みんな特殊ですっ!

Post date: Jul 13, 2015 2:00:23 AM

「この業界って、特殊なんです。」この言葉、コンサル歴が然程長くないウチでさえ、いささか耳にタコ気味です。どの業界も、それぞれに特殊です。それぞれの特性がありますし、他の業界に比べて大変だったり、条件の良くなかったりすることも沢山あるでしょう。でも、自ら選んだことでしょう?

人は物事がうまくいかなくなると、人の所為にしてみたり、うまく行かないことを正視しなく(したくなく)なったりします。防災心理学等で良く聞く「正常化バイアス」、つまり非常事態に対しても「自分だけは大丈夫、大したことない。」と、良い方に良い方に考えを持っていってしまうことなんですが、これもバランスが非常に微妙で難しいですね。小さいことにくよくよばかりしていてもダメだし、何か対策やアクションが必要と思われる状況の変化が有ったら、客観的に冷静に判断して動かなければいけないし。

企業の状況も、「そういうこと、あるさ。」と考えることが結構分かれ道になっていて、一度の失敗ならともかく、連続するようなら自分の置かれている環境の現実と、自分が行っていること(事業や業務)のギャップや齟齬、不適合がないか、疑ってみる事って大事ですよね。それをせずに、「自分は大丈夫」と思いこめば、状態は悪化し、回復するにも何が悪かったのか、気がつかなくなってしまいます。そこで出てくるのが「この業界は特殊。」ということば。自分じゃなくて、周りが悪い、と、私だって言いたくなります。でも、そんな言い訳して何か良いことがあるでしょうか?

中国のことわざに「三百六十行 行行出状元:サン・バイ・リィウ・シー・ハン、ハン・ハン・チュー・ジュワン・ユェン」というのがあります。この場合の「行」は「ハン」と読み、業界の意味になります。360は多い数の喩え。そして「状元」とは科挙試験の一位のことを指すのだそうです。世の中本当に沢山の業界があるけれど、どの業界にもトップはいるよ、ということです。どんなに特殊な業界でも、それぞれに皆、苦労して、工夫して事業運営しているんです。「私はこんなに一生懸命やってるのに…」と、自分の努力の軌跡ばかり見ないで、360度、ぐるりと周りを見渡しましょう。何が足りないのか、何が問題なのか。一生懸命やるってことは、自分の中だけで決める事じゃなくて、自分を取り巻く小さい社会と、そのもうひと・ふた周り大きい取り巻きとバランスとりながら、上を目指していくことなんでしょうね。と、書きながら今週も反省しています。

三百六十行 行行出状元

[san1 bai3 liu4 shi2 hang2 hang2 hang2 chu1 zhuang4 yuan]