくなるような雰囲気を醸し出しながら話せないといけない!という訳です。そこで今日のことわざ、「吊胃口:ディアオ・ウェイ・コウ」胃袋を吊り上げる、食欲をあげる、ということから、人の興味をそそる、という意味のようです。「食べてみたい!」「キレイになりたい!」「肩こりを取りたい!」と思わせるような自分磨き、年齢・経験と共に積み重ねが必要ですね!

吊胃口 ‌‌[diao4 wei4 kou3]‌ ‌2021/7/26



294.隣の芝生は

 自社が上手くいってもいかなくても、他社のことは気になりますよね。「テレワーク、同業者でやっているところはありますか?」「職域接種、他の会社さんは取り入れられていますか?」等。本日も、初めてのコンサル先での出だし、どうしようかな…と悩んだ末、業界の中で自社がどの辺りの位置にいるのか、ちょっと簡単なクイズにしながら、お話を始めておりました。案外、自社が業界の中のどの位置にいるものなのか、文句は言うけれど、具体的に知っている人、少ないのです。

 会社が大きければよい、というものでもありません。ただ、大きい方が、規模の経済はたらくので、「管理をすれば」利益は出やすくなります。

 そう、「管理をすれば」ですね。すでに大きい会社、すでに制度が整っている会社、そして既に業績を安定的に利益が出ている会社…自分が変えなくてもすでに先人の努力の結晶が目の前にある会社では、なかなか危機感・緊張感をもって仕事ができません。人を脅かす訳ではないですが、危機感がないと、変革や改善はなかなか進められません。

 あるコンサルタントさんは、社内での改革のお手伝いをする際、社員の皆さんにその気になってもらうためには、「このままでは行けないよ」という危機感を持ってもらうことが大切、と仰っていました。確かにそうですね。あるいは、少し、かすり傷程度のケガをするぐらいでも良いかもしれません。そうでないと、自分の置かれた環境を他と比べ、他の良いところばかり目についてしまいますから。

 「紅眼病:ホン・イェン・ビン」結膜炎または、他人のことをうらやましく思うこと。他人の芝生ばかり見ていると、眼が赤くなってしまうのかもしれませんね。目の前の現実、自分の置かれた環境を冷静に見つめ、或る時は事務的に、或る時は熱く、取組んでみましょうか。

紅眼病 ‌‌[hong2 yan3 bing4]‌ ‌2021/7/19  

 




293.寄り添う難しさ

 

 本日は、コンサルティング・スキルについて、自分への戒めの気持ちも込めて。

 コンサルタントは、何かしらの分野で、専門的に勉強し、あるいはその分野の知識や情報、実務経験が豊富等、人よりも長けたところがあって、それを武器にお客様を良い方向に「導く」のが仕事。「導く」でなくても、「背中を押す」でも構わない。いずれにしても、知識の伝達だけでなく、そこから何等かのアクションをおこしてくださるように、もっといえば継続してくださるように、その必要性を説明し、一歩を踏み出しやすくするころ。

 しかし、私もそうでしたが、なりたてのコンサルタントは、「とにかく役に立ちたい!」「私が知っていること、全部知ってほしい!」なんて気持ちが強すぎて、相手が受け入れる体制でなくても、あるいは他の業務も忙しくて、もういっぱいいっぱいになっていても、これでもか、これでもかと、知識投げつけ攻撃をやめない。これでは、折角の情報も、もったいない。

 大学時代、教育実習で母校の高校に行った時も、担当の先生に「教えたいことの全部を言っても、受け手、しかも高校生じゃまだ難しい。教えたいことの2割ぐらいまで落としてごらん?」「2割!!!???」と思いましたが、その通りでした。少ない課題だと、集中して取組んでもらえますし、新しくやることでも負担感が小さい。それに、学校と違い、私たちは相手は大人、しかも一家の主である社長様。その会社をどうしたいか、社長様が考えておられるものを、より良い方向に導くお手伝い、伴走をする。これこそが私たちの仕事でしょう。

 あくまで企業の社長様には、我が道を進んで頂く。そのベースの上に、よりよくなるサービスを、少しずつ。どれだけその道に寄り添うことができるか、相手主体で進めることができるか。「我行我素:ウォー・シン・ウォー・スー」、良くも悪しくも「我が道を行く」の意味。その社長さんにぴったりの方法を、見出し、お付き合いしながら改善していけること、仲間たちと考えたいと思います。

我行我素 ‌‌[wo3 xing2 wo3 su4]‌ ‌2021/7/12



292. 学費を

 

 もともと、私は計画を立てて、その通りにチャキチャキとこなしていくことが好きで、メールが来てもすぐに返事し、限られた時間に一杯詰め込んでいました。判断をすることも、答えを出すことも、早い方がよい、と思っていました。「いました」です。今はどうか?「早い方がよいものもあれば、時間を稼いだ方が良いこともある」なんです。

 年齢を経るに従い、仕事上でのミッションは;

「言われたことをキチンとやること」から、

「言われた方針と手段で、仕事を創造すること」

「言われた方針と手段で、仕事を創造し、組織を動かすこと」

「方針と手段を考えること」

…と、変っていきます。そうすると、努力の対象が、自分自身からチーム、部署、会社、グループと、どんどん規模が大きくなっていきます。そこで気が付くのが、「人は色々」。100%同意、100%同じようには無理ですし、どこかに妥協もあれば、我慢もある。でもできるだけ衝突や喧嘩がないように、努力する…。そんな「大人」の事情を少しずつ分かってくるようになります。

 見方によれば、瞬発力が鈍っただけのようにも思えますが、早く答えを出さないと、未熟さはカバーできなかった20代とは違い、50代ともなると、その先に何が起こるかが大体見えてきます。また、何かが起こってもそんなに驚かず、ソフトランディングしたほうがよい、と理解しています。柔軟にとらえられること、ゆっくり考えて答えを出すことができること、これは年齢を得たことで身に付くスキルだと思います。

 先週もあったのですよ。色々こちらの主張に対し、沢山の反論をこれでもか、と、投げられました。早く弁明しないと!という気持ちと、ん?もう金曜日の夕方だから、あと二日ゆっくり考えられる!と、二つのアイディアが浮かび、私は後者をとりました。お蔭で今日はスムースに考えがまとまり、打合せも上手くいきました。こうやって、失敗しながら、経験も積ながら、柔軟に対応していけるように、少しずつなるものですね。経験は学費を払っているのと同じ。中国語でもやはり、「交学費:ジィアオ・シュエ・フェイ」。もちろん、本物の学費を払う、ということでも使うのですが、成功・成長するために、失敗したり、嫌な思いもする、ということ。失敗をそう捉えるようになるのも、やはり50代だから??まあ、そこは深く考えず、あちこちで学費を支払いましょうか♪

交学费 ‌‌[jiao1xue2 fei4]‌ ‌2021/7/5


 


291. 喉痛に、思う

  雨が降ったり、朝夕冷えたり、かと思えば日中は30度を超えたり…と、変わりやすいお天気ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?私は週末、子供達の野球の試合や練習、さらにはPTA活動で、ちょっと疲れ気味です。学校の会議室は冷房がかなり効いていて、上着は持って行っていたのですが、ちょっと肌寒く感じていました。その後、自転車で球場に出て汗をかき、観客席には入れないので外から立ったまま暑い場所で見ていたので、カラダがびっくりしてしまったようです。しかも土日連続で試合があり、彼らの精神的なケアやおにぎり作りでなんだか喉がガサガサ。それ以外には熱もないのですが、風邪は万病のもと、本当に気を付けないといけませんね。

 一方、会社での「風邪は万病のもと」の「風邪」はどんなことが当てはまるでしょうか?資金繰り?赤字?私はそれに至るまでの、簡単にこじれやすいこと、社員の意欲だと思っています。社員が一生懸命、楽しく仕事ができる雰囲気だと、トラブルは一緒に乗り越えられるのですが、モチベーションが上がらないような環境では、集中力がなくなり、ミスが出て、その後処理で嫌気がさし…と、悪い循環に入ってしまいます。

 中高生の野球の試合を見て、監督である先生と選手である生徒、経営者と従業員の間の関係に、似たところがあるな~と思いました。先生が、部活動の規律や雰囲気を保ちながらも、楽しくモチベーションがあがるような環境を準備し、チャンスを与えると、子供達は生き生き、のびのびとプレーします。同じように、経営者は従業員が働く環境と整え、リスクに向かっていったり、新しいものに挑戦したりする機会を与えていくと、自分に任された!と気概に思う社員は、グングンと伸びていきます。やはり学校は社会で生きていくための勉強の場所ですね。

 と、いうことで、喉のカサカサ、何度かうがいをすると随分よくなりましたが、早めに休んで、しっかり治します!今週のことわざ、風邪は万病のもと、「百病之根:バイ・ビン・ジー・グン」中国語では、万ではなく、百でしたか。いずれにせよ、普段からの小さな心がけが、大きな結果につながりそうですね。今週もコツコツ、積み上げていきましょう。



百病之根 ‌‌[bai3 bing4 zhi1 gen1 ]‌ ‌2021/6/28



290. 続、リーダーの役割

  今、あるプロジェクトの最中、いや、クライマックスの段階におり、これを書いています。最後のまとめをしながら、このプロジェクトの期間中、どんな良いことがあって、どんな反省すべきところがあったか…。色んなことが思い浮かびます。

 私は元々、出産を機に自分の裁量で仕事ができるコンサルタントになろうと思って、勉強したり、中小企業診断士の試験を受けたりしてきました。しかし、実際にコンサルタントをやってみると、ある程度までは一人で、自由にできるのですが、もうちょっと幅広く、お客様とも長くお付き合いしようと思うと、自分一人では能力的にも、ネットワークの面でも、色々問題があるな~と実感し、「ちょっとITプロジェクト」なるものを立ち上げ、今も10名のパートナーの皆さんに協力いただきながら、コンサルティングのチームワークを鍛えています。

 そして今回のプロジェクトのお話。チームを組んで、一緒に取り組む時、もし、コミュニケーションがきちんと取れていないチームだと、「もういい!一人でやった方が速い!」となってしまいますね。その結果、結局一人でやることになり、進歩が見込めない。一方、コミュニケーションはよくても、話しているだけで進まなかったり、何となく意見が違うけど、どこで落ち着いたらいいのか、ボーダーラインはどう決めたらよいのか、チームで仕事をするとそんなこともありますよね。今回、私は後者の方で、少し迷いを感じました。

 そうだ、先陣を切るリーダーが必要だ!

 違う意見を持つ人がいるチームだからこそ、新しいものができる。でも、どうやって妥協したり、時にはある人の意見を採用したり、と、小さな判断をタイムリーにしていくか。また、コンサルタントにとって、ではなく、お客様の企業にとって、が明確になっているか、お客様ともコンタクトが維持できているか。これはリーダーの大切な役割ですね。下っ端にいるときは、「リーダーって口だけで良いよな」なんて思うものですが、本当に必要だわ!!と、今回改めて感じました。

 「打頭陣(ダー・トウ・ジェン)」先陣を切る、先駆けをする。組織の皆が迷うことなく、同じ志で目標に向かっていけるよう、やはりリーダーは大切です!

打头阵 ‌‌[da3 tou2 zhen4 ]‌ ‌2021/6/14




289. リーダーの役割

 コロナ禍からの経済復興に向けて、あちこちで色んな起業支援策や、努力と工夫をされている事業者さんのニュースが聞かれます。急に売上が下がり、資金繰りのために、新サービスや商品の開発と販売に、あるいは公的窓口や金融機関窓口を奔走された経営者様も、行きつく間もなく、目は次に向いておられ、身体も心も休まることが無い状態かと思います。どうか、まずは健康第一、休息もより効率の高い業務のため、と思って、隙を見て休んでくださいね!

 とはいえ、中小企業白書2021年版でも指摘されていますが、事業環境の変化に合わせ、柔軟な対応ができている企業ほど業績回復が早いようです。ただ、これはコロナ禍という世界的な大きな出来事に限らず、常にどれだけ外部にアンテナを張り、機会や流れを察知しているか、自分たちの状況がどうなのか、視線をあちこち、複眼的に見られているかどうか、ということがポイントになります。

 多くの中小企業様の場合は、経営者様も営業や現場の第一線で活躍され、プレイング・マネージャーとして大車輪の働きをされています。『経営者』のみの業務をされているところは、規模の問題もあり、なかなか少数派でしょうか。もちろん、現場に接しておられからこそ、環境の状況に機敏に対応できる、ということもあります。ただ、人間は自分が当事者として真ん中に入ってしまうと、目の前のことに忙殺されていしまい、ちょっと離れてみる、冷静になる、客観的に考える、ということが難しくなります。

 私はいつも経営者さんにお話するのですが、「社長の仕事は方針を示すこと、判断をすること。」。当事者として混乱の中に入ってしまうと、なかなかこの重責を担うことができません。でも、時には「今現場を助けないと、本当に大変なんだ!」という状況もあるでしょう。そんなときは社長は現場の手助けに入ることも必要です。しかし、目の前の事を、毎日同じようなリズムで過ごしていると、環境は変り、事業は自ずと衰退していってしまいます。やはり組織には、「方向を示す人、判断する人」が必要なのです。

 日本の教育は護送船団方式と揶揄されるように、底辺を上げるスタイル。リーダーを育てるという概念、気風が他の国よりは弱い様に思えます。人の上に立つ、責任をもって組織を引っ張る、タイムフレームを管理する…。そんな指揮者がいないと、なかなか組織は進みません。速く走れる組織は、しっかりしたリーダーが前から引っ張ったり、後ろから押したりしながら組織が加速するよう、作用されているのでしょう。「快馬加鞭(クワイ・マー・ジィア・ビィエン)」速い馬に鞭を打つ、もともと速く動ける体質でないと、急に鞭打ってもびっくりして動けませんね。辛いこともありますが、リーダーの皆さん、健康に気を付けて、組織に動いてもらえるよう、工夫していきましょう!

快马加鞭 ‌‌[kuai4 ma3 jia1 bian1 ]‌ ‌2021/6/7

 



288. 不要なブラックボックスを作らないように


 最近のテレワークのコンサルティングで、よく質問にあがるのが、情報セキュリティのことです。「情報セキュリティ」。さて、この言葉を聞いて、皆さんはどんなことを思い浮かべられますか?具体的に「情報セキュリティ管理」は、何をすることでしょうか?

 とにかく「管理シゴト」というのは、利益を生まないのに、法律や業界のルール等で定められていて、面倒なことではあります…が、それがないと、事業を継続する上での資格を維持できなくなったり、お客様に対しても信用を失うことにもなってしまいます。折角やるなら、意味を考えて、本当に必要なことを、効率的にやりたいですよね。では、まず何にポイントをおいて、何から着手すればよいでしょうか?

 私が企業様のお話をお聞きしていて感じるのが、「(機密)情報」の定義や段階・グループ分けができている企業さんが案外少ないことです。取り扱う情報が余りに多くて、何がなんだか、毎日の忙しさの中で、意識している暇はない!というイメージでしょうか。機密情報といっても様々で、極秘プロジェクトや、特許情報など、社内であっても一部のメンバーしかしらない門外不出のものもあれば、請求書等、漏れたり別の人に送ってしまったら確かにマズイけど、極秘!というというほどのものではない…というもの、そして、別に秘密ではないけれど、社外の人に教えるには本人に確認とっておきたいメールアドレスや携帯電話番号。漏れてしまったときの損害の種類、大きさが全然異なりますよね。起こりもしていないことを、細やかに分ける必要はないにせよ、大きくどんなリスクがあるのか、把握しておくこと、これが「備え」の意識ですよね。リスクの種類に応じて、対応を決めておく。そしてその対応策が時代遅れになっていないか、リスクそのものが変っていないか見直す、そんな体制つくりも大切でしょう。

 しかし、今日言いたいのは、こちらのことではなく、むしろ共有したほうがよいのに、個人しか知らないことが多すぎるのでは???ということ。長く紙の文化が定着している日本の事務所では、なかなかペーパレス化が進まない。1人一台パソコンはあるのに、それぞれがどんな資料をつくり、何を管理して、何に時間がかかって残業をそんなにしているのか、管理しきれていない会社さん、本当に多いです。秘密情報は秘密情報として、意識して守る対策を取ってほしいですが、会社の業務効率化の為には、意識して共有することをしていただきたいのです。人間は急に体調が悪くなることもありますし、体調以外の理由で急に会社に行けなくなることもあります。そんなときに、おんなじ組織の誰も、何も手伝えないという状況になってしまっていないでしょうか?

 一人で背負ってしまって、休みさえ取れない、そんなお悩みをお聞きしたこともありました。まさに「背包袱:ベイ・バオ・フー」風呂敷を背負う、精神的にも、経済的にも負担になる、ということ。会社で働いているのに、業務を共有できず、協力を得られず孤独を感じてしまう。テレワーク実施時の、業務上のチーム力向上のための、情報共有。考えなければいけないことは沢山ありますが、 守らなければいけない機密情報と、共有する方がスムーズな業務情報、ちょっと目を向けてみてください。

背包袱 ‌‌[bei1 bao1 fu2 ]‌ ‌2021/5/24



287. 経営者にも、コンサルタントにも、親にも必要なこと

 昭和に青春を過ごしてきた世代からすると、なんの珍しさもなかった、部活のしごきや指導者の暴言(というか、あまり美しくない言葉)、論理的に説明できないけど「気合いだ~っ!」ド根性。時は令和。とても社会には受け入れられませんね。もちろん「熱血経営者」を否定するわけではありません。経営者が事業へのパッションを無くしてしまったら、会社組織は行くべき方向を見失ってしまいます。組織に向かって、「いくぞ~!これを実現するぞ~!」と大声を張り上げているときは良いのです。いや、それは必要なのです。今日問題にするのは、個々に部下、社員に接するとき。

 「自分の想いはこうだ。だから貴方にはこうして欲しい。」

 「自分は貴方よりも業界で、人生で経験を積んでいる。経験上次はこうすべき!」

 「この業界(会社)は昔からずっとこうなんだ。」

 …と、熱い思いで全体に方向を示す、全体を引っ張るのと同じ熱量で、個別メンバーにも対応してしまうと、「あれ?方針を説明したときには、頷いてくれていたのに、なんでこんなに反発??」という結果に。人はみな、攻撃されている!と思うと態度を硬化させ、不必要にムキになってしまったりします。また、普段から注意してやろう!一言いってやろう!と凄んでいたけど、その相手から自分のことを褒められたりすると、ふにゃ、と攻撃する気がしぼんでしまうものです。

 そんなこと、100も分かっているのに!!実際にできないのも、これまたヒトの悲しい性。特に、毎日一緒にお仕事する部下や、毎日一つ屋根の下一緒に生活する子供など、親しければ親しいほど、眉毛吊り上げて大きな声、出してしまうんですよね~。そうそう、コンサルタントもそうです。企業さんの弱みや課題となるポイントを列挙し、善かれと思って経営者さんに説明するんですが、大抵の経営者さんは、そんなこと分かっていて、でも忙しかったり、ちょっと処理を後回しにしてみたりされているだけなんです。そんな中での自分の会社の問題列挙は、「うるさーい!じゃ、貴方、代わりに社長やってよ!」と、言われてしまいますよね。(私はこのようには言われたことは無いですが、それに煮たレベルのことは起業直後に言われました…)

 「吃軟不吃硬:チー・ルワン・ブー・チー・イン」相手を受け入れ、下手に出ると気持ちよく聞いてくれるが、こちらが強気に出ると拒絶する。相手のことを思っての問題解決の提案、本当に相手のことを思うなら、相手が自分のコメントを受け入れ、さらに改善に向けて本当に行動してくれる表現・方法を会得しないといけませんね。ふむふむ、これは若者よりはミドル・シニアの方が上手かな。素敵に年を重ねましょ♬

 

吃软不吃硬 ‌‌[chi1 ruan3 bu4 chi1 ying4 ]‌ ‌2021/5/17



286. どんな力が必要なのか

 「中小だからお金が無い」「中小だからできない」「中小だから良い人が集まらない」…こんな言葉の数々、企業経営者さんの口からから、よく聞かれます。確かにそういう部分もあるかもしれません。でも、商品・サービス提供のための組織運営というのは、なかなか複雑で、単純な物量だけで図れないことが多くあります。

 3年前からテレワークのコンサルティングを行うようになり、私たちも中小企業診断士ながら、中堅~大企業のお客様にもお会いできる機会が増えました。すると、大企業さんには中小企業さんにはない、大企業さん特有の制限やらお悩みがあるのです。ただ、考え方で同じポイントがあります。人は(とっても概して、ですが)、「何か新しいものをやろう!」ということについては、プレッシャーや、失敗の怖さ、新しいものに慣れるまでの面倒くささが伴うので積極的な態度を示さないことが多いです。(皆さんは如何ですか?)一方、「やらない!やりたくない!」ということについては、非常に一生懸命になる傾向があります。「〇〇してください」と言われ、まずは「うわっ!面倒くさい!!大変そう!!時間ない!!」が先にきてしまうので、どうしても返事は「え~」から始まってしまいがち。そして、できない!と断るためには、物凄い短時間で断るための理由をかき集めます。

 今日は「やる気は有るけど力が無い」ということわざをご紹介したい一方、その「無い」と言っている「力」とは何ですか?他に補える「力」はありませんか?と問うてみたいのです。

 「力不従心:リー、ブー、ツォン・シン」力が心に従わない、やる気は有るのに、力がない、という、ある意味謙遜だったり、遠回しにお断りするような言葉。企業さんの「財力」が無かったり、「大量の集客力」「宣伝力」がない、というような「力」もそうかもしれませんね。テレワークをやりたいのだけれど、ICTに詳しい人が居ない、ICTツールを買うお金が無い、忙しくてやっている暇がない…。確かに、お金がなければ新しいツールも買えないし、知識がなければ何を買ってよいのかも分からない。でもね。そうやって断られる方がおられる一方で、「こんなサービスにしたい」「こんな会社にしたい」「とにかく社員を大事にしたい」という「問題を解決しようとする力」「意欲を起こす力」「なんとか実現しようとする力」がある経営者さんのところは、そのための知識や情報が集まるのです。いや、こういった意欲が情報を集めようとされるのです。

 物理的にないものはない、足りないものは足りない。それが現実なら、そのまま我慢するか、工夫して違う方法にするか、ですよね。アイデアとアレンジだけで工場を持たないファブレスのメーカーさんはその最たるものでしょうか。100%の人間はいない、と言われているのと同様、企業さんだって、何でも全て自社でやるにはお金も時間もかかってしまいますし、全て完全、という分けにはいかないでしょう。そんな中でも「こうしたい、でもこれがない、だからこうして工夫して実現したい」といった「工夫力」「行動力」そして、専門家に「助けを求める力」が大切。それこそが、スマートに、かつ強みを活かしながら楽しくお仕事できる「力」ですよね。

 

力不从心 ‌‌[li4 bu4 cong2 xin1 ]‌ ‌2021/5/10


285. 昨年の今頃は

 東京では、昨日から三回目の緊急事態宣言発出。我が家の都立高校生は、部活動休止、在宅オンライン学習と登校のミックス。地元中学生は、対策をして登校、部活もあり。もう一人の大人は、在宅日が決められている模様。そして、私は…ありがたいことにお仕事は頂きながらも、家を出ることが殆どないため、敢えて庭に出てみたり、台所でスクワットをしてみたり。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

 去年の4月、はじめての緊急事態宣言が出たころは、「桜は来年見てください。とにかくStay home!」でしたね。外出や人と会うのを我慢するのに、だれが決めたか、勝手に来年の今頃は大丈夫!みたいな気持ちのゴール設定が、共有されてしまっていたのかもしれません。今年になってワクチン接種も始まり、中小企業向けには再構築補助金も始まって、「さあ!コロナに負けず新しいチャレンジをする企業さん、応援しますよ!」というメッセージが発信されました。また、TOKYO2020まで100日を切って、病魔に襲われた天才スイマーが素晴らしい復帰を果たしたこともメディアに大きく取り上げられ、ここから復活オリンピックだ!そんなシナリオ、そんなイメージで、オリンピックに限らず、色んな方が色んな復活の準備を進めて来られましたよね。そんな中での三度目の宣言、本当に多くの方をがっかりさせていると思います。

 そんな中、当社では、新しいチャレンジのご相談を何件かお受けいたしました。もちろん、コロナ禍で経営は大打撃です。それでも次に目を向けられ、今何をしなければならないか、数年後の会社のために、何を大事にしなければならないか、明確に描かれている企業経営者さま。このような経営者さまの素晴らしいところは、「リスクは小さくする努力はできるけど、排除はできない、悪いことは起こってしまう」と、腹をくくられているところです。人の気持ちとしては、あと何か月経てば、来年には…と、期限をくぎって希望を持ちたいところなのですが、その点は非常に冷静で、この環境に目を背けることなく、受け留めて対応を練られています。

 また、普段から従業員との関係性も有効的なので、そんな簡単に組織にダメージは生じない、というか、逆に逆境で団結力の強まるところもあるほどです。誰にとっても、今の状況は「こんなはずじゃなかった」という予想外の状況。中国語では「爆冷門:バオ・ラン・メン」。番狂わせ、予想外の展開ということですが、上記のような経営者の方々の「雨降って地固まる」のような組織運営を敬いながら見習い、自分の組織も、そしてお客様の組織も、改めて強くしていきたい!そう感じた次第です。どうか皆さんも、気を付けて参りましょう。

爆冷门 ‌‌[bao4 leng3 men2i ]‌ ‌2021/4/26



284. 役を引き受けるのは損なのか


 昨年度に引き続き、子供の通う中学校でPTA役員を担当しています。母親の就労も、なんの珍しさもなくなった今日この頃、PTA活動だけが昭和形式だと、本当にやれる人がいなくなります。しかもメディアが煽るように描く「PTAって大変」記事等の影響もあって(だと思うのですが…)まだまだ「PTAって学校に何度も行かなければならない」「打合せが平日昼間にある」と思っている方が沢山おられるようです。

 昨年のコロナ禍での緊急事態宣言、一斉休校の中、メールやホームページを活用し、色々工夫をしてきました。それがある意味、昭和のPTAから現代版に改革する契機だったともいえます。が、人の心や記憶、PTAに対するイメージはそんなに簡単に変わりません。今年は昨年とは違い、実際に保護者会を開催し、皆さんとお話できる場はあったのですが、全てがスムーズだった、とは言えませんでした。もちろん、密を避け、長時間一緒にいることも回避するため、委員の希望アンケートをオンラインで事前にとり、やっていただける方には事前にアプローチしてはあったのですが、たとえば8割がスムーズに運んだとしても、2割がうまくいかないとブレーキになってしまいます。そうすると、場の雰囲気に「イライラ」が漂い始め、優しい人、本当は忙しいのに誰もやらないなら…と思ってしまう人が最後の決まらない部分を埋めてくれることになります。

 週末、我が家は皆家にいたので、そんな話をしていると、夫や息子達も「そういう優しい人が損をするんだよ」と相槌を打っていました。損?損なのでしょうか?

 確かに、PTAは完全にボランティアですし、どこの学校も、だとは思いますが任意加入。やってもいいし、やらなくても悪いわけではない。でも、やる人がいないと、学校と子供と地域を結びつける役がいなくなり、学校の負担が激増するんですよね。その結果、自分の子供にも影響が波及する…という風が吹けば桶屋が儲かるシステム。「子どものために!」なんて正義をかざそうとしても、煙たがられたりします。上海に住んでいたころ、日本人学校のPTAは非常に厳しく、委員を断るにはその理由の範囲が厳格に決められていて、委員を決める会議の欠席も許されませんでした。でも、そんな気持ちでやれば、やらされ感満載で、親同士の雰囲気も悪くなってしまいます。

 確かにその時はちょっと面倒なこともあると思うのですが、人間関係は広がるし、案外自分の問題がちっぽけに見えたり、先生方とお話する機会も増えるので普通ではいただけないアドバイスだとか、学校の様子も知ることができます。それが「やって良かった」と思える人達と共有できることが良いことなんですよね。きっと。そしてそれが将来的には上手くいろんな社会でやっていける武器にも自信にもなると思うんですよ。「喫小亏占大便宜:チー・シャオ・クイ・ジャン・ダー・ピィエン・イー」、小さな損をして、大きな利益を得る、ということ。どんな事業改革も経営改革も、始めは慣れないとか、色んな考えの人をまとめたりとか、苦労はつきものです。だからその後、上手くいくんです!そう思って、PTAもテレワークコンサルティングも、今年度は頑張って参ります!

 

吃小亏占大便宜 ‌‌[chi1 xiao3 kui1 zhan4 da4 pian2 yi ]‌ ‌2021/4/19


283. ドキドキを楽しもう


 新年度が始まりました。この春、学生から社会人の仲間入りをされた方、社会ってどんなところだろう、会社ってどんな厳しさがあるんだろう、夢に向かって進めるだろうか…緊張や期待で胸がいっぱいのことでしょう。学生の皆さんも新しい学校や学年に上がり、これから始まる新しい一年にドキドキされていることとと思います。どうかその気持ち、覚えておいて、できれば違うドキドキをいつまでも感じていられるような学校生活、会社生活を送ってくださいね。

 初めのドキドキも、時が経てば慣れていくので、よくいえばストレスは無くなるのですが、悪く言うと緊張感がなくなります。初めのころのようなトキメキがなくなります。これは一般的な事象でもありますし、いつまでも緊張し続ける方が体に悪いかもしれません。ただ、良い緊張感や小さくてもいいので今の自分より一歩上を目指すことは、止めてはいけないと思うのです。

 中小企業白書でも、イノベーション(改革)を行う会社は業績がよい、ということが示されています。私たちが望む、望まないに関わらず、世の中は変化し、人々の考え方や感じ方も変わっていきます。すると当然、市場も変わるので、ずっと何もかも旧態依然としたスタイルを貫く(というと聞こえはいいですが、固執する?)ことは、市場から外れてしまうリスクを伴います。しかし、学校のテストと違い、正答は何なのか、いつ結果が分かるのか、その判断は自分でしかできないビジネスでは、自分で考え、自分で仮説を立て、チームメンバーに理解してもらい、そして協力して行動する、ということが求められます。その行動の先の成功とは何で、失敗したらどうするのか、これも計画することになるでしょう。何が起こるか分からない中での計画や失敗の場合の対策を考えることは、未知の世界に飛び込む入社や進学と同じですよね。このドキドキ感、本当に大切です。

 世の中のシゴトの多くがAIに変られてしまうだろうと言われていますが、AIは今あるもの・ことのデータを集約し、そこから得られる傾向を数値的に分析してくれます。経営コンサルティングをしているとよく聞く「ウチの社員はシゴトをしている振りをしてるだけ」という愚痴、このようなシゴトの仕方をされている方々の多くは、パターン化されたアクションを繰り返されているので、本当に自動化されてしまうことが考えられます。逆に、自分の会社のことを自分事としてとらえ、お客様はどう喜んでくれるか、チームメンバーはどうすれば気持ちよく協業してくれるか、自分たちにしかできないことは何かを考え、いつもドキドキ挑戦をしている方々やそんなメンバーが集う集団は「強い」のです。

 「捏一把汗:ニィエ・イー・バー・ハン」…一つかみの汗をこねる…と直訳するとこうなりますが、手に汗をぎゅ~っと握る様子から、はらはらする、という意味です。「難が無い」のはつまらない。「難が有る」からドキドキハラハラできる。そして「有り難う」と感謝の気持ちも心から言えるんですね。今年度も新しいドキドキハラハラ、楽しみましょう!

捏一把汗 ‌‌[nie1 yi1 ba3 han4 ]‌ ‌2021/4/5

282. 強さへの転機に


 2020年度も終わろうとしています。今年一年を振り返るテレビ番組、担当キャスターが変わるとかで卒業イベント、このコロナ禍で大変だった人たちのクローズアップとか、特番が目立ちますね。新しい生活の始まりの中、平常と思っていたことができなかった、そんな一年だったんだろうと改めて考えさせられる週末でした。みなさんは、いかがお過ごしでしたか?

 緊急事態宣言も解除され、営業時間に規制が残る飲食業界さんもありますが、多くは対応をしながらも通常の業務に戻ろうと努力・工夫され、一次的に支払いを止めた税金や年金等の支払いの再開やその計画を立てよう、とされている事業さまも、おられることでしょう。私もそういった企業様のお手伝いをさせていただいていますが、大体ピンチというのは、一つといわず、まとめて来るものですよね。「泣きっ面に蜂」と言われるように、一つ悪いことが起こると、連鎖的に発生する。「なんで今?」「なんで私だけ??」そう言いたいような時、ご経験ありませんか?こんなとき、どうやって解決しましょうか?

 幼いころに受けた教育は、「これは良い。これは悪い。」と、白黒はっきり。なので、問題解決も「ごめんね」と互いに謝って、握手して解決…とシンプルでした。ところが、大人になればなるほど、「良い・悪いでは片付けられない」ことが増えてきます。また、自分の家族では良くても、会社では良くない、という、価値観や決まりが異なる組織で過ごすこともあるため、その時その時に優先順位を決めて判断し、行動していかなければならなくなります。誰でも良くない状況はすぐにでも脱出したいし、あれこれストレスの溜まる交渉を長くするよりは、すぐにOKサインを出したいです。中途半端で危なっかしいところに長くたっているのが嫌なのです。いや、嫌な状況だ、とうすうす気づいていても、それを直視したくない、認めたくないのです。

 だから、でしょうか。私が見ている中では、ピンチからの脱出の成否は、「良い・悪い」ではなく、「強い・弱い」に分岐します。事業再生のお手伝いをしていると、不安定な境地に断たされる原因は実に様々で、自社の商品やサービスの原因だったり、時代の変遷、あるいは何か天災事変のような不運な原因。そこで状況を直視し、正しく把握し、その中での最高は何か、をどれだけ冷静に考え、行動できるかがターニングポイントになってきます。そして、そんなピンチでも、なんとか乗り越えられたなら、それが自信につながり、より強い組織に生まれ変わります。

 日本語で「ピンチはチャンス」と言いますが、ちょっと中国語を調べてみると、「危機就是転機:ウェイ・ジー・ジィウ・シー・ジュアン・ジー」と言うようです。「チャンス」の部分が「転機」なんですね。チャンスでもあり、成功と失敗の分岐点であるような気がします。ただし、ここで私が意味する「成功」とは、業績的に成功するという意味だけでなく、組織として再結束できるか、強い組織になれるか、ということを指しています。これからも、どんな事が起こっても「強い組織でいられるか」を永遠のテーマとして、企業様のサポートをしていきます!

危机就是转机 ‌‌[wei1 ji1 jiu4 shi4 zhuan3 ji1]‌ ‌2021/3/29


281. どこまでが貯えなのか


 年度末。新年度に向けて、書類の整理、なんとなく要るかな~、あとで見るかな~と思ってファイルしておいたり、棚に置いておいた書類、資料…。コロナ禍で家庭内のリフォームや断捨離が流行っているとの話も聞きますが、お仕事でもなかなか、判断の難しい問題ですね。しかも、判断も面倒くさくなって、またとりあえず積んでしまう…。

 会社も人間のカラダと似ています。よく、財務状況を見て、「筋肉質の会社」などと形容したりしますし、「無駄なコストを減らしましょう!」なんて、年がら年中言ってます。しかし、人間の体のように体脂肪何%~が筋肉質なのか、何%あったら脂肪が多すぎるのか、このあたりは簡単にはお答えできないんですね。ただ、いろんな指標から、業界の平均、規模に対しての割合、取引内容からの類推…で、数字を割り出すことはできます。目標を設定し、それに近づけよう!ということも可能になります。

 そう言ったとき、何が無駄になるでしょうか?やはり、在庫が資金繰りを圧迫したり、目につきにくいところでは、イレギュラーやクレームが多くて、事務員さんが後処理に追われて残業している…とか、もちろん、過大な交際費、それに内容のよく分からない仮払金なども、気になります。

 一方で「余裕」も必要です。カラダも、めちゃくちゃアスリートでなければ、ある程度の脂肪も必要ですよね。また、急に何かの理由で水分や栄養が補給出来なくなった時の為、ちょっとした貯えも必要。よく災害用に3日分の水や食料を(いや、一週間という説も…)ありますが、企業だってそうです。急に売上が下がる、収入源を断たれる、ということだって、事業をしていれば残念ながらゼロではありません。

 つまり、体はいつも、ちょっと貯えを持ちながらも、しっかり動ける筋肉質にしておかないと、ということなんですね。毎日体重計に乗ることが大事と、書かれているのを複数個所で見たことがありますが、財務諸表だってそうです。毎月見ましょう。そして、どこが筋肉質で、どこに貯えがあるか、意識しておくことが大切ですね。「備而不用:ベイ・アール・ブー・ヨン」使わないで、貯えておくこと。これも「程度」「さじ加減」とっても大事ですけどね。「無駄にならないように、忘れ去られないように、腐らせないように」お家でも職場でも、備えましょ!

备而不用 ‌‌[bei4 er2 bu4 yong4]‌ ‌2021/3/22


280. 卒業シーズンに想う


 あちこちで言われていることかとは思いますが、コロナに始まり、コロナに終わった一年でしたよね。もちろん、今も収束どころか、まだ第四波の兆しがあり、首都圏は緊急事態宣言も解除されていません。医療従事者にワクチン接種が始まっても、まだ劇的に社会が変ったわけではありません。でも、そんな一年でもやはり一年。学校で最終学年を送った子供たち、不安な中でも受験勉強を頑張った子供たちには、(国立大学の後期試験の結果はまだだったり、全て終わったわけではありませんが)次年度からの進路も決まり、まずはホッとされているのではないでしょうか。

 コロナ禍の状況がよくなってはいなくても、なんとなく暖かくなり、日差しがまぶしくて、お花がちらほら咲き出すと、だれでも開放的な気分になるものです。我慢我慢の一年だったから、余計にそんな気分の度合い(?)もアップしますよね。みんなで抱き合ったり、大勢でご飯を食べに行ったりできないところに、まだまだ窮屈さがあるものの、受験準備にチカラを注入した学生のみなさんも、彼ら彼女らを支え続けたカゾクの皆さまも、もしかしたら目指していた一番でではないところに進むことになったかもしれないけれど、どうか少しお休みください、なんて余計なお世話だけれども、言いたくなってしまいます。

 社会にでれば、1人で何でもできるようにも学生のみなさんなら思うかもしれません。確かに自由にできるお金は増えるでしょう。でも、お仕事を始めるならば、学生でいたころとはまた別の我慢や妥協、努力が必要になります。でも、新しい世界が見え、社会がどう回っているのかも分かり、新しい仲間もできます!それも楽しみの一つですよね。どんなことも笑顔で柔軟に乗り越えられるよう、大きな夢を持って、目の前の一つ一つを片付けて進んでいってください。

 そんな希望に満ちた春にふさわしい笑顔の四字成語。「満面春風:マン・ミィエン・チュン・フォン」、日本語では、春風満面というようですが、顔中笑顔、と同じ意味。日本は3月が期末、4月から新年度、という学校制度で、企業も3月決算のところが多く、なんとなく新しい一年を迎える希望に満ちた春風の笑顔のイメージですが、9月入学の中国語でもある、ということは、厳しい冬を乗り越えたあとの笑顔、という意味なんでしょうね。日本ではいつ、9月入学になるのやら…と、関係ない結びになってしまいました。この春ご卒業のみなさん、おめでとうございます!

满面春风 ‌‌[man3 mian4 chun1 feng1]‌ ‌2021/3/15


279. 時間の意識を


 テレワークの導入コンサルティングをしていて、やはり時間、効率、時間当たりの利益…こういったものを如何に意識するかが大切…と、日々新しい気づきを頂いています。

 テレワークは、在宅であれ、モバイルであれ、会社ではなく、見えないところで業務を行うので、より記録や現時点で何をしているかの可視化が大事になってきます。カレンダーでも日報でも、何かしらのインプットがあるので、表にできたり、今はどこにいる、という情報であったりして、互いに存在を気にしながらお仕事ができる、ということなんですが、案外時間の把握、出来ていない方が多いです。いや、時間に絡めて目標を立てたり、時間を意識しながら業務を進めていない人が多い、というのが正しいかもしれません。

 コンサルティングの手法の一つとして、現状の業務の棚卸をやりましょう!と提案することがよくあります。「え?そんな面倒なことするの?」と一瞬反応されても、できる人は、ちょっと考えればそれなりの形を作り、出来ない人は「毎日同じ仕事をしている訳じゃないから分からない」「途中で電話が入って来たりするから、何とも言えない」というExcuseが先に出てきます。いやいや、毎日本当におんなじシゴトしている人の方が、少ないですよね。そして、何らかの突発イベントや、クレーム、トラブルなど、時間なんて測っていないこともでてきてしまいます。それでも、結果を出せている人は、ざくっと自分の時間、把握されています。この違い、何なのでしょう?

 一つ言えるのは、「ミッションが理解できていない」ということ。自分が組織の中で、どんな役割を担っているのか、今一つピンと来ていない場合です。もう一つは「会社に行くことがシゴト」になっている場合。もちろん、全社のミッションが理解できていないから、ただ会社に来ているだけ、ということでもあるのですが…。そんなメンバーが、テレワークになり、自立して何か結果を創り出す、というのはなかなか困難です。普段、会社にいるときから、そういう考えで動く、収益や時間の目標に向かって動く、ゴールから逆算して、今やるべきことは何か、を考えて動く、こういう心身のトレーニングができていないのです。

 そうすると発生するのが「無駄」です。ゴールや終了時間を決めずに、テーマを決めずに、とりあえず集まる、というタイプの会議。議論してんだか、明後日の方向にただただ延びていっているのか、分かりません。そのうち、会議メンバーは集中力が切れ、終わることを心待ちにします。で、その長い時間で何が生まれたでしょうか?

 そして、更に言えるのが、そのようなシゴトの仕方、考え方の方は、何かの説明も、とにかく冗長になりがち。更にさらに!!そういうメンバーさんは、メールやチャットよりも電話を使いがち。頭で整理して書くメールやチャットよりも、「とにかく言う」ために言葉をぶつけるので、相手も大変です。これも、性格の問題ではなく、意識付けと普段のトレーニングでずいぶん改善できること。「費唇舌:フェイ・チュン・シュー」唇と舌を費やす、つまり、説明に言葉をいっぱいつかう、無駄に議論する、ということ。労力は目的を如何に忠実に、丁寧に、喜ばれるように達成するか!これを考え、行動することに向けましょう。そして忙しい期末の三月も乗り切りましょう!

 

费唇舌 ‌‌[fei4 chun2 she2]‌ ‌2021/3/8




278. 仕事への意識・意欲


 企業の社長さまとお話しておりますと、良く嘆かれるのは、従業員の方々の成績の良し悪しよりむしろ、意識や意欲の有無であることが多いです。明後日の方向に爆走してしまう社員と、悪いことはしないけれど、無気力で、新しいものや臨機応変に無頓着な社員。リーダーから見ると、どんな組織も、ですが、後者の方が困るのです。おそらく…子育てでもそうでしょうかね。やりたい放題(これは、程度に依るかもしれませんが💦)の子より、何をするにもパワーがでない子の方が、大変ですよね?

 組織の中で、何らかの目標を共にして過ごす時間があるなかで、できるだけ衝突は避けたい。毎日あうのに、後味悪くしたくない。これはよく分かります。意見が違っても、冷静に、相手を立てながら話し合いたいですよね。それでも目標への熱い思いがゆえに、衝突してしまうこともあるかもしれません。そうしたら…冷却期間を置いて、また前に進むことを考えないといけません。が、まあ、こっちの方が前には進めます。健全な状態、とでも言えましょうか。

 ところが、特にテレワーク導入のコンサルティングで、今までアナログなことが多かったけれど、少しずつITツールも入れて、効率化していこう!という会社さんもおられれば、とにかく新しいことは面倒くさい、早くなるかもしれないが、覚えるのは大変。それより、みんな、やるの?と、組織全体で億劫なところも少なくありません。そういう空気の中で、変えていこう!とリーダーシップを任される方は、本当に重荷で、ご苦労をされています。

 「早くやって」「キレイにやって」は分かりやすいのですが、「考えてやって」という指示、実はとても難しいのです。社長さんから見れば「無気力」と映る社員さん、実は考えて仕事をするように教えてもらっていなかったり、「なぜやるのか?」ではなく、「どういう順番でやるか?」しか教わっていないことが往々にしてあります。だから、教わった順番を死守しようとするし、効率的にやろうとも思えないんでしょうね。考えてやるなんて、私はそうやって習ったんだ!という塩梅。

 春になり、新しい社員に仕事を教える準備を始める会社さんも多いでしょう。是非是非「この会社の理念は何で、どこに向かっているのか」「目指す方向はどっちか」「その中で貴方のミッションは何か」、面倒くさくても、そこ、とっても大切です!しっかり準備してくださいね。

 そして、今日、春に出てくる虫…というか、ちょっと面白い中国語の成語を見つけたので…「応声虫:イン・シャン・チョン」…自分の主張も主義もなく、声に応じて鳴く虫、イエスマン、という意味のようです。社長さん、反発されるのも結構厄介だけれど、ちょっと反発しても会社の為を考えてくれる社員さん、育ってほしいですね!

应声虫 ‌‌[ying1 sheng1 chong2]‌ ‌2021/3/1

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277. 年を取る意味

 先日、当社にて主催するちょっとITプロジェクトのパートナーコンサルタントの勉強会がありました。講師はそのうちのメンバーの1人で、独立して20年、従業員も雇用して会社での事業活動を続けてこられた大先輩です。若いからできたこと、勢いでできたこと、そして周りの環境や人脈に恵まれたこと、それは運だったかもしれないが、その運を見逃さずしっかり掴んで自分のものにしたこと。聞いていて、本当に心地よいお話でした。その後のフリートークでは、「コンサルタントとは何歳までできるのか?」「『イノベーション』を企業に求めるなら、自分たちも新しいものに取り組めなくなったらだめなのでは?」「コンサルタントとは、年齢があがるほど、人間も丸くなり、若いころにできなかった判断や対応ができるもの」…などの意見もでました。

 そう、如何に自分が成長するか、そして年を重ねるか。どんなシニアになりたいか、こんなシニアにはなりたくない!のはどんな像か。子供たちには夢を描け、目標に向かって頑張れ、というなら、やはり親の私たちも、親世代なりの頑張りや目標をもちたいものですね。そして、意外に「それは知識としてはしっていたけれど、自分の腹落ちするところまで納得できたのは、今になってから」ということも、よくあります。若いころの成長の仕方とは違う、ミドル以上の成長の仕方があるでしょうか。

 近頃、高校生の息子が、コロナ禍で部活もなくなり、家に居る時間が長くなったので、家に合ったギターを練習し始めました。音楽、特に楽器演奏は、これからの生活にも力や慰め、勇気になるからやってほしい、と、小さいころからピアノを習わせていました(千葉、シンガポール、上海、東京…と4人の先生に…)。しかし、特に後半は先生との相性も良ろしくなく、別の事への興味が高かったこともあり、本当にピアノは嫌々になってしまい、こんな楽しくない音楽をやらせていてもいいのかな、いや、継続しないと分からないこともあるな、と私も悩んでおりました。が、ギターが楽しくなった最近の息子が「ピアノで教わっていた全全半全全全半(ドレミファソラシドの間隔)が、今になってわかったよ。ピアノやってて、分かることもあるよね。」と言ったのを聞いて、ちょっとほっとししたところです。

 そうそう、これからも、そんなこと、一杯あるよ。今の私もそうだから。だから、どんくさくなるし、動きも鈍くなったり、忘れやすくなったりするけど、年輪を重ねるってことは、悪いことばかりではないのですね。「姜還是老的辣:ジィアン・ハイ・シー・ラオ・ダ・ラー」生姜は古くなるほど辛くなる。つまり、亀の甲より年の功。見た目はどう考えても老化していくので、それにも勝るような内面磨き、これからも続けてステキなシニアを目指しましょう。

姜还是老的辣 ‌‌[jiang1 hai2 shi4 lao3 de la4]‌ ‌2021/2/22



276. プロセスよりミッション

 コンサルティングを行っていて、特に社長さんからのお悩みで多いのが、

・社員が考えない

・社員のやる気が無い

・社員がお給料以上(又はそれなり)に成果を上げてくれない

です。おそらくこれは、永遠の課題なのでしょう。お金を払う方は、できるだけ同じ金額を出すなら、良い成果を挙げてほしいと思うし、お金を貰う方は、できるだけ楽をして沢山欲しい!と、思いますからね。

 ただ、やはり人は、お金の為だけに働いているわけではないのです。社会の中で生きているので、承認要求があったり、苦しい時には声をかけてもらえることが励みになったり、自分の関わった仕事が誰かの役に立ったりすると、それはもう、嬉しくなるものです。認められること、褒められること、役に立つこと。いわゆる、「やりがい」の部分です。社長さんだって、別にケチっている訳ではないですが、かといって、いつも潤沢にお金があるわけではありません。効率的に使いたい!と思われています。

 だとすると…やはり、やった仕事に対してのお金以外の充実感や達成感を表すことはとても大切。でも、それさえない!ウチの社員は全然考えないし…と仰る経営者の方々。考えないという社員さんに、どんな仕事の教え方をされてきたでしょう?

 人は夫々で、生まれ育ってきた環境や、前職の職歴によって、その会社に入って、すぐに適応できたり、はじめてのことも呑み込みが早い人、なかなか呑み込めない人、色々おられるでしょう。でも、上手くいっていない多くの場合、仕事の「順序」だけ教えて「ミッション」を教えていないのです。「貴方は、会社にきたら、これをやって、その次はあれをやって、そしてこれが終わったら帰っていいよ。」と言われると、順番に片付けたらそれで満点、ということになってしまいます。言われた通り正しくやるか、そうでないか、ということのポイントはありますが、「より丁寧に」「お客様がまた利用してくださるように」という視点が欠落してしまいます。社会の中で生きているのだから、他のメンバーにいかに気を配るか、ということのないお仕事になってしまうのです。

 もう一つは、「ミッション」や「その仕事にとって、大事なこと」が明確にされていない場合に、経営者さんの社員さんに対する不満が高まります。仕事は順調な時ばかりではありません。トラブルも事故もあるでしょう。その時に、物事の順序しか教えてもらっていなかったら…大事なことが抜け落ちてしまうのです。「これが大事なのだから、これを一番にやらないと!」という考えが働かなくなってしまうのです。

 当務之急(ダン・ウー・ジー・ジー:今急いでやらなければならないこと)これは何なのか、会社が目指すミッションは、会社が理想とする社員像は?これはちょっと照れくさいけど、ふだんから社長さんが口うるさく仰っているかどうか、浸透しているかどうかで、社員さんの視点とアクションが変ります。経営者は方向を指し示し、判断することがお仕事。いつもいつも、どこに向かうのか、何を任せるのか、もう分かっているかも、と思っても、発信してくださいね!

当务之急 ‌‌[dang1 wu4 zhi1 ji2]‌ ‌2021/2/15

275. 今日から延長ですが

 2度目の緊急事態宣言、今日から1か月間の延長となりました。昨年の今頃は、受験生を抱える身としての心配に加え、新型コロナウィルス感染拡大の問題が、どの程度のものなんか、なんだか近くに迫っているようで、よく分からないところが何ともいえず、ただ怖かったような気がします。もちろん、一年経った今なら、ものすごく分かっている、ということではありませんが、自粛疲れ、マスク疲れ、在宅疲れ….皆疲弊はしていますよね。私も、顧問先は首都圏以外にもあり、毎月何度か新幹線に乗ってあちこちしていたのが、この一年、ずっと東京に、いや、ずっと家にいるようになりました。

 家で仕事ができるなら、それはそれは有難いことだと、昨今のニュースを見ながら色々なこと、色々な方への感謝の気持ちは強くなるばかりです。一方、冷静に、事務的に自分の業務の中で、顧客企業様の変化を考えますと、

  1. 柔軟に対応できるか

  2. 新しい発想がでてくるか

  3. 基本はぶれないか

 この3ポイントの重要性を再度認識しています。

 もちろん、業界・業種そのものが大変なところもありますので、経営の方針だけで危機を乗り切れるかどうか、ということではありません。受ける影響はそれぞれだけれど、この機会に「変ることができた」ところは、生き生きとされていることが多い様に感じます。

 パンデミックの有無にかかわらず、中小企業白書でも「経営革新のある企業は業績が伸びる」と、数字に示されています。ところが、どの企業も忙しくて、毎日のことで精いっぱいで、それを変更するエネルギーと集中力と、一次的に大変になるであろう困難を予想すると、なかなか億劫になってしまうもの。だけど、いや、だからこそ、こういう命にも関わるような環境変化が起きると、変革への一歩を踏み出しやすくなります。特に、この一年多くの時間と労力を投入したテレワークの導入コンサルティングでは、その前の二年と比べ、導入・実行のステップまではどの企業様も非常に早かったです。

 問題はその後。リモートで仕事ができるようなツールを買ったは良いが、使えるか?そこが変革の次の一歩。この会社では、こうやって使うんだ、と決めたら、とことん使う。慣れなくてストレスたまるのは誰でも。そして初めだけ。「習以為常:シー・イー・ウェイ・チャン」慣れたらそれが、日常になります。普通になります。そして、変ること、新しいことに挑戦したり、取り入れたりすることへの障壁も下がります。せっかくできるようになったテレワーク、感染者が少なくなったら全く元通り、なんて勿体ない!これからは多様性の時代。どんなところでも、どんな人でも、自分の強みを組織の中で活かせるチーム力が必要です。コロナ対策じゃなくて、会社の未来対策として、新しい働き方に慣れていきましょう!

习以为常 ‌‌[xi2 yi3 wei2 chang2 ]‌ ‌2021/2/8


274. しゃんとして

 まだまだ毎日寒い日が続きます。そして、緊急事態宣言も、まだこの先一か月延長の方向とのニュースも流れてきています。子供たちは部活もなく、早く家に帰ってステイホーム、スマホと仲良し。大人もステイホーム、テレワークで外出することも少なくなり、画面の向こうの人たちと、微妙な時差を感じながらの遠隔会議。どうしても毎日が単調になり、人は、人の中にいるから、おしゃれしたり、競ったりして自分を奮い立たせている、ということがよく分かります。ましてや、こんなに毎日寒いと、ちょっとぐらいモコモコに着こんでも、着ぶくれしても、(本当にお腹がまるくなっても…)、まあ、顔と胸あたりまでがキレイに見えていたら、それで良いか、なんて思っていませんか?

 やはり分かる人が見れば分かるものですよね。透視できるかどうか、ではなく、そういう気合で臨んでいるか、緊張感をもって真剣に仕事に向き合っているか。テレワークは一つの方法、スタイルだとして、仕事の本質まで変わるわけではありません。毎日色んな会社の社長さんとオンラインでお話させていただきますが、視点はその先にある社長さんは、今の苦しみに文句を言うことなく、勢いがあってかっこいいな!と思います。それに影響を受け、私もむしろ、こんな閉塞的で単調な毎日だからこそ、より気を付けて背筋を正さないと!そう思って、肩甲骨を動かす努力をしています!?

 歳寒松柏(スイ・ハン・ソン・バイ:逆境の中にあっても節操を保っている人のたとえ)。松や柏の常緑樹は、冬でも緑色の葉を保っているから、困難な時を、凛として過ごしている様子を表しているんですね。色んな方が、色んな立場で、苦境に立たされている今、ちょっと長いけど、春が来るのを信じて、じっと姿勢を正して、今時分にできることを粛々と実践していきたいですね。

 

岁寒松柏 ‌‌[sui4 han2 song1 bai3 ]‌ ‌2021/2/1


273. 知識だけでは

 今年に入っても再度の緊急事態宣言、テレワーク導入コンサルティングのニーズが再度高まっています。こんな時だからこそ、とにかく会社に行かず、人との接触を減らして…ということを第一に考えたいですよね。一方で、やはりセキュリティ面はしっかり対策したい、また労務管理面もしっかりカバーしたい。。。やることはてんこ盛りです。ただ、仕事の世界で、何事も100点満点をとることはほぼ、無理な話。その中で如何に優先順位をつけるか、何を大切にし、何を後回しにするか、切り捨てるか。その経営判断が大きく問われることを、ひしひしと感じています。

 そして、こういった有事下での経営判断に加え、平常時でも大切なことは、とにかくアクション。実行に移すことです。組織で行動することなので、ルールはもちろん必要です。でも、隅から隅まで、あらゆる状況を想定して長文のルールをつくっても、創る方は一生懸命考えますが、それを与えられる方は、読むのが大変で、覚えたり、行動に移すところまでたどり着きません。さらに、今は非常事態。ここで冷静に色んな状況を想定して、(もちろん想定するのは大切です!)明文化してしまっても、平常時に戻れば、そのまま生かせるかもわかりません。今、この非常事態にやるべきことは、優先順位を明確にし、大事なことから、できることから取り組むこと。

 私たち、コンサルティングのあり方もそうです。いくら素晴らしい知識や情報を提供しても、企業様がそれを実行に移してくださらなければ、ただの机上の空論で終わってしまいます。だから私たちは、如何にアクションにつなげていただけるか、どうすれば知識の伝授だけでなく、よりアクションの一歩目を踏み出していただけるかを追求しているのです。

 知行合一(ジー・シン・フー・イー)、知識と行動は不可分である、陽明学の教えのようです。知識からアクションへ、アクションから結果へ、結果から気づきへ…。変な話、最終的にはコンサルタントがいなくても、こういった自主的な計画、実行、分析反省…といった流れを企業様だけでできるようになっていただく、というのがコンサルタントの役目だと考え智恵ます。そのために、如何にコンサルタントがいて、よかった、と体感していただけるか、また今週もより知識と経験を積み上げていきたいと思います。

 

知行合一 ‌‌[zhi1 xing2 he2 yi1 ]‌ ‌2021/1/25

272. 立場変われば‌

 気が付けば、一月も後半になっていました。どこにも行かないお正月が終わり、新学期が始まるや否や緊急事態宣言で、やっぱり自宅でオンライン・コンサルティングの日々を過ごしております。こういう時こそ、自分がどんなことにどのぐらい時間を使っているのか、改善が必要なことはないか、深く自分の行動を見つめなおす時ですよね。企業様のコンサルティングも、ご自身のアクションを深く考えていただけるチャンス、というようなお話をすることが多いです。

 でも、オンライン・コンサルティングは、主に経営者の方や人事部、総務部の方が窓口になられることが多く、営業他現場に近い方々の業務をご存じでないことが多いです。そういう方がコンサルティングを受けられると、「自分の会社は、なかなかそう、上手くいかないんですよね。どうしたら皆、意見を聞いてくれるでしょうか?」というご質問にでくわすことになります。

 そもそも、同じ会社であったとしても、最終ゴールは共有していても、業務の端々、時間の使い方、何もかも小さい会社であっても、皆同じ、ということは考えられません。それでは効率が悪いから、皆同じ時間に開始し、同じ時間に終わりましょう、というのも、完全に時代錯誤で、柔軟な働き方からはどんどん遠ざかってしまいます。

 大事なことは、同じ会社であっても、部署や業務、立場が変れば、同じ事象も違ったように見える、ということ。それがダメなのではなく、それを受け入れ、相手の見方、見え方を理解、とまではいかなくても、違いを知る、関心をしめす、ということ。関心を示される、同調してもらえる、傾聴してもらえる。こうすることで、違う意見を聞いてもらう態度はずいぶん軟化しますし、自分が言いたいことを聞いてもらえるチャンスを作っています。

 一月三舟(イー・ユエ・サン・ジョウ)、一つのお月さんであっても、北へ進む舟や南に進む舟、はたまた止まった舟、これら三艘の舟からは、お月さんは違ったように見える、ということ。会社の取り決め、通達を連絡するときも、部署によっては、発信部署と異なる受け留めをすることもある、ということです。そんな時はどうしましょう。話し合いですね。いや、当面はオンライン会議、でしょうか?

一月三舟 ‌‌[yi1 yue4 san1 zhou1 ]‌ ‌2021/1/18

271.双方向で ‌

‌ 今年最後のコラムになりました。もうあちこちで言われている通りの…2020年でしたね。一年前は、子供の受験もあり、仕事を控えめにしていたのですが、受験が終わり、それまでのマイナスを埋めるどころか、テレワークの需要がこんなに伸び、一年後、こんな日々になるとは、思ってもいませんでした。ということで、来年への抱負コラムを。

 私は帰国してコンサルタントとして独立してから、1人でのコンサルティング事業継続に限界を感じていました。一方、かと言っていつも同じ事務所で働けるような雇用創出をしてみようとも思えず(私を含め、中小企業診断士は皆、独立意欲が高いですから…)、リモートチームでなんとか協力関係が築けないか、模索しておりました。ですので、今年テレワークのコンサルティングを何十件も担当させていただき、多くの企業様が問題とされるコミュニケーション面では、実践や経験に基づいたアドバイスができたように思えます。

 ただ、仮に私たちが言っていることが、どう考えても正しい、ということであったとしても、それを聞いて実行に移すのはお客様です。気に入られないような態度や話し方、知識の次の行動にまで及ばない話し方では、残念ながらサービスとして不完全なのです。サービス業の特徴の一つとして、不可分性が挙げられます。製造業や販売業のように、予め商品を準備しておく、ということができず、生産と消費が同時に行われる、ということです。どんなに十分に準備を重ねても、如何に消費してくださっているか(消費というか…理解して、行動に移そうとしてくださっているか)、確かめながらの助言ができているか、自分で行いながらチェックしなければなりません。

 コンサルティングの受容者があってこそのコンサルティング。決して一方通行であってはなりません。相手の感触、返答の仕方、目線、メモの取り方…いろんな神経を使って、感じ取り、必要に応じたアウトプットを行う。お互いに確認しながら進めていくものなんですね。「今日は良い時間を持てた!」と思えるコンサルティングでは、私が沢山話す、というより、ほどよいキャッチボールができる、そんな時間であることが多いです。「相輔相成;シィアン・フー・シィアン・チェン」お互いに補い合い、無くてはならない仲である、ということ。2021年も、お客様にとっても、私たちのとっても、そう感じることができる時間を創りあげられるよう、益々精進いたします。本年も誠にありがとうございました。良いお年をお過ごしください。

‌相辅相成 ‌‌[xiang1 fu3 xiang1 cheng2 ]‌ ‌2020/12/28 ‌

270.‌12月は矢のように ‌

 早いです。いつも思うのですが、やはり、12月はあっという間に過ぎていってしまいます。11月ぐらいから色んなことを計画し始めるのですが、いつも12月20日を過ぎてしまう…。とはいえ、一つだけ12月に入ってできたことは、家の中の引っ越しと整理。実は私の分だけ、まだ散らかっているのですが、私以外のメンバーのモノはキレイに引っ越しし、収まりました。

 今年は、単に帰国して8年目、というだけでなく、子供二人が新しい学校に進学し、進学した途端に休校になってオンライン授業、家族で家にずっといた新学期でした。すると、家で勉強や仕事を主体にする空間を作り出し、今まで使わなかったものや、家に長時間いるからこそ必要なもの、いろんなものが溢れてきてしまいました。

 そして、学校や会社が再開するようになって、収束するのか…と思いきや、また再度感染拡大。これまた以前のような在宅の日々になると、今度はものに溢れた生活ではなく、在宅であろうが学校に行こうが、すっきり整理された空間で生活したい!そう思うようになり、先週一週間で、かなり家財の整理&レイアウト替えを行いました。

 そして今日。気が付いたらもう21日。怒涛の3件コンサルティングに、夜はパートナーとの打合せ、オンラインだからこそ詰め込める仕事の数々でした。こうして、家でも、職場(バーチャルですが…)でも、あちこち必要としてもらえるのは、非常にありがたいことです。そして、あちこち、丁寧に対応していると、時間はあっという間に過ぎます。

 光陰矢の如し、とは日本語でも言いますが、この中国語版は「光陰似箭:グヮン・イン・スー・ジィアン」。時間は矢に似ている、ということ。本当に矢です。うかうかしていると、見失ってしまいます。さて、今年もあと10日。こんな急流に流されることなく、自分の時間と空間を大切にしていきましょう。

光阴似箭 ‌‌[guang1 yin1 si4 jian4]‌ ‌2020/12/21 ‌

269.‌伝えること、教えること ‌

 今日は朝から子供に窘められました。シンガポール→中国駐在生活から帰国してもうすぐ8年。かなりの家電や什器に傷みがみられ、小学生と幼稚園児だった子供たちも高校生と中学生に。そこで、モノも増えて大変ではあるのですが、思い切って色んなものを入れ替えることに。また、夫々のお部屋も共有にしていたのを、別々にすることにしました。私も含め、皆部活やらなんだかんだと忙しいので、2か月前から主に次男と、部屋のサイズを計測したり、何をどこに置くか、など計画し、大型ごみの日や大型家具を買う日を計画したり…。いよいよ、今日は8年近くお世話になった子供たちのベッドを大型ごみとして出す日でした。

 昨日のうちに、ベッドは解体し、パーツに分けてありました。朝、玄関前にそろえて出す、ということについて、私は皆に「7時に起きて手伝ってね」と、声をかけていました。果たして今朝7時、のろのろと起きだし、パジャマのままで、どうしてよいのやら…という子供たちに、私がちょっと苛ついてしまい、「さっさと…」を連発してしまいました。その結果、夫からは「皆がやる気なくす言葉は言わない方がいいんじゃない?」、長男からは「説明もせずに、1人で思い通りにならないから怒るのは、経営者としてよくないんじゃない?」…はぁ…。仰る通りでした。

 私は何度も大型ごみを出したこともあるし、大体一人でちゃっちゃとやってしまっていました。夫は大体分かるでしょうが、子供たちは初めて。今まで手伝わせてもいないし、はじめての人に相応の言葉や難易度で話もせず、確かに早く起きて手伝えとしか言ってなかったです。…と、気づかせてくれる家族の有難さ。やはり怒ってしまうようでは、私もまだまだですね。

 「応病与葯;イン・ビン・ユィー・ヤオ」、病気に応じて薬を与えること。つまり、相手に応じて必要な説明をする、ということ。今日は二人の私への苦言を「良薬口に苦し」ということで、以後気を付けて本当に必要な薬を処方していけるよう、心を大らかにもっていたいと思います。

应病与药 ‌‌[ying4 bing4 yu3 yao4]‌ ‌2020/12/14 ‌

268.‌長丁場での気持ちの持ち方 ‌

 2020年最後の月となりました。この1年は…大変な一年でしたね。そして「でした」と、過去形にしてしまっても、まだ収束が見えるのかどうか、といったところ。あちこちで「自粛疲れ」や「ストレス」という声も聞こえてきます。どこにも逃げられないこの事態、医療や薬の開発で協力できるチカラを持たない私は、自分が置かれた環境で、自分ができることをやるしかない、と考えています。

 「発散したい」「外に出たい」「人と会いたい」…やりたいことは沢山ありますが、今は控えようとする一方、色んな公的な呼びかけに強制力がないことで、「私は我慢して守っているのに、そうでない人がいる」ことの不公平感も苛立ちの一因。外に目を向けて我慢したり、他人と比べたりすると、気持ちが落ち着かないので、今度は視線を内に向けて…いると、なんだか息が詰まりそうになる。なんと難しいことですね。

 でも、これは経営と似ていますよね。一旦組織のトップに立ってしまうと、逃げ出したくても、そんなに簡単に出ていけない。こんな状況でも、上手く経営されている会社は、一体どんなことを去れているんだろうか?自分の会社よりも良い社員がいるんだろうか?うちの会社は一体なにが良くないんだろうか?と、悩んだり、沈んだりすることもしばしば。いや、いつもだ!と仰る社長さんも沢山おられるでしょう。

 そんな状況下で、素晴らしい社長だ!と思える方々も沢山おられます。そういった方々は、大抵「大体人生うまくいかないもんだからね」と、ソフトに構えておられ、ネガティブなのか、と思えば、「問題がなきゃ、退屈でしょ?」と、山積みの課題も(本当は大変だ!と思われているかもしれませんが、そんな表情を出すこともなく)プラスに捉えるような、ちょっと余裕のあるコメントをされます。そして、「プロの社長」ではなく、本業以外の経営については、日々勉強だと、新しいことを自分に取り入れることを怠らず、視点は会社のアチコチに向けられています。

 長く険しい道のりも、そうやってストリー仕立てで過ごされている社長様方から、私は日々多くを学ばせていただいています。曠日持久「クワン・リー・チー・ジィウ」無駄に長い時間を過ごすこと、ですが、こんな何もできない日々も、できることに着目し、無ければ創り、この時期だからこそできた!ということを、一つでも二つでも、完成させていっていただけるよう、お手伝いしたい!そう思う、2020年の師走です。

旷日持久 ‌‌[kuang4 ri4 chi2 jiu3]‌ ‌2020/12/7 ‌

267.‌ ‌我慢の経営

 ‌経営者のお仕事は、会社の方向を示すこと、そして、判断すること。変わりゆく社会情勢・市場を背景に、自社はどのポジションにいるのか、どこにいるべきか、そしてどんなお客様をターゲットにして、どうアプローチするのか、常に考え、そして社会の変化に機敏に対応していかなければいけません。

 ところが。

 今日、パートナー間の勉強会で、事例研究をしていた際、やはりそこでビシっと言える、竹を割ったような判断ができる経営者が必要、というような話が盛り上がりました。それは、確かにそうかもしれません。でも、長く経営を続けていこうと思ったら、ダイナミックでスピード感あふれる経営ばかりしていられないですし、もしパワフルな社長さんがそんな感じでしたら、社員がついていけなくなってしまいます。のんびりペースの社長さんも、良く言えば柔よく剛を制す、荒波を硬派で乗り切るより、うまく柔和に、緩急漬けずに過ごしていくことも、強さのひとつです。

 でも、社長さんの判断が遅い、ピリッとしない、と言われるのだとしたら、私たちもやはり、結論を急ぎすぎているのかもしれません。

 もともと、経営なんて、会社文化そのものだから、ちょっとやそっとで文化が変わるわけではないですよね。それを、第三者である、或る意味「正しい姿」を知っているコンサルタントがやってきて、問題をピックアップし、すぐに変えていけるわけではないのです。それを分かって、何か月も、下手すれば何年も、手を変え品を変えながら、社長に同じことを言っていかなければいけません。社長さんが変らないからといって、正しいと思ったことをいうのを止めてしまってはいけないのです。

 社長さんも我慢の経営をされている。そして私たちも、或る意味我慢のコンサルを行わないと。何事も、そんなにすぐに結果が出るわけではありません。私たちはどうしてもそれを急いでしまうけれど。それも、自分のものは後回して、自分の目で見える、他人の状況については、やたら厳しかったりします。

 「急于求成:ジー・ユィー・チィウ・チェン」成功を急ぐ。そう、まさに私たち。黄信号が灯っていたら、すぐにでも方向転換させるか、ストップさせた方がいいでしょう。でも、それ以外なら、三歩進んで二歩下がる、ぐらいの気持ちでいないと、ですね。判断は素早く、でも成果はゆっくりコツコツしながら待ちましょう。コロナ禍で、イライラすること、焦ることも多いでしょうが、ここはひとつ。ドンと構えて。

急于求成 ‌‌[ji2 yu2 qiu2 cheng2]‌ ‌2020/11/30

266.‌ ‌勤労感謝の日に寄せて

 ‌月曜日が祝日の時は、このコラムをお休みさせていただくことが多いのですが、今日はふと、日本の勤労感謝の日に合わせて、「これを言いたい!」という四字成語に巡り合えましたので、短めに、ご紹介したいと思います。

 「忙中有錯‌:マン・ジョン・ヨウ・ツゥオ」忙しい中に間違いあり、急いては事を仕損じる、ということ。有難いことに、お仕事も忙しいぐらい頂き、子供たちの学校では色んなことが「今年だけの措置」ながらも、先生方のご尽力で子供たちの学びを止めないよう、できるだけ平常時と同じような環境を準備してくださり、それに合わせて送り出し…と、何かしら例年よりもケアやプロセスが一段階多い一年です。とにかく次へ次へと押し込まれるように11月後半、この三連休まで来ました。

 世の中、GoToをどうするかの議論が高まっていますが、私はそんな計画ができる余裕もなく、ようやく三連休になってカラダもアタマも落ち着きました。私だけでなく、家族全員そんな感じで、ありがたい三連休でした。

 こういう時間がないと、やはり人間は休みなしで集中を続けることはできません。忙しすぎると集中力や注意力が途切れ、間違いを起こし、その後処理に追われ…と、悪いスパイラルに入っていきます。余裕があると、トラブルに遭っても冷静に判断でき、損失も最小ですみます。

 そうは分かっていても、なかなか忙しさをすぐにコントロールできるものではありませんね。でも、意識はしておいて、黄色信号を感じる、対策を講じることは大切かも。忙しさを良い忙しさのままで過ごすため、上手に休みましょう♪そんな勤労感謝の日、お仕事があることに感謝ですね。

忙中有错‌ ‌‌[mang2 zhong1 you3 cuo4‌]‌ ‌2020/11/23 ‌

265. 言い続けること

 コロナ禍で、進学したのに全く学校に行けず、ストレスをためる息子達、在宅勤務を行うにもインターネットの調子が悪くてご機嫌ななめの夫、そんな四人の合宿生活の際に気を付けていたのは、とにかく自分が怒らないこと。怒りを爆発させないこと。「今は非常事態。いろんなイライラと不安は皆あることだから、仕方ない。とにかく笑っていよう。」そう思いながら春から夏、そして秋も終わろうとする季節を迎えています。


 学校生活にもようやく落ち着きが見えてきたところで、その「怒らない!」と決めたことが、少し緩んだのでしょうか。私はこの週末、プチ不機嫌でおりました。なぜ「プチ」と書いたかというと、一応怒ったり、爆発したりせずに済んだのですが、やはり頭から湯気が立ち上っていた(?!)ようで、大声上げたり、何かにぶつけたりはしないけど、でも「気」を発生させていたようです。


 何に怒っていたかというと、まあ、いつものことですが、家事負担を誰もしないということで、自分の疲れがひどくなると、元気で好きなようにやっていたときには思いもよらない思考プロセスをたどります。


なんで誰も私を手伝わないの?

1人は試験前で部活もないし、ろくに勉強もしてないんだし!?

睡眠不足だし、疲れているし、も~!!!


みたいな感じで。


 そんな時、片方の息子が学校から帰ってきて、何かしら雰囲気の違うのに気づいたようです。いつもなら、彼の方が部活や学校で疲れた~!!と言って帰ってくるのに、その日は、怒っているとみられる私に向かって、「どうしたの?もっとニコニコして!」「僕も疲れているけど、僕だけが疲れている訳じゃないからね。」と、あれ?どこかで聞いたフレーズ。「何言っているの?」「いつもお母さんが言っていること。」お…。そうか、なんだかいつも言っていることを鏡で反射されたような、でもいつも言っていることが、きちんとインプットされていて嬉しいような、そんな気分になりました。


 そうそう、今日も顧問先の管理職の方に、「ちょこちょこと、同じことをいつも言うようにしてくださいね」なんて、アドバイスしてましたっけ。大人が相手の会社でも、普段から同じことを繰り返して言う、ということがとても大切。そして、家の中でも、「いつも私が言っている」なんて言われると、お客様にもうしていたこと、自分も実行できていたと評価されたようで、ちょっと嬉しかったです。「不忘母訓:ブー・ワン・ムー・シュン」母の教えを忘れない、と、そういうこと。やっぱり怒りを抑えて、教え諭す、毎日繰り返す、これが大事なんですよね。家庭も、会社も。

  


不忘母训 [bu4 wang4 mu3 xun4] 2020/11/16

264. この努力も、大切ですよね


 最近、本当に有難いことに、ご依頼を沢山いただきます。そして、考える課題が沢山になりました。また、子供たちの部活動も、無観客など、まだ制限もありながらも、土日関係ない出発、お弁当、応援…色々やることはあります。元気でやることがある、ということは、本当に感謝すべきだとは思いますが…でも、眠気にはなかなか勝てません。それは部活と勉強の両立に挑む子供たちも同じようです。やる気はあるのだけれど、昼間に動き回った体は、休息を欲しているのでしょう。


 そこで、今日は、眠気に耐えて勉強や仕事をする、というような四字熟語がないか、調べてみたところ…!!

 ありました!!

 ご紹介しましょう。

 「懸頭刺股:シュエン・トウ・ツー・グー」。ある中国の賢人は苦学の際、眠くなって頭がふらつくと、首が締まって眠気が覚めるように頭に紐をかけ、また別の中国の賢人は、眠くなると大腿部を差して、眠気を覚ました。そういう意味だそうです。


 そこまでは…できません。健康有っての仕事なので…。ということで、今日はものすごい四字成語を紹介だけして、休ませていただこうと思います。今週も、宜しくお願いします。

  

悬头刺股 [xuan2 tou2 ci4 gu3] 2020/11/9

263. 見えていること、理解できていること


 人間の情報の収集の8割は視覚だと言われています。ここ3年程、テレワーク導入のコンサルティングをさせていただいておりますが、「見えない」ところで部下が仕事をするようになれば、管理できず、さぼるのではないか、だらけるのではないか?という、経営者・管理職の皆様のご心配を吐露いただけることがあります。確かにテレワークで在宅業務をする人がいれば、その人は当然オフィスで見かけることはないですし、今は何をしているのか、分かりません。でも、だからといって、見えている状況で仕事を一緒にしていたときは、キチンと管理されていたでしょうか?


 「見えている」ことは確かに安心ではありますが、かといって、今は何をやっていて、もうすぐ締め切りのプロジェクトの準備がどこまで進んでいて、毎月の会議についてはメンバーに声をかけていて…全て掌握されているでしょうか?残念ながら、多くはそうではないようです。日本人独特の「阿吽の呼吸」「部下に任せているんだよ」「自主性が大事だから」…。果たして、本当にそうなら、テレワークでも大丈夫なはず。部下が仕事をしているかどうか分からないのは、管理職がミッションを遂行していないこと。見えている=理解している、把握している、ではないのです。


 小さな子供なら、目の前で遊ばせ、目を離さないようにしなければいけないこともあるでしょう。職場なら部下でも相手は大人、当然人としてのリスペクトも必要ですし、不必要に甘やかすこともありません。しかし、子育てとは目的が違います。営利事業の一端を担う業務、それによりお金をいただけるプロフェッショナルなアクションなのですから、組織としての方向性やルールを守り、目標通りに動けているか、管理者はそれを管理しないといけませんし、現場の人間は、方針・ルールのとおり、目標に向かって進み、上司には状況を逐次報告しなければいけません。


 でも、見えないところでも、常にカレンダーで予定を共有し、ちょこちょこと現状の連絡をとっていれば、やろうとすることの意図も分かりますし、今どこまで進んでいるのか、担当者が何を考えているのか、上司も同僚も分かります。それは、チャットや、カレンダーや、色んなツールを使って繋がろうと努力していることもあるでしょうし、そうしたほうが仕事がスムーズに進む、と体感しているからでしょう。ちょっと面倒くさいような連絡や報告も、ちょっと発信しておくだけでチームメートは安心し、その状況が宜しくなければサポートもしてもらえる。そんな関係性をきづくことが、「見えている」ことより大切。


 「了如指掌;リィアオ・ルー・ジー・ジャン」しっかり把握して了承していること。「手に取るように分かる」なんて表現しますが、まさにその様子なんでしょう。テレワークにまだ懐疑的な管理者のみなさま、「見えている」だけではなく、ご自身の手で、ハートで、部下とその業務を把握し、コントロールしてくださいね!!

  


了如指掌 [liao3 ru2 zhi3 zhang3] 2020/11/2

262. 怒りと伝達


 怒りの感情は誰にでもありますよね。ここ数日、色んな怒りを生で見ることがあり、(「どこで」とは申し上げられませんが…)またまた色々と考えさせられました。


 企業活動も、色んな生活、色んな価値観の人たちが、会社の理念共通点として、一緒に、同じ方向に進みます。会社の大きな方針は共有できても、個別のアプローチの方法とか、小さな作業の優先順位等は、人の数だけパターンがある、といっても良いほどです。それを「ああ、自分とは違う人がいるんだなあ」で済まされなくなった時、それに敵対心すら感じるようになった時…怒りの気持ちが芽生えてしまったり、イライラな気持ちを発散したくなったりします。


 家族でさえ、100%賛成できる、同意できる、ということはないのですから、本当に仕方のないこと。でも、ちょっと嫌だな、自分は違うな、と思っても、怒りに変える前に別の形にすることもできます。それすらも嫌ならば、かわしてしまう、ということもあり得ます。要は、怒りにしない、怒りにしても爆発させなければ良いのです。


 それができないのが人間…。売り言葉に買い言葉になってしまったり、真正面から受け止めてストレスをためてしまったり。「怒火冲天…ヌー・フオ・チョン・チィエン」怒りが爆発して抑えられない様。漢字から見ても、噴き出るような怒りの様子が伺えます。こうなってしまったら、私は(直接絡む場合は、ですが…)仕方ないので、時間を置くようにしています。人間は案外弱いのです。火を噴いた後は、誰かと話したくなったりするらしいのです。火を噴いているときは、手が付けられませんし、火に油を注ぐ状況になってしまいますが、消化され、我に返ってちょっと恥ずかしくなった時、誰かに寄りかかりたくなるんですよね。そうなったら、お話しするチャンス。私はこういう時期をも、少しずらすようにしています。じらした方が、さらにゆっくり話す機会ができるから。


 6秒ルールとはよくいったもので、怒りの沸点が頂上に達届いている時間はそんなに長くありません。まずは6秒我慢すること。それもできずに噴火してしまったときは、人恋しいぐらいまで反省してシンプルに頭の中を組み立てましょう。怒っているときほど、なんだかんだ、要らないことも含めて言葉がいっぱい出てきてしまいます。だからこそ、ちょっと考えれば言ってはいけないと分かる言葉で相手を傷つけたり、色々と二次災害を起こしたりしてしまいます。本当に大切なことを伝えるときは、深いことばをよく探せば、しっかり伝わるものです。深呼吸して、目を閉じて、心に刺さる表現を探しましょう。  


怒火冲天 [nu4 huo3 chong1 tian1] 2020/10/26

261. 良い仕事は良い休みの後に


 テレワーク導入を中心に、働き方改革サポートの一端を担っている私ですが、さて、私は上手に働き方改革をできているでしょうか…?と、自分を見つめなおす雨の月曜日。


 お客様と接するのが、基本的に平日昼間、そして企業さんによっては、土曜日のほうが、ゆっくり経営の話ができる、と、土曜日もシゴトしたりして。月曜日にさっとやりたい仕事に着手できるよう、日曜日もシゴトしたり、独立仲間と連絡したり、勉強会をするのは平日夜…と、意識しないとお休みはとれません。


 ただ、幸か不幸か、年を重ねると、睡眠不足は耐えられなくなるし、何より家のことやまだまだ色んな面でケアが必要な子供がおりますので、その分の体力や時間をあけておかないといけません。週末も高校の保護者会でした。高校受験が終わったばかりなのに、次の大学受験の準備の話を聞くと、どっと疲れて帰ってきました。こうして、種類の違う忙しい時間を、ずっと過ごしているような気もします。


 そんな私の休憩は、週中に半日休みを創ること。(本当は「一日」が欲しいですが…)午睡できるタイプではないので、睡眠不足は早寝の日をつくるという対策しかありません。で、半日休みは、皆が学校に行ったり、会社に行っている時間に好きなことをしてもいい、と自分で決めています。自分で事業をしているメリットでもあり、いつでも余裕の或る表情で相談を受けられるための、体調&メンタル整備。


 今日も雨で、学校では屋内練習場所は、アウトドアスポーツの部活同士で取り合いになります。偶然にも高校球児の息子も、中学球児の息子も練習場所が確保できなかったと、急遽オフになり、早く帰宅しました。いつもクタクタに疲れて帰ってくるのに、早く帰ってきて、なんだか手持無沙汰のようです。「それなら勉強…!!」と言いかけて、自分のデスクに引っ込みました。先日の保護者会でも或る先生が仰っていました。「家はリラックスする場所なんですよ。『勉強してないの?勉強しなさい!』は禁句ですよ!!」と。ということで、今日はささやかな「按甲休平:アン・ジィア・シィウ・ビン」。甲冑を脱いで休む兵のように、野球の練習着ではなく、部屋着でリラックスしてくださいな。明日から、また良い仕事(この子達は…勉強?)をするために。

  

按甲休兵 [an4 jia3 xiu1 bing1] 2020/10/19

260. 天高く


 10月に入って、気持ちの良い気候となりましたが、諸々予定が重なってしまい、先週はコラムをお休みしてしまいました。さて、10月も半ば。今月からGo to Travelに東京発着も加わり、気候も良くなったこともあり、人の往来が増え、報道でも観光地に賑わいが見られるようになりましたね。まさに、天高く、馬肥ゆる秋。


 昔から知っている言葉でしたが、これも中国の四字成語から来ていたのですね。「秋高馬肥:チィウ・ガオ・マー・フェイ」。青く澄み切った空の下、筋骨隆々の馬が勢いよく草原を駆けている、そんなイメージが浮かびます。


 多くの企業さんの経営改善にお付き合いしていると、普段にどれだけ筋肉質になるトレーニングをされているか、まるで人間のトレーニングと同じように思えます。コロナ禍の苦境の間はエネルギーの浪費を抑えつつも、家庭内での筋トレを欠かさず、ある程度活動ができるようになると、満を持して活動を始められる。


 今、当社で多くの企業様のサポートをさせていただいている、テレワークもそうです。コロナだから、オリンピックだから始めるというよりは、これからの労働市場の変化に備え、色んなトレーニングが必要となります。ITツールとルールのひな形があればすぐに始められるものではありません。また、テレワークに向いている業務と、なかなか難しい業務もあります。気候さわやかな秋になって、元気に走り回るためには、冬・春・夏と、地道な努力の積み重ねが必要なんですね。


秋高马肥 [qiu1 gao1 ma3 fei2] 2020/10/12

259. 真面目と頑張りだけでは


「努力は裏切らない」とは、よく成功した人のコメントに出てくるフレーズ。確かにそうでしょう。でも、そのコメントを発信するまでには、きっと数多の涙、汗、喪失感、止めたい気持ち…有ったのだと思います。では、いつになったら、結果がでるのか、今の努力は正しいのか、何事も「絶対」はないですよね。経験上、統計上「確率」として、その方法がよい、その努力を続ければうまく行く、というだけであって、部活の指導方法も、この20-30年で水を飲むな、から水を飲め、に変わっているように、環境や時代によって、具体方法は変わることもあるでしょう。


個人も会社も、だから「やらない」と結論付けてしまうと、全てストップしてしまいます。いや、自分自身が止まっているだけでも、時代は進んでいくので、実質後退。何か考えて、進まないといけません。でも、答えのない道には、突き当りもあれば、引き返すにも戻れなくなっていることもあります。


コンサルタントのお仕事は、社会的なイメージとして、その「道」の進め方を、専門家としてアドバイスする、と思われているでしょう。でも、それだけではありません。チアーマンサポートでは、今までこう思ってきて進めてきたけど、色んな事が重なり、うまく行かなくなってしまった、どうにか建て直したい!そういう企業様の計画策定のお手伝いもさせていただいております。


計画策定にあたっては、やはり生身の人間と同じく、「ん?ちょっと変だぞ?」と経営者さんが感付かれてから、早めにご相談いただく方が、建て直しやすいです。「もうちょっと我慢して現状を続けるのか、やり方を変えるのか」大きな判断ですが、このタイミングが大変重要で、機を逃すと、ややこしくなりがち。そんな時は、経営者さんと一緒に悩みます。


かなり状況が悪化してからでは、進んでも、戻っても大変なこともあります。ことわざとしては「進退両難:ジン・トゥイ・リャン・ナン」、書いて字のごとく、進むのも退くのも両方難あり、ということ。その時はどうするか。深呼吸する。息をひそめて機を待つ。これも有りでしょう。この状況を過ごすには、メンタルの強さが必要。でも、そんな時こそ、普段の努力が気持ちを強くしてくれます。そう、やはり、努力は裏切らないのです。日々、コツコツ、ボチボチ、季節の変わり目ですが、気を付けていきましょう。


进退两难 [jin4 tui4 liang3 nan2] 2020/09/28

258. 6秒我慢!

あ!しまった!またやってしまった!


怒り心頭、数分後、いや数秒後に冷静になれば言いすぎだ、そこまで言わなくてもよかったのに、自分が正しかったとしても、人を傷つけるかもしれない、って考えて言ったのか…等などと後悔すること…これまでに何回あったことでしょう。


お友達どうしだったり、部活、家族の中や、職場、そして取引先様…。コンサルタントになってからも、自分の理論にどうしても相手を寄せたいがために、ムキになったり、威嚇的になったり。そんなことを言ってももっと強情になって平行線が長引くこと、ちょっと考えればわかるのに…。


きっと皆さんも、おありになることでしょう、そんな経験。(と、勝手に想像しております。)


怒りに限らず、器がしっかりしてなかったり、容量が小さかったりすると、感情の器がすぐに一杯になって、水が溢れるように涙、暴言、礼節に欠いたことば…何がなんだか分からないように溢れてきてしまうんですね。「器が大きい」「包容力がある」なんて言葉、本当に含みがあるな~と、半世紀を超えてもなお、反省の多い今日この頃です。


先日の人間ドッグの結果を見て、有難いことに大きな問題はありませんでしたが、それでも年相応に、「衰え」なるもの、いくつか確認できました。それはそれで、自分の体との付き合い方を考えていくしかないのですが、人間ドックでは測れない、しかも年齢を経るに従って、できるようになることもあります。売り言葉に対する買い言葉(を、発しないこと)。100%買い言葉を発しなくなった、とは言えないと思いますが、それにしても、我ながら、ずいぶん飲みこめるようになったものだと感心しています。


親や友達に対しての反論、目を吊り上げて、歯をむき出しにして、躍起になるという言葉通りの顔をしていたんだろうな~と、私に向かってそんな顔をしてくる子どもの顔を見て、そう思うようになりました。そして、それに対して反論したり、戒めたりしても、燃えているときは何を言っても仕方がない、言いたいことは相手が話を聞ける体制になったときにしよう。そう思え、実行できるようになりました。夫に対してもそう(だと思います。今日は結婚記念日ですが…)。結婚当初は、生活上の価値観の違い、リズムの違いを、自分のものさしと違う!ということに苛立ちや怒りを感じていました。今も全く感じないわけではないですが、そこで怒るのも、エネルギーの無駄で、爆発の後は面倒くさい、ということを何度も経験してしまったので、「そういう考えもあるよね」と始末できるようになったみたいです。


今はストレスの多い社会と言われますが、おそらく太古の昔から、人間社会ではそれに近いイライラ、ムカムカ、あったと思います。それを如何に包み込めるかどうか。アンガーマネジメントでは、怒りの気持ちは6秒でピークを超えると言われています。まさに、「一朝之忿;イー・ジャオ・ジー・フェン」、一次的な怒り。この一瞬の怒りの爆発を飲みこんで、年と共に大らかな心でいられるよう、精進してまいります!!


一朝之忿 [yi1 zhao1 zhi1 fen4] 2020/09/14

257. 機械に負けては

本日も、午前午後とテレワークのコンサルティングでした。コロナ禍が山を越えたのか?慣れただけなのか?という状況下、テレワーク導入に対する意欲も、4-5月に比べてみると薄れる企業さんもあり、もともとあまり乗り気でなかったところは大幅にスピードダウンといったところでしょうか。


いえいえ、そんなこと言ってられないのですよ。日本の労働人口のこと、台風等の自然災害のこと、そして来年に延期されたオリンピック・パラリンピックのこと…どんなことがあっても、柔軟に対応し、労働力を維持していかなければいけません。その為には、人間のチカラだけではなく、いや、人間のチカラを最大限に引き出すために、繰り返しの作業や人間には負担や危険度の高いことはロボットやコンピューターにお願いして、労働効率を上げることを考えないと。


そこで出てくるのがICTツール。それを使いこなせるかどうか、というのがテレワーク成功の鍵とも言えます…と、言い切ってしまうと、「うちはICTに強い社員がいないから…」と、これまたテレワークから遠ざかろうとするお声が…。でも、皆さん、もうイマドキ、スマホはお持ちですよね?電話やチャット、やられていませんか?


Excelでもあのツールバーに無数の機能があっても、殆ど使うことがない!なんて方、多いのと同じで、こんなに便利なスマホ、どれだけ使われていますか?電話とチャットとニュースとゲームだけなら、勿体ない!なんといってもスマホは中国語で智能手機(ジー・ナン・ショウ・ジー)。智能(スマート)手機(ハンディフォン、小さい電話)なのです。これだけできればいいや、という謙虚なお気持ちから、ここはひとつ、いろんな「スマート」を使ってみて、そして使い続けてみましょう。「機械もの、苦手」という方もおられるでしょう。でもその昔「HPはHTMLが読めないと!」などと、何か特殊な技能や知識が必要だったころと比べてみれば、ユーザーにとっては優しい扱いになっています。といいながら、私も設定に色々てこずることもあるのですが、セキュリティーは頭にいれながら、チャレンジしていきたいものです。


どんなに携帯電話がスマートでも、それに使われることなく、私たちが使いこなせるように、文明の利器、慣れていきましょう!

智能手机 [ji1 neng2 shou3 ji1] 2020/09/07


256. 第7期、終了です

2020年、春も夏も、いつもと違った、緊張感を持ちながら過ごした季節でした。そして今日で当社、株式会社チアーマンサポートの第7期が終了となります。5年の海外生活から帰国し、まだ小学生と幼児を育てながら半年後に起業して7年が経つのかと思えば、少し感慨深いものがあります。


中小企業診断士に登録して13年。弁護士、税理士、社会保険労務士のように、業務内容が明確にイメージできるものではなく、自由度も大きいこの国家資格を活かしてプロのコンサルタントとして収入を得るには、どんなことをしなければならないのか、どのレベルまで到達しないといけないのか、ずっとそれを追い求めてきました。特に帰国してからはその気持ちが強く、1人では限界を感じ、また一匹狼でコンサルタントをしている人が多いからこそ、チームでつながるコンサルタントの和が必要だと考えるに至りました。そこで4年前に「ちょっとITプロジェクト」を立ち上げ、10名のパートナーの仲間と、勉強会を開いたり支援ツールを作成したり、と、テレワークで関係性を築き上げると、3年前からテレワークのコンサルティングを受託できるようになりました。


そんなニーズはあるはずだ!こういうコンサルタントのチームは必要だ!という信念のもと、とにかく継続できることを、と、何年か続けてきたことが、結果を出し始めた一年でもありました。目標はあるけれど、具体的な仕事が取れるかどうか分からない状況で続ける、ということは、なかなか簡単な事ではないですし、誰かに業務をお願いしれば、コストは当然出ていく。でも誰かにお願いすることに慣れていなければ、いざ仕事が来ても出動できない、そんなジレンマを抱えながらの日々でしたが、今のテレワークが本当に必要になった時期に、ちょっとITのメンバーを派遣できるようになったことは大きな前進でした。迷走しながらの私を信じて一緒にいてくださったパートナーの皆さまや、お手伝いの機会を与えてくださった企業様には、感謝の気持ちでいっぱいです。心よりお礼申し上げます。誠にありがとうございました。


もちろん、これが終わりでもゴールでもありません。第七期はこれで終わりますが、「七年之病、求三年之藍;チー・ニィエン・ジー・ビン チィウ・サン・ニィエン・ジー・アイ」治るのに7年かかるような大病をして、三年乾燥させる良い藍(もぐさ)を求める、つまり、大事に至ってからでは間に合わないので、常にこつこつ、準備をしておく、ということ。まさに、チームと共に第七期の終わりを迎えられ、さらに新しい一年に挑戦する今の私に言い聞かせるのにぴったりの言葉です。理念は堅く、アプローチは柔軟に、これからもコツコツ、ボチボチを続けていきたいと思います。第八期も、何卒宜しくお願い申し上げます。



七年之病 求三年之艾 [qi1 nian2 zhi1 bing4 qiu2 san1 nian2 zhi1 ai4 ] 2020/08/31

255. 短かった夏に

コロナ禍で入学式も直前中止となり、その後長い自宅学習期間があり、多くの方のご尽力でなんとかオンライン授業もできるようになり…でも、計画されていた通りに学習は進んでいなかったのか、はじめての定期考査も範囲が大変広く、そして学校再開すると土曜日もガンガン授業が入り、ようやく突入した夏休みも、たった二週間。誰のせいでもないんですが、日々変わりゆく状況を柔軟にとらえ、それに心落ち着けて対応していくことは大人でも大変ですし、子供たちも同じでしょう。


今日、我が家の高校生は始業式。予定外の部活の練習試合がはいったり、急に暑くなった気候もあって、半日しか練習しなくても、もともと暑さには強くても、練習した後はしばらく休まないと次のアクションに移せず、あっというまに新学期、という状況になってしまいました。もともとせっかちで、なんでも先回りして考え、なんならできるだけ先に行動にでてしまう私にとっては、この状況下でも落ち着いている子供たちに焦ってしまうことも多々ありましたが、逆に学ぶことも沢山ありました。


次男からは「お母さんは何でも先に頭の中で計画が作れて、すぐ動けるけど、みんなそうじゃないんだよ。考えるのに時間がかかったり、思っていても動けない人は沢山いるんだ。」と、口撃を受けてしまいました。長男も、部活に課題にアップアップの様子に見えたので、試合前の準備も「時計は?お金は?お弁当は?水筒は?ユニフォームは???」と、矢継ぎ早に問い詰めたり、見ていられなくて準備を手伝ったりしていたのですが、「時間がかかっても、自分でやらないと分からなくなるんだよ。」と、諭される始末。


いやはや、二人とも、今までよりも密度が濃くなった新しい学校生活の中で、何とか自分のやりたいことと、やらなければならないことを試行錯誤しながら時間内にやろうと、努力しているのがよく分かりました。大人が先に答えを言って、サポートの手を差し伸べることが必ずしもよいことではない、ということ、分かってはいましたけれど、改めて認識しました。そういえば昨日のオンラインセミナーでも、お稽古事経営者の経営改善の話があり、親は自分の子のお稽古事になると、どんどんヒートアップしてしまう、という話がありました。他人のことなら笑って聞いていられるのですが、ほんと、目の前に自分の子が現れると、そうはいきませんね。反省、反省。


理論を親が言うのも大事ですが、それを子が身に着けるのは、自ら進んで実行し、納得した時なんですね。タイムラグがあるんだ、と、落ち着いて構えないと。さて、そんな理論やポリシーを自ら率先し行うことを、日本語も同じく、中国語でも躬行実践(ゴン・シン・シー・ジィエン)といいます。「躬」という感じは、自ら、という意味があるようです。見慣れない漢字ですが、変わりゆく社会の中で、弓のように強くしなやかにしなる様子が大事なんだよ、と表されているように思います。子供たちから教えてもらった自らの実践力。今後のコンサルティングにも活かしていきたいと思います。


躬行实践 [gong1 xing2 shi2 jian4 ] 2020/08/24


254. 何よりも人材

暑い、いや、暑苦しい日々が続いています。そして、人とのお付き合いやコミュニケーションのあり方が制限され、さらに苦しい日々…ですが、そんな時に、気持ちを穏やかにしてくれるのは、素敵な仲間や家族だったり、優しい言葉です。人間というのは、つくづく「人の間」で生活する動物なのだと思い知らされます。


企業さまの経営コンサルティングをしていて、業績の良い会社さんで、人間関係が悪いところはない、といっても過言ではないですし、「キーパーソンがいるかどうか」というのは、企業にとって、大きな意味を持ちます。技術やサービスがどれほど優れていても、最終的には組織として人間関係が上手くいっているかどうか、人為的な過失が少なくなるような工夫や意識がされているか、ということが企業の価値をあげることになるのでしょう。


経営者は方向を指し示し、やるか、やらないかの判断をする役割なので、現場の管理は中間管理職に任せることになります。人間というのは、それぞれ価値観や特技が違うので、経営者が思うように管理職に伝え、それを実現してもらうのは至難の業。経営者の説明力、表現力、大きな未来図の描写力が問われます。また、管理職の理解力や行動力も必要でしょう。経営者が考えることを的確に理解し、行動に移す、しかもその管理者も別の現場要員を動かす、となると、管理職というのは、非常に人選が難しい、高度な人材、ということになりますね。


今日のことわざ四字成語は「握髪吐哺:ウォー・ファー・トゥー・ブー」、優秀な人に会う機会があれば、髪を洗っている途中でもその髪を握って、食べている途中でも口の中のものを吐いてでも会いに行く、ということ。素晴らしい人材を確保する、ということが紀元前の昔から大事にされていた、ということのようなのです。入社面接もハードなお仕事ですよね。労力も時間も、お金も使います。それほど人材獲得というのは重いことなのですね。それにしても…髪が濡れたままだったり、食べ物を吐き出して会ったりすると、面談される方に、ちょっとびっくりされてしまうのでは…?いやいや、もののたとえですよね。


握发吐哺 [wo4 fa4 tu3 bu3] 2020/08/17

253. 汗はかいても

8月になりました。が、雨が長く続いたこともあり、まだ暑さも本番前ですね。我が家の野球少年たちは、毎日汗と泥にまみれているようですが…。ということで、今日は汗に関わるお話を。


覆水盆に返らず、と似た様なことわざですが、「綸言如汗:ルン・イェン・ルー・ハン」…皇帝のことば(綸言)は、汗のようで、流れ出てしまったら、元に戻せない、というものがあります。一度言ってしまったことは、後から「ん?違う?」と思っても、皇帝ほど絶対で影響力のある人は、言い直すことはできない、ということなんですね。昔は電子メールもチャットもツイッターもなく、一度発信すると、紙に墨でしたためた記録や文が、馬を駆って運ばれたのでしょうか。たしかに影響力や威厳もそうですが、言い直すにはいろんな人の作業が無駄になりそうですね。


しかし、今は違います。むしろイノベーションをする企業のほうが、業績も向上する、というデータもあります。今のような環境や社会の移り変わりが速い次代では、一度言ってしまったら…と言い直しを怖がるよりも、その時その時に合わせた、いや、もっと先を見据えた計画・企画が必要です。敢えていうなら、トップは言うことを変えていけないのは理念や基本方針だけで、あとのアプロ―チの方法や手段、先述は、その時々に改善していけば良いのだと思います。


テレワークコンサルティングでも色んなご質問をいただきます。企業の発信する側の方は、できることならその次の突っ込んだ質問が来なくなるよう、一発でみんなに分かってもらいたい!と思っておられる方が多いようです。そういう努力も効率化の一部かもしれません。でも、一旦発信したら、それを変更してはいけない、という訳ではありません。面倒くさい方法は柔軟に変更し、「基本方針は」確立しましょう。


社内で反対がでても、説明の言葉尻を捉える人がいても、惑わされることなく、会社の基本方針に則って動きましょう。どんどん効率化の提案をしてくださる方は有難い存在、その方々との会話は大切にしましょう、話し合いの中から最適の方法が生まれてきますから!まだまだ大きな声も出せず、ストレスの溜まる毎日ではありますが、新しいことを目指して、いい汗をかいていきましょう!


纶言如汗 [lun2 yan2 ru2 han4] 2020/08/03


252. テレワークだからこそ、我が身を映そう

4日間の連休、如何おすごしでしたか?私はGo Toキャンペーン除外地域だったこともありますが、もともと出ていく予定もなく、また溜まった事務仕事もあり、雨でもあり、自宅でずっと過ごしました。一度だけ、「どうしても、焼肉屋さんは我慢したいけどお肉が食べたい!という息子たちのために、比較的良いお値段で、お腹が膨れるお肉を買い出しに近所のスーパーまで外出した程度です。


さて、まだまだテレワーク導入コンサルティング、これを主体に毎日忙しくさせていただいておりますが、これまで訪問していた顧問先も、全てオンラインでの情報共有や打合せになっています。


テレワークの導入は、まず慣れない機器やツールを使う、というところで一つ目のハードルがあり、その次にそのツールを使って遠隔でシゴトがストレスなくできるか、という二つ目の大きなハードルがあります。さらに三つ目のハードルは、シゴトがそもそもできているかどうか、隣は何をする人ぞ、部門内や社内でオンラインによるコミュニケーション(別に言葉じゃなくても、在席ランプや外出中を示すカレンダーでも、誰かが発言したことに対しての「いいね」でも、なんでもよくて、要は存在とシゴトをしていることを「可視化」するもの)ができているかどうか。三つのハードル、すべて、普段事務所でお仕事をしているときと「目的」は同じなのですが、「方法」が違うので、いくつかが以前の価値観から抜け出せないと、「テレワークはけしからん!」と、結局テレワークができなくなってしまいます。


これはテレワークに限ったことではありませんが、企業はイノベーションをして育っていきます。その企業の社会貢献やサービスのあり方、理念は変わらずとも、対象となるお客様はこの人たちでよいのか、その人たちの二ーズは変わってはいないか、そのサービス供給の方法に不都合はないか。こうやって今の自分を反省して、課題を見つけ、解決しながら成長するものです。「テレワークでシゴトする」ことは目標でもなんでもなく、シゴトの方法の一つを変えてみた、ということにすぎません。「すぎない」のですが、なかなかできないのです。それは、やはり自分の会社を正視できていないからに他ならないからだと思います。自分の苦手なことは目を覆いたいし、後回しにしたくなるのは、よーく分かります。共感できます!


でもね、それではいけないんですよね。そこを超えられるかどうか、ですよね。テレワークで記録されたこと、Web会議で見られる自分の態度や発言、これを絶好のチャンスと捉えましょう!「三省吾身:サン・シン・ウォー・シェン」一日に三度、自分の身を顧みる反省する、ということ。見たくないものを三度もみるのはとても勇気のいることですが、前に進めるかどうかは、ここからだ!と思ってテレワークを始めてみましょう!きっと自分が想定したこととは違う、もっともっといろんな事が見えてきますよ!



三省吾身 [san1 xing3 wu2 shen1] 2020/07/27

251. 共有と協働

あっという間に一日が終わる、月曜日です。今日も在宅ながら、本当に色々な方々と繋がらせていただきました。また、1人で数字をアチコチ分析もしたり、さらには試験の始まった中学生高校生と、あれやこれやと試験話をしたり…。


そんなバタバタの中でも痛感したのは、やはり「共有」と「協働」の大切さです。経営コンサルティングを行うには、やはり先人がまとまられたセオリーなり、黄金比率的な指標だったりがあるわけで、一定の法則に基づいて分析し、問題点を抽出し、その解決法を考えながら、計画を立てていきます。しかし、コンサルタントはどうしてもそのセオリーや「べき論」に重点を置きすぎてしまうきらいがあり、私も常々、あくまで企業さんの、現場と経営の最適着地点を見出すこと、にフォーカスできるよう、心しております。


ですが、やはり、人間というものは、新しいセオリーを知ってしまうと、その考え方を自分の会社のアクションに当てはめるのではなく、「こうして」と、言葉で指示してしまうのです。指示される方にしてみれば、普段から慣れ親しんだ言葉でも考え方でもないものを、唐突な感じで言い放たれた気分になってしまいます。

コンサルティングも、経営も、如何に現場の皆さんに実感を持って動いてもらえるように、言葉をつかうか、視覚的あるいは行動で示すか、ですよね。現場の辛さや条件、問題を共有し、それを解決できるように提案し、何なら一緒に初めの一歩を踏み出してみる、そのぐらいできてようやく信用が得られる、という感じでしょうか。


それで…という訳ではないのですが、今日はまだ明日明後日と試験が続く中学生と高校生に、試験範囲のランダム出題をせがまれ、それに付き合っておりました。「勉強しなさいよ。勉強しないと、知らないよ。」というと、突き放された気持ちになり、反発心ばかりが大きくなってしまいます。あれ?先ほども書いたようなことですね。会社の中も、家庭の中も同じですね。組織の中で、色んな立場の、色んな価値観を持つ人間が集まるところでは、同じように辛いことも、楽しいことも共有し、協働していかないと…ですよね。

同甘共苦(トン・ガン・ゴン・クー)、苦楽を共にする、と言いますが、口先だけの指示や指図は、相手に伝わりませんよね。自らが一緒にやろう!と、動かねば。さて、一緒に勉強した明日のテストは、上手くいくでしょうか?

同甘共苦 [tong2 gan1 gong4 ku3] 2020/07/20

250. 責任ないところでの発言は…

企業さんの経営コンサルティングをやっていて、評価が一番難しいな、とつくづく感じます。完全な人間などいない、と分かっていながら、完全でない人間が、これまた別の完全でない人間を評価するのです。じゃ、何もやらないのか?もし、何も評価をしないとなると、評価で嫌な思いをする人はいなくなるでしょう。でも、評価でやる気が出る人や、評価の内容が気に入らなかったり、思ったより低かったことで、逆に頑張れる人は出てこないでしょう。皆さんなら、どちらを選びますか?


人間は弱いもので、できれば人に決めてほしい、そして、やり方を教えてほしい。そうしたらついていくから、なんてよく言います。でも、それは、本当についていきたい場合もあるでしょうが、殆どが責任を負いたくない、失敗したくない、考えるのがめんどくさい、といったところが殆どでしょう。今の、コロナ第二波か?というこの時期でも、だれだれが悪い!と言ってしまいたくなるもの。仮にそういったところで、自分の陰口やら悪口が、なんら解決に至らない、と分かっていても…


初めて企業さんを訪問し、いろんな方にお話しを聴くときも、大抵そうです。誰でも、指示してもらったことをやるほうが楽なんですが、いつも指図されるってのも何だかな~と。実に勝手なものですが、大きなこと、責任が伴うことはいやだけど、自由な立場で論じていたい。いや、それは論じているの?文句やストレスを吐き出しているだけ?


説三道四(シュオ・サン・ダオ・スー)、あーでもない、こーでもないと無責任に論じること。漢数字を使うことで、あっちにいったり、こっちに来たり、数ばかりで無機質な様子が伺えます。今、与えられた環境の中で、自分ができること、自分のため、人のためになることを、考えていきたいですね。


说三道四 [shuo1 san1 dao4 si4] 2020/07/13


249. 離れていても

テレワークのコンサルティング、今年度に入って、当社では70件を超えました。パートナーの皆さんにも、本当に頑張っていただいています。そして、それだけの需要の大きさを感じています。


もともと私が「テレワーク」っぽいことをし始めたのは、子供が生まれたとき。当時転職したばかりのインターネットサービスのベンチャー企業は、あまり制度も整っておらず、かなりやりたい放題させていただきました。


その次に、もう少し大きなテレワークを始めます。それは第二子が生まれてすぐに、夫の転勤で家族で赴任したシンガポールで。もともと幼子もいて、そんなに仕事はしていなかったのですが、駐在までしてしまうと、帰国するまでにぷっつり糸が切れてしまいそうだったので、何かしら日本の診断士の関係者と連絡をとろうとしていました。


やがて上海に転勤しても、時間にあまりこだわらず、明確なミッションの中で働くことに慣れてきて、帰国して独立しても、そのスタイルは基本的には変わりませんでした。そういう意味では、今テレワークのコンサルティングを多くさせていただいているのも、こんな伏線があったんだ、と、感じています。


テレワークというのは、何か特別な、物凄く効率的で柔軟な働き方、なのではなく、(もちろん、そうすることもできるけれど)、離れていても、いつも普通に事務所でお仕事するように、IoTのチカラを借りて行う働き方のこと。IoTツールはあくまで「ツール」。大事なのは、「あなたのこと、見てるよ」「私はこう思っている。どうでしょう?」と、文章以外の方法で、表現できるようになること。気配りややさしさも求められるでしょう。


天涯比隣(ティエン・ヤー・ビー・リン)離れていても、まるで隣にいるかのような親しさのこと。4000年の昔から、テレワークの大切さは語られていたんですね。うむ。奥深い。


天涯比邻 [tian1 ya2 bi3 lin2] 2020/07/06

248. 自分で気づいてこそのアクション

経営コンサルティングを行う場合、多くは社長さんや経営者とお話をします。そして、多くの経営者さんは、「自分はこんなに頑張っているのに、下は付いてこない、考えていない、仕事しない…」と、愚痴られます。本当にそうかもしれません。でも、価値観は違うもの。だって、経営者はできるだけ小さい資本で、大きく効率をあげて欲しいと思い、従業員はできるだけ楽な仕事を、沢山お給料もらってやりたい!と、真逆のことを考えているから。人は感情の塊、とか人は感情の動物、と言われるように、経営者の「やりたい」こと、従業員の「やりたい」ことは、理屈ではなく、感情からきているのでしょう…ね?


とはいえ、人間は感情「だけ」で生きている動物ではありません。理性によって自分を律し、お仕事の時はシゴト・モードで働くのです。でも何なら、お仕事モードも楽しくないよりも、やりがいが無いよりも、楽しくやりがいのあるものにしたいですね。では、どうするのがよいのか?答えは一つではありません。でも、二つ言えるは;


①会社の方向性や理念を伝え、理解して行動してもらうことは非常に重要。

②①に向かって行動する方法については、何でもかんでも指示しないことも重要。


案外、部下のことを愚痴られる場合、①を十分にやってない場合が多いのです。そんなこと言わなくても、阿吽の呼吸で、できるでしょ?社会の常識でしょ?いえいえ、そうではありません。言葉は言わないと伝わらないのです。それができていないのに、あれこれ細かいことにとやかく口を出す。下の人間にしてみれば、一体どうしろっていうんだ!って、思えますよね。


確かに会社の経営者や上司は、人生でも、業界でも、その会社でも部下より経験はあるのでしょう。しかし、社会は物凄い勢いで流れていきます。昨日の常識は今日の常識ではありません。新型コロナウィルスも、流行初期はマスクは意味がないとも報道されました。でも、今は一旦ピークが収まったのに、マスクは必須になっています。外食サービスのレストランも、「美味しいハンバーグを提供すること」という①の理念があったとしても、②の方法や手段は、「お店で提供」が当り前と思っていたら、コロナ禍では出前が主流になる、というのと似ているでしょうか。


今是昨非(ジン・シー・ズゥオ・フェイ:昨日のは間違いだったと、今日理解する、または時の流れが速くて、昨日の間違いは今日の正解と価値が変わる、ということ。)目標は変えずとも、そのアプローチの方法は、自分で考える。過去の失敗は失敗と認め、前に進む。最近、我が家の高校生は、前日のうちに翌日の学校の準備をするようになりました。当日の朝、バタつくことが続き、それが良くない!と、自分で思えたのかな…と、そっと見ています。(内心:前から毎日のように言ってたのに~!!)


今是昨非 [jin1 shi4 zuo2 fei1] 2020/06/29

247. 雨に、思う

外は梅雨らしい雨。外には出ていきたくはないですが、そして出て行かない生活にすっかり慣れてしまった私ですが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?


6月といえば梅雨。雨が降らないと困るのですが、それでも「雨」は一般に、ネガティブなイメージで捉えられます。コロナ禍で、毎日感染者のニュースばかり流れていた3月・4月も、「開けない夜は無い」というのと同じぐらい「止まない雨は無い」とも言われていました。また「雨降って地固まる」等、悪いことのあとには良い状況になるよ、という意味でも「雨」は悪者。


しかし、今日ご紹介する言葉は「春風化雨:チュン・フォン・ホァ・ユィー」、植物が成長するために必要な風や雨のこと。転じて、人に必要な良い教育の意味。今まさに、私が感謝をしている素晴らしい教育が、これに当たるのではないかな…と思い、今週はこの言葉を選びました。


子供たちが学校に行けない間も、学校の先生方は知恵を出し合い、普段あまりお使いにならないインターネットのツールを工夫されて、色んなメッセージや教材を届けてくださいました。もちろん、学校で授業ができなくて、少しでも決められた範囲の勉強の遅れを小さくするための動画やプリントもありましたが、それ以上に、異なる家庭環境の中で、どんな時間を過ごしているんだろう、と想いを寄せ、元気づけ、生活のリズムを崩さないよう、厳しさと優しさを一緒に届けてくださるような言の葉の数々。


先生方はいつもやるように、決められたようにやるだけでも色んな手間やイレギュラーがおありになるのに、今のコロナ禍のような、誰もその先が分からない、予測もできない不確実性の中で、方向を示してくださった言葉、というのは、愛情が沢山こもった素晴らしい教育だった(いや、今もまだ、現在進行形…)と思います。

ちょうどこの梅雨の季節の雨のように、言葉や励ましやアドバイス、サポートの一つ一つが栄養となるような、そんなコンサルティングを目指したいものです。


春风化雨 [chun1 feng1 hua4 yu3] 2020/06/22

246. 気持ちは平坦に

自粛から自制へ、ということで、少しずつ、日常が戻ってきています。全国的に、いや世界的に数か月レベルの自粛生活だったので、カラダはすでに在宅モードで落ち着いておりました。そこで、また元のリズムに戻す?いや、新しい生活様式に変える、となると、大なり小なりのストレスを感じてしまうものですね。


まだコロナと共に、上手く、注意を払いながらの生活や仕事が大切ですが、ここ数か月の自粛期間、そして新しい生活様式にシフトしていく今、平凡であること、当り前にあると思っていたことの有難さをひしひしと感じています。そして、周りを見渡しても、自分がどんなに努力しても変えることのできない環境の変化を受け留め、その状況を悲観することなく、与えられたところで別の努力や工夫を続けた人が、新しい生活様式にも、スムーズに移行できているように思えます。



4~5月の自粛在宅期間、我が家の子供たちは進学したのにその学校の様子も分からず、テレビをつければ毎日不安になるようなニュースばかりで、気持ちが落ち着かなかったり、イライラして何かにぶつけたい、という気分になったりもしていました。でもそれは自然なことだと思います。私も、ソ連崩壊後のモノ不足のロシアで過ごしたり、政治問題が起こった上海で過ごしたりしたこともあり、多少は腹が座っているつもりでおりますが、やはり不安にならない訳がありません。でも、ここで気持ちを静かにしたものが、周りを穏やかにする!と言い聞かせておりました。その結果自分も明るく、ちょっと別のチャレンジもしながら過ごせたような気がします。


夷険一節(イー・シェン・イー・ジィエ)、日本語でも「いけんいっせつ」と言われますが、夷:平坦な時、険:険しいとき、いつでも、どんな時でも節度は一つ、という意味。逆境でも取り乱したりせず、平常心でいられる、ということ。私も普段から色んなことを考え、たくさん喋りたい性格なので、コンサルタントになったばかりのころは、すぐ興奮して喋りすぎ、失敗しておりました。今は子供に「お母さん怒ると思ったのに、怒らないんだね」と言われるのが、少し褒め言葉のようで、嬉しいです。今週も、穏やかに、目標に向かっていきましょう。

夷险一节 [yi2 xian3 yi1 jie2] 2020/06/15


245. テレワーク

毎週月曜日は、中国語のことわざを調べ、私の業務を通じて言いたい!と思ったことをお伝えしております。そして、ふと思いました。灯台下暗し。最近になって非常に忙しくなっているテレワークのコンサルティングですが、「テレワーク」って、中国語でなんというのでしょうか?


言葉は本当に生き物です。インターネット用語は、私にとっては中国語の中でまだまだ未開の世界。「テレワーク」ということば、日本でも「リモートワーク」や「在宅勤務」等(テレワークは、テレワーク協会さん等が説明されているのは、在宅勤務以外にも、モバイルワークやサテライトオフィスも含まれるので、「在宅」だけがテレワークではないですが…)、定義があるようなないような、雰囲気で捉えられている言葉ですね。一応中国語で調べてみると、最も多かったのが「遠程工作:ユェン・チャン・ゴン・ズオ」、「テレ」が、「離れて」の意味なので「遠程」、「工作」は仕事(ワーク)なので、その合体です。


ついでに、「変動労働時間制」は、漢字を変えただけの「变动劳动时间制(ビィエン・ドン・ラオ・ドン・シー・ジィエン・ジー)」。ふむふむ。では、日本人にとっては、なんだか少し新しいような、ふわっとして明確な意味が分からないカタカタ用語の「フレックス・タイム」はどうか。「弹性工作时间:タン・シン・ゴン・ズオ・シー・ジィエン、弹性上班制:タン・シン・シャン・バン・ジー」等、フレックス・タイムだけに、表現にもフレキシブルのようです。漢字を見ていると「弾性」がフレックス、柔軟に弾むイメージが溢れています!

会社の定めた情報と情報機器のルールを守って、事務所から離れ、通勤の憂いから離れ、弾むように仕事ができると、素敵ですね!これからは「離れていてはできない」は言い訳になります。離れていても、人と経営を元気にできる!そんなコンサルティングを目指します!!!


远程工作 [yuan2 cheng2 gong1 zuo4] 2020/06/08

244.静かな、雨

九州南部では、既に梅雨入りしたようですが、長い在宅生活を過ごしている間に、6月になりました。そして今日は雨。外に出ると、半袖の腕に空気がひんやりします。今日から時間差登校の新・中学生は、当面体操着登校とのこと、半袖半ズボン+マスクで元気に出ていきましたが、すぐに帰宅。

「忘れ物?」

「いや、なんだか寒いから長袖ジャージ、着ていく。」

とのこと。

イレギュラーな在宅の毎日が、もう2か月も続くとそれが普通になっていましたが、ようやく静かに、あるべき、でも、新しい日常が始まった気配です。

もちろん、まだまだ感染リスクとの共存です。外にでても良くなった!と浮かれすぎず、気持ちを引き締めて、できることから、できることを頑張りましょう。そんな浮かれ気分を諭すように、東京地方、本日は静かな雨。私は月初の請求書発行や事務仕事のまとめです。色んなことがあっても、毎月のこのルーチン業務は続きます。


「五風十雨:ウー・フォン・シー・ユィー」…5日目に風が吹き、十日目に雨が降る、順調にサイクルが回っている、ということ。情報通信技術のお蔭て、テレワークや自動化、効率化と、私たちの生活は大変便利になりました。でも、自然の中で生かしていただいていることには変わりません。自然のサイクル、季節の移り変わりを穏やかな気持ちで眺めながら、毎日コツコツ、目標に向かうスタイルを続けていきたいですね。


五风十雨 [wu3 feng1 shi2 yu3] 2020/06/01


243. バランスと白黒

今期に入ってから、多くのテレワーク導入コンサルティングを対応させていただいています。もともと、個人のライフワークバランス上、またTOKYO2020のような、地域や国を挙げての大規模イベント等、どんな状況下でも、働き続けられる環境を創れるよう、また、効率的に業務が行えるよう、お手伝いをさせていただいていたものでした。しかし、今期は今まさに直面している問題を、現実的にどう対処するか、という話題が多くを占めています。


そして、緊急事態宣言から二か月になろうとし、第一波の沈静化が感じられるようになった今、「とにかくテレワークは、今、この状況の時だけで、終わったら元に戻す」と仰る企業さまも多くおられます。確かに、企業さまにとってみれば、以前の業務形態で利益を確保し、組織を運用されていたのですから、それに戻すことは自然な考え方でしょう。さらに、「企業様」と一言で言っても、お客様と直接対面・接触が伴う行うサービス、モノを実際に作ったり運んだり、あるいは手触りや目視での確認が必要な業務の方もおられ、テレワークは、どこでも、誰でも適用できるものではありません。その割合や環境は、100社100通りです。しかし、その多様性の中でも、できるだけテレワークで出来たことを部分的に続ける、ということを考えていただきたい、そう感じ、またコンサルティングの中でもそう申しております。


コロナ禍を予想もしなかった一昨年、去年までは、テレワークコンサルティングを担当した率直な感想として、「一歩目を踏み出せない企業様が多い」と強く感じていました。新しい風を感じ、新しいものに対応し、取り組む、という「面倒くさいこと」に、組織として運用するのが大変だからです。しかし今は、世界的な脅威が現実のものとなり、色んな企業様が、いろんな工夫をされるようになりました。テレワーク導入の観点から見れば、「一歩」が踏み出せたのです。機器やアプリ、セキュリティの問題もあるでしょう。でも、これからも、歴史は繰り返します。コロナでなくても、他の脅威や災害は絶対怒らないと言えません。備えが無いと、避難訓練をしていないと、いざという時は動けないのです。


緊急事態宣言というのは、私は国や地域の大きな人のまとまりに対し、分かりやすく方針を示すための一つの線引きだと考えています。曖昧な言葉では、万人を理解させるのは難しいですから。これを極端に緊急事態宣言発令中=外出自粛、緊急事態宣言解除=外出可能とは解釈できませんよね。「ではどうするのが良いの?」それはその企業様にとって、最適の方法を見出す、という、一件曖昧なようで、バランス感覚と難しい判断が必要な解決策。人間は指図されるのは嫌ですが、難しい判断はやりたくないので、誰かに決めてほしいのです。テレワークだけやる、テレワークはゼロ、というのは簡単ですが、その中間の程よいところがあるはずです。中国では「中庸:ジョン・ヨン」という言葉があり、日本でも「中庸の徳」とよく表現されます。どちらかに極端に動くのではなく、社員の健康・商品やサービスの品質・お客様の状況と満足度・会社の業態…これらを総合的に考えたその真ん中がどういう事なのか、これからも企業様と一緒に考えていきたいと思います。


中庸 [zhong1 yong1] 2020/05/25

242. 小さいことにも

緊急事態宣言も、多くの地域では解除されましたが、私たちが住む地域では、まだ外出自粛が必要です。(いや、緊急事態宣言が解除されても、基本的には外出自粛ですよね)毎週食品調達頼みの綱の生協さんのデリバリーも、欠品が多く、色んなことが思ったように進みません。でも、仕方がないことですよね。誰かの所為にしても、イライラを何かにぶつけても、問題は解決しないし、モノを破壊したり、人に悪態をついて気分を害させてしまうと、後味の悪さが残ります。


そんな時こそ、小さなことに感謝して、穏やかな気持ちでいることですよね。今の環境下でできること、まずは元気に生きていけること、それに、オンラインでお仕事をさせて頂けること、オンラインで趣味の仲間と交流が持てること。。。


今日もオンラインでテレワークのコンサルティングをさせていただいていました。今のような非常事態だからテレワークを行うんじゃなくて、このような事態は、流行疾患に限らず、台風や地震のような自然災害、あるいはオリンピックのような大規模イベントでも通勤不可能な状態が来るかもしれない。その時のために、準備しておきたい、そんな思いの企業さんには、是非、上手くテレワークを導入いただきたいという気持ちになりました。


おそらく、いつかは以前のように、何も考えずに外を出歩くことができるようになるでしょう。でも、その時が100点満点であるわけではなく、外は出られて、病気の感染の恐れはなくても、他の心配事があるかもしれません。そんなあるかどうかも分からないリスクを恐れるよりは、今できることを精いっぱいやる、今できる備えも精いっぱいやる、そして今の状況に満足して穏やかな気持ちでいる、これが楽しく過ごすコツかもしれません。


「三平二満:サン・ピン・アー・マン」(10点満点として、そのうち)3で平安、2で満足、つまり、小さいことに満足して穏やかな気持ちでいる、ということ。世の中うまく行くことの方が少ないのだから、十中二がかなえられていれば、満足できるんですね。今週もオンラインでの新しい出会いがいくつかある予定です。素敵な出会いになりますように。


三平二满 [san1 ping2 er4 man3] 2020/05/18


241. 一日遅れの母の日に

昨日は母の日でしたね。テレビでも遠く離れた母親への感謝の気持ち、母親との思い出をドラマ仕立てで放映されていました。インターネットのビデオ通話を介しての感謝の気持ち告白なんかも、今の時代の、そしてこの難しい時期にうるっと来てしまう方も多かったのではないでしょうか。


さて、現役母としては、何が正解なのか良く分からないことがあります。おそらく、会社経営も同じでしょう。


世の中、「良いこと・悪いこと」でスパっと割り切れれば、こんなに悩まなくて済むのかもしれませんが、価値観が多様ということは、Aさんは良いと思っても、Bさんには良くない、面白くないことかもしれない、ということ。完全に自分が満足な状態でずっと過ごすことはできなくて、どこかに我慢、妥協、不満ながらの追従なんてことも必要になってきます。また、人によって価値観が違うだけでなく、時と共に、時代背景や環境の変化と共に、社会の価値観も変わります。その中で自分の思う「良いこと」も変えていかねば時代に置いて行かれることになります。


とはいえ、会社の「理念」のような大方針たるもの、そんなに変わるものではありません。「何かをしてもらったら感謝をしましょう」「他人が嫌がることをしてはいけません」ということは、社会ルールの基本で、きっとこの先100年も変わることがないですよね。なので、母親業も社長業も、大きく構えて、ちょっとしたことは受け流す、失敗した子や社員には解決方法を教えるよりも、話を聞く。こういった姿勢が大事なんだろうな~と思います。


「慈母敗子:ツー・ムー・バイ・ズ」、子どもを慈しむだけの母を子どもをダメにする。ま、時々突き放して失敗を経験させましょう、ということですよね。ここで如何に失敗をさせないか、ということが社長や母に求められるのではなく、如何に腹をくくれるか、ということが重要になってくるのでしょう。大らかでいられることは、与えられたものではなく、努力して得るものだと思います。今週も怒りたくなったら、6秒我慢してみましょう。


慈母敗子 [ci2 mu3 bai4 zi] 2020/05/11

240. ちょっと気分を変えて

ありがたいことに、毎日元気でおります。皆さまは、いかがでしょうか?毎週月曜日、(できるだけ)ビジネスや経営のエッセンスになる(かもしれない)、あるいは雑談のネタになる(かもしれない)中国語の成語を、こじつけながら紹介しておりますが、こんなご時世、ちょっと今日は方向を変えてみます。

四字熟語で、柔軟に、そして、ピリッと刺激になるような…思いついてしまいました!これです!

麻婆豆腐!「マー・ポー・ドウ・フ」。もちろん、こちらが本家です。日本語では、マー「ボー」ですが、本家はマー「ポー」と発音します。もうすぐステイホーム週間ですね。お家で色々お料理しましょう。我が家は今夜、もちろん、麻婆豆腐でした!!

麻婆豆腐 [ma2 po2 dou4 fu] 2020/04/27

239. 目の刺激、耳の刺激

先週と同じく、雨の月曜日です。ですが、週末に上海時代のお友達と、Web会議で繋がることができ、子どもたちも、ママ友たちも、懐かしい顔、懐かしい顔から成長した顔や声を感じながら、たわいもないことで大笑いでき、今朝は全員それぞれの場所で集中できています。


が、二本も電話が。


午前中は次男の中学校の担任の先生、午後は長男の高校の担任の先生。まだ先が見通せない中のもろもろチェック電話です。元気でいるのか、全員がインターネットの環境が同じでない中、この機会を上手くとらえられているか、生活が乱れていないか、更に新しい学習事項を学校から送ることはできるか、というようなことをお聞きになりました。また本人とも直接話して、部活でどんなことがやりたいか、等も話していただいたようです。


今日はたまたま、朝からそれぞれ自室に分かれていったのですが、電話の後の子どもたちは更にぴりっとして、また自室に籠りに行きました。素晴らしい刺激ですね。先生方、と言っても、お二人とも新入生の顔と名前が一致するはずもないのに、提出された資料に目を通し、一人ひとりお電話をくださるなんて、本当にありがたいです。


昨日は画像で大きくなった上海時代の幼馴染の様子に驚き(自分も成長していることをそっちのけで…)、今日はどこかで繋がっているよ、心配しているよ、という気持ちの電話の声を受け、毎日同じ空間で、同じメンバーで過ごしていることに少し刺激を頂いたようです。


スポーツでも「声を出せ!」とよく言いますが、声を出すこと、そして聴くことは、生活を生き生きとさせてくれるものなのかもしれません。「有声有色:ヨウ・シェン・ヨウ・スー」話や演技がいきいきとしていることの意味だそうです。声を聞いて、声を発して、それに色が付く。いつも限られたメンバーの声の中で過ごす単調な生活に、素敵なエッセンスです。先生方、声のパワーを、ありがとうございます。


有声有色 [you3 sheng1 you3 se4] 2020/04/20

238. 雨降って

雨の月曜日です。気持ちがふさぎこみがちな今日この頃、お天気も悪いと、余計に沈みますね。ちょっと違うことを考えてみましょう。


雨なので…そうだ、「雨降って地固まる」ということわざがあります。雨降りや喧嘩、ゴタゴタ、問題…こういった悪いことの後には、その前よりもよい状態になる、ということ。私たちは今、その日を心待ちに毎日を過ごしているんですよね。


毎週の、この「ことわざ」コラムでは、中国の四字成語を中心にご紹介しておりまして、早くも238、こんなに紹介してもまだあるのか、というぐらい、奥深さを感じております。そして、日本の四字熟語も、ほぼほぼ中国から来ているんだな~と実感するのですが、そうでないものも、稀にあります。今日ご紹介するのも、その一つ。


「雨降って地固まる」の中国語版、雨が降っても広大な中国では地盤が固まるところとそうでないところがあるからでしょうか?私が調べてたところによると、こんな言い回しがあるようです。「不打不成交:ブー・ダー・ブー・チェン・ジィアオ」。打たなければ交流は成せない、つまり、喧嘩をしなければ、仲良くなれない。喧嘩をした後の方が、親しく分かりあえる、というイメージですね。


今の大変な状況、止まない雨はない、明けない夜はない、今しかできないことを、少しずつ、やっていきましょう。

不打不成交 [bu4 da3 bu4 cheng2 jiao1] 2020/04/13

237. かかわりすぎない

人事評価の方法で、いろんな企業さんで問題になるのが、数字ですぐに測れない項目です。「忘れずに●●したかどうか」、「時間通りに●●できたか」等はITの進歩と普及で、簡単に(逆に言うと、ごまかしが効かないように)管理できるようになりました。ただ、評価したいのはここではなく、数字で測れないような、個人の価値観なのか、共通の価値観なのか、表現や数量での評価が非常に難しいことなのです。たとえば、皆がいやがるようなことを進んでできているか、協調性があるか、モチベーション高く意欲的に働いているか、潤滑なコミュニケーションをとれているか…。


「コミュニケーション」と聞いて、会社ではどのぐらいのコミュニケーションが求められていて、どのぐらいのものが(人によって)不愉快、過剰なのか。終業後の飲み会は会社が求める「コミュニケーション」なのか???などなど、何となく、効率的で快適な会社生活には適度なコミュニケーションが必要なことは分かるけれど、それはどうやって「適度」、「素晴らしい」などと、測れるのか???ということになってしまいます。


このような難しい課題が出てくると「正解かどうか分からないけれど、まず考えられることをやってみよう!」と動かれる会社さんと、「分からないから、とりあえず、いいや」でストップされる会社さんで分かれます。難しくて、その解決先の効果が分からないならともかく、難しいけど、できればその先に良い結果や効果が期待できることなら、是非チャレンジいただきたいです。そして、もしそういった曖昧、抽象的な項目があるのだとすれば「会社の理念に沿っているか、どうか」で測ってみてください。社員さんが「自分はこれが良い!」と思って行動したとしても、社長が示した会社の方向に沿っていなければ、せっかくの努力も評価されません。社員さんも社長さんも幸せではありません。大切なことは「この会社の方針はこっち向いてますよ!」と社長が明確に示し、常に発信し、誰もが共通認識していること。その上に評価項目を創ることです。


と、いうことで、今はいずこも在宅勤務や休校で家庭内の距離が狭くなっている状況。家族のコミュニケーションは(今週も自分に言い聞かせています!!)気になったことを話す、こまめに口に出す…と、いつも皆がそれぞれの場所に通っているときとは違います。くどくど言いすぎないこと、最低限ここは守る!ということを示すこと(ぐらいでとどめておくこと)が、大切ですね。苦口婆心(クー・コウ・ポー・シン:老婆心でくどくど忠告する)という状況が当てはまるでしょうか。人は社会の中で生きる動物。かかわりが少なくなるのはさみしいですが、今は健康第一。外でも家でも、距離感を大切にしましょう!


苦口婆心 [ku3 kou3 po2 xin1] 2020/04/06

236. 春なんですが

みなさま、この週末は、いかがお過ごしでしたか?私も、Stay at home、自宅で家族とできるだけ楽しく過ごそう、せっかくだからゆっくり休もう、とあれこれ工夫してみました。それにしても、やっぱり月曜日になると、普通に仕事ができない不自由さを感じます。自宅でミーティングができたとしても、ケアすべき、しかもいつもならいるはずのない家族が、お腹をすかせて同じ屋根の下にいる、となると、仕事に集中する、ということもなかなか難しいですよね。


でも…そうはいっても、やはり今は我慢することが、より早く元の生活に戻れる方法なんですよね。テレワークのコンサルティングをテレワークで実施しながら、もっと上を見ないと、もっと新しいことを掴んでいかないと!と、考えております。


ということで、三月ももうすぐ終わり。昨日は信じられなぐらい雪が降り、せっかく満開だった桜も散ってしまったことでしょう。それにしても、なんという春なのでしょうか。二度目になりますが、普通の日々が待ち遠しいです。そこで、季節外れのような今の気持ちを中国語で。「一日三秋:イー・リー・サン・チィウ」一日が切ない秋三度ぐらいの長さと感じる、そんな意味ですが、春なのに、なんだか…ですね。


いやいや、こんな年、こんな時しかできないことを、見つけましょう!

一日三秋 [yi2 ri4 san1 qiu1] 2020/03/30


235. リーダーの掛け声

「経営者は孤独」と、よく言われます。また、経営コンサルティングのお仕事をさせていただいている私も、ほんとうにそうだと思います。多くの部下や従業員についてきてもらうためには、普通に話す時よりも大きな声で、元気がでるように、信用してついてきてもらえるように方向性を示さないといけない。そして、非常事態で不安になっても、難しい判断を迫られても、トップが不安な顔をするわけにはいかない。リーダーが元気でない会社は、元気な会社ではいられないのです。


ですが、時に、声だけは大きいけれど、実際の成果にはなかなか繋がらない、結果がでない、ということもあります。色んなケースが考えられますが、簡単に言ってしまうと声「だけ」が大きい場合。中身が伴わない、思慮がない、ポリシーがない、相手への思いやりがない、愛情がない…。トップの不安に駆られる気持ちから、ついついストレスを発散するように大きな声をだしたり、とにかく付いてきてもらうように、何が何でもアクションをすぐにさせるように、威嚇のような声を出す…といったような例。確かに大きな声をだされると、それだけで人間はビビッてしまうので、その押される気持ちから動くこともあるでしょう。もううるさく言われたくないから、「はいはい」と、手を動かすこともあるかもしれません。そういったときは、一瞬作業がはかどったようでも、実は品質があがったり、ずっと効率の良さ(スピード?)を維持できるわけではありません。社員が自主的に考えて動いていないからです。


声の大きさは、もちろんリーダーなら或る程度声量があったほうが良いでしょう。でも、社員や会社のメンバーに対する愛情や想いが込められているかどうかで、結果への繋がり具合は変わってきます。人間だれしも、社長であっても、万能ではないし、声を張り上げるのだって、業界でひっぱっていくことだって、ほんとうは不得意な社長さんだっておられます。でも、それでもその会社をどうしたいか、という想いがはっきりしていて、その考えについてきてくれる従業員に感謝や愛情がこもっていれば、「社長ったら、仕方ないな~」「スマートとは言えないけど、憎めないキャラだなあ」と、自然と周りにサポート体制ができてきます。


剛柔使い分けはなかなか簡単にできるものではありませんが、愛嬌と厳しさとで引っ張っていく力、時に見守る余裕がリーダーには求められますね。とにかくガミガミ、ギャーギャーだと、得られる結果は限られてきます。「雷声大、雨点小(レイ・シャン・ダー、ユィー・ディエン・シャオ)」雷の声は大きい割に、得られる雨粒は小さい、なんてことにならないように、時に雷を落としても、青空のように静かに堂々としていることも、必要ですね。


雷声大,雨点小[lei2 sheng1 da4,yu3 dian3 xiao3] 2020/03/23

234. 日常が、大切

平凡な、いつも通りの毎日が、いかに大切なのか、思い知らされる今日この頃ですね。

今日は、あまり堅苦しいこと、敢えて「頑張ろう!」というメッセージは抜きにして、楽~な気持ちで書きたいと思います。


鈴木さん、佐藤さん、山田さん、高橋さん、田中さん…日本人の苗字の代表格。地域性もあったりしますが、日本中、ほぼ、どこでもおられます。


日本海の向かい側、ロシアでは下の名前は「ナターシャ(ナターリア)」、「サーシャ(アレクサンドル、アレクサンドラ)」等、非常に種類が少なく、私もお友達の中に同じ名前の方が何人も居ます!一方で苗字は本当にバラエティに飛んでいます。体操の選手、フィギュアスケートの選手、同じ苗字ってなかなか見ないですよね?


さて、本題。中国。こちらはロシアと反対。下の名前はバラエティに飛んでいて、苗字は張さん、李さん、王さん、林さん、劉さん…と、中国語を話さない方でもいくつか挙げられそうですよね。中国語の苗字に関して、面白い言葉があります。


「張三李四」(ジャン・サン・リー・スー)、張家の三男と李家の四男という意味で、その辺にありふれた平凡な、つまらない(人)ということ。名前を四字成語にしてしまうって、凄いな~と思いませんか?「鈴木三、佐藤四」なんて、ちょっと言わないですからね!


と、くだらな~い成語を紹介してみましたが、毎日毎日が気力の起こらない、見えない何かと戦わなければならない、そんなフラストレーションの溜まる中、やっぱり平凡でいること、いつも通りで普通でいることがこんなに凄いことなんだ、と気づかされたので、ちょっとメモしてみました。いつもなら忙しすぎて気づきも見向きもしなかったこと、つまらなさも楽しんでみましょうか。日常があることに感謝して。

张三李四[zhang1 san1 li3 si4] 2020/03/16


233. 一旦落ち込んでも

3月2日からの全国一斉休校、私も影響を受けた一人です。3月から、というよりは、休校要請が2月27日の夕方でしたので、「その週末にできることをやってしまわないと2日が最後の登校日になってしまうかも!」と、小学校の二つ掛け持ちしている委員会の連絡と卒業式情報、中学生の高校受験関連・卒業式情報、そして一年間世話人を引き受けてきた少年野球の練習可否の連絡、卒団イベントの連絡、そして訪問中止・延期となった企業様との連絡…。普段から連絡業務は素早く先手で!を推進してきた私も、さすがにヘトヘトになる情報量でした。そして、連絡が一通り落ち着くと、今度は勤務先が在宅勤務推進してきた夫も含め、家族全員が家にいることになり、家で事務作業をやってしまおう!という目論見も、三度の食事の支度、全員が家にいることにより必要となる清掃などで公共の仕事が増え、思い通りにはなかなか行かない三月上旬でした。


みなさまは、いかがお過ごしでしょうか?


幸い、顧問先の皆さまも、Web会議をこれまでも使ってきましたので、何回か行けないよりは安全にオンラインでやりとりをする方が…と考えてくださり、普段から色んなことを取り組んでおくことの大切さをしみじみと感じています。


また、2019年度は、個人的な話で恐縮ながら、前述の少年野球世話人と受験生の親としての重責で、なかなか仕事に身が入らないことも多々あり、趣味のバンドも後半はお休みしてました。それもようやく終わって、さあ、これから!というときの新型コロナ騒動。世の中、なかなか思うようには進みません。でも、だからこそそれを超えていく力が大切なんですね。


では、その力、とは何でしょうか?企業にとってその力は、私は「収益力」と「行動力」だと思います。収益力は、簡単にいうと、稼ぐ力。利益をしっかり蓄える力です。荒っぽい商売をしろ、と言っているのではありません。他の会社に追随を許さない、オンリーワンの商品・サービスを、高い満足を与えられるように提供できているか、がポイント。利益が蓄積できていれば、こういった非常事態に社員に優しくできる余裕ができ、会社に優しくしてもらえた社員は、会社のために非常事態も頑張ろう!と思えるのです。


そして、「頑張る」ためにも、普段から行動を起こす文化・習慣がなければいけません。私は、昨年度から多くのテレワーク案件を担当させていただいています。しかし、BCPの関心のない企業、まずはやってみよう!という雰囲気のない会社は、なかなか重い腰が上がりません。ルール策定に時間ばかりが過ぎていきます。そして、実際テレワークをしないと、健康上のリスクも伴うような今の時期になり、あわてても、平常時に行動していないために、どうしようもできなくなるのです。


今は我慢の時期。売上や利益も下がることは逃れえません。しかし、その先は、しっかり回復して業績向上をめざすんだ!と、しっかり収益獲得と行動・実践の作戦を立てましょう。東山再起(トン・シャン・ザイ・チー)、一旦東山に隠居するも復帰し、東晋の復興に寄与した謝安さんの故事からきた言葉のようですが、今は私たちも、その先を考えて過ごしましょう。

东山再起[dong1 shan1 zai4 qi3] 2020/03/09

232.この漢字、その感じ!

中国語の漢字を色々調べてみると、表現する文字が漢字しかないだけに、日本語ならカタカナやひらがなに逃げて曖昧に表現できることも、ちょっと意外と思えるような字が使われていたりして、ちょっと楽しい話題の一つにもなります。


先日も、受験勉強に疲れたサッカー大好き息子が、中国語のサッカーワールドカップのサイトを見て、中国語の国名の漢字を私に見せて答えさせる、というクイズをして遊んでおりました。(その漢字は決して入試には出ないでしょうけれど…)以下はその一部です。さて、どこでしょうか?


1.科特迪瓦

2.克羅地亜

3.烏拉圭


上記全て、発音から似た感じをあてはめているようです。中国語の基礎が大体わかっていると、発音してみて、「うん!これだ!」と分かるので、私は全問正解できましたが…答えは、1.コートジボワール、2.クロアチア、3.ウルグアイ。中国語の外来語によく使われる漢字は、なんとなく決まっているので、そのルール性を知っていると回答には早くたどりつけます。そうでなくても、ちょっと楽しい気分になりますね。


では、今度は実在しない、感情を表す漢字について。ちょっとレベルが上がりますが、気持ちが昂ったり、沈んだり、そんな状況を表す漢字があるとしたら…!と思って調べてみると、ありました。「忐(タン)」と「忑(トク)」。心が上がる、心が下がる、そう意味なのかな…と用法を更に調べていくと、どうやら単独ではなく「忐忑(タントク)」という熟語で「不安でドキドキする様」を表すようです。もちろん、中国語でも四字成語があり「忐忑不安(タン・トゥー・ブー・アン)」、意味は同じく、不安でおどおど・ドキドキする、ということ。


漢字遊びで、ちょっと気持ちをほぐすのは楽しいですが、急激なアップダウンは(止めろと言われて止められるものではないですが)心身共に疲弊してしまいますね。ペースを乱さず、おちついて、受験も決算期も、乗り越えていきたいですね。


忐忑不安[tan3 te4 bu4 an1] 2020/02/17


231.周りも大切だけど

中小企業診断士になって13年目になります。初めの5年間はシンガポールと上海におり、「海外にいる(あるいは、海外に行こうとする)日本企業」がターゲットでした。今の事業とは少し違うのですが、その時から、どんな局面にあっても、どんな切り口のコンサルティングでも、多くの経営者さんが「他の会社さんはどうですか?」とお尋ねになられています。また、尋ねられなくても、私から説明するときに、セオリーを話すよりも、他社事例を話す方が、反応の強さを感じます。やはり、他人のお話は、興味がある、ということなのでしょうか?


もちろん、他人が気になる、参考として同業他社の状況を知る、ということは必要です。が、何事も程度があります。幼いころに、親から言われなかった人はいないのではないかと思われる名言(?)、「よそはよそ、ウチはウチ。」。最近特にテレワーク導入のお手伝いをしていると、知りたいデータとして「他社成功事例」を求められます。他にもやっておられる人がいる!ということやアプローチの方法を情報としてキャッチし、自社でもなんとかできないか、と考えるのは素晴らしいことだと思うのですが、どうも、事例を「そのまま」やろうとされて上手くいかなくなる、というパターンが多いと思われるのです。なぜなら「よそはよそ」だから。


似たようなことで、契約書や社内ルールなどの文言の不自然なものの利用が挙げられます。文書や法律、さまざまな情報が検索により入手できるようになりました。が、必ずしもすべて正しいとはいえず、また全てその企業さんに合致しているとはいえません。ここに判断力が求められ、判断する前にしっかり注視し、理解し、自社に適用してよいのかどうか、考察することが求められます。しかし「楽に、簡単に作業を行うために検索してダウンロードしたのだから」簡単に最後まで済まそう!とおかしいところもそのままに使われてしまう残念なケース。初めのひな型・事例は参考にしても、考えて判断するプロセスは絶対にとっていただきたいものです。


他社のモデルは他社の事業、規模、雰囲気、地域条件など、色々なものに裏付けされています。それらを意識しながら思考のプロセスを経ることで、自社に適当なルールや事業になるだけでなく、息のかかった愛着のあるもの、実施・継続可能なルール・事業となります。「左顧右盼(左を顧みて、右を盼みる:かえりみる…ズォ・グー・ヨウ・パン)」とは、周りや他人の事ばかりキョロキョロみること、周りばかり見て決断できないこと。自分に自信が無くなるときは、目を開いてキョロキョロしないで、たまには目をつむって静かに時間を過ごしてみるのもいいかもしれませんね。


左顾右盼[zuo3 gu4 you4 pan4] 2020/02/10


230.まだ先は長い

先週は、人間は怠惰な動物だから、切羽詰まらないと動かない、というような事を書きました。実に調子がよいのですが、今週は切羽詰まっている人に「そんなに急がなくてもいいよ」という言葉を紹介したいと思います。まあ、白か黒か、善か悪かで全てが割り切れればよいのですが、世の中親子や兄弟でさえ、みんな違う人間が一緒に活動していると、「そうは言っても…」とか「とりあえず妥協点を…」あるいは「今回はガマン…」みたいなことが出てきますよね。事実は一つなのですが、その捉え方を、如何に柔軟に、よく言えばポジティブに受け留め、次につなげられるか。悪く言えば調子が良い、というか、軽いというか…。


他人の芝生は常に青いもの。「いいなあ、あの人は。いつも成績がよくて。」「いいなあ、あの人は速く仕事ができて。」「いいなあ、あの会社は、業績がよくて…」と、上手くいっている人がその陰でどれだけ努力しているか、そんなことはそっちのけで自分の目に見えてくる現状だけがうらやましく映るもの。そして他人が落ち込んでいたら「大したことないよ」と慰められるのに、自分の身に降りかかるとドデカイ重荷に感じてしまう。10代ぐらいなら、本当に悩みますよね。小さい頃はみんな一緒だったのに、成長とともに色んな差が出てくることに。


ところが大人になり、何巡もそういうサイクルを経験すると、「次がある」ことも分かりますし「失敗もするし、そういうもんだ」ということも分かります。分かっていてもなかなか腹落ちしない、自分の中で整理できない、そんなときも(まだまだ)あります。そんな時はどうするか。お友達、パートナー、家族と、答えを出さなくていいから、なやみやモヤモヤを共有すること!会社でそれができる雰囲気なら、最高ですよね。


来日方長(ライ・リー・ファン・チャン)、来るべき日の方が長い、将来はまだ、これから時間がたくさんあるよ、ということ。チャンスはこれからもある。ただ、チャンスを見極めないと、あっというまに過ぎていってしまうけど。


来日方长[lai1 ri4 fang1 chang2] 2020/02/03


229. 追い詰められて

人間というのは、そもそも怠惰で、できるだけ楽な方へと進んでしまう生き物ですよね。そして、やりたくないことは、やらなきゃいけない!と分かっていても、見ないふりしたり、忘れよう!と現実逃避してみたり。また、「今度こそはやるぞ!」と決めて、十分な時間をあてがってしまうと、却って集中できなかったり…。というのは、自分のことを顧みた場合。ところが自分には「そんなこと、あるよね」と内心慰めるのに、なぜか人には厳しさを求めるのも、これまた人間。自分のことはついつい、棚にあげちゃいがち。


今年度は我が家も受験生がいるから、と、お仕事をあれこれ調整させていただき、できるだけ子どもたちの帰宅時間には家にいるようにしております。部活も引退し、近くにいる時間が増えました。すると…やはりこの、人間のいやな部分が出てくるんですよね。サポートするつもりで家にいるのに、なんだかお互いにストレスになったりして。というのも、親の私は「受験生で早く帰ってきているんだから、少しでも勉強すればいいのに」と思い、子どもは「一旦休憩してから、〇時に始めよう」と思っている。そう思っているのに、親の「まだ勉強しないの?」が先に飛んでくると、やる気が失せる。しかも、親がイライラしているのも、しっかり感じ取っている。そうなると分かっているから、できるだけ見ないように、声かけないように(少なくとも「そろそろ勉強を」は言わないように)していたら、なんだか自分の心の中がモヤモヤ…。


自分の子であっても、別の人間。考え方や行動は違うに決まっています。この数か月、自分の心の葛藤は勝手に子どもに厳しさを求めているだけだ!と思おうと努力しておりました。(苦笑)私の仕事については、幸い私は社長で、誰からも指図されることもありません。そう、自分が思う通りにならないイライラを、しかも他人の時間のことまで(アドバイス以上のことを)突っ込んじゃダメ!と言い聞かせては失敗してきました。子どもよりも数十年人生経験をしているので、勉強しないとその先はどうなるか、見えてきてしまうんですよね。

でも、それが見えてきて、本当にマズイ!と実感しなければ、人間は冒頭にも書いた通り、怠惰な生き物なので動きません。なので追い詰められて、やらなければいけないと「自分で気づき」「行動する」。やってみて「良かった!」と思うからまたやる、という行動の波を興していかないと、自分で努力する意欲も湧きませんものね。今は一番近い受験生のことを想定しながら書いていますが、仕事でも同じです。まずいと思えば自分からやるだろう、もしやらなかったら、できなかったら、その時は一緒に反省しよう、と腹をくくって見守るのも、リーダーシップを執る者に必要なスキルでしょう。「狗急跳墻(ゴウ・ジー・ティアオ・チィアン)」犬も急ぐと壁を飛び越える、という直訳になりますが、火事場のバカ力、窮鼠猫を噛む、と同義です。壁を飛び越える力をつけてくれるか、力をつけるのも、飛び越えるのも、自分だけ、ですね。私も自分の壁を飛べるように、コツコツできる力をつけていこうと思います。できれば急ぐ前に。


狗急跳墙 [gou3 ji2 tiao4 qiang2] 2020/1/27

228. 願いは叶う!

2020年、新しい年の幕開けです。一年の計は元旦にあり、と言いますが、今年のように、きりの良い年は、特に新鮮さが気分的にも倍増するものですね。そして、私も古い人間の類に入ってきているとは思いますが、お正月に行うことがその一年の縁起を決めるような、そんな気分になり、元旦の朝は一人ジョギングをし、そのまま初詣にも行って、大吉を頂いて帰りました。中国から帰国後、毎年お正月は和服を着ていたのですが、なんとなく今年はそれではないような気がして、オリンピックイヤーにちなんで…と、勝手に自分で決めて新しい年の朝の空気を楽しんできました。

さて、2020年は私自身、公私ともに勝負の年でもあります。まあ、「私」の方は、置いておいて、チアーマンサポートも2020年9月で8年目を迎え、10名のパートナーの皆さんと運営する「ちょっとITプロジェクト」も何とか公的支援・民間支援両方で継続できています。コンサルタントといえば、一匹狼が多いのですが、この時代の流れが速く、深い専門性が求められる時代に、一人でできることは限られていると私は考えます。そして、インターネットの普及で、情報を同時に共有すること、離れていても連絡を取り合うことが難しくなくなった今、共有し、助け合う仕組みをもっている方が、強くなれる、そんな、ゆる~くて強いチームを創りたい!そう思って3年目にちょっとITプロジェクトを立ち上げました。

石の上にも三年、というとおり、そろそろ実績を出していかねばいけません。そう思っていたところ、事務所に来た年賀状の中に、私以外の、他のパートナーへの年賀状も含まれていて、やはり、意志あるところに道あり、思い続けて活動し続けていれば、少しずつでも道ができてくるものだ、と実感しました。自分自身で思い続けること、信じて行動し続けることが、外からの評価により形を成し、また育って行けるのだと思います。

年末スキーに息子と行ったとき「お母さん、スノボはもう、いいかな」というと「何言ってるの。伊能忠敬は50過ぎて日本地図を作り始めたんだよ!」と言い返されました。そうですね、思いは叶う。「心想事成:シン・シィアン・シー・チャン」、思わないと何も始まらない。今年も失敗もするでしょうけれど、健康に気を付けて、ぼちぼち進んでいきます。みなさま、何卒よろしくお願い申し上げます。

心想事成 [xin1 xiang3 shi4 cheng2] 2020/1/6


227. 今できることは、今!

週末、二人の子どもたちが夫々の用事で外出し、夫婦二人が在宅という、少し珍しい時間ができました。そこで以前からやりたかったことを、一つ実行しました。何かというと、遺言を書く、ということ。

もちろん、義務教育の子どもがいる親世代の年齢では、少し、いや、かなり早いとは思っています。病気に罹っているわけでもありません。しかし現実的に、同世代の急な旅立ちのニュースを最近になって、ちらほらと聞くようになりました。働き盛りで、ご近所づきあいも、子どもの学校関係も、趣味も、あちこち繋がりを持ち、インターネットのサービスもあれこれ活用している私たちの世代。残された方が、自分の生活を維持しながら他人の人生の整頓のお手伝いをするのは、非常に大変なこと…ですよね。

生きている間は、報われること、達成することを目指して努力しますが、一旦こちらから旅立ってしまえば、ちょっと片付けたくても(と、思えるのか思えるのかも分かりませんが!!)どんなに努力しても、どなたかにお願いするしかありません。(お願いすることもできないかもしれないし…)だとすれば、災害に備えるのと同じように、どんな事が起こるかは分からないけれど、できることは、今やってみよう、ということにしました。

幸い、色々な企業経営者さんとご縁をいただいている私、その中で、「その時のため準備」事業をされている方とも、繋がりをもっていました!!遺言、といっても三枚の複写紙でできているチェックシートにチェックを入れていくだけ、という簡単なもの(遺言、というには非常に簡単で、重々しい感じがなく、事務的に答えていくものです)、しかも年代別に少しずつデザインや内容も変化があり、自分たちの世代に合ったものを購入できました。そして、二人でお茶を飲みながら、あ~だ、こ~だと話しながらチェック。「そうか、そんなことも考えないといけないのか…」というような事ばかりで、とても勉強になったような気分でした。

「薄養厚葬(ボー・ヤン・ホウ・ザン)」、親族の面倒を見ることについて、生きている間は質素に、亡くなってからの葬り方にお金をかける、という四字成語。先述のチェックシートをつけながら、そんな言葉があったな~と思い当たったものですが、やはり今を楽しむために、今できることを、100%は無理だけれど、やっておきたいですよね。週の始まりから、そんな話題!?いえいえ、大事なことだと思います!!まだ完成していないので、続きはまた、無理せずできることを書いていきま~す!!

薄养厚葬 [bo2 yang3 hou4 zang4] 2019/12/16

226. 組織が大きくなると

これまで成長途中の企業さん、何十社とお会いしてきましたが、初めは一人で、あるいはお友達と起業し、ちょっと拡大してきたから、事務や庶務を誰かに任せるようになって、経理や多少専門性が必要なのは、また一人雇って…と、知らぬ間に組織が大きくなってきていることが多いです。そして、成長の過程で壁にぶち当たるのが、

  1. 一人から複数人になるとき

  2. 20名を超えるとき

  3. 100名を超えるとき

のような気がします。

1.は、分業ということが初めての経験となります。もともと自分のペースで、自分で考えてやってきたことを、誰かにお願いすることになるのですが、自分がやっていたようには、たいていはやってくれないものです。覚えるのが遅かったり、自分と違う方法でやってみたり…。人間、皆同じではないので、異なって当然なのですが、他人にお願いする、他人に任せる、ということのさじ加減を覚えているのにある程度の時間がかかります。

そして、晴れて分業の会社となり、社長があちこちに指示を出したりできるようになっても、2.の20名になることには、社長の二つの目では、行き届かなくなります。そこで必要になってくるのが中間管理職。これもやはり、社長が中間管理職を信じて任せること、そしてこまめに報告を挙げてもらえるようにすることが肝要。

3.になれば、さすがに部門がしっかり色々できてきますよね。組織の中の小組織(部門)という並行面での広がりと、役職での縦の広がりが立体的になってきます。会社としては、その土台がしっかりしていれば、さらに積み増ししても大丈夫ですが、基礎がないとちょっと、これ以上の拡大は、危険にさえなることもあります。

いずれの段階でも大事なのは、1.会社の理念を共有していること、2。それぞれの役割が皆にとって明確であること、そして3.コミュケーションが良いこと。の三点。そのうえで、それぞれの持ち場に分けて会社を守れれば(分兵把守:フェン・ビン・バー・ショウ)、最強ですよね!!皆さんの会社は、いかがでしょうか?

分兵把守 [fen1 bing1 ba3 shou3] 2019/12/09

225. 鋼のマインドで

小さい時は、これは「よい」、これは「わるい」と教えられ、何が良くて、何が悪いのかを判断できるようになったと思えば、小学校高学年ぐらいになると、貴方にとって良いことでも、私にとって良くないこともある、人間は多様だ、ということを受け入れなければいけなくなります。

白黒つけてしまうほうが気持ちはスッキリするのですが、善悪とはちがう、価値観の違い、それも自分の生活の中では、決してそうは思わない、その方法を選ばない、ということでも、受け入れないにしても否定までしてはいけない、ということを学びます。いや、学ばざるを得なくなります。そうすると、自分の置かれている社会の複雑さや多様性に驚き、自分で考え、判断していくことがとても疲れてしまうこともあるでしょう。簡単にいうと、「ストレス」というヤツでしょうか。

従業員と経営者の仲があまりよろしくない企業さんで、双方の言い分をお聞きしていると、従業員側は「経営者が〇〇してくれない」「経営者は〇〇するといったのに…」と、受け身でいながら、攻撃的な意見を言われること、よくあります。そのような会社では、経営者さんは「そうはいっても、なかなか複雑だから難しくて…」と、説明さえされない、という場合が多いです。「好き」「嫌い」だけで好かれようとしても、所詮皆違う人間、100%好かれることはないのです。好かれなくてもいいから、会社としてはどうしたいのか、従業員には何を求めるのか、覚悟と勇気をもって従業員に説明し、信じた道を突き進んでほしい、そう思うことが多々あります。

いつでも皆が賛成してくれて、黙ってついてきてくれるメンバーばかりの会社は、ほぼ、ないでしょう。内部で意見が対立したときに、仲介したり妥協点を見つけたりするのは骨が折れることではありますが、だからこそ前進するんだと思います。どうか、会社の理念を決めたら、周りの雑音は気にせず、鋼のマインドで切磋琢磨してほしいな、と思います。磨穿鉄硯(モー・チュアン・ティエ・イェン)、鉄の硯に穴が開くほど擦る、という言葉があります。価値観の違う色んな社員が入社して、色んな意見も言うでしょう。それを決して跳ね返せ、というのではありません。一旦受け入れる、話を聞く、話者に理解を寄せる、ということは気持ちが弱くてはできるものではありません。胸の奥に絶対にやり遂げる!という強い気持ちがあるから、人の意見も余裕をもって聞けるのです。そんな強さを身に着けていきたいものですね!

磨穿铁砚 [mo2 chuan1 tie2 yan4] 2019/12/02

224. 丁寧に!

またしても子どもの話ですみません。中間テストも返却され、内申点はほぼ固まり、あとは受験当日のテストで頑張るしかない、というところまで来ました。案の定、我が家の老大(ラオ・ダー:中国語で1番目の子)は、つまらないところでポイントを落としているようで、今日は色んな先生方に同じような注意を受けたと言って帰宅しました。親からも同じようなことは毎日のように言っていますが、親以外から言っていただけるのは、本当にありがたいことです。なんとなく、いつもよりは心に響いているようでしたから。

テストといえば、学校のテストだけではありません。先日の模擬試験でも、試験会場に水筒を忘れ、それも私に言われるまで気づかなかったのですから、親としてはヤキモキが止まりません。模擬試験実施企業さんの事務局に電話し、預かっていただいていることを確認して自転車で水筒を取りに行きました。なんとも勿体ない時間の使い方をしているな~と思いつつ、そんなことで怒るなんて、小さい、ちいさい、と自分に言い聞かせています。

こういった学校生活や勉強のみならず、仕事も人間関係も、「雑さ」は負のスパイラルの入口だと思います。上手や下手、技術の良し悪し、上下というのはもちろんあります。上手の方が下手よりも良いです。でも、そこに魂が入っているか、心がこもっているか、というのは、感じ手であったり、お客であったりする相手の心を惹きつけられるかどうかに、直接かかわってきます。答案の文字が殴り書きなら、採点するのも人間です。読む気がしないと解読する前に時間がかかるから×にもなりますよね。答えは分かっているのに、読んでもらえなくて×になるなんて、もったいない!

もちろん、定性面での評価をあげるためだけに、丁寧にするのではありません。工場を見学させていただいても分かるのですが、片付いている会社と、整頓されていない会社の業績は往々にして前者の方が良いのです。定性面のケアをしていると、定量面でも結果がでてくる、ということなんだと思います。でも、めんどうくさいんですよね。きちっとすることは。自分がキチンとせずに、痛い目にあったり、心からキチンとしないと!と感じないと、なかなか行動に移せません。どうか今日の先生方からの言葉が、そのまま老大(ラオ・ダー)の行動に生きてきますように。粗心大意(ツー・シン・ダー・イー)、粗くて大雑把なのは、いけませんよ~。

粗心大意 [cu1 xin1 da4 yi4] 2019/11/25

223. 他人の芝生は青い

分かっていても、他人のことを羨んだり、妬んだり、してしまうのが人間ですね。経営コンサルティングに新規で訪問すると、8-9割の会社経営者さんは「この業界はだめだから」「大企業じゃないから」と、自分の置かれた境遇について、マイナスイメージを仰います。それをお聞きすることも私のシゴトですので、もちろん伺います。でも、それを言っちゃったら…上を向けないですよね。同じような業界で同じような規模でも、「小さいことに感謝する」ことで満足感・充足感を覚え、その気持ちの余裕が会社の雰囲気を和らげ、従業員さんが安心して働ける職場を創りあげられている会社さんも、少なからずおられますから。

「現状に満足してしまって、そこから進歩がない」というのと、「些細なことでも満足し、感謝の気持ちを持つ」というのは、同じ満足でも、なんだか違いますよね。前者は受動的な満足、後者は能動的な満足、そんな違いがあるような気がします。他人の意見が自分の意見と異なっても、一旦受け入れ、折衷案や妥協点はないか、前向きに、ポジティブに検討できる力の有無が、キーポイントのようです。

誰だっていつも良いことばかりではありません。でも、その現状を「ま、そのうちまた、良いことも巡ってくるさ」と受け取るか、「あ~、つまらない。良いことないかな~」と受け取るか、そこは気持ちの持ち方次第。それで前向きになれるのであれば、気持ちの明るさを持ったもの勝ちです。今日も、弊社アルバイトの留学生が事務所にお手伝いに来てくれていましたが、子供たちの話をすると、「良いですねぇ、子供さんがいて、幸せそうで。」と言われました。もちろん私は「うん、そうかも知れないけど、私はあなたのような大学生が、自分のためだけに時間をお金を使えることがうらやましいよ~」と応酬。こんなコラムを書いていながらも、やっぱり他人の境遇がキレイに見えてしまうんですね。

福無十全(フー・ウー・シー・チュエン)幸せといっても、完璧なものはない。何かどこかしらに問題や事情をかかえているもんなんですね。改めて、自分にも言い聞かせたいと思います。

福无十全 [fu2 wu2 shi2 quan2] 2019/11/18


222. 目標が明確でないと

子育ては万事に通用する学びを得る場だと再認識している今日この頃。受験生の親として経験したことと、企業経営に通づるところを今日は書いてみます。京都の府立高校出身の私は、住所によって普通科の高校が決まる制度の下で学校を選択しているので(というか、選択するまでもなく、決まってしまう、というか…)東京都の高校のように、自由にどこを受験してもよい、という事実に初めは大変困惑しました。しかも!!人口密度の高い東京には、なんと高校の多いこと!そして、都立高校であっても、なんと差別化を図ろう!という動きの活発なこと!!

子供が中学二年のころから、夏休みに高校見学に行くことが宿題になったりもしており、少しずつ分かってきたことがあります。やはり受験用情報誌やインターネット上の情報や数字だけでは分からないことが、現地の学校に行くと見え、そして感じることができる、ということ。行かなければわからないので、もう一校、もう一校、とみている間に、かなりの学校に足を運びました。(私よりも子供の方が)そして情報を見返したりして、秋も終わろうとしています。

なんとなく情報収集と分析で受験準備の多くの労力と時間が割かれているような気もしてきて、このままで良いのかな?という気持ちにもなりました。次の模試が良ければ、次のテストで点が上がれば…と思っていると、「はて?行きたいことろはどこだっけ?」となってしまうのではないか?と。

そこで先日の三者面談では、先生は最後の最後まで志望校は変えられますからね、と仰ってくださったのですが、(最後まで変えてもいい、という前提で)一旦は希望校を明確にしたいとお願いし、話がまとまりました。その後の子供の様子はすっきりし、なんとなく集中できなかった様子も収まりました。

だから合格する、には直結しないとは重々分かっていますが、目標が明確でないと、ふと不安になった時に拠り所がなくなるものですよね。会社に理念がない場合もそうです。私たちはこの事業で、誰の、何の役に立とうとしているのか?という最終ゴールがなければ、環境の変化や不意の災害や事故のときに、正しい判断ができなくなるのです。また失敗と分かっても、どこに引き返せばいいのか、道も見失います。

疑事無功(イー・シー・ウー・ゴン)、疑っていたり、迷っていたりしては成功はない、ということ。失敗を恐れずに、自分のやりたいと思ったこと、行きたいと思った気持ちを大切にして、目標に向かっていってほしいですね。子供も、企業経営者のみなさんも。

疑事无功 [yi2 shi4 wu2 gong1] 2019/11/11

221. 経営者の思うようには

経営者の方が「こんな会社にしたい!」と目標を描かれても、それについて社員の皆さんに十分な説明をされたとしても、毎日一緒に仕事をしても…人それぞれ。経営者が思うようには、従業員さんはなかなか動きません。というか、従業員さんだって、それぞれの価値観や生活があり、家族があり、個人的な好みや事情、仕事に対する考え方があります。そんなバラバラな人間の集まりだからこそ、良い仕事をするためには、会社の目標や方向性、それぞれの役割を明確にしないと…ですよね。

会社は好きなもの同士の集まりでもなく、労働を行うことで商品やサービスを生み出す経済活動をしている組織です。なのでそこで働く人々は、労働の結果得られる報酬が生活の糧になりますし、その多寡がモチベーションを左右します。もらう方は報酬は高い方が良いですが、会社のお金も限界があります。経営者にとっては、そんなに報酬を上げなくても、一生懸命、効率よく働いてくれるとありがたく思います。

ということで、経営者と従業員、どこまでも利害は合致しません。でも、そこは大人、どこかで妥協する、あるいはビジネスライクに「この会社にいるときは」というようなルールを徹底し、できることなら楽しく働いて、それが高付加価値に結び付けられれば…夢みたいな話ですが、結局うまくいっている会社は、そこを目指して日々コツコツ努力されているんだと思います。

今日もある経営者さんとお話していましたが、経営者や親は、従業員や子供に「何か教える」というより「自分たちで、喜んで、楽しんで、自分の味を出しながら前進していってくれる環境を作る」ことが、その役割なんですよね、と。しかもそれはつらい時も、難しいかな、と思いながらも、時間をかけて継続してきた結果、ようやくすこーしだけ得られるものだと。

「どういう意識してるんだ」「問題意識がない」と、従業員のことを愚痴る経営者さんがおられたら、ぜひ少しだけ考え直してみていただきたいです。経営者さんの思う「問題意識」は経営者さんの立場に立たないと、わからないものだし、意識を持ってもらえるような環境を作る努力を怠っているから、そうなっちゃうんじゃないの?と。同床異夢(トン・チュアン・イー・マン)、日本語でもある言葉ですが、同じ床で寝ていても違う夢を見る、人はみな、それぞれ違います。同じ会社で働いていても、その目的や価値観はみんな違う。会社の理念や方針を強制という方法でなく、自然と楽しく浸透する形を日々研究していきながら、社長業に磨きをかけていきましょう!


同床异梦 [tong2 chuang2 yi4 meng4] 2019/10/28

220. 毅然と、対等に、友好に

小学校の頃から外国好きで、毎日ラジオ基礎英語を聴き、高校からは中国語も聴き始め、大学中にはフランス語もかじり、卒業したらロシアに二年滞在し…と、外国語を学び、触れる機会が多かった私。結婚してからも夫の転勤でシンガポールや上海にも滞在しました。帰国すると、中小企業診断士協会の国際部で活動しておりましたが、帰国して6年が過ぎ、中国ご出身の経営者のおられる日本企業のサポートはさせていただいているものの、中国や国際関連の「専門家」というには、新鮮なことがなにもなく、今年の3月で国際部は退部しました。

特に国際関係のお仕事が嫌になったりした訳ではなく、多種多様な業種×多様な国・地域という巨大な範囲を、日本にいるのにわざわざ分けること無いような気もしていたからです。また、「国際」というボーダーを、このボーダレスの時代に作ることがナンセンスのようにも思え、外国語からも国際ビジネスからもちょっと距離を置いた生活をしておりました。

が、半年たった9月ぐらいから、またまた海外出身日本企業経営者の支援が始まり(私が選んだわけではありませんが、たまたま当たった…というか…)、また、別の遠方在住・海外出身日本企業経営者さんが会いに来てくださったり。そして先週は地域の国際交流ボランティアとしてニュージーランドの交換留学の通訳サポートをしたり、そして、今日はまた、留学生アルバイトちゃんに、「バイトの残り時間中国語レッスン」を受けたり…。さらに終了後は事務所近くのフランス料理ビストロに、一人でランチに入ると、店員さんがフランス人ばかりで、おもわず30年ぶりのフランス語の頭の引き出しをこじ開けてみたり。久しぶりに使う頭の筋肉、さびついていないか、恐る恐る動かしておりました。

件のフレンチ・レストラン、あまり何も考えないで入ったのですが、欧米系の店員さんが日本語でいきなり「おすすめコースのチキンカツレツ」を勧められるのに圧倒され、おもわず英語で返事をしてしまいました。そしてオーダーが終わると、キッチンの方からフランス語が。「あ、そうか。ここはフレンチだった…」周りも、ランチOLが多く、何となく納得。日本人って、こういうのに弱いですよね。ニュージーランドから留学生が来た時の日本人学生からの質問でも、「日本人同士だったら、こんな質問するかな~?」と思うような、ちょっと憧れを含んだニュアンスがありました。これが、相手がアジアだったらどうなのか。アジアご出身の経営者さんも仰っていました。そこが「おもてなし」と言いながらも差別の残るところだと。

崇洋媚外(チョン・ヤン・メイ・ワイ)。外国に媚を売り、あがめ敬うこと。どの国・地域の方でも、フラットに、そしてフランクにお付き合いできるようになりたいものです。そのためには言葉の勉強・練習はもちろん、毅然と、対等に、そして、友好に。相手がだれであっても、面白味のある、付き合って楽しい自分であるよう、もっともっと磨きたいと思います。

崇洋媚外 [chong2 yang2 mei4 wai4] 2019/10/7

219. みのるほど

月曜日の祝日が続き、久々のコラムとなりました。みなさま如何お過ごしでしょうか?あっというまに9月も終わり、秋の到来です。秋と言えば収穫の秋。この春と夏の努力が秋に実りを迎えているでしょうか?

今日、当社のオフィスで、私は中国からの留学生アルバイトさんと一緒に事務仕事をしておりました。仕事が思ったより早く終わり、また残り30分あるし、でも、何かやるには中途半端かな~と思い、「あなた、中国語もバイトで教えていますか?」と尋ねたところ、「はい!民間の学校で教えています!」とのこと、私も残り30分で中国語ニュースの読み方レッスンをしてもらうことにしました!教科書を使うよりは、今の中国のお話しを中国語で理解しようと、インターネット上でニュースを探し(本当に便利な時代になったものです。つくづく感謝!)、中国のハイブリッド稲の父、袁隆平さんの記事を読むことにしました。

世の中の流れは速く、そして中国のそれは、日本のスピードの何倍も速いような気がしますが、やはり最近の中国語を読むと、つくづく実感します。「ハイブリッド稲」は「雑交水稲」ですが、車などのハイブリッドは「混合」と、あくまで漢字表記でいながら、意味が新しいところに、言葉の命を感じます。また、地味なお仕事を黙ってこなしてくれていた留学生アルバイトさんも、私に一生懸命教えようとしてくれる時の声、顔、こちらもイキイキ度がぐんと上がり、私も頭の体操になりました。よし!また時間が余ったら、中国語ニュース音読講座をしてもらおう!!と思った次第。

今日の中国語ニュースの袁先生は、90歳前のおじいさんですが、人間国宝級の称号を受けても、まだ田んぼに出て、稲のことを毎日考える現役なのだそうです。稲の研究者だけに、「実るほど こうべを垂れる 稲穂かな」という言葉が頭に浮かびました。中国語でも、「成熟的麦穂低着頭:チェン・シュー・ダ・マイ・スイ・ディー・ジュ・トウ」と言うようです。私も、まだまだ成長できる現役でいられるように、日々学ぶ姿勢で、柔軟に、腰を低く過ごしていこうと思います。

成熟的麦穗低着头 [cheng2 shu2 de mai4 sui4 di1 zhe tou2] 2019/9/30


218. さらにその先を目指して

先週のコラムでは、当社の6周年、7年目のことを書きました。今日はもう少し長期のこと、私の年のことを書きます。昨日、実は誕生日を迎え、半世紀となりました。健康診断を受けても、いつもAばかりだったのに、ポツポツと色んな再検査や要注意が出てくるようになり、近視なのに、近くを見るのもつらくなることもあったりします。でも、それは普通だ、人として前に進んでいるんだ!と、受け入れて、自分のカラダとも、周りの環境とも、仲良く楽しく生きていこう、と思って、人生後半戦のスタートを切っております。

それにしても、長い時間、頑張り続ける、集中し続ける、というのは容易ではありません。オリンピックを見る側は、4年前に金メダルを獲得した選手に勝手に期待を寄せて次のオリンピックを見てしまいますが、世界一にまで輝くような陰の努力の積み重ねをして、ようやく金メダルをとったのに、さらにその次もモチベーションと体調の管理を続けながら、変わりゆく環境と自分のカラダを合わせ、新たな4年後に向けて鍛え上げていくことは、並大抵のことではないでしょう。オリンピックほどの例でなくても、身近には、今の我が家にもいる受験生も、そうだと思います。頑張ろう!という気持ちにカラダがついていかなかったり、それを仕方ない、と割り切れる日もあれば、なんでできないんだ!と、嫌になる日もある。もう全て投げ出してしまいたい時だって、ありますよね。

でも、「ここまでやったら、終わり」ということは無いんだと思います。企業さんの計画を作成・見直しするときも、「マニュアルを作ったら終わり」「役割を決めたら終わり」にしてしまうと、そのうちダレてしまいます。そうではなく、「マニュアルを作って、定期的に見直し、改訂していく体制・文化を作る」「役割を定期的に決めて、評価し、変更するサイクルを作る」という、いわば「変えることができる体質改善」がゴール。50代になったから、やらなくていい、というよりは、50代になったので、20-30代のようなスピードを追い求める目標ではなく、大所高所から物事を見て、大局的に進めていけるような目標を掲げることが大事なんだと思います。

これまでも、決してサボってきたわけではないし、むしろ色々あちこちと手を広げてきましたが、これからは、「今の自分」に相応しい進み方で更に一歩踏み出せるよう、一件でも多くの企業様を元気にしていければと思います。「百尺竿頭 更進一歩(バイ・チー・ガン・トウ・グン・ジン・イー・ブー)」百尺の竿の先からも、もっとさらに一歩、進みましょ、ぼちぼちと。

百尺竿头更进一步 [bai3 chi3 gan1 tou2 gen4 jin4 yi2 bu4] 2019/9/9

217. 7年目の何とやら

ようやく長い夏休みが終わりました。確かに長い期間ですが、ありがたいことに年々親の負担が減ってきているような気がします。それはもちろん、ご飯を私が用意しなくても自分たちで何とかできる、とか、もうお母さんよりも友達の方がよい、とか、心身共に成長していることの証なのでしょうが…。また給食の日々が始まるのは、母親として非常にありがたいことではありますが、それ以外にはチョコチョコと話し合う(ひざを突き合わせて話す、というよりは、雑談を重ねる、という感じ…)機会も有ったり、一応受験生もいたりするので、仕事をセーブして、その分家の片付けもできたかな、というような夏でした。

そして夏が終わると…!やってくるのは弊社、チアーマンサポートの設立記念日。2013年9月4日に設立し、はや6年の歳月が流れました。8月で決算、9月からはまた、新たな第七期となります。第七期にちなんで、今週のコラムで紹介する中国語は「七年之痒(チー・ニィエン・ジー・ヤン)」、七年目の痒さ、と訳すと、なんだか変ですね。マリリン・モンロー主演の映画「七年目の浮気(The seven year itch)」の中訳、と言った方がしっくりきますね。意味を説明するのもなんだか野暮ですが、夫婦や恋人関係も7年目になると、危機的な時期を迎える、ということ。中国語版Wikipediaの百度百科でも、そのような説明がなされています。

会社も同じ?これまで少しずつ、小さく堅実に進んできましたが、新たな一年は波乱含みなのでしょうか??むろんそんなことを望んではおりませんが、そんな危機感をもって毎日を過ごす一年でありたい、そう思っています。

企業さんの経営コンサルティングを担当していて、よく感じるのですが、多くの経営上の問題は組織の運営にあります。外見上はその商品やモノが売れない、その結果業績が芳しくない、ということなのですが、一人で何かやっているのと異なり、性格も生活も異なる人々が集まって、人数以上の成果を上げるには、組織運営に注力しないわけにはいかないのです。そして、初めに思っていたより創業してみると税金やコストの支払いにどんどん直面しますが、効率よい運営にしていないと、ざぶざぶとコストが出て行ってしまいます。

一方、コンサルタントは独立して行動しているヒトが多く、企業さんの組織運営に第三者の専門家としてのコメントは言えても、自身もその一員、あるいはマネージャーとして組織運営の難しさを経営者さんと現在進行形で共感するのはなかなか難しいですよね。しかもコンサルティングとは相手によって、やり方やポイントがマチマチなので、協働が本当に難しい業務。だからやらない、ではなく、だから挑戦したい。私はそう思います。共感から信頼関係は生まれる、だから共感できる事業運営を、小さくてもコツコツと、7年目もいろんなリスクはあるでしょうが、進めていきたいと思います。みなさま、宜しくお願い申し上げます



七年之痒 [qi1 nian2 zhi1 yang3] 2019/9/2

216. ある程度忙しい方が

世の中、お盆休みとなり、なんとなくスピードダウン。私自身は特に休みでもないので、この時期を利用して、今までできなかったことをリストにし、いろいろ済ませてしまおう!なんて思っているのですが、時間があるほど進まないものですね。「時間がある」と思うと緊張感がなかったり、集中力が途切れたりして…。忙しくて次々考えて、できるだけ無駄が無いように行動しよう!!と張りつめているときのような機敏さがなくなってしまうんです。みなさんにもそんなご経験、ありませんか?

そんな時は思い切って15分寝よう!とか音楽を聴こう!と、切り替えることですね。一番(私にとって、ですが)イケナイのは、スマホ。スマートフォンは、仕事、ニュース、ゲーム、漫画、音楽、映画…なんでもできてしまうので非常に便利なのですが、気分転換やリフレッシュにはあまり適していない…といいますか、姿勢が同じなので目や背中を休めることにならないんですね。その結果、やっていることは漫画を読んでいるつもりでも、目は疲れ、肩は凝る。

新鮮なアイディア、奇抜な考えは、動きの中で起こるもの。それも忙しくしているとき、身体を動かしているとき。それを言い表したのが「急中生智:ジー・ジョン・シェン・ジー」、忙しい中に知恵は生まれる、ということ。バカンスや時間のあるときに行う「休息」というのは、アタマもカラダもフル回転できるような状態をつくるために、準備をすること、なのかもしれませんね。

世の中の商品やサービスを生み出して経済活動を行っている私たちは、やっていることはいつもの自分の仕事かもしれませんが、その先にはお客様がいる、マーケットがあるということを常に考え、お休みの時はマーケット側に視点を置いてみる。それもひとつのリフレッシュ、休息かもしれませんね。

また忙しい日々が充実したものになるよう、めりはりつけて、休めるときは思いっきり遊び、休みましょう!

急中生智 [ji2 zhong1 sheng1 zhi4] 2019/8/12

215.ルーティンと向上心

夏休み、中盤ですね。我が家の受験生は、今日から夏期講習に通いだしました。中間テストが終わって、緊張が抜けた状態になり、そのままの状態で夏休みに突入して、見ているほうはヒヤヒヤでしたが、何とか自分なりのルーティンを創って、毎日同じリズムで過ごすようになりました。

生活の中でルーティンを創るというのは、かなり大事な要素のようで、そこから小さな成果に感動したり、そして次の一歩に積極的になったりするものですね。主婦だっていつもの忙しいと文句を言いつつも、家族が旅行等でいなくなると、やる気が失せ、あんなに欲しかった自分のための時間も、なんだか無駄にやりすごしてしまうことと似ているような…ちょっと違うでしょうか?いずれにしても、生活も勉強も仕事も、ちょっと忙しい位のリズムが大切ですよね。

近頃企業さんの経営コンサルティングを行っていて、コンサルタントは忍耐と根気強さが必要だと感じています。その企業さんの毎日のリズム、何年も培ってきた企業文化を変えることは簡単ではないからです。それも、外部からぽこっとやってきたコンサルタントの一言で何かが変わるわけない(いや、それで変えてしまう凄いコンサルタントさんもおられるかもしれませんが!!)と。

コンサルタントや先生、親が「学ぶ機会・ヒントを与えること」「説明して話を聞かせること」も、非常に大事ではありますが、その機会や話が面白くなかったり興味をそそることもなければ、その間居眠りしたり、所詮他人事、と右から左へ流れて行ってしまいます。せっかくの時間も、もしかしたら価値あるお話しも無駄になってしまいます。結局は興味があること、面白いと思えること、問題を解決したい!と思えることが、自発的学びを生むルーチンを生んでいくことになるので、機会を与えたり、諭し教える側の私たちコンサルタントは知識や機会を渡すことの「その次」を目指していないといけないんですよね。ややこしいけど。

A:「その次」が見えていて、そこに向かわせようとするコンサル・先生・親

B: 知識・アドバイスを伝授することにフォーカスするコンサル・先生・親

もちろん、私はAを目指して頑張ります。知識やアドバイスは検索すれば、いくらでも出てくる時代になりました。でも、本気にさせる、アクションを起こさせる言葉や雰囲気を発することは、職人芸ですよね。私が高校の時、みんなが数学好きになってしまうような、先生がおられました。雰囲気そのものが生徒たちを前のめりにさせ、教室の中が明るく活気づくのです。好きこそものの上手なれ、「好者能精:ハオ・ジャー・ナン・ジン」好きになってしまえば、楽しくなり、もっと極めたくなり、成果がでてくる。成果が出るから、またやりたくなる。元気があるから失敗しても、また頑張れる。そんな職人言葉と人間力を高めていきたいですね!

好者能精 [hao3 zhe3 neng2 jing1] 2019/8/5

214.全身で「伝える」

「語重心長:ユィー・ジョン・シン・チャン」思いやりがあり、心がこもっている言葉のことですが、すでにこの四字熟語、このコラムでも5年ほど前に取り上げています。できるだけ多くの、色々な熟語・成語を取り上げていきたいのですが…良い言葉は何度聞いても心に響きます。まさにこの言葉を思い出すことが、先週ありました。

世の中夏休み。小学校も中学校も個人面談が始まりました。中学校の方は、3年生で受験ということもあり、先生に親・子と三者面談です。親にとっては一人の子供で、いろいろ話したいことはあっても、先生にとっては30数名。限られた時間内に、精いっぱい伝えたい!と、準備してくださっているのが直ぐにわかり、今回は相槌をうちながら、ずっと先生のお話しを聴いていました。

夏休み前までの成績のこと、これを受験校に当てはめるとどうなるか、ということ、そしてこれからどういう勉強や準備が必要で、とくにこの子の弱点は何で、どのように克服すべきか、じっと目を見て、順番に親子の顔を見て、ゆっくり、伝わっているか確認しながら、ハートに刺さるように、問いかけながら一方的にならないように、丁寧にお話しくださいました。もうこれで、子供が響かない訳がない!というぐらいに。

教室を出た後、子供の心に、しっかり響いているのが良くわかりました。「こんなに自分の事を考えていてくださったんだ…」というような反応。「先生、すごいね」と話しかけると、黙って頷いていましたが…。その様子を見ながら、言葉を選ぶこと、発信しながら自分の姿勢や声のトーン、相手の反応をうかがうことの大事さを再確認しておりました。言葉は字面だけではなく、雰囲気や自信の姿勢、なによりも心があらわれてくるものなんですね。改めて、胸にしみました。

私自身も、その道で会社を引っ張っておられる経営者の方に、業界人としては素人の自分の話を、どうやって聞いていただくか、実感して行動に移していただくかを常に考えています。でも、それは大抵一人や数人の経営者に対して。成績や正確の全然違う30数組の親子に向けて、ここまで準備をしてこられている先生に、感嘆、驚嘆、感激、感謝、尊敬…その言葉だけでも足りないような、そんな気持ちです。忙しいと、ついつい愚痴っぽくなったり、適当にすませてしまったり、知らず知らずのうちに他人に不快な思いをさせてしまうこともある、ことば。どんなときでも、心を込めて、優しく発信していきたいですね。


语重心长 [yu3 zhong4 xin1 chang2] 2019/7/29


213.失敗はしたくないけれど

誰でも失敗したいとは思っていませんよね。できるならずっと成功していたい。成功とまで言わなくても、やっぱり失敗したくない。仕事、学校のテスト、人間関係…私たちは毎日生活の中で沢山の大小さまざまな失敗にでくわします。会社なら、失敗のケースを集め、「こんな時に失敗しやすい」というデータから、それを怒らないようにするための工夫や対策を検討し、ルール化します。私も、仕事上、そのお手伝いをさせていただくこと、よくあります。

「ルール化はしているし、社員一同みんな頑張っているけど、環境の変化や景気の影響で、うまく業績があがらない」。残念だけどそんな会社さんもあります。でも、きちんとさえしていてば、その会社には、助けてくれる企業が出現したり、「助成金」や「補助金」といった公的救済措置が適用されます。あくまで「きちんとルールを守っている」ことが前提。きちんとしていないと、正直に、まじめにやっていないと、助けてももらえないんです。たまに「そんなルールや法律があるなんて、知らなかった!」といってルール違反を常習的にしてしまっている企業さんもありますが、それは経営者の勉強不足ですよね。この情報化の時代に、自分で情報を取りに行かない・取りに行けないというのは死活問題といっても言い過ぎではないでしょう。

少し話がこんがらがってきましたが、失敗の話に戻しましょう。リスクマネジメント・コンサルタントさんや謝罪会見の評論家さんなる職業を目にするようになった今日この頃、経営者の謝罪会見のコンサルティングも業として実施されている方がおられるほど、謝罪会見があちこちで見られるようになりました。そして、謝罪会見には毎回といってよいほど、ネットの批判の声が挙がります。たいてい批判の矛先は、すぐに謝らなかったこと、真摯な態度でないこと、そして謝る内容が明確でないこと。今日もそんなニュースがメディアをにぎわしていますが、経営改善をお手伝いする身としては、本当に他人事だとは思えず、その行く先をとても気にしています。

失敗はだれでもあるんです。それを無くそうと皆努力するのですが、うまく行かないことや、知らずに失敗してしまっていることもあるでしょう。そんな時に、こうなってはいけない、という四字熟語があります。「疾諱忌医:フイ・ジー・ジー・イー」、病気を医療で治すことを忌み嫌い、病気だと言わない、つまり、指摘を受けたり批判されることを恐れて、自分の悪いことや失敗を隠すこと。

間違ってしまった、と思ったら、その影響や取引先の声が怖くなってしまいますよね。でも、本当のことを正しく、丁寧に説明すること、急いで対処が必要なことはその旨伝えること、そして心から謝ること、これしかないですよね。これが「きちんと」している会社の体質だと思います。きちんとしている会社はもちろん、普段から対策しておられるので失敗は少ないですが、その対応を真摯に行う体制や分かができてるんですよね。そんな会社さんが少しでも増えてくれれば。がんばりましょう!

讳疾忌医 [hui4 ji2 ji4 yi1] 2019/7/22

212.詰め込み式は…

今日は留学生アルバイトさんに、データ整理のお手伝いをしてほしくて、かなり色々と説明をしました。(ごめんね。)ショートカットでやり方だけ説明しても良いのかもしれませんが、やり方だけの説明だと、手順を忘れると間違えるし、間違えても気づかないのです。一方「これは何のためにやるのか、ゴールは何か」と意識ができていると、その答えに近づけようという意識が生まれるし、自分が完成させた数値や文書が、間違っていないか、自分でもチェックすることができるのです。

確かに目的などの説明はしました。でも、その後、どこまで理解できているか、も含め、練習にひとつデータを作成してもらいました。仕事なのになぜ練習?という気持ちもありつつも、いや、仕事だからこそ、間違いの内容に練習していただかないと!という気持ち、そしてアルバイトさんが間違えたときは私の責任。彼女がどこまで理解できているか、どこまで理解できているからどのあたりまでのサポートが必要か、と理解するのは私の仕事、そう考えました。そうすると…ほんとうに人を雇う、人を使う、というのは簡単なことではありませんね。常々企業の社長さん方が奮闘されていることを、身をもって感じます。

それでも、そんな努力をしないよりはしたほうが絶対よいのです。面倒くさい努力や説明は、あとあとボディーブローのように効いてきます。一時に詰め込んで「説明したからね。はいっ!やってください!!」これでは分かるアルバイトさんもなんだか押し付けられたようでモチベーションも下がるし、やっぱり仕事って、時間とともに、経験とともにじわじわと身体になじんでくるもの。そこを面倒くさがってはいけませんよね。

今日の中国語の成語は「満堂灌(マン・タン・グワン)」。「堂」というのは、授業の意味もあり、一杯に流し込んだ授業、先生から一方的に詰め込まれる教育のこと。中国らしく「填鴨式教育(ティエン・ヤー・シー・ジィアオ・ユィー)」(北京ダックのように)肥大化させる鴨のような詰め込み式教育、ということもあります。

今日のワタシは、一応十分な説明だけでなく、都度質問を受付け、アウトプットも実際にやっていただきましたが…詰め込みすぎていませんでしょうか?とにかく大量に高速に、しゃべりっぱなしでいることは避けないと!!と、心しているつもりですが…。

满堂灌 [man3 tang2 guan4] 2019/7/08

211.粘り強く

ちょっと嬉しいことに、最近、二度ほどつづけて「粘り強い」とのお褒めの言葉をいただきました。年と共に図太くなってもいるでしょうし、母親になったことで、何もかも完璧にできるほど時間も余裕がなく、常に取捨選択、時には諦め、そして時には強行突破できる度胸もついたのかもしれません。が、強行突破は一次的に火事場のバカ力でなんとかできても、ずっと継続することは困難。継続は力なり、とはいうけれど、実はこれほど難しいことはないのかもしれません。

と、自分でも思っているのに、「粘り強い」とのお言葉は最高にパワーをいただけます。しかも、一人は息子から。粘り強いというよりは「よくそんなしんどいことを、ずっとやってるよね」という感覚なのかもしれませんが、そもそも粘り強いって、どういうことなのでしょう?

経営コンサルティングを行っていて、多くの企業さんの課題として浮かび上がるのがコミュニケーションの齟齬、まずさです。同僚に対して言葉を発する(メールでもチャットでもよいのですが)時、とにかく自分の手から離してしまいたい、その後はよしなにやってほしい、できれば関わりたくない、そう思って放たれる言葉や提出物は、相手への思いやりもなく、その発信のあと、相手はちゃんとできているか、できれば手伝った方が良いか?などのメッセージ性もありません。当然受け取った方は…いやそんな心のない言葉なら、受け取ったとも思っていないかもしれません。そんなコミュニケーションが常態化している企業は、当然ながらよいサービスを組織的に創ることは難しくなります。

ここで間違えてはいけないのは、丁寧な表現はかならずしも修飾がたくさんついた言葉ではない、ということ。ですます調でなくても、短い言葉でも、「想い」がある言葉は相手に伝わるのです。そして発信した後も「相手はちゃんと受け取ってくれているかなあ、問題があれば手伝いたいなあ」という態度は、面倒くさいようでも却ってトラブルも未然に防げ、結果的には物事がスムーズに運ぶ…と、私は信じています。

ということで、私の粘り強さと言っていただける部分は、まあ、関西のおばちゃんのしつこいくらいのコミュニケーションなのかもしれませんね。そして、そのコミュニケーションは、一つの事業や目標を追い続けることに繋がっていくんだと思います。どんな事にも撓む(たわむ)ことも、屈することもなく精進することを「不撓不屈」と言いますが、これ、中国語では逆です。「不屈不撓」(ブー・チュイー・ブー・ナオ)色んなこと、ありますが、不屈不撓の精神で、人と経営を元気にしていきたいと思います。

不屈不挠 [bu4 qu1 bu4 nao2] 2019/7/01

210.ドキドキ!

先週、私はユーフォニウムのミニコンサートを企画し、出演しました。中学・高校時代と吹奏楽部で、大学こそ体育会におりましたが、卒業後も海外に出ると決めるまでは、一般の吹奏楽団に所属するなど、吹奏楽は私の青春♪でもありました。が、一旦海外に出てしまうと楽器を吹くこともなくなり、仕事や結婚や育児…とみるみるうちに時が経ち、二年前に四半世紀ぶりに楽器を吹く機会にめぐまれました。私と同じような、学生時代に楽器を触ったっきりになった保護者を中心としたバンドに誘っていただけたのです。

さて、バンドに入ったのは良いのですが、いかんせん物凄いブランク。また、学生の時のように、毎日日が暮れるまで練習、などとても無理。また、仕事上、私がアドバイスすることはあっても、アドバイスを頂く機会もなかなか無いので、レッスンを受けることにしました。これは自画自賛ながら、アドバイスを受ける身になることで、自分のコンサルティング・スキルに非常に役立つ!と実感しております!!

で、その先生から、発表の場を持つことを提案され、バンドでなら何度か地域のお祭りなどで吹かせていただきましたが、今度はソロやアンサンブルに挑戦することになりました。当然ずっと自分がメロディを吹くので、ごまかせません。時間が無いなりに、家事をしながら歌ったり、模範演奏を聴いたりと、本当に楽器を吹いて練習する以外のことも色々やってみました。また、バンドのお友達にも協力いただきました。そして、その日がやってきました。

当然ながら、もうドキドキです。でも、最もひどいドキドキの日は、実は初めてのリハーサルの日でした。色んなことを考えすぎて、音がでなくなりました。一旦でないと、もう悪いスパイラル。緊張というのは、適度に必要ですが、もう舞い上がってしまっては、練習の意味もなくなるだけでなく、なんといっても聴いてくださる方が困りますよね。せめて楽しそうな雰囲気だけは出さないと。


本番はそう思いながら、やはり間違えつつ「楽しむ」ことはできました。技術面での課題はもちろん、沢山あります。でもこうやって、「課題を見つける」トレーニングも私生活でしているつもり。ついでに、中国語でドキドキ!とは「七上八下:チー・シャン・バー・シャー」漢数字と上下が組み合わさって、乱高下している様子が感じられますよね。そんなドキドキは飲み込んで、ほどよく緊張し、なにより相手のこと、お客様のことを考えられる、そんなコンサルタントになりたい!もちろん音楽と共に元気を伝えたい!そんなトレーニングを日々いろんな形で今週もやっていきたいと思います!

七上八下 [qi1 shang4 ba1 xia4] 2019/6/24

209.自己コントロールも子育ても緩急を!

我が家には思春期の子供が二人おります。食べたり、お風呂に入ったり、生活の基本動作や生理的な行動でさえ、お手伝いが必要だったころから比べてみれば、自分の身の回りのことは自分ででき、時々私を助けてくれ、自我ができ、親とは違う意見を持ち…。それを主張するようになったことを考えると、奇跡のような成長ですよね。どこでもあることなんでしょうが。

さて、考え方が「違う」というレベルなら「ふむふむ」と聞いて「そういう意見もあるな」と思う、ということで良いのでしょうが、まだまだ社会経験のない子供、教え諭したり、間違っていることは間違っている、と言わなければいけません。ただ、ある程度大人になっている分、自尊心も育っていて、それを傷つけるような言い方や態度をとれば、言うことを聞いてもらえるどころか、(もし反抗しているなら)もっと反抗を強めさせてしまいます。

これは家庭の中だけでなく、会社の中も同じ。

社長や経営者は、会社を運営するリスクを責任を背負い、その先の先まで考えて行動しています。世の中のスピードや、失敗してもやり直せるだけの速度でできるだけ先取りして考え、行動します。一方、社員は「どんな仕事がしたい、こんな生活をするために、このぐらいのお給料が欲しい」と、自分のことを考えて入社してくるので、極端な話、会社全体や他の人のことまで当然ですが気配りは難しいのが現状。でも、だからといってそのまま放置でよいのでしょうか?それが「うちの会社は自由なんですよ」ということなんでしょうか?

答えは、Noです。会社が組織であるかぎり、そして営利団体である限り、誰の、なんのために役に立つ商品やサービスを売っているのか、そのために何を大切しているのか、この基本方針はしっかり理解してもらう必要があります。その基本方針の上で、自由に任せるところは任せる、あるいは条件をつける、といった緩急がとても大切。それが自尊心のあるオトナへの対応だと思いますし、そんな対応をしているほうが、社長の言うことも聞いてくれるようになり、かえってコントロールがしやすくなります。逆にいつも自由だと、人間は楽な方へと進むもの。「ただ集まって、作業しているだけみたいなんです」というコメントを社員さんから頂いたことがあります。緩いだけではいけないんでしょうね。経営者の怠慢ともいえるでしょうか?

時々ひっぱり、時々ゆるめる、「一張一弛:イー・ジャン・イー・チー」、張ったり緩めたり。大人も子供も、そして頑張りすぎたり、緩み過ぎたりする自分自身も、常に動かしながら、余裕をもってコントロールしてみましょうか。自分がへりくだって。

一张一弛 [yi1 zhang1 yi1 chi2] 2019/6/17

208.雨の季節です

カーペンターズの曲に「Rainy days and Mondays(雨の日と月曜日は)」という曲があります。「あ~、なんだかな~、鬱陶しいなあ~」そんな日の代表格、雨降りの日と月曜日。まさしく今日がそんな日です。新人留学生アルバイトさんも、新しいことを覚えよう!パワーは衰えていませんが、足元や服が濡れ、傘をさしてオフィスにたどり着くと、ちょっと疲れ顔。でも、仕訳については一生懸命話を聞いて入力してくれましたし、ちょっと休憩に、日本の運動会の話をすると、楽しそうに日本の教育が良い!と力説してくれました。一生懸命やることも大事ですが、本当に明るく、モチベーション高く仕事するには、気分転換も大切です。

が、ふと窓の外に目をやると、ザーザーと力強い雨音に遠くは白く曇って(寒くて窓ガラスも曇りがち)雨模様。いや、模様なんてもんじゃありません、バケツの水をひっくり返したような雨。またこの中を帰るのかと思うと、気持ちが落ち込みますよね。ふと、そんな雨の表現、中国語でどうなのかな?と調べてみました。

「傾盆大雨・チン・パン・ダー・ユィー」。まさにお盆を傾けたような大雨、バケツとは違いますが、パラパラ、シャーシャーと、漫画で描けば棒状に振ってくるような雨ではなく、確実にびしょびしょになりそうな、そんな大雨量の様子を連想させますね。漢字文化の特徴なのかもしれません。


そう、気分が暗くなるこんな時こそ、ちょっと視点を変えて、調べものをしたり、音楽を聴いてみるのも良いかもしれませんね。今週も体調に気を付けて、がんばりましょう!

倾盘大雨 [qing1 pan2 da4 yu3] 2019/6/10


207.若いころの苦労は買ってでも…

若い方にとってみれば、年長者が苦労をしろだの、年長者の苦労話だのを聞かされるのは(特に自慢たらしかったり、かなり盛った武勇伝だったりすると余計に)嫌なものですよね。でも、本当に若いころの努力は数十年後に、ボディーブローのように効いて来るんです。「だから若者よ、今がんばれ!」とは言いません。自分もまた、成長できる身だと再確認し、人生100年時代の自分の数十年後に笑えるよう、今を努力しよう!そう考えています。

本日は新任の当社留学生アルバイトさんが来てくれました。一日目なので、当社の事業内容を説明し、その関係がどうなっているのかを図式化して見せ、アルバイトさんにお願いする会計入力の知識をかなり丁寧に説明しました。留学生の皆さんに説明していて思うのですが、日本人は従順(という言葉が適当かは分かりませんが)なので、作業の説明を素直に聞き入れます。でも(だから?)トラブルが起こったときに判断やアクションができないことが多い。一方、留学生さんは、「なぜそんなことをするの?」と思って私の話を聞いているので、理論や大方針を理解しようとしてくれる。なので自分で判断して行動していくパターンが多い、そう思います。

今日も、財務会計初歩の話でしたが、私の財務会計の説明を、自分がやっている別のアルバイトのお店ならどうか、と当てはめて質問をしてくれるので、どこまで理解していて、どこから分かっていないのか、会話の中で確認しながら進めることができました。若者との会話が楽しい、なんて思える年齢になった自分に少し苦笑してしまいますが、せっかく日本に来たのだから、しっかり勉強して、20年後30年後の自分に自信を持ってほしいと心から思います。「少壮不努力、老大徒傷悲(シャオ・ジュアン・ブー・ヌー・リー、ラオ・ダー・トゥー・シャン・ベイ)」若いうちに努力しないと、年を取ってから嘆くことになるよ、ということわざ。はい!自分自身に言い聞かせて、もっともっと努力します!

少壮不努力,老大徒伤悲

[shao4 zhuang4 bu4 nu3 li4, lao3 da4 tu2 shang1 bei1] 2019/6/3

206.アウトプットは、ほどほどに

本日は、コンサルティングの研修に行ってきました。コンサルタントとは…まだコンサルタントを目指していたころは、聞かれたことにこたえられるのがコンサルタントだと思っていました。が、今は違います。IT化や効率化をやっているから、かもしれませんが、聞かれたことにこたえるのは、今やGoogleとかWikipediaですよね。経営コンサルタントは、専門的に非常に深いものを持っているよりも(それはそれで、必要だとしても)広く経営を見渡せる能力も必要なんだ、そして覚えたことをすべて出し切るまで知識をひけらかすのがよいコンサルタントではないんだ、と再認識しました。

そもそもコンサルタントは人前でお話ししたり、いろんなことを教えるのが好きな人がなることが多いですよね。無口なコンサルタントでは、ちょっと務まらないかも…。そして、中小企業診断士試験の時も感じましたが、知識欲旺盛な方も多いです。すると、覚えたことをすぐに誰かに教えたくなってしまうもの。しかし!そんな事情をクライアントの企業さんが知る由もありません。クライアントさんにとってみれば、いくらコンサルタントの言っていることが正しかろうと、聞いている本人が意味を理解できていなかったり、理解できても高圧的な態度で対応されていると、頭にも残らず、ましてや行動にも移せません。

ということは、私たちは、いつ、何を聞かれても答えられるように、できるだけの努力は普段惜しんではいけませんが、答えるときも、相手の必要具合と、関心と、理解度を確認しながら、ちょっと少ないかな、ちょっと簡単かな、というぐらいの表現で説明するのがいいのでしょうね。実際話していて分かりやすい人の話は、ことばが平易で、非常に好感が持てるものです。どんな難しいことを理解して覚えても、相手に伝えるときは、シンプルに。深入浅出(シェン・ルー・チィエン・チュー)、自分はしっかり深く学び、相手には優しく&易しく表現しましょう。

深入浅出 [shen1ru4 qian3 chu1] 2019/5/27

205.勉強も仕事も

当社では、3年ほど前から、中国人留学生のアルバイトさんに来ていただいています。小さな会社なので、そんなに沢山の仕事をお願いするほどでもないのですが、いくつかの目的があって、留学生の皆さんにお世話になることにし、すでに3代目。その目的とは…

1. 中国から帰国して、しばらくは「中国のことを多少知っている」と言えたものの、賞味期限は過ぎていく…。たまに出張することはあっても、中国から離れてしまっているので、新しい中国、イマドキの中国の若者の考え方と接することが必要!

2. 企業さんのコンサルティングをしていても「育てる」ということがどれほど大変なことなのか、実感している。自分でもチャレンジしてみて、経営者の方により実践的なヒントやアイディアを提供できるようになりたい!

3. 国際化の時代と言われても結局は海外で日本人同士まとまったり、日本にこられる海外の皆さんをよそ者よばわりする風潮がまだまだある。「これからの国際化は留学生の活用ですよ!」とアドバイスする側が実際やっていなくてどうするんだ!

と、いったところでしょうか。

実際、留学生に来ていただいても、一週間に一回やそこらでは、こちらが説明している時間が長かったりもします。でもそれが上記の目的達成のためには必要で、自分自身の研究テーマにしたいとも思っています。

が、現在来てくれている三代目の留学生、今日でお別れになりました。とっても優秀で、会計知識もあり、エクセルの表計算をやらせても、すぐにこちらがやりたい意図を正確に理解し、自分で仕事を進めてくれる素晴らしい学生さんでした。が、まだ二年生。授業数も多く、両立が厳しくなったとのこと、今日も最後までいろんな計算をしてくれていましたが、当然ながら学業優先となりました。

幸いなことに、また別の候補者が来てくださるので、また私の「育てる技」「付き合う技」のトレーニングとなれば、と思います。で、今日辞めていった学生さんは、本当に勉強も、お仕事も万能でした。そんな彼女の様子を表したような言葉、勉強もお仕事も。見習いたいですね。

聪明能干 [cong1 ming2 neng2 gan4] 2019/5/20

204.寄り添う

10連休ですっかり久しぶりになってしまいました、今週のコラムです。皆様、如何お過ごしでしょうか?さて、今年度も学校や公的支援など、令和元年度のプログラムがあちこちで始動しております。そして、どんなに時代が変わっても、ITを使って高速かつ効率的に事務作業が軽減できたとしても、結局は人。コンサルタントも業務ノウハウというよりは、どれだけ人の心を動かし、行動させられる人間力を磨くか!ということに終始するな~、ということは、やはり経営コンサルタントはこれからも一生、自分研鑽に努めなければいけないな~、そんなことを考えた10連休でした。

そんなときの表現として、「経営者の心、従業員の気持ちに『寄り添う』」と、よく言われます。これが案外コンサルタントにとっては、難しかったりするんです。特に大企業からポコッとなったコンサルタントには。なんといっても、コンサルタントになったばかりのころは、出来るだけ知識を自分に蓄積し、お客さんの問題点を見つけたらその解決法を自分の知る限り紹介し、説明する…なんて痛々しいことをやってしまいがち。今なら分ります。これでは、だめ。子供も同じですよね。親ができるだけ準備してやるよりは、つかず離れずしながら、自分達のルールを確かめながら、キャッチアンドリリース。不安なときは、しっかり話を聞いてやる、心に寄り添ってやる。

ほら、ここでも『寄り添う』が出てきました。そう、人間の弱いところで新しい知識を盛り込まれると、拒否反応が起こります。(と、私は思いますが、いかがでしょうか?)でも、弱いときに、その人の気持ちになって、いっしょに頷く、お話を親身に聞く、これだけでぐっとハートの距離は縮まります。ここで近づけておくと、弱さが少し回復してきたとき、もう少し話を聞いてみよう、やってみよう、というエネルギーが出てくるんですよね。

設身処地(シュー・シェン・チュー・ディー)相手の側に身を置く、思いやりを持つ、そんな意味です。高くて安全なところから、知識や情報を流しても、本当のためにはならない。それよりも、ちょっと弱ったときに、相手の身になって、真剣にどんな対処がいいのか、一緒に考える。見守る。アウトプットだけがサポートじゃないってことですよね。改めて、自分にも言い聞かせます!今後とも宜しくお願いします!!

设身处地 [she4 shen1 chu3 di4] 2019/5/13

203.今の若者は…なんて言ってないで

今年半世紀を迎える私ですが、ひとつ気にかけていることがあります。もちろん、食事や適度な運動など、健康を維持することもそうですが、気持ちを如何に柔軟にもっているか、新しいものに、貪欲に、自然に、楽しんで取り組んでいけるか、ということ、です。

経験者として、先生として迎え入れられ、その経験を質問されると、気持ちよく話してしまうもの。一度や二度は聞いてもらえるかもしれませんが、そのうち、「あの人、また同じ話をしている。」「過去の栄光ばかりだね。」と言われてしまいます。そんな時、何に気をつけ、何を大事にするのか。それは、自分よりも若い人達だと思っています。

経験や時間はそんなに簡単に超えられる者ではありませんが、経験というデータで自信が確固たるものになってくると、それが固まってしまい、流れゆく時間、変わりゆく時代に遅れてしまうのです。新しい時代のその先に目を向け、関心を寄せていないと、その時々の波に乗った人々に、経験なんか何の訳にも立たないぐらいのイノベーションを起こされ、昔の経験者は一人、取り残されてしまう。

そうならないために、私自身は、留学生アルバイトに来てもらい、根気強く仕事を説明しながら、雑談の中で彼女らの考えを聞き、年下のパートナーの意見を聞き、そしてお客様の意見にも身体ごと耳を傾けるよう、気をつけているつもりです。若者を畏れながら、交流の中で刺激を受け、自分も更に進めるように努力する。「後生可畏:ホウ・シャン・クー・ウェイ」恐れるべきは後進である、と中国の成語にもあるとおり、若者に対して謙虚に接し、柔軟に経験値を上げていきたい、今日この頃です。

后生可畏 [hou4 sheng1 ke3 wei4] 2019/4/22

202.捨てる神有れば…

今年度、色々と考えまして、10年以上在籍した中小企業診断士協会の国際部を退部しました。国際部というのは、診断士の国際化支援スキル向上や人的ネットワーク拡大のために、セミナーを企画したり、情報を発信したり…という同業者社会のボランティア団体、というとイメージが浮かぶでしょうか。ボランティアといえば、もう地元であちこちやっており、また子供達が人生の節目の年にかかっていることも有り、自分のボランティア部分を少し取捨選択してみることにしたのです。

今日はその国際部の部会で、最後だから挨拶に来るようにと言われ(!)出かけてきました。挨拶を終えて帰宅すると、受験生となった長男が、やはり色々と悩んでいるようで、私に話しかけているのか、相談を持ち掛けているのか、それとも何かヒントを引き出したいのか…そんな様子。気持ちが揺れているんだろうなぁ、と思うと共に、こういう気持ちに寄り添うためには、一つボランティアをやめて、正解だったんだろうなぁと思いました。

本当に国際部を止める方向で動き始めると、今年は一挙に学校関係のボランティアが増えました。まさに捨てる神あれば拾う神あり!?まあ、こちらは地元で移動距離もないですし、助けて!!と言える対象も近所なので、何より子供がその学校に通っている間しかできないことなので、無理せずやっていくつもりです。

さらに、今は一旦年度が変わって静かですが、連休明けからは各種公的支援も始まります。家庭内にいてはいつでも受験生の気持ちに沿えるぐらいの落ち着きを持つこと、そして自分の仕事も大切にし、自然体を崩さない事、これをモットーに頑張っていきたいですね。「天無絶人之路:ティエン ウー ジュエ レン ジー ルー」天には袋小路がない。自然体で行動すれば、路は拓ける!!受験生の息子にも、今の私にも言えること。捨てる神あれば拾う神あり。今目の前に有るコツコツを、積み重ねましょう!

天无绝人之路 [tian1 wu2 jue2 ren2 zhi1 lu4] 2019/4/15

201.春爛漫

ようやく春と思えど、急に雹が降り出したり、真冬並の寒波が押し寄せたりで、なかなか心穏やかな春の日差しは長続きしませんね。でも、これが春なんでしょうね。週末は桜満開の中、息子達の野球の試合を観戦しておりました。長男も次男も、今のチームでは最後の一年がこれから始まるんだなぁ、と、少し晴れやかな気持ちになったり、リーダーとなった分、責任も重くなり、一緒になって緊張しているような気分にもなり。。。

さらに、この一年は、少し子供達に向き合おうと思い、ボランティアの数を減らしました。一度にいくつものことをこなすのは、主婦でもあり、得意科目ではあったのですが、なかなか平準化は難しく、子供達の大事なときに他の件も一緒に来てしまっては、何より私が苛々してしまう。もう息子達も大きくなり、受験や野球のために私が仕事を辞めるなんてことを言えば、きっと嫌がるだろうから、まずは自然体で。でも、心に余裕がないのにボランティアは止めておこう。そんな風に思った次第です。

さて、新学期も始まりましたが、荷物の整理もかなり行ないました。ついでに息子達の机も、自分達なりに片付けさせたのですが、う~ん、とひと悩みし、とにかく机の上をしっかり空けるように片付け直しました。コンサルティングと同じく、口だけならあまり効き目のないことも、ある程度アクションで入っていけば、信頼関係が生まれるのも理解しているつもりです。が、それも適度が大切。なんでもかんでも親やコンサルタントが全部やってしまっては、「できるように」はなってくれないんですよね。どこまでやるか、いつも「適度」の見極めが至難の業です。

入学式の桜色真っ盛りに人の目も眩むような「春色撩人(チュン・スー・リャオ・レン)」のこの季節、今年度もさらに深みとアクションを起こしてもらえるコンサルタントを目指して、一歩進もうと思います!

春色撩人 [chun1 se4 liao2 ren2] 2019/4/8